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第五話これから1

「それで…これからどうするんですか?」

確かに、旅の目的は決めたのに、行き先は全く決めていなかった。

「確かに…どうします?おじいさん…」

そう言って横に座っているおじいさんを見ると…

「ぐぉぉ…」

「ね…寝てる!?」

「まぁ、今日はたくさん動きましたし、活動限界という、感じ…ですかね」

そうだった。この人は、年齢的にもう年寄りなのだ。

この世界の人間には「寿命」、と言うものがあり、ある一定の年齢を過ぎると死んでしまう。

「ゴークさん自身や魔物の方にも、寿命はあるんですか?」

少し悲しそうな表情をしながら、ゴークは口を開いた。

「そりゃ、魔物も生き物ですし、死にはしますよ、でも…知っての通り、ゴークは自分の子供を手放し、一人で違うところに行くんです、その後は、寿命が来て死ぬか、人間に殺されるかのどちらかです」

「そ、そうなんですか…」

「それと…親と一緒に残っている記憶は、ずっと脳に焼き付いてて、離れないというか…親のつけていたアクセサリーや顔、どんな人だったのか、ずっと覚えているんですよ、この世界では死んだものの死体は消えていきます。

だから、自分の親の最後を見れないっていうゴークが多いんですよね…

僕も前に、旅をしているときに不意に下を見るとなんだか懐かしいものが落ちているなぁと思って、それを拾ったら…親のつけていたアクセサリーだったんですよね。

もう、その時は涙が溢れてきちゃって…」

そう言い、涙を流しているゴークを見て自分の口は開いた。

「私も、ゴークさんと同じで、両親が死んじゃって、ずっと一人でした。でも、今ゴークさんとかおじいさんとか、この村の方と出会えて、本当に生きてて良かったなって思えるんです。だから…ゴークさんもこの村の方達に出会えて良かったですね!」

「そうですね!やっぱり一人は悲しいですもんね!」

「良い話だったけど……もう、眠たいから寝床につかせてくれないか?」

「わ、分かりました」

というか起きてて、話聞いてたんだ。そしたら、もう少し気を遣うとかないのかなぁ…

「寝床まで、私が案内しますよ、泰蔵殿、とリリア様。」

「おぅ、頼むぞ…」


その夜は、寝床につき寝た。

魔物にも、私と同じ経験をしている人がいるんんだなぁ、おじいさんが前に言っていた、

「魔物だからって悪いことばかりしてる訳じゃないだから、魔物から盗むのは悪くないというのはおかしい!」

おじいさんの言う通り、本当におかしいのは、人間は、魔物を敵視し、魔物も人間を敵視する、という考えなのだろう。


翌朝

隣に寝ていたはずのおじいさんはいなかった…

消えてしまったのだろうか…心配になり、寝床から出て、村に探しに行くとどこにもいなかった。

「す、すみません!あのおじ、じゃなくて昨日、竜を倒した人はどこへ行ったか分かりますか?」

「そういえば、ボスと村の力持ちのオーク達を連れて一緒に近くの海まで行ったよ」

「あ、ありがとうございます!」

「も、もしかしてあんた!昨日の竜を倒した人の隣にたっていた子かい?」

「は、はい!そうです」

なんだろう、なにかされてしまうのだろうか…

「近くで見ると、かわいいわね」

「え?あっ、そ、その…ありがとうございます!」

「何言ってんだい?私はあんたがかわいいと思ったから、言っただけでそんな…お世辞でもないんだから…」

かわいいと言われたのはいつぶりだろう…

父が死んでから2年間は美容とかそんなの関係なく、生き返らせるためだけに、人生を使っていたから、いま言われると少しうれかった。

「あら、いやだ私ったら選択干すの忘れていたわ!それじゃあね!かわいいお嬢ちゃん!」

「はい!」

そして、おじいさんのいる海に向かった。

そこには、ゴークと確かにオークのなかでもごつい人達ばかりと、その中心におじいさんがいた。

「何してるんですか?」

と、おじいさんに駆け寄ってもおじいさんは熱心に船の造形図を見ていた。

「おい、これかいたのお前か?」

「は、はい!」

「なかなか筋がいいぞ!このまま作っても問題ないだろう」

「分かりました!ありがとうございます!」

と、ゴツい方でも若い青年に指導していた。

「おう、リリアじゃねえか、何の用だ?」

「何の用もなにも、起きたら、隣にいたはずのおじいさんがいなかったから、何かあったのか、と思って必死に探したんですよ?」

そう言うと、おじいさんは笑いながら言った。

「おう、それはすまなかったな」

「ところで、何をしているんですか?」

すると、おじいさんはどや顔で言った。

「漁の準備よ!」

「漁?」

「船で魚をとりにいくんだよ、こっちの世界じゃこういうのはないのか?」

「いえ、一応ありますけど漁は、危険な行いなので年に10回、国の船がやると決められていますから…」

「ふーん、じゃあリリアは漁の様子を見たことはないんだな?」

「はい、」

「じゃあ、船に乗って一緒に漁をしに行くか?」

「はい!行きたいです!」

「よぉし、ならいいやゴーク!そして、ゴツいの!船は作れそうか?」

「はい!もう少しです!」

その確認をしたあと、海により砂浜に流れ着いた流木に、おじいさんは座った。

「ふぅ、ここの世界はいいな、船作るだけでも、魔法がない世界は何ヵ月間も使って、作るんだぜ?それが魔法を使えば、すぐに出来るのはすごいことだよなぁ」

「なにか、そっちの世界の話をしてくれませんか?私、さっきの話スゴく面白かったので…」

「そうだなぁ、、、

俺の生まれ故郷は、結構な田舎なんだ、」

「田舎?」

「簡単に言えばこの村みたいに人は少なく、あまり、最先端な物がなく俺みたいな年齢のやつがたくさんいるところだ。」

「なるほど、覚えておきます」

「それで、おれは生まれ故郷から一回しか外に出たことがないんだ。何故かというと、その生まれ故郷が大好きだったからだ。」

「そんなに、生まれ故郷が大好きだったんですね。でも、なぜ一回だけ出たんですか?」

「娘の結婚式があったんだよ」

「なぜ、娘さんは故郷で結婚式をあげなかったんですか?」

そう聞くと、おじいさんは少し悲しい表情で話を続けた。

「俺が故郷が大好きだったっていう考えのせいで、休みの日にも娘には旅行とかにも連れてってやれなくてな、退屈だっただろうよ。

あ、旅行っていうのはな…」

「いえ、旅行なら行ったことがあります。幼い頃で、記憶はたどたどしいですが、父と母と有名なお花畑に行きました、スゴく楽しかったですよ?」

「そうか、俺も娘に行かせてあげればリリアみたいに笑顔で子供の頃を語れるんだろうよ」

なんかスゴい笑顔でさっきの思い出を話していたらしい…

「そういえば…」

おじいさんがなにか言いかけた時、ゴークがおじいさんを呼んだ。

「泰蔵殿!船が完成しました!」

「おーでかしたぞ!じゃあ、リリア、その話はまた今度な。よし、ついてこい」

私は完成した船を見て、圧巻した。

「で、でかい…」

「よし!じゃあ、この船使って、漁のしかたとかその他もろもろ教えるから、乗れ!」

「分かりました!」

「よし!じゃあ、出発するぞ!」

そういったおじいさんの声は海の向こうまで聞こえるくらい、迫力があった…

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