やっと春が来た?
賑やかな教室へ入り自分の机に着き、授業の用意をしていたら、目の前が暗くなった。
思わず顔を上げると同じクラスの3人の女の子たちだった。
じっと見つめてきたので「何か?」と聞くとその中の1人がニコリともせずに
「オフェーリアさん、私はキリエと言います。次の休み時間にお時間下さいませんこと?」と、話し出した。
一体何のことだろう?
「わかりました。ではどこで話すのですか?」と聞いてみた。
キリエ嬢は私を一瞥すると
「じゃあ、中休みに中庭に来てください。では」と取り巻きを連れゾロゾロと離れて行った。
何あれ?
呼び出しを受けた休み時間に中庭へ行くとすでに3人が揃っていた。
「お待たせしました。どう言ったご用件ですか?」と聞いてみた。
こうして見たらこの人なかなか美人だ。
「単刀直入に聞きますわね。貴女、アトラス殿下と仲が宜しいの?」
「宜しくないです。全然。」
あーあ、こちらですか。友達になって貰えるかと思ったのに。残念。
「でもアトラス殿下の方はそうでは無さそうですね。オフェーリアさん、一つお願いが。」キリエ嬢、目が怖いですよ。
お願いする態度じゃ無いですね。
「何でしょう?」
「私は小さな頃からアトラス様をお慕いしております。ただもう一つ足りないのです。申し訳無いのですが応援してくださる?」
「構いませんが実際にどの様なことを。」
「そうねぇ、なるべく2人きりになれる方向でいかがかしら?あと私の邪魔をしないで頂けると助かるわ。」
「わかりました。私に出来る事をさせて頂きます。ではこれで。」
と話を切り上げその場を離れた。
(私の物だから手を出すなってか)と久しぶりに真紀ちゃんが出て来て呟いた。
教室に戻ろうとするとアトラス殿下が廊下の壁にもたれて待ち伏せていた。
「オフェーリア、一体今の何だったんだ?」と聞かれながら教室へ入る。
どうしてついてくるの?
「さぁ?ただ、私が殿下の側に居る事が気に入らない方がいらっしゃったのです。」
ともう隠しても仕方ないので正直に伝えた。
「あまり誤解を招くのも良くありませんし、ちょっとしばらくは距離感を気をつけたいと思っています。」とアトラス殿下に答えた。
その瞬間、クラスのど真ん中でアトラス殿下は何を思ったのかとんでもない言葉を私に言ったのだ。
「オフェーリア嬢、私は君を好ましく思っている。お願いだ。私を王子ではなくただの男として見てはくれないか?」
一気にざわつくクラス内。その後の凍る空気。
「すいません、私自身が興味が無いのです。お断りします。それにそんな暇が有れば忌憚なく意見が述べられる同性の友人が欲しいのです。」とこちらもハッキリ答えておいた。
恐ろしい目つきでキリエ嬢が見ている。
「即答かよ。。。」とアトラス殿下。
はぁ、詰んだ。一体この男何やってくれてんのよ。
ただ意外とハッキリ言ったのが良かったらしい。
次の日からキリエ嬢達以外の女の子達に声をかけられてる事が増えたのだ。
「私たち、オフェーリアさんの事を誤解していました。殿下に私たちの悪口を言っていると思っていました。」
「いえいえ、私も入学直後から殿下のお手伝いを頼まれて振り回されていました。今からでも遅く無いので友人になってくださいませんか?」とお願いしてみた。
「もちろんです、私からもお願いします。」「私も」「私も」と次々取り囲まれた。オフェーリアは久しぶりに大喜びした。
毎日、友人達とランチに行く。
それだけで充分楽しい。
恋バナをする。それも楽しい。
おしゃれなお店をみんなで見に行く。
すごくすごく楽しい。
あぁ、やっと学生が出来ている。嬉しすぎて泣きそうだ。
そして、なぜかお兄様の事がバレている。
「オフェーリア様、あの素敵なお兄様紹介して。。。」
(断れ!断れ!)と真紀ちゃんが煩い。
「そうだね。お兄様に聞いてみるね。」
と答えておいた。




