砂嵐
あとがきに着いていけない読者様が、間違いなく増えると踏んでます。
でも楽しいので辞められない。悪循環.......。
「............................」
「凛。目付きが吊り上がってるよ」
あたしは兄貴と色季と共に休暇を過ごしていた。兄貴が一人で問題を解決し、その労いとして連れ出した。あたしの上司のような存在である神様も、この時ばかりは笑って送り出してくれた。
此処は色季の家から少し離れたところにある街中。平日なのもあって、人が少ない。ショーウィンドウに飾られたマネキン達が、フリルを重ねたヒラヒラした衣類を纏っていた。
他の人が見たらきっと洒落た街並みだと思うのだろう。でもあたしにはそう見えなかった。この街中を穢すように、無数の塵が目に入る。元の風景がどんな色をして、形をしているのか、よく分からない。.......なんというか、砂嵐の中を歩いているような。薄ぼんやりとしか形状、色を識別出来ない。
「ねぇ、兄貴、焼き殺して良い?」
「無益な殺生は嫌いだなぁ」
眉間に皺を寄せ、目の前の視界にガンを飛ばす。少しだけ視界が開け、目の合ったもの達が、慌てて首を捻るのが目に入った。それを見て、小さく溜息を着いた。
なんだか今日は何時もよりも数が多い。兄貴の穢れを祓い落として連れてきたのだから、何も問題は無いはずなのに。そう思って眼鏡を外した。もしかすると、これにガタが来ているのかも知れない。.......結果、より多くの塵が目に入っただけだった。今度こそ芥で覆われて何も見えない。
再度眼鏡をかけ直し、不機嫌極まりない表情で兄貴を見た。霞んではいるが、兄貴は苦笑いしているようだった。
「あたしにとっては有益な殺生なんだけど」
「せっかくの休日なんだから、眉間に皺を寄せないの」
隣を歩く色季から背を軽く小突かれた。問題を起こさないように、という牽制も含んでいるのだろう。だから体内にある霊圧を上げることにした。体温が上がる。力が湧き上がる。比喩でもなんでもなく。そうして生成された火力が問答無用で解き放たれた。
一瞬にして世界が綺麗になる。目を覆っていた塵クズ共が彼方に飛んでいき、小洒落た街並みが並んでいた。やはり世界はこうでなくては。
「圧で吹き飛ばしたの?」
「そ。殺してないよ。これで満足?」
「うん。及第点」
二人の笑顔を横目にあたし達は街を歩く。
砂嵐の中を裸眼で歩いたこと、そうそうないので、モロに想像です。
でも校庭に舞い上がる砂の中を歩いていたら、なんだか凛もそんな気分なんじゃないかなって。
ぼやっとしか色形を見られないのは、可哀想だなって。
読者様
Q
凛は強い??
作者
A
強いです!! 肉弾戦ではなかなか。
でも死神の王に喧嘩売るほど強くは無いです。
あいつらは次元が違います。ほんと好き。