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1話 故郷が魔王に落とされたそうです


 剣者様の元で修行を始めて4年が過ぎたある日、俺の故郷青の国にあるユーラスタニアの街は1人の魔王と6人の眷属の手により陥落した。

 それは後に【一日戦争】や【慕情の一日】と呼ばれるほど呆気なく、そして衝撃的な一日の出来事だったそうだ。


 俺がそれを知ったのは剣者様との修行の最終日、ユーラスタニアが滅んでから3日目のことだった。


 「メラ様、長い間修行をつけてくださりありがとうございました」


 「いや〜別に気にすることはないというかニクス君のお願いであれば全然オッケーというか修行とはいえ4年も一緒に旅はできるわ聖域の中で2人きりで1週間とかむしろご褒美というか」


 急に鼻の穴を広げて早口になるメラ様は普段の姿からは想像もつかないが、世界に5人しかいない【賢者】の称号を女性でありながら、そして22歳という若かさで継いだ剣の天才であり、世界中の剣士の大半がその姿を目指し憧れる【剣者】という存在なのだ。


 「今日が最後の修行だというのに、一度もあなたから一本を取れなかったのが悔やまれます」


 「でも最後の方は結構ギリギリだったよマジで、約束の4年は経ったけどこれからも弟子であることは変わらないんだからまた手合わせしようよ」

「あと、この後なんだけどもし暇ならお別れ会というか個人的に食事というか一緒に…」


 「メラ様!修行の儀の中失礼いたします!急ぎお伝えさせて頂きたいことがあります」


 メラ様がお別れ会の話を切り出したあとに彼女と王国のつなぎ役のレノが慌てて聖域に飛び込んできた。


 聖域は【賢者】以上の実力者が使える結界の一つで、基本は許可なく入ることは許されないが極一部のものだけは聖石というものを渡され、聖石を持つものは聖域の使用者の許可なくして足を踏み入れることが許される。

 それは聖域を使える【賢者】が聖域の外で何か重大な危機が起きた際に、一人で国の一戦力として数えられる【賢者】と国が繋がりが持てないことを危惧しての処置だったため俺とメラ様は顔を見合わせすぐにレノのところに駆け寄る。


 「レノ何があったかすぐに教えてください」


 「ユーラスタニアが、、、青の国のユーラスタニアが放浪の魔王の手に落ちました!」


 ユーラスタニアが落ちた…

 俺は頭の中が真っ白になりながらユーラスタニアに残してきた母と妹のことが頭に浮かんだ。


 「母さん、ミアナ」


 メラ様は俺が家族のことを呟いたのを悔しげな目で見ながら話始める。


 「ユーラスタニアの状況は?」


 「それが、放浪の魔王が攻め入ったことは確かなのですが不可思議なことに死人の報告もなく、何より街人たちが何もなかったかのように皆過ごしておりよくわからないのです」


 放浪の魔王は3年前ほどから青の国に姿を表すようになった住処を持たない魔王で、特に何かをするわけでもなく各国に目撃されることからことから放浪の魔王と呼ばれている」


 「ユーラスタニアに常駐していた青の騎士からの報告のため噂というレベルではなく事実としておりますが現状が不可思議な点が多いため国も警戒をしておりますが今は情報収集に努めております。

 しかしながらニクス殿の故郷がユーラスタニアだと記憶していたため現状の情報をかき集めいち早くとご連絡にあがりました」


 レノさんの報告を聞いたメラ様は腕を組みながらわずかな時間考え込むと


 「ありがとうレノ、私たちは一度ユーラスタニアに向かうわ、来たばかりで申し訳ないんだけど国王様に伝えてくれる?国王様も魔王を変に刺激したくないだろうから向かうのはあくまで情報収集のためだと」


 「かしこまりました、すぐに首都ラズデルに向かいます」


 「ニクス君それでいいかしら?色々思うことはあるだろうけど一緒にいきましょう、ユーリに乗っていけば半日で着くはずよ」


 「メラ様、ありがとうございます。すぐに準備をさせてもらいます」


 そうして俺と【剣者】メラ様は急ぎユーラスタニアに向かうこととなった。



 



 


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