第12話ゼツボウの再来
「待ってよー!」
「おいおい、早くしないと訓練生の皆においていかれるぞー?」
今、冒険者養成所の訓練生は40kmを完走するというトレーニングをしていた。
まだその頃の俺は根性も体力も全然今には比べほどにならないほど、無かった。
そんな俺をずっと支えてくれたのはシーナだった。
どんなトレーニングでも、俺を置いていかずに待ってくれていた。
でも、次第に俺の体力がシーナを越していくと、前まで俺を助けてくれた恩を返すため、
シーナを守ると決めた。
なのに、あの事件のせいで何もかもが終わった。
「シーナ…生きていたんだな…」
だが、シーナは生きていた!これでまた守ることが出来る!冒険も出来る!
「斬っても斬ってもきりがしないなぁ!」
「全くです!泰蔵殿!」
おじいさんとシルは善戦しているが異形の数は減ることがなくむしろ増えてった。
「おじいさん!シルさん!多分ですが異形が出てくる根源があるはずです!それを倒せば異形もいなくなるかも!」
リリアの声はよく耳に届いた。
「確かにな!バルガ!そっちは大丈夫か!?」バルガの返答が来ない。
「くっそ、シル!リリアとここは頼んだぞ!」
「分かりました!」
そしてシルとリリアを置いて、バルガの元へ行った。
「なんだありゃ…」
バルガの前には黒い異形が立ちはだかっていた。
「おいバルガ!どうした!?」
すると、バルガは虚ろの目をして、こちらを振り返った。
「あ!泰蔵さん!紹介します、こちらがシーナです…」
(シーナって…あの事件で死んだはずじゃ…
というより、なぜバルガは目の前の黒い異形をシーナと言っているんだ?…もしかして…)
「おい!バルガ!それは幻想だ!お前の前にいるのはシーナではなく異形だ!目を覚ませ!」
「何を言っているんですか?これは異形ではなく、シーナですよ?」
そして、バルガが異形に近づくと、黒い異形は
攻撃しようとしていた。
「危ない!」
とっさにバルガの前に行き、攻撃を防いだが、
背中に傷を負ってしまった。
「!?泰蔵さん!」
バルガは幻想から目を覚まし、異形を倒した。
「いてぇな…」
傷を負った、俺は地面に伏していた。
「泰蔵さん!しっかりしてください!」
「やばいな…なんか、眠たくなってきたよ…」
「泰蔵さん?泰蔵さん!」
おじいさんは眠ってしまった。
「俺のせいで…また……」
バルガは泣いた。自分の心の弱さのせいで、人が死に、屈辱を味わったからだ。
「泰蔵さん…泰蔵さん…」
すると、おじいさんは目を覚ました。
「泰蔵さん!?」
「ごめん、なんか生きてたわ。」
起き上がりバルガを見ると涙ぐんでいた。
「泣くなよ…」
「だって…」
すると、シルが走ってきた。
「泰蔵さん!シルさん!やりましたよ、ゼツボウは消えました!」
そして、リリアと村の魔物たちも来た。
「よかったですね!私たち死んでません!」
みんなで喜んでいたが、バルガは暗い顔をしていた。
「やばいです…」
すかさず聞いた。
「どうした?」
「俺、この戦いが始まる前に救難信号飛ばしてて…今には人間軍がこっちに向かってきています…」
シルは驚愕していた。
「やばいです!村の者たちは片っ端から、殺されてしまいます…」
おじいさんは閃いた、
「変身魔法で人間に変身させれば問題ないぞ?」
すると、リリアが言った。
「そうですね!では、私が村の皆さんを変身させます!」
「ここか?バルガから救難信号があったのは…」
「はい!ここです」
人間軍が魔法馬に乗り、来た。
魔術馬
魔力で作られる馬。来てほしいときにそこに呼び出せるので使い勝手がいい。
「まさか…お前から救難信号が来るとはな…」
「すまないなゼル、何せゼツボウがきたからよ」
おじいさんはリリアに尋ねた。
「なぁリリア?あいつ何者だ?」
「はい、彼は」
ゼル
人間軍を統括する三人のうちの一人。
バルガとは交流があり、仲が良い。
大剣使いでなかなか強い。
「バルガ、ゼツボウはどこへ行った?」
「お前らが来るのが遅すぎて倒したよ」
ゼルはバルガに聞いた。
「そちらの方々は?」
「この人たちは…」
バルガが紹介した。
「この人たちと俺でゼツボウを倒したよ」
「何と…村の方々も混じってとは…
さぞかしお強いのだろう。」
おじいさんは照れながら言った。
「いえいえそんな…」
「…?なにか感じませんか?」
リリアは考え込んだ。
「確かに、何か感じますな」
ゼルが答えたあとリリアは驚いた。
「後ろ!危ないです!」
後ろから紫色の煙が来ていた。
バルガはすかさず防御魔法を展開した。
防御魔法
攻撃魔術から派生したもの。
展開
広い範囲でその能力を使うこと。
「とっさの判断…さすが歴戦の猛将…」
シルが感心していた。
紫色の煙は四方八方から来て、村の中心に集まった。
「これは…ゼツボウが再来したか…」
ゼルがそう言った後、村の中心には魔方陣ができていた。
「なんか嫌な予感がする…」
おじいさんは何かを感じ取った。
「竜が出るぞ!」
おじいさんの言う通りに竜が出てきた。
すると、ゼルはバルガの防御魔法から出て、竜を斬った。たちまち竜は倒れた。
「先手必勝…」
ゼルが油断していると、
その斬った部分から竜人が出てきた。
竜人
竜が人にとりつきなる者
姿は竜の鱗のようなものにおおわれ、人の形をしている。
まだ竜人を倒したものは勇者しかいない
「な…」
ゼルは竜に蹴りを入れられ咄嗟にガードをしたが吹っ飛んだ。
「ゼル!!!」
バルガがゼルの元へと駆け寄ると、竜人もそこへ突撃し、バルガに重症を負わせた。
「くっそ…」
すると、おじいさんは飛び出し竜人に泰強刀で攻撃した。
「主は強いな…」
竜人がそう言うと、おじいさんは憤怒した。
「此だけは許さん」
バルガは痛みを抑えながら必死に目を開けた。
「お前は…タクト…?」
やっと書けました。