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異世界の悪役令嬢に転生した俺は日本に戻って…  作者: はぴぴ
2章 悪役令嬢は日本へ
19/21

19 結婚前の話

 結婚前の話。ミスリーは俺たちと結婚するのだから、もうメイドではないのだ。だから、併設されたメイドの部屋は引き払った。この部屋は茜と二人で住むには広すぎたが、五人で住むには狭すぎる。何をするにもぎゅうぎゅうだ。でもそれが良いのだ。


 もう一つ、結婚前の話。誰が誰の子供を宿すか決める際に、あいかさんに話を持ちかけられた。


「実はね、男に戻る方法があるのよ」

「えっ…」


 自分の身体に子供を宿そうとしているのに、今更男に戻れるなんて言われても…。


 まず説明されたのは、女同士で子供を授かる方法…。それは、採取した皮膚などの遺伝子の性別情報を書き換えた上でクローンの精巣を作って、精子を採取する。その精子を、それぞれがもともと持っている卵子に受精させる。

 つまり、性転換したクローンというものが作れるということだ。そして、性転換したクローンに脳を移植することが可能だという。

 日本人、綾瀬香の遺伝子はもはや手に入らないから、セディールの遺伝子を性転換させるか。それとも、茜の遺伝子を性転換させれば、香に近いクローンが作れるか。


 と、いろいろ思考を巡らせたが、答えは一つ。


「私はもう女として生きていきます」

「そう。わかったわ。男になりたくなったらいつでも言いなさい」

「はい、ありがとうございます」


 男の綾瀬香は死んだのだ。茜も俺が男だったなんて忘れてるんじゃないかと思うくらいだ…。それに、女同士でも愛し合えるし、子供だって作れるんだ。男である必要はない。



 さらに、結婚前の話。


「お姉ちゃん。せっかくのナイスバディなんだから、みんなで海行こうよ!」

「でも三月よ。それにこの国は大陸の中心近くあるから、海に面してないの。だからといって、髪色がファンタジーな人は、日本に行くのも無理よ」

「ふふふ…、お姉ちゃん知らないの?ここの地下から遊園地に行けるじゃん?あの遊園地の奥に海があるんだよ」

「ホント?でも寒いんじゃない?」

「それがね、いつ行っても二十五度くらいあるんだよ」


「海って…、対岸の見えないほど広い湖のことですか?」

「海があるなら行ってみたいです!」

「私も行きたいです!」


「よしじゃあ、聖子さんに水着を作ってもらおう!」


 聖子さんに渡されたのは、無重力ブラを水着っぽくしたもの。紐もベルトもないし、間のホックもない。そして、胸の大きさ調整機能付き。


「セディール様!これは素晴らしいお召し物ですね!」

「なんと開放的なのでしょう!」


 この世界には水着がない。ほとんど下着と同然なのに、とくに疑問を抱かないコレミナとエリス。今は俺の言ったことが命令になったり、当然のこととは思われないようになっているはずなんだが…。まあ、二人は学園の一年間を水着のような姿ですごしたこともあるし、慣れっこなのか。


「セディール様…、これは下着ではないのですか…」


 ミスリーの反応は当然だ。でも、大きくなった自分の胸を見て嬉しそうにも見える。まるで成長期の花も恥じらう乙女のようなミスリー二十六歳。


「お姉ちゃん!やっ水着回はこうじゃなきゃね!スクール水着じゃダメだよね!」


 回…?


 そして、なぜか付いてきた聖子さんと、その奥さんの一人、セレスティーヌさん。って元王女じゃなかったけ…。


「それでは、ビーチバレーのやり方を説明します」


 誰もそんなこと頼んでない…。おもむろに砂浜に設置してあるビーチバレーのコートへ。


「まず、腕を使ってはいけません。必ず胸でレシーブやスパイクをしてください」

「はぁ?」

「マジかぁ!それはすごいね!巨乳じゃなきゃできないスポーツだね!」


 ノリノリの茜。


「私たちが実践してみますので、やり方を覚えてくださいね」

「「「「はい!」」」」


 まずはセレスティーヌさんのサーブ。セレスティーヌさんはTカップかな…。

 最初にボールをあげるのは手でOK。下りてきたボールを右胸で受けて、たっっっぷんと胸が揺れた反動で打ち上げる…。


「あの…、痛くないんですか…」

「この無重力水着にはイナーシャルキャンセラーが付いていますのよ。だから当たった衝撃はキャンセルされますわ。それに、防護強化千倍もかかっていますから、全く痛くありませんわ」


 なるほど…。

 そして、サーブされたボールを聖子さんが両胸でレシーブ。


「この無重力水着は、念じると二つの胸をホックで留めたように、同期して揺れるようになるから、それを利用して両胸でレシーブできるよ。間に合わなければ片胸でもいいけどね」


 なるほど…。ホックがないのは、魔法で間を止められるからなのか…。そして、それをスポーツに利用するとは…。

 説明を真剣に聞いている四人…。ビーチバレーはそんなスポーツじゃないからね…。っていうか、茜は体育の授業でやったよね…。ダメダメだったけど…。


 レシーブで打ち返されたボールがネットを超えて高く上がってる間に…、セレスティーヌさんの超人的なジャンプ!そして下乳でスパイク!右乳を上から下に下ろすようにしてスパイク!胸が下ろされる瞬間、胸が大きくなった!Zカップをはるかに超える大きさ!胸が大きくなる力を利用して、ボールはさらに加速した!

 スパイクされたボールを、聖子さんが超人的なスピードで駆けつけて、両胸でレシーブ…しきれずにボールを落とした…。


「とまあ、こんな感じ」

「「「「はい!コーチ!」」」」


 その後、ビーチバレーの細かいルールを説明された。とりあえず勝負の前に、サーブやレシーブの練習。俺と茜、コレミナとエリス、ミスリーとセレスティーヌさんでペアを組んだ。


 まずは俺のサーブ。ボールを手で高く上げて、胸で…、あれ…。スカした…。


「香ちゃん、何やってんの!身体を使うんだよ!」


 聖子さんからの厳しい指導。

 胸って腕みたいに自由に動かせる部位ではないよな…。制御できずに勝手に揺れてしまうのが良いのであって…。

 その後、身体全体を動かして、ボールを胸で受けることに成功。でも、胸は身体に対して遅れて付いてくるので、あらぬところで受けてしまって、ボールはあさっての方向へ…。


「香ちゃん、何やってんの!胸は遅れて付いてくんだから、先行して身体を動かさなきゃダメだよ!」


 難しすぎる…。とりあえず、みんな練習してなんとかサーブできるようになったけど、試合なんてものはできなかった…。


「んじゃまあ、こういうスポーツもあるってことで。あとは若い者同士でどうぞ~」

「ごきげんよう」


「「「「ご、ごきげんよう」」」」

「ばいばーい」


 聖子さんとセレスティーヌさんは、頼んでもいないのに、わけも分からないスポーツを教えて去って行った…。というか、二人とも九十歳近かったはずだけど元気だなあ…。


「ねえ…」

「そうね…」

「はい…、そうしましょう」


 正直いって、ビーチバレーなんてのはどうでもよかった。それよりも、俺たちの目線は、聖子さんとセレスティーヌさんのTカップの胸に釘付けだった。

 その結果、俺たちは全員、無重力水着の胸サイズ調整機能でTカップにした。胸囲は一六〇センチくらいか。

 肩幅をかなり超えた横幅。華奢な胴体の三倍はある奥行き。胴に胸が付いているのではなく、胸に胴が付いているといっても過言ではない。


「これは生活に困りそうですね…」

「ご飯食べられないかも…」

「みんなで食べさせ合いしましょう!」


 皆、困ると言っておきながら、とても嬉しそうに顔を赤らめている。そして、このサイズを維持したまま戻さない気でいる。でも、仕事中にGカップまで小さくしなければならないことは、すでに伝えてある。

 そうだ。農園に暮らしている人の中には、このサイズの人もけっこういた。そして、食堂で食べさせ合いをしていた。でも、食べさせる側も同じサイズの胸だったので、あまり近寄ることができず、口元が遠いため、たくさん料理をこぼしていた。だが、それが日常の光景だった。

 そんなサイズにして大変そうだなあと思っていたが、まさか自分の胸をそのサイズにしてしまうとは…。でも、もはや戻すことはできない。一度大きくしてしまうと、元に戻すことができない。いや、そういう仕組みの魔法ではないのだが、気持ち的にもう戻せない。


「じゃあ、海に入って遊ぼー」

「「「「はい!」」」」


 浅めのところで、バシャバシャしたり水を掛け合ったりして、キャッキャうふふした。

 無重力水着はセパレートモードで左右が非同期で揺れてるのも良いし、シンクロモードで同期して揺れるのも良い。ちなみに茜とエリスはセパレートモード、コレミナとミスリーと俺はシンクロモード。自分の胸をたっっっぷんたっっっぷん揺らしながら、みんなのたっっっぷんたっっっぷん揺れる胸を眺めるのはなかなかに良い。


 この後、帰ってからみんなのエンチャントの指輪を改造。Tカップになるようにする胸を大きくする魔法をエンチャントした。水着は皮膚にくっつかないように浮いているので気がつかなかったが、自分の魔法でTカップにしたこの時点で気がついたのだ。胸が大きくなると感じやすくなるということを…。

 みんなも気がついたらしく、その日のシャワールームでは、みんな顔を赤らめていた。いつもやっている胸を使った身体の洗いっこはなかなか進まなかった。


「今日は楽しかったね!」

「また来ましょうね!」

「「「はい!」」」


 顔を赤らめながらみんなでまた海に行く約束をした。

 とはいえ、俺たちはこのあと結婚して妊娠。あんまり暴れたりできないのだ。お守りの結婚指輪が胎児を守ってくれるとはいえ、それ前提ではしゃぐのもな。

 結婚してすぐに子供を作る必要はないと思うんだ。でも、ここは異世界。コレミナとエリスとミスリーは結婚したらすぐ子供を作る気満々でいる。それどころか茜まで…。



 そういうわけで、結婚というか妊娠前にもう一つやっておくべきことがあるらしい。


「じゃあ、魔王討伐ツアーに行くわよ」

「魔王…?」


 ヒスターニアからサイカトリーとは反対の方向に、ヘダーチェという国がある。そこでは、勇者が魔王を討伐するというストーリーが展開されているらしい。サイカトリーでセルシーちゃんは乙女ゲームに巻き込まれ、俺は悪役令嬢物語に巻き込まれていたが、勇者とか魔王みたいな単純なRPGストーリーもあるんだな…。

 その魔王を勇者が討伐に来るのは数十年に一度らしい。一方で、魔王は倒されたあと一年でリポップするらしい。だからといって、そこにちょっかい出してどうするのかと思ったら…、


「魔王を討伐すると、死んときに生まれ変われる権利がもらえるのよ」

「「「「おー!」」」」

「それって、私みたいに転生するってことですか?」

「そうよ。転生先はヘダーチェの王族。私たちはまだ仲間が転生したのを見たことはないんだけど、ヘダーチェの王族には、前世で勇者となって魔王を倒した召喚者がいるのよ。心を覗いて調べたら、抵抗力が強かったから苦労したけど、おそらく確実よ」

「なるほど…」

「でも一パーセント以上はダメージを与えてね。全員が一パーセントダメージを与え終わったらあとは私とさくらが倒すから」

「危なくないんですか…?」

「大丈夫よ、私とさくらが抑えて無力化しておくわ」

「はぁ」


 パーセントとか…。


「はい、このオリハルコンの剣で攻撃してね」


 渡されたのはトラゾド王子戦で使った宝剣。ミスリルより堅いオリハルコンなんて金属があったんだ…。

 集まったのは、俺たち五人以外に二人の転生者と二人の召喚者。そしてあいかさんとさくらさん。全員分のオリハルコンの剣が用意された。だから何本あるんだよ。


 瞬間移動で魔界と呼ばれる場所にある魔王城の入り口に到着。城の中を進んだ。

 道中、素速い敵ばかりで、全く応戦できる気がしない。でも敵は近づいてくる前にバラバラになって倒されていく。きっとあいかさんとさくらさんがなんかやってくれているんだろう。

 一時間ほど歩いて行くと、魔王の部屋に到着。部屋といっても数十キロはあるホールのようだ。


「はい、こいつが魔王よ。私が押さえつけて圧縮してるから三メートルしかないけど、実際は一キロメートルくらいの巨躯よ。圧縮したくらいじゃ倒せないのよ。ちゃんと正規の方法で倒さないといけないの。

 こいつは弱点が刻々と変化するわ。弱点に合わせて剣にエンチャントされている魔法を切り替えて殴ってね。腕力がない人は念動で剣を持ってもいいわよ。

 赤いときは炎属性だから、水魔法を使ってね。逆に青いときは炎魔法。黄色のときは風。紫のときは雷。白のときは闇、黒のときは光。よく分かんないときは聖でOK」


「あの…、反撃してこないんですか…」

「大丈夫よ。動かないように押さえつけてるし、発射されるものはAIが全て回収してるわ」

「はぁ…」


 魔王と呼ばれたものは、半径三メートルの球状をしている。元がどんなものかも分からない。


「黄色よ!風魔法を付与して殴って!」


 こんなにお膳立てされて倒しても何も楽しくないが、道中の敵の素早さから考えると、俺たちみたいな雑魚じゃすぐやられてしまうんだろう。


「ほら、香ちゃん、サボらない」

「は、はい」


 色によるじゃんけんのようなゲームをさせられて数十分…。


「香ちゃんはもういいわよ。茜ちゃんはあと十分くらいやってね。念動使える分、他の子より有利なんだから頑張って」

「はい…」


 ちなみに、ミスリーも光魔法による念動で剣を持って殴っている。十キロほどしか持ち上げられないが、剣を持つには十分だ。

 コレミナとエリスは手で剣を持って振り下ろしている割には頑張っている。やはり高位貴族のお嬢様のスペックは伊達じゃないのだ。


「おつかれ。みんなもういいわよ。あとは私がやるわ」


 一時間くらいかかった。これやっと一人一パーセントなのか…。まだ九十パーセント以上残ってるってことか…。

 あいかさんが出したのは無数のオリハルコンの剣で作った…、ミキサー?それを高速回転させながら、三メートルに圧縮した魔王をみじん切りにしている。全属性分みじん切りにしたところで、魔王は消滅した。あいかさんに交代してから十分で終了した。


 魔王の部屋は数十キロある。その奥の出口付近まで瞬間移動した。そして出口を抜けると宝箱のある部屋に出た。


「たっからっばこ~」


 さくらさんがなんの躊躇もなく宝箱を開けた。もう何回もやっていることなのだろう。


『よくぞ魔王を打ち倒した。褒美として、そなたらの来世を約束しよう』


 心に直接声が聞こえた。発話の魔法で話しかけられたのと同じ感じだ。そんな言葉だけで転生できるなんて思えるはずが…、なぜかある。この言葉は信頼に値する。転生できることに確信が持てる。

 きっとそう信じ込ませる力が働いているんだ。俺にセディールの記憶を植え付けたり、見られたがりの趣味を植え付けた神だ。それくらい余裕でできるだろう。


「やった!これで来世も一緒にいられるね!」

「はい!セディール様、来世でも結婚してください!」

「コレミナ、抜け駆けはダメよ!私もセディール様と結婚するんだから!」

「セディール様…、来世でもお仕えさせていただくとともに、結婚してください…」

「みんな…」


 俺の心配をよそに、みんな無条件に信じているようだ。あいかさんも信じてるから連れてきてくれたんだよな。

 俺たちはまだ二十前後。あと何十年も一緒にいられるが、そのあとにもう一度人生が待っていることが約束されているってのはいいな。

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