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エピネル国



ディナーも終わりに近づきデザートでコーヒーを楽しむ2人。


「今日、オフェーリア嬢に話したかった事なんだけどね。。。。」とレオン殿下がテーブルの上で両手を組みながらオフェーリアをじっと見つめた。


オフェーリアも瞬きもせずに、レオン殿下を見た。


一呼吸置くと「オフェーリア嬢、私の伝手で留学をしないか?」と言いだした。


「えっ、レオン様の伝手でですか?」思ってもいない提案に驚く。「うん、そう。行き先は大国エピネルだ。」


エピネルと言えばこの世界一の大国だ。そんな所に、、、、


(オフェーリアちゃん、チャンスやで)と真紀ちゃんが何だか興奮している。



「エピネルに、もちろん料理での留学ですよね?」と聞くとちらりとオフェーリアを見て


「あぁ、でも表向きは文化交流だ。オフェーリア嬢、成績は優秀だとアトラスから聞いてるよ?」


「ありがとうございます。ちなみに期間はどれぐらいですか?」


「とりあえず3年。学校卒業には間に合わないから2年留年扱いにはなる。」



オフェーリアは13歳で田舎からこちらへ出て来た。

16歳で高等部に進んでいる為もうすぐ17歳になる。

お父様との約束まであと3年。あまり迷っている時間は無さそう。


「レオン様、一体いつからなんでしょうか?」

「ちょうど来月から、エピネルは新学期になる。それに合わせて行ければと考えていた。」


「そうなんですね。私自身どこかの飲食業での修行になるかと思っていました。留学となると一度両親に伺って見ないと何とも。。。」


「それはそうだ。オフェーリア嬢やご両親に取れば大きな出来事だと思う。よく考えて見てくれ。」とそこで話が終わった。


「もう一軒お誘いしたい所だが、寮まで送るよ。」と寮まで送って貰った。




(オフェーリアちゃん、どうするの?)と不安げに真紀ちゃんが聞いてきた。


「うん、ちょっと立て続けにいろんな事が起きててまるで夢を見てるみたいなの。」と真紀ちゃんにボヤくと(そやな、一回実家に帰ったら?環境変えてみ?)とアドバイスをくれた。


「そうだね、真紀ちゃんありがとう。そうしてみるよ。」


早速手紙を実家に送り、週末帰郷する旨を伝えた。






◇◇◇




ガタゴト、ガタゴト


オフェーリアの実家へ馬車が向かっていた。あまり留学の事は考えないようにした。もう考え出したらキリがないからだ。


実家へ着き、両親に出迎えられた。


基本的に伯爵家領には父の名前のみでランスロットが仕事傍ら詰めているらしい。


家族みんなでリビングに入りソファーに腰掛けた。目の前にお茶が置かれゆっくりとひと口飲んだ。


それを見届けるかのように「オフェーリア、聞いたよ。レオン殿下にずいぶんと買って貰っているね。」とお父様から言われた。



「はい、過ぎた提案を受けていると自負しております。」



「・・・常々オフェーリアの料理が非凡な物であるのは私たちも感じていた事だ。」


お父様が私をじぃと見つめながら


「オフェーリア、君はどうしたい?」と聞かれた。


「はっきり言って悩んでいます。帰ってきた時は20歳になります。婚期は過ぎます。」と言うと


お父様が微笑みながら


「そんな事は最初からわかっている事だ。ランスロットから、もしオフェーリアが行かず後家になったら面倒見てやる。と伝言を貰っているよ。」


・・・お兄様がそんな事を。


お母様が「私たち家族はオフェーリアの幸せを願っているのよ。留学して道ができてオフェーリアの幸せに繋がるのなら応援したいわ。」と言ってくれた。


(ええ親御さん、ええ家族やな、オフェーリア。良かったな。)っと真紀ちゃんが泣いてる!!


「お父様、お母様私はエピネルへ行こうと思います。留学、認めてくれてありがとう。」と涙ながらに話した。


この夜は久しぶりに親子水入らずで語り合い充実したひとときを過ごした。



◇◇◇





エピネルへ出発する日、寮のおばちゃんや友人達に挨拶していた。


エマ達が「オフェーリアと一緒に卒業出来ないのは寂しい。でも頑張ってね。」と応援してもらった。

私も「あちらで落ち着いたら手紙書くね。」とエマ達に話した。


なぜかキリエ嬢が来ていた。


「オフェーリアさん、私もうアトラス殿下を諦めましたの。あんなに貴女を見ているんですもの。留学、頑張って下さいね。」と言われた。何か複雑な乙女心。。。。



そろそろ時間になり御者の方に「そろそろお乗りくださいませ。」と乗車を促された。


後ろ髪を引かれながら馬車に乗り込むと皆んなが見えなくなるまで手を振り続けた。


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