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第14話ゼツボウの終焉

「やっと倒した…?」

そこにはおじいさんとバルガの姿しかなかった。

「…!?リリア!」

おじいさんは私に向かって叫んだ。

後ろを振り向くと、竜人になっていた竜がもとの姿に戻り、今にも私を襲おうとしていた。


龍が私を噛み殺そうとしたその時、

竜の首もとに亀裂が入り、竜の首が落ちた。

「ふぅー、危ない危ない…」

そこには、眼帯をつけた1人の剣士が立っていた。

「お怪我はありませんか?みなさん?」

紳士的な対応、魔法の威力、そして少年のような風貌から、1人の男の名前を思い出した。

「もしかして…あなたは…」

リリアがそういいかけると男は敬礼し笑みを浮かべて答えた。

「只今戦闘に参加し元凶と思わしき竜人から少女を救いましたカースです」


カース

幼少から魔術の才能が実り5歳時の頃には魔術師訓練校のトップを倒し、現在、9歳でニンゲン国の第三将軍まで上りつめた。


「んーまだ敵が残っているようですね…」

そう言うとカースは魔術を唱える素振りをした。

「…敵…だと…?」

おじいさんは困惑した。

カースは不気味な笑みを浮かべ、魔方陣をシルの元に向けた。

「さよなら!」

「!?シルさ!…」

今にも殺されそうな瀕死状態のシルを守るための魔法を唱える時間などなかった

シルはここで死ぬ

運命は変えられない…


そう思った瞬間、光の速さでカースの元におじいさんが突っ込んだ。

それを予知していたかのようにカースはおじいさんを受け流すと、おじいさんは最後の力を振り絞り、拳に力を入れた。

今にも気を失いそうになっているのを舌を噛みどうにか失神しないように抑えつけていた。

(どうか…この攻撃だけは…当てないと…)

「うらぁぁぁ!」

その一撃はカースを直撃した。

「どういう威力だよ…」


カースは直撃する直前に、防御魔術を唱え、それを身代わりにし、被弾を最小限にしようと試みた。

「…な…」

おじいさんの拳は防御魔術を突き破りカースの顔面まで届いた。


はずだった…

「あぶねぇぇぇ!!」

カースは当たる数センチのところでギリギリかわしていた。

「おいおい…近くの森林が吹き飛んだぞ…」

おじいさんは地面に倒れこんだ。

「おじいさん!…」

私は急いでおじいさんの元にかけよった。


「なんなんだよ、この村付近はよぉ…

強いやつもいるし、ゼツボウもくるし…」

カースはおじいさんの元に歩いてきた。


「もうやめてください…

おじいさんも…この村の人たちも、この村の人たちを守ろうとした人も…誰一人として、悪くありません…!」

今一番自分ができる必死の抵抗。

それはしっかりとカースのもとにも届いた。

「そうですか…」

カースは魔術で術者を形成した。


術者

人の心は持たない人形のようなもの。

使命を与えられ動き、それが完了すると消える。


「とりあえずこの戦いでの負傷者を回復させる必要がありますね…話しはその後ですね…

おい!怪我をしていない奴らは負傷者を移動させろ!」


「カースさん…」


「まぁ…私もなにもしていない魔物をいきなり斬りかかるのもおかしい行動だった…

すまなかった…

あなたは村にある治療できるスペースへ私を案内してください、横たわっている彼と魔物の回復をしたい」

「はい!」


カースの指揮のおかげで何とか死亡者は一人も出ずにすんだ。

「これで最後か…」

カースは最後の回復魔法を唱えて部屋を後にした。


「カースさん…皆さんは無事でしたか!?」

リリアがそう聞くとカースは答えた。

「まぁ、2、3日もあれば治りますよ…」

カースの顔がくもった。

「どうかしたんですか?」

カースは少しためらいながら聞いた。

「どうして君は魔物の村に来た…

そして、なぜ彼らの味方をするのですか…?」

リリアは微笑みながら答えた。

「彼らは私たちを襲うこともしないし

私たちが不利益になるようなこともしません

ただ種類が違うだけですから…」


「そうか…そういえばあの…ご老人とはどんな関係なのですか?」


「あ…泰蔵さんですね

おじいさんは私を助けてくれた恩人です

おじいさんのおかげで魔物のよさも分かりましたし、いろんな方たちと出会うことができました、本当にいい人です」


それを聞くとカースは微笑みながら行った。

「あなたの表情と話し方から、本当に彼はいい人だということが分かります」

リリアはとびっきりの笑顔で答えた。

「はい!」



「ん…」

俺はここで…何を…

「お…起きましたか…」

目を覚ますとそこにはカースが座っていた。

「な…おまえ!」

(ガ!痛い!!…)

「駄目ですよ安静にしていなくては…

そして、あなたの敵ではありませんから心配しないでください」

おじいさんは諦めて元の位置に戻った。

「いま何時だ?」

カースは外をみた

「とっくに真夜中ですよ…ほら…」


「そうか…他の奴らはどうなったんだ?」

カースは溜め息をつきながら言った。

「皆さん重症でしたよ

特にバルガさんが一番でしたね

ですが最高位の回復魔法を使ったので死ぬことはありませんよ」

おじいさんはほっとした。

「そうか…そういえばゼツボウの発生原因はなんだったんだ?」


「たくさん聞いてきますね…

昔、バルガさんのパーティーがこの村の前の住人たちに壊滅された話しは知っていますか?」

おじいさんは考えた。

「あぁ知ってる、でそれとなんの関係があるんだ?」

カースは足を崩した。

「まぁ、彼らの未練とゼツボウがまざりあって発生したものなのでしょう、そして、あの竜はただ、ゼツボウの強い魔力によって目を覚まして、現れたんです。

そして、あの竜の中に眠っていたタクトという方の魔力が一番強かったのであの形になったのでしょう。」


「そうだったのか…」

カースは少し何か言いたそうにしていた。

「俺も1つ聞きたいことというか頼みたいことがある…」

(一人称と語尾が変わった…?)

「なんだ?」

「むす…いやリリアをもう冒険させないでくれないか?」


「なぜだ?

お前とリリアになんの関係がある…?」

カースは手をちからいっぱい握りしめた。

「だって…俺はあいつの父親だからだよ!」

おじいさんは目を丸くした。

(声のトーンが低くなった!?)

「えっと…どう言うこと?」

「だから俺はリリアの父親…お父さんなんだよ!!!」

「えっと…仮にお前がお父さんだとして、

なんで娘とは一緒に暮らさないんだ?

リリアはずっとあんたを探しているんだぞ?」

「いえ…まだリリアには会ってはいけません

というかばれたらおしまいです!」


するとドアが開いていたようで廊下から足音が響いた。そして、この部屋の前で足音が止まった。そこにいたのはリリアだった。

リリアは目を擦りながら言った。

「お父……さん……?」


(この状況…ぜ…絶対絶命………!?)


これで一幕が終わりました、

次は「頑張って転生術使ったら召喚されたのはおじいさんでした2」

でお会いしましょう

では…

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