願っても無い話
実はオフェーリアは真紀ちゃんと一緒に生活する様になってから自分のしたい事が出来つつある。
まだ誰にも言ってないがお父さんの治める領土の特産品をベースにした農業レストランをやってみたい。
オフェーリアの実家近くにサーモンなどが取れる川やその近くの湖があるのだがその湖畔に建てたいと思っていた。
レストランには農場も併設されていてお客様が収穫などの様子も見られる。
希望者にはバーベキューが楽しめ宿泊も可能。夜は酒類も提供する。
農場の側には牧草地もあり酪農が盛んに行われる。
そんな土地の物でお客様を満足させられたら。と思っていた。
家族みんなで楽しめる。貴族の食事会も出来る。そんな場所を提供したい。
そのためにいずれ資格は。と考えてはみたがまずは卒業だと思っていた。
そんなレストラン経営。
その第一歩がここで始められそう。
「そのお話大変魅力的です。もしご迷惑でなければお受けしたいと思います。」
とレオン殿下に二つ返事でOKした。
「わかりました。日程は後ほど連絡します。あと御礼なので金額的な事は一切気にしないで下さい。」願っても無い話だ。
(ええやん、めちゃくちゃええやん。良かったやんオフェーリアちゃん!)と真紀ちゃんも喜んでくれた。
「レオン殿下、本当に良いのですか?何だか夢みたいで信じられ無いです。」と思わず涙ぐんで話すと、「喜んで貰えて良かった。アトラスの件でも世話になったのは話に聞いていた。私も気になっていたんだ。」と真っ直ぐオフェーリアを見て話して下さいました。
とりあえず、カフェのメニューはオフェーリアのアイデアを中心に進め、その1ヶ月後には本格的にカフェの常時メニューになっていた。
また、王宮のシェフの皆さんのアイデアで薔薇のジャムはあと2種類作られ、薔薇のジャムはケーキセットのオプションに加えられるそうだ。
そしてアイスクリームにも混ぜられ、暑い日の人気No. 1なんだそう。
このカフェのメニューは国内のみならず、外国の要人にも話題となり、この功績を讃えられ、オフェーリアが未成年だった事もありお父さんがこのタイミングで伯爵領を賜わる事になったのだ。
これは以前の帰郷の際にランスロットを通じてわかっていたので驚く事は無かった。
男爵領はそのままランスロットが引き継ぐ事になった。
その事でオフェーリアの存在感が高まり、婚約を打診される事が増えた。
「お父様、お願いします。20歳までは待ってください。」とお願いし婚約話は流して貰っていた。
(オフェーリアちゃん、ほんなら20歳までに道つけとかなあかんな)
「うん、そうだね。真紀ちゃん助けてね。」とちゃっかり真紀ちゃんにもお願いしておいた。
それから3ヶ月後、ふんすっと王宮のシェフ達がドヤ顔でオフェーリアの前に立っていた。
調理並びに栄養学における国家試験。
オフェーリアが首席だったのだ。満点で。
(ふふふ、あのシェフ達の顔。。。。。。俺達が教えたんだから当たり前って顔や。)と真紀ちゃんが笑っている。
「王宮のシェフの皆様、無事に資格を得る事が出来ました。これも皆さまのご指導のおかげです。ありがとうございました。」とオフェーリアが御礼を伝えると、「俺達が見たのだから当たり前です。でも良かったですね。」とドヤァと言われた。
真紀ちゃん笑いすぎよ。とオフェーリアも思っているがニヤニヤが止まらない。
皆んなで話しているとレオン殿下が来られたので和やかな空気が一変し引き締まった物になった。
「オフェーリア嬢おめでとう。信じてはいたがこの目で見るまでは落ち着かなかった。」
「ありがとうございます殿下。私もホッとしております。大変お世話になりました。」と殿下にもお礼を伝えた。
この事はすぐお父様の領地へ伝えられお母様からお祝いのお手紙が届いた。家族皆んなが喜んでくれていて、私も嬉しかった。
◇◇◇
レオンはこの日仕事を終えて、自分の部屋へ帰るとアトラスが訪ねて来た。
用があって来たはずなのに話そうとしない。
「アトラス、どうした?」と話しかけた。
最初はちょっと考えていた様子だったが
「レオンはオフェーリアをどう思っている?」と聞かれた。
アトラスは正直可愛い弟だ。
兄弟の中では1番仲が良い。
王位にも興味が無いのか割と好き勝手に生きてる。さすがに醜聞は聞かないが。
「・・・オフェーリアは魅力的だよ。」と慎重にアトラスに答えた。
「アトラスはどう思ってるんだい?」と逆に質問してやった。さぁ、どう答える?
「俺はオフェーリアが好きだ。今は普通の友人だがいずれは結婚を前提に付き合いたいと思ってる。」と真っ直ぐ私の目を見て答えた。あぁ、こいつも大きくなったな。
「そうか、うまく行くよう願ってるよ。」と返事をしておいた。
あぁオフェーリア、残念だが君への恋心は永遠に閉じ込めておこう。可愛い弟の為に。




