第2話 再開
涼太に指定された集合場所についたが、待てども待てども涼太は現れない。
堪え性のない俺は、LINEで連絡をとることにした。
「おい、どこにいんだよ。」
「お前こそどこにいんだよ。」
なんだこいつ、お前が改札の前に来いって言ったんだろうが。
「お前が言ったんだろ?改札の前に来いって。」
俺がそんな文面を打っていると、改札の奥からまるで結婚式に出ていたかのような集団が近づいてきた。
どうせ近くに誰もいなかったので、俺は声に出して涼太を呼んだ。
「おい、りょうたん。」
俺の声に気づいたのか、涼太は笑みを浮かべながら走ってきた。そして、俺のそばに立ち止まると俺の足元から頭まで嘗め回すかのように見てきた。
「なんだ?」
「お前ほんとに緋村か?」
「どういう意味?」
「学生のお前とは打って変わって、優男になっちゃって。」
「何なら体に刻まれた記憶を呼び起こしてやろうか?涼太少年。」
「げっ…。緋村がいいそうな言葉だこと。」
別に疚しいことをしたってわけじゃない。
中学の頃、俺の通っていた中学は結構な不良が集まる学校で、勿論真面目で優秀な子もいたのだが。
涼太はその中でも外部で暴走族の幹部やっている連中とつるんでいた。まぁ、色々あってそいつらを性根から叩きのめしたわけだが、その時についでに涼太も彼の親の許可を得て、ボコボコにしたわけだ。その頃、彼のことを涼太少年と呼んでいたのだ。
とはいえ…
「なんでそもそもお前らはスーツなの?」
「竹ちゃんの結婚式に出てたんだよ。俺らは。」
「あっそ。ってか、おめえ酒臭!」
「そりゃこのメンツで、二次会までやってきたかんな。」
確かに、こっちに歩いてくる他の面々は、顔がほんのり赤くなってるし、拓海に関してはあいつ千鳥足じゃねぇ?
でも…
「酔った女子って、可愛いんだな。」
「だろ?それも緋村が恋した三人ときたら、最高だろ?」
「ああ、お前は最高の友人だよ。」
「知ってる。」
ようやく、残りの面々が追いついた。
「りょうた〜ん。いきなり走り出さないでよ。」
品行方正の齋藤さんも酒が入るとこんなに構ってちゃんになるとは、想像してなかった。りょうたんを羽交い締めにしようとしてるよ。なんだろう、少し何か羨ましい…。
「緋村くんだよね。久しぶりだね。」
宮田さんは変わんないな。酔っても清楚なん感じ…、でもないか。上着が明らかにずり落ちてるし、何か色っぽい。
「緋村くん?なんか凄い逞しくなったね。中学の頃と大違い!」
落合さんも酔ってるけどあんま変わんないな。宮田さんと同じく少し服が乱れてるけど、ほんのり赤くなって可愛さが倍増している。
「緋村じゃ〜ん。元気にしてたかよ?」
拓海は、完全に千鳥足でこの中で明らかに1番酔っ払っている。俺、絡み酒してくるやつ苦手なんだよな。こいつ、シラフのときは誰よりも真面目なくせして…。
「それで、どこ行くのか決めてんの?」