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真紀ちゃんがんばる


夕飯まであと3時間ほどだね、真紀ちゃんどーする?とパンを焼き上げながら聞いてみた。




(今回は私に任せて!食べ盛りのあの子達を満足させたげる。)


じゃあ、チェンジする?と真紀ちゃんに聞くと(イェース)と謎な返答が来た。


この場合のチェンジとは、体の意志を真紀ちゃんに一時的に変わるという事だ。


最初は私が寝ている時に台所で料理を作ってた事でチェンジ出来るのがわかった。


パチン!!と心のレバーが切り替わると、真紀ちゃんが私の体で料理するのだ。

この状態になると私は映画館で映画を座ってみている感じになる。真紀ちゃんの手捌きをスクリーンで鑑賞するのだ。


そして真紀ちゃんはほぼトランス状態に入る。


「じゃあ真紀ちゃんチェンジね!」


ここからは真紀ちゃんの視線だよ!



◇◇◇



真紀子の意識がオフェーリアの体を支配していく。今日の晩御飯に呈する内容を精査する。



まず食材の確認をして、レシピノートを引っ張り出し、食材と照らし合わせながら、白紙に本日の献立をスラスラ~とペンで書く。


今日は9品。やっぱり王子様がいらっしゃるからかフルコースね。


執事にも指示を出す。お出しするタイミングや料理の内容について打ち合わせだ。


前菜は3品、やはり肉中心。


魚の前にチーズをお出ししたいがチーズの代わりにサブレをだす。ほんのりと甘いがチーズ味にしてあるからお菓子の感覚が薄まる。


スープは領地で採れた新鮮なホワイトアスパラガスがあるから茹でてコンソメ仕立てのスープに浮身として使うのね。


魚のメインはアクアパッツァ、肉のメインは子羊ね。


普通ならお皿の中央にメインをそえ、周りに野菜をつける事が多いんだけど、茹でて味付けしたパスタやトーストしたパンに加工肉のペーストを塗りつけたバゲットもたっぷり添える。


肉のソースは2種類作ろ。


肉と魚の間にこの地方のベリーで作ったグラニテを口直しに入れる。ベリーはストックあるから大丈夫!


お酒は出せないけど、ぶどうジュースをアレンジしたサングリアもどきとお水は飲み放題にしておこう。給仕さん王子様たちのグラスが開かないようしっかりしてよ。


デザートの前にこの地方特産の果物をカットして出す。これをデザートに入れても良かったんだけど男の子達にしっかりと量を食べさせたい。


ラストはコーヒーとプリン、アイスで締めるよ。


さぁ、メニューは決まった!


真紀ちゃんの戦いの火蓋が切って落とされた!!




◇◇◇




最初の前菜は加工肉の盛り合わせと一品だけ魚を入れた。


そう、スモークサーモンだ。ストックがあったので入れてみた。が以外とウケてる。

あまり王都には魚を加工する事が無いのかしら?



魚料理は全員完食、さすがね育ち盛り。


肉料理は皿まで綺麗だった。犬も真っ青だわ。さすが食べ盛り。


もうこの時に、パン類が切れ掛かってたのであわてて追加をだす。


スープ、グラニテも完食。あぁ気持ちが良いわ。久しぶりね。


さぁ、最後デザート出すわよ。

アイスクリームはこの辺りにはなかったはず。プリンはよく似たものならあったかも。 

締めのコーヒーはエスプレッソを出したかったがさすがに16歳ではいきなり飲みつけないかもと思い直し、無難に紅茶に切り替えた。


はぁ、楽しかった。しんどいけど。


ぐったりしてたら、「真紀ちゃんお疲れ様。」とオフェーリアが労ってくれた。


その時、調理場のドアが開き執事が

「オフェーリア様、ランスロット様がお呼びです。」とオフェーリアを呼ぶ声がかかった。



「あっ、真紀ちゃんこうたーい、チェンジ、チェンジ!!」


(やれやれちょっと休もう。オフェーリアちゃん見てたやろ?後は頑張ってや。)



はっと気がつくと真紀ちゃんが消えていた。真紀ちゃんちょっと疲れたのね。


もう一度、今度はお兄様に「オフェーリアちょっと来て。みんなに説明を。」と言われたので皆さんの元へ向かった。


ドアを開け、皆さんを見渡しカーテシーを決める。

おずおずと「皆さま、本日のお食事はお気に召されたでしょうか?」と尋ねてみた。


口火を切ったのは王子様だった。


信じられないと言った顔つきで

「オフェーリア嬢の、、、手料理だったのですか?」「はい、私が心を込めて調理させて頂きました。お気に召しませんでしたか?」


「いや、その逆です。あんな美味しいお料理は今まで食べた事が有りません。正直驚いています。どこかで習われたのですか?」と聞かれた。



「とんでもございません。ここの料理人のカイルに手ほどきをしてもらいました。あとは私の創作です。食材はここの地は豊かなのでここで採れた物が殆どです。」と話した。



王子様は「うーむ」と考え込んでいた。



残りの2人も大変喜んでくれ、特にアイスクリームが気に入ったらしい。レシピを教えてくれ。と熱望されたのでここからの帰り際にお渡しします。と伝えておいた。



王子達は2~3日滞在されたあと、アイスのレシピと手作りパンを土産に王都へ帰って行かれた。



(帰ったわね)と真紀ちゃんも言っていた。やはり滞在中は気にかけてたっぽい。



後から伝え聞いた話だが、私の料理が都で評判になっているらしい。王子達がひっきりなしにこちらへ来ようとしている。と兄様の便りで知った。



しばらく来なくていい。





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