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第11話 終わらないゼツボウ

「うわぁぁぁ!」

いきなりバルガは大きい声をだしながら、起き上がった。

「ここは…どこだ?」

バルガがキョロキョロと見回すととなりにあのおじいさんと、どこかで見覚えがある青髪の女の子がが座っていた。

「お前が襲おうとしていてた、村の中だよ。ったく、何時間も眠りやがって…」

おじいさんがため息をして、バルガをみたとたん、バルガはおじいさんに襲いかかろうとしたが…

「っくそ!拘束しやがって!」


拘束

攻撃魔法の一種、相手を動けなくする。この魔法は唱えた者しか解けないので、そのまま放置されると、一生拘束されたままとなる。

だが、それ以上の魔力や経験値を拘束されている者が消費すれば解除される。


「すみません、ですが話を聞いてもらうにはこれしか方法がなくて…あと、これあなたの経験値を納めた魔法瓶です。なのであなたは拘束が解除出来ません。」

リリアが説明すると、バルガはあきらめて、おじいさんの方を見て言った。

「で、話とはなんだ?」

バルガが尋ねるとおじいさんは真剣な目をして、バルガに言った。

「なぜ、この村を襲おうと思った?」

そう言うと、バルガはうつむき、少しの間沈黙し、口を開いた。

「直感だ、この村を攻略したのは自分の直感がそうしようと言ったからだ、他に理由はない。」

おじいさんが「そうか…」と言いながら、バルガの目をみていった。

「お前がやろうとしていることは、他でもない、虐殺だ。魔物だからと言ってやっていい事と悪いことが…」

「なら、魔物にもそれが言えるのか?知能もろくに持たない魔物が人間の村を襲おうとしてもお前は俺と同じように、話そうと思ったか?」

おじいさんの話の途中に割って入り込み、問いを投げかけた。

すると、おじいさんは即答した。

「あぁ、そうする。例え、そいつが他の村も襲っていてもだ。お前のように、復讐するための奴もいるからな。」

バルガはおじいさんを睨み口を開いた。

「復讐しようとした奴の話を聞いてどうする?同情でもするつもりか?そんなもの必要ない復讐したい奴が一番ほしいのは復讐相手の死に物狂いで、助けてと言う叫びだ。その声を聞くだけで、俺…は救われる!

そして、俺以外の復讐しようとしている奴ら皆同じだ!だからな!早く拘束を解いて俺を救わせてくれよ!なぁ!」

(バチン!)

リリアがバルガの頬をビンタした。

「バルガさん!あなたらしくないです!」

バルガは我に返った。

「も、もしかして…おなたは…」

バルガは涙を流しながら話を続けた。

「タスクの…」

リリアはバルガの目を見て答えた。

「そうです!リリアです。タスクは私の従兄弟でした。ですが私の家族も、父の兄にあたる家族も1人しか子供を産めなかったから…家族付き合いが良かったので…タスクとは実の兄妹のようでした。

だから、タスクがあなたと冒険していたことも、あなたの人柄もよく知っています。毎日のように、日常魔術で手紙が届いていましたから…」

バルガは涙の他に鼻水を流しながら口を開いた。

「ごめんよぉ…タスクを…守れなくて…」

そう言うと、バルガはリリアに対して土下座をした。

「顔を上げてくださいバルガさん!

あなたは何も悪くない!最後までタスクや仲間の方を助けようとしていたじゃないですか!」

リリアは必死にバルガを説得し、やっと顔を上げた…


それから、拘束を解除し、バルガが落ち着くまでいろんな話をした。おじいさんは私が転生術を使って召喚し事や、魔信教ではないこと、そして魔物は人間が襲わなければ、襲ってこない魔物もいることなど…


「そうですか…すみません落ち着くまで話をしてもらって…」

バルガは落ち着きを取り戻し、すっかりと丸くなっていた。

「そうだバルガ!温泉入りに行くぞ!涙を流して、浄化された心をさらに浄化してこよう!」

おじいさんの行動はいつも唐突に始まる…

「はい!」

そこ了承しちゃうんだ…


温泉に到着しバルガと入った。

「ふぅーやっぱり温泉は気持ちいいな。」

少し熱いお湯に浸かり、体を癒す。これ以上に良い回復術はないと思う。

「なぁ、バルガ…何でお前は女物のアクセサリーやメガネやらを持っているんだ??自分では使わないのに…」

おじいさん尋ねるとバルガは答え始めた。

「これらは自分が助けることができなかった仲間の遺品です。これを持って、いつまでも死んだ仲間と旅をしている気分になれるんです。

ですが、本当は自分はもう負けないように、そして、屈辱をあじあわないようにと戒めで持っているんです。」

おじいさんは「そうか」と、納得した。

そして、長い間の沈黙のあと、おじいさんが口を開いた。

「ここの世界の住人は髪の色を染めるのが文化なのか?…リリアの青髪といい、お前の赤髪といい…いろんな人見ても髪の色が黒って言う人があまり見当たらないし…」

そう言うと、バルガは「うーん」と言い、少し考えてから答えた。

「ここの世界では髪の色は泰蔵さんの髪の色の黒って言うのが当たり前ではないんです。

髪の色は産まれたときと同じですよ

十人十色、人それぞれの個性がありますからね…」

おじいさんは「ふーん」と言いながら目をつむり、お湯の気持ち良さをもう一度味わおうとしたそのとき、ゴブリンの親子が入ってきた。

すると、バルガは慌てて、立ち上がった。

「泰蔵さん!俺たち出ていった方がいいんじゃないですか…?」

そう言うと、ゴブリン親子の父の方が言った。

「いえいえ、大丈夫ですよ。

私たちは人間が怖い存在ではないと知っていますから…」

バルガは少し驚いた。

「なぜ…そんなことがわかるのですか?」

ゴブリン親子の子供が言った。

「前に、人間のお兄ちゃんが来たことあるんだ!そのお兄ちゃんすんごくやさしくて!

だから、人間はいい人だと知っているんだ!」

バルガはそう言われ、また湯に浸かった。

「なぁ言ったろ?魔物も人間と争う理由はないと思っている奴もいるんだ…」


そして、バルガとおじいさんは温泉から出て村を見て回った。その時でも、村の魔物たちは優しく接してくれた。

「たまには、こうやってゆっくりするのもいいですね…」

バルガが言うと、おじいさんは賛同した。

「確かにな…」

2人でゆったりとベンチに座っていると、リリアが走って来た。

「おじいさん!…早くシルさんのもとに来てください!またなにかあったようなので…

バルガさんも来てください!」

そう言い、リリアはシルのもとへと走った。

そして、2人もそのあとをついていった。


「シル!何かあったのか…!?」

シルはなにかみながら、答えた。

「はい、この村にはいつ誰かが攻めてきてもいいように村の周囲の魔力が検知出きるようになっているんです。そしたら…バルガさんよりも…強大な魔力を持ったなにかが攻めて来ています…」

それを聞き、バルガはリリアに自分の経験値が入った魔力瓶を受け取り使った。

「今、真理の目を使って村の周囲をみています…」


真理の目

日常魔術の1つで自分のいる地点から、1km離れている所まで見ることが出来る。

これを習得するには長い年月が必要。


「!?シルさん!早く村の人たちを避難させてください!ゼツボウが迫ってきています!」

そう言うと、たちまち晴天の空が曇った。

「わかりました!村のものを早く避難させてきます!」

そして、シルは部屋から出ていった。

「リリアちゃん!泰蔵さん!俺たちはここからでて、そとの状況を見に行きましょう!」


そして、3人も部屋から出て、村の門の前まで言った。

「なぁ、ゼツボウって何だ…?」

おじいさんがそう聞くと、バルガが答えた。

「ゼツボウとは、最近になって出てきた魔物も人間も関係なしに襲ってくるものたちのことです。それにより人間の被害も数多く出ています、なぜ出てきてなぜ人や魔物を襲うのかもまだ、何もわかっていません…」

おじいさんは少し考えた。

「って言うことは、あいつらの倒し方がわからないってことか!?」

バルガは頷いた。

「一応、救難信号は飛ばしておきます。

倒し方がわからなければ逃げるしかありません。この村を救うためには村の魔物を全員避難させなければいけません。

そして、避難が完了するまで戦えるのは俺たちしかいないです。

この戦いで死ぬかもしれません。というか死ぬ覚悟でこの戦いに望まければいけません…」

おじいさんはニヤリと笑い言った。

「こちとら、あっちの世界じゃ死んでるかもしれないんだ。だから、いつでも死ぬ覚悟はできてる!」

リリアも決意を固めた。

「私もです!死ぬ覚悟は出来てます!」

すると、あちこちに魔方陣が出てきて、

異形が出てきた。

そのタイミングで、3人は戦場に突入し、戦った。

バルガが先陣を切り、異形を斧で切り刻むと異形は消えた。

「物理攻撃!効いてます!」

そして、リリアも攻撃魔術を使い、異形を倒した。

「魔術も効いてます!」

そして、3人は何体もの異形を倒した。

すると、後方から声が聞こえてきた。

「みなさん!助けに来ましたよ!」

シルと魔物の部隊が参戦し、3人を援護した。

だんだんと異形の数も減ってくると、また新たに魔方陣が出てきた。

「また、なにか出てくるぞ!」

ゴブリンが叫ぶとなにかが召喚された。

その姿を見て、バルガは唖然とした。

「あ、あれは…………シーナ…?」


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