お母さんへ
お久しぶりです。
お母さん、
お元気ですか?
今、何処で、何をして暮らして居ますか?
誰と暮らして居るのでしょうか。
姉や妹は元気にしていますか?
お母さん自身の体調は大丈夫ですか?
もう、人に説明しきれないほどのことが、
たくさんたくさんありましたね。
私が家を出ていった15才が、
今ではとても懐かしいです。
どこでおかしくなったのか、
私にはもう分かりません。
1つだけ、聞きたいことがあります。
三姉妹の中で、どうして私は殺されたのでしょう?
みんな、私は死んだと思っているよね。
そんなに嫌いなら、
あの時何故、急に連絡してきたんですか。
私は、
家族のことが嫌いだけど、
いつもどこかで心配していました。
肉親だからこそ、
お母さんの過去を知ってるからこそ、
全身全霊で恨むことだけはしてはいけないと思っていました。
小学校のとき、
お母さんはアイツと離婚しましたね。
あなたは、残りたいと言う私を、見放したことを覚えてますか。
妹と共に、アイツに連れられ関東へ向かい、
八坂近くのインターチェンジで、
1ヶ月半も車中泊だったんだよ。
毎日妹を連れてうろうろしてたから、
インターチェンジの人達に白い目で見られてました。
そんな思いをしながら、
毎晩アイツは私と妹に、眠剤を飲んで一緒に死のうと騒ぎ出す。
本当に嫌だった。
だから、まだ子供だったけど、もう死んでもいいと思って、
アイツの騒ぎ出す口が面倒で、
一緒に飲んでやってました。
でもね、
なかなか死ななかったよ。
朝を迎える度に、
生き残ってるんだ…
と、悲しくてたまらなかった。
やっと家が決まり、
アイツと暮らしたワンルームの寮。
そこに3人。
凄く狭くて息苦しかった。
1年間、学校も行かせてもらえず、
寮に閉じ込められて、
何度も脱走を図っては失敗し、
最終的に強引に逃げて行ったことも、
なんだか今では懐かしいです。
中学の時は、
あなたに嘘をついていたこと、気づいてましたか?
小さな田舎町で、
あなたはたくさんの男の人と、
入れ替わり立ち代り、
まるで日替わりランチのように、
男性と遊ぶのを楽しんでましたね。
その男性の何人かは、
同級生のお父さんでした。
そのせいで、
私は中学に行けませんでした。
最初は無理やり行ってたけど、
耐えられないほどの虐めが待ってました。
でも、登校しない本当の理由を、
私はあなたに言いませんでした。
いつも我慢。
姉は典型的なマザコン。
妹は異常なかまってちゃん。
間に挟まれるわたしは、
いつも自分のことは後回し。
どっちにしろ、
お母さんは私の気持ちに気づいてくれませんでしたね。
憎まれ役は、いつも私だった。
愛犬のこともそう。
あんなに仕送りしては、
男に貢いでくれましたね。
そのせいで、
家族である愛犬が、
あんな結果になりました。
どんだけ泣いたか知らないでしょう。
私がアイツに殴られてるとき、
知らないフリをして止めなかったこと。
付き合ってすぐに男を連れ込み、
お父さんと無理やり呼ばせること。
姉と妹は結婚して子供も居るのに、
私だけそうじゃないことを、
思い切り情けなくて恥ずかしいと言ったこと。
産んであげられなかったけど、
目には見えなくても、
大切なひかるとそらがいます。
その存在さえ認めてくれなかったこと。
まだまだ書ききれない。
お金なんていらない。
遺産なんて興味もない。
私はあなたから、普通に愛されたかった。
姉や妹が、いつも羨ましかったです。
欲しかったのは、愛情です。
もう、私はあなたに会うことはないでしょう。
付き合うのに疲れました。
私のことは、周りに死んだことにしといたままで結構です。
その代わり、私も家族は死んだと思って生きています。
今、苦しいくらい、とても愛情を注いでくれる人が居ます。
とてもとても大切だから、その人の為に生きたい。
だからそれだけで十分です。
お母さん、本当はあの時、
何も聞かずに抱きしめて欲しかったよ。
どうか、お元気で。
お身体に気をつけて。
娘より
産んでくれてありがとう。