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レオン殿下


学校生活の方は、たまにキリエ嬢に嫌味を言われるが、エマ達が周りにいる事や、アトラス殿下がいつもオフェーリアを熱く見つめている事で大した騒ぎにはなってない。



先生方が苦笑しながら

「アトラス殿下見過ぎです。オフェーリア嬢に穴が空いてしまいます。」と注意されているのみである。


テストの方は、オフェーリアとアトラス殿下がトップの取り合いといった所だ。


ある週末、お兄様とご飯を食べに予約しているお店に行くと、先にレオン殿下が待っていた。


レオン殿下は私と目を合わせると、「オフェーリア嬢、兄弟水入らずの所お邪魔して申し訳ない。私がランスロットに頼んだんだ。」と話し出した。


「いえ、レオン様驚きはしましたが特に謝っていただくほどではありません。お気になさらず。」と笑顔で返した。


「実はオフェーリア嬢に王宮からビジネスのオファーをしたいと思いこちらへ来ました。」ととんでも無いことを言い出した。


「今度、国営のレストランをオープンさせる話が出ている。オープン時期はアトラスやオフェーリア嬢が卒業してすぐぐらいの時期になると思う。」


私やアトラス殿下がだいたい19歳ぐらいか。


「場所は王宮近くで、普段はレストランだが貴族のパーティなどにも出来るホールも用意したいと思っている。」


何か話が大きい。まさか。。。。


「オフェーリア嬢、貴女にはそこでの料理長をお願いしたい。これは王宮料理人全員の推薦でもある。王宮の食事と言えばどうしても堅苦しい物だ。もう少しフランクに楽しめる料理もお出ししたい。ぜひ受けて貰えないだろうか?」


と提案された。もう驚くなんて物ではなかった。隣のお兄様を見たら特に変わった様子は無かった。

お兄様はこの事はご存じだったのね。


「ちょっと驚きすぎて声も出ません。少し、少しだけ時間を下さい。そんなにお待たせしませんから。」とその日は食事もそこそこに寮へ戻った。


机に向かうと両親に手紙を書いてレオン殿下からの提案をあらかた説明しておいた。




◇◇◇





程なく両親から返事が来た。すでにお兄様を通じて王宮から話は行ってたようだ。

何だろう。外堀埋められてる気がする。

心の中に小さな小さな棘が刺さってる。そんな気持ちだ。



(オフェーリアちゃん、何迷ってるんや?)と真紀ちゃんが聞いてきた。


「うん、自信が無いの。何だか話が大きくなり過ぎてる。不安なのかな?」と真紀ちゃんにこぼした。



両親からの手紙を受け取った翌日、レオン殿下にオファーを受ける方向で考えている。と返事を書いた。


ただ自分には自信がない。出来ればどこかで2年ほどでも良いので修行をしたいと考えている。レオン殿下の方で心当たりが無いか?と返す手紙に記した。


返事を返してから2週間後、レオン殿下から手紙が届いた。一度どこかで会えないか?と。

そこにはレオン殿下の直近のスケジュールも添えてあった。


オフェーリアの予定と照らし合わせて週末の夜、レオン殿下とお会いする事になった。



レオン殿下と2人で会う当日、時間通りに寮の前に馬車が停まった。


ドアが開きレオン殿下が馬車の中へと手招きした。2人が着席したのを確認して御者が馬車をゆっくりと出発させた。


「今日は無理言って済まなかった。」とお詫びをされた。

「いえいえ、大丈夫ですよ。どう言ったお話で?」と答えると「まぁ、着いてから話すよ。」と濁された。


馬車は結構走り、郊外の一軒家のレストランへ着いた。お兄様と最初に行ったレストランほどではないがこの店もなかなか立派だ。


以前からレオン殿下はこの店を懇意にしているらしく、レオン殿下が何も言わなくても部屋へと案内された。


席を勧められ着席すると


「オフェーリア嬢の料理ほどでは無いがこの店もいけますよ。楽しんで貰えると良いのですが。」とにっこり笑いながらレオン殿下が話し始めた。


(へぇ、レオン殿下も勝負に出たなぁ。)

と真紀ちゃんの呟きが聞こえて来た。


「この前菜、手が混んでいて美味しいですね。」とオフェーリアが話を振ると

「そうだね。この色彩の組み合わせと配置も良いね。」と2人でシェフの工夫を見つけながら楽しく食事をしていた。


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