季節の移り変わり
図書館のオープンから半年が経ち、私達は新しい学年になりました。
ある意味でアトラス殿下が変わった気がした。
うーん、丸くなったというか。。。。?
そうそう、新年度に入ってレオン殿下から直々にお手紙を貰いました。
図書館の併設されたカフェのメニューの件で、メニューの開発をして貰えないか?と正式に依頼があった。
(ええやん、やってみれば?)と真紀ちゃんは乗り気だ。
「うーん、何だか責任が大きすぎて。」
(そやな、けど中々出来る事では無いで?挑戦してみたらどうや?)
散々悩んだ末、レオン殿下にOKの返事を出した。
すぐに返事があり、今週末に寮まで迎えに行くので王宮の方へ来て貰えないか。と言う事だった。
こちらの日時を指定してお迎えを頼んでおいた。
次の日学校の図書室へ行き、料理の本を何冊か借りた。もう少し出来そうな事を見ておきたいと思ったのだ。
何冊か手に持ちクラスへ入ると、アトラス殿下と目が合った。
「オフェーリア、その本学校の図書室で借りたのか?」
と話しかけて来た。
「ええ、実は図書館の併設するカフェのメニュー開発の依頼を受けたんです。少し見ておこうかと。」と正直に話した。
顎に手をかけちょっと考える殿下。
「オフェーリア、この後ちょっと時間あるか?」と聞いて来た。
「どうしたんです、殿下?」と聞き返すと
「今日学校が終わったら俺の馬車で王宮図書館へ行かないか?帰りはもちろん送るよ。資料もっと有ったほうが良いんじゃ無いか?」と言ってくれた。
それもそうか。と思ったので「えっ、良いんですか?資料はあればあるほど助かります。」と了解すると
「じゃあ決まりだな。図書館のカフェなら今はオープンしたばかりで、ぼちぼち海外の視察や取材も受けている。カフェのメニューは早くあるに越したことはない。」と教えてくれた。
「ありがとうございます。アトラス殿下、宜しくお願いします。」
放課後、早速アトラス殿下の馬車で王宮図書館へ向かった。
車中にて「なぁ、オフェーリア。あの薔薇のジャムって量産出来たりする?」と聞かれた。
「はい、出来ると思いますよ。実は材料さえ有ればそんなには難しく無いんですよ。」と説明した。
「家族にも1瓶貰ったんだ。お茶に入れて飲んだ。とても風味が豊かで良いなぁと思ったよ。」と真っ直ぐオフェーリアの目をみて話してくれた。
何だか一瞬ドキドキしてしまった。
なぜだ?
「お褒め頂き光栄です。とても嬉しいです。」とオフェーリアも答えておいた。
「あのジャムもカフェのメニューに入れたらどうだろう?王宮の薔薇園の花びらで作るんだ。」
「実は私もその事を考えて居ました。
それのアレンジレシピを幾つか考えています。」
「そうなのか?楽しみだ。」とアトラス殿下がにっこりと笑った。
図書館の料理本コーナーへ着くと
「では私は暫く席を外すよ。本を選び終わったら司書に声をかけると良い。話は通してある。」と言って図書館から出て行った。
ずらりと並んだ本をしっかりと仕切りで見やすく分けてある。
前回も思ったが図書館の本はいつも探しやすい。
1時間ほど探し3冊ほど借りようと司書の方に声をかけた。
「わかりました。こちらで貸出の手続きを行います。暫くお待ち下さい。」と言われたのでしばらく待っていると、アトラス殿下がやって来た。
「いい本はあったか?」と聞かれたので「はい、おかげで参考になりそうなのがちょっと見つかりました。」と話すと納得したような顔で
「そうか。良かった。」と話した所で貸出の手続きが済み、2人で馬車乗り場へ移動した。
辺りはすっかり暗くなっていた。
手間にある馬車の御者にアトラス殿下が話をつけてくれた。
「この馬車に送らせるから安心して乗って帰ると良い。本は気にせずに借りておいていいよ。ではおやすみ。」と馬車の扉を開けてくれた。
「ありがとうございます。殿下。ではお休みなさいませ。」
馬車は出発し、寮までキチンと送ってくれた。晩御飯にぎりぎりの時間だったがなんとか間に合ったのでよかった。
自分の部屋で
「真紀ちゃん、今回のカフェメニュー、何かアイデアあったりする?」と聞いてみた
(薔薇ジャムの評判が良いみたいね。お茶とケーキの組み合わせはどう?)
「良いね、真紀ちゃん。」
(それだけだと少ないでしょ?だからね軽く食事も楽しめるようにしたらどうかなぁ?と。サンドイッチぐらいは欲しいわね。パンケーキとか?飲み物はまぁ、ジュースとお茶、コーヒー、フレーバーティーぐらいは合ったほうが映えるわね。)
「フレーバーティー?」
(お茶の葉に香料で香りをつけるの。薔薇だとフルーツなんかが合うわね。)
「へぇ。そうなんだ。」
(薔薇の花びらをちぎって乾かした物も飾りに幾つか欲しい。)
「色々あるね。楽しみだね。試作作っちゃおうか?」
(そやな、わかりやすいわな)
週末に間に合うかな?あと3日でレオン殿下に会う日だ。
「真紀ちゃん、明日ここの台所借りれるようにしておくね。
(そやな、明日試作やろか?)
「うん、わかった。ありがとう真紀ちゃん。」




