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THE LAST STORY 異聞録>Burst< 蒼天の詩①

この物語は

【完結済み】『THE LAST STORY 貴方が命を賭けて私と紡ぐ物語り』のパラレル的な物語です。










何が始まりだったのか、そもそも始まりがあったのか実感すらわかねぇ


ひたすら殺しまくって来たさ"あの娘らが生きる為"にな



THE LAST STORY 異聞録

>Burst< ①




破壊された建物の瓦礫の積もるこの小さな陣地。


装備に統一性のない兵士が、注意深く陣地の外を見張っている。


俺も、その一人だ。隣にいる震えてる彼も、少し離れた位置にいる童顔の彼もまた、その一員だ。


俺らの見張っている瓦礫だらけの十字路をいくつかの陣地で守っているが、その陣地を守っている兵士のほとんどは正規の訓練を受けた兵士ではない。


ほんの二ヶ月前、彼らはまだ高校三年生だった。


十字路の南東に位置すると同じ陣地のもう一人の指揮官は、大学生だった人ヤツだ。


南西陣地の指揮官はヤンキーだったヤツ。


北西陣地の指揮官は、元ボクサーで、雇われヤクザをやっていたヤツ。


北東陣地の指揮官は、正規の訓練を受けたヤツ。


3ヶ月前、突然現れた軍勢によって街は爆撃に遭い、それから逃げ惑ううちに、彼らは銃を手にしていた。


俺は、すでに人を手にかけていた。



怖かったからじゃねぇ..ただ生きる為に殺してきた




いつか、自分が殺される日の為に...



隣にいたヤツが、頭から、口から血を吐き出しながら壁にもたれ、壁一面にヤツの血がべっとりと付いていた。


突然発生した戦闘に巻き込まれたヤツらは、生き残るために必死で銃を手にした。


一番の前に居たのヤツは、目の前で起きた爆発で上半身を失って消えた。


いつも笑顔を振り撒いて強気な発言をしてたヤツは、いざ戦闘となったら銃を捨て逃げて隠れる途中で流れ弾を浴び、全身から血を噴き出しながら地面に倒れ込んだ。

同じように強気だったヤツは、自分の身体から血と内臓が飛び出したのを見て、しばらく悲鳴を上げ続けた後、動かなくなった。

生きのびようと必死に飛び込んだ扉の先で、大勢の人たちが自らの命を断っていた。


いつの間にか、俺の周りに何人かの人がいた。皆武器を手に、顔に服に返り血の跡を覗かせながら、ここにいた。


それから大勢が集いはじめ、ヤツらは戦場にいることを、兵士になったことを改めて実感した。


ヤツの心境を言葉で表すなら「本当は、こんなことやりたくないはずなのに、同調圧力に屈し "そうせざるを得ない" もしくは "そうなることが当たり前 "だと思いこんでいたのかも知れない。」


当然と必然的な流れの中でそれを求められたのかも知れない


選択の余地などなかっただろう

それに、俺がそうさせたと言っても過言じゃない


勝って勝ち続けて生き残る以外に安全な場所を自ら作り出すことしか此処では出来ねぇからだ。


阿鼻叫喚の中で、一瞬の静寂が訪れ返り血を服でぬぐい

タバコに火をつけ一息つく間もなく


直ぐに新たに現れた敵との戦闘が始まった。


最初の攻撃で、俺らの陣地に爆発があった。


ちょうど奥の部屋に移動していた俺は、偶然にも無傷だった。


身体を起こして周りを見渡すと、多くヤツらが傷を負っていた。


すぐそばに、隣を守っていた17~18歳ぐらいの男の子がいた。


胸に浴びた砲弾の破片から、僅かに煙が立ち上っている。


助からないことは、誰の目にも明らかな傷だ。


男の子は懇願するように僕に顔を向けた。


俺が無言で手を取ると、彼は力尽き、頭を瓦礫に落とした。


無事な何人かが必死に抵抗を始めたが、もはや抵抗にならなかった。




俺は外に飛び出し銃爪を引いたが、すぐに弾がなくなった。


はじめから、弾などほとんど尽きていた。


俺は銃を棄てた。銃火の飛び交うなか、あの人から貰った刀を抜き放ち敵中へと突入した。


身体に鈍く熱い痛みが走る


俺は自分が撃たれていることを知った。



視界の天地が逆転する


俺は撃たれことを気にもとめずに宙返りしながら敵中に突入し手当たり次第目の前の敵を斬って斬って斬ってまくり


敵の頭に手をかけ頭を抑えたまま敵の首と胴体を切り離し

上がる血飛沫も浴びる返り血を気にもせず


『俺を殺せるなら殺してみせろ!!』


そう叫んで敵の首を敵中に放り込み

更に斬って斬って斬って斬ってまくり

次第に切れ味がなくなり刀身の曲がっ刀で敵を力強く殴りながら、ただただ暴れまわった...


やがて刀を握る力さえなくなり俺は血に染まった地面に片膝立ち状態となり曲がって使い物にもならない刀が乾いた音を立てて地面に落ちる



不思議な気分だ。


痛みは無い怖さも感じない


ヤツら生き延びるために敵の命を奪って来たが、俺自身の生死に関しては無頓着に生き..自身の死の瞬間を待つだけの生様の終焉が..直に訪れることを悟った。


俺は天をあおぐ..土煙の先に広がる青空の美しさは...この美しさは...


なんだ...?


地上じゃ醜いほどの憎しみがぶつかっては紅色に染まっているというのに..



そんな風に思っていた時、一人の敵の銃口が、俺に向けられた。



ふっ..コイツも同じ目をしてやがる


どいつもこいつも..嫌になるぐらいに馬鹿野郎だ...



『殺れ!!』




ガウン!!ガウン!!




THE LAST STORY 異聞録

>Burst< ② へ つづく。


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