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第10話 ゼツボウの先刻

「何で俺の事覚えてないんだよ!

しかも、人間界でも超有名な俺に会って、忘れました、何て言うやつははじめてだぞ!?」

少し動揺を隠せていないバルガだった。

「ゴメンゴメン、覚えているよ昨日温泉で会ってたな。」

おじいさんが少し謝っていると、バルガは落ち着きを取り戻した。

「昨日の温泉の時の屈辱が今日果たせるとは、なかなかいいものだ。」

バルガは装備していた、大きい斧を構えておじいさんと戦う準備は万端だった。

「おいおい!ちょっと待ってくれ!一回話し合おう!」

おじいさんが必死でバルガを止めたが気にも止めず、話し始めた。

「俺の一番嫌いなことは、屈辱を味わうことと、話で物事を解決することだ!」

そう言うと、バルガはおじいさんに突進してきた。その時、後ろから攻撃魔法を唱える声が聞こえてきて、おじいさんの前に盾が出てきた。

すると、バルガの攻撃はその盾に遮られおじいさんは無傷ですんだ。

後ろを見ると、1人の暗黒騎士が立っていた。

「シルさん!」

「ふぅ、間に合って良かった。」

シルはため息をつきながら、バルガの方を見た。

「猛将バルガか…厄介な相手に会ったものだ…」

バルガはシルの行動を見て、1つの考えにたどり着いた。

「やはり…お前らは魔信教だな…?」

おじいさんの頭の上に?がつくほど、首をかしげていた。

「あ、おじいさん魔信教とは…人間でありながら魔物の考えが正しいと思い、魔物の味方になる人のことを言います。」

「なるほどな…バルガ!俺らは魔信教じゃないぞ?」

バルガはうつむき、言った。

「何をほざいている?魔物が人間の味方をした、それを魔信教と言うんだ!俺は、そいつらのせいで、パーティーのメンバーを失った!だから…俺は、魔信教と聞くと腹が立ちすぐにでもお前らをぶちのめしたくなるんだよ!」

「待て!話を聞け!俺らは魔信…」

おじいさんの話しも聞きもせずに、バルガはまた、斧を構えて突っ込んできた。

「だから…話を聞けと言ってるだろう!」

(ブォン!)

おじいさんの鉄拳制裁がバルガにヒットしバルガは倒れた。



「うん?ここは…?」

起きると、自然に満ち溢れた、森のなかにいた。

「ここは…どこだ?」

「なに寝ぼけたこと言ってるのさ」

後ろから声が聞こえてきた。振り向くとそこには女2人と、男1人が立っていた。

「シーナ…?」

さっき話した紫の髪の女は、魔物退治専門の冒険者養成所で、同期だったシーナだった。

「何か変なものでも食べましたか?バルガさん」

このメガネをかけて、青色の髪の男はタスク。シーナと冒険を始めたときに出会い、パーティーに加わった。

「何か変なものと言えば…シーナさんの料理でしょうかね…?」

「うるさいよ!全く!」

「あ!私失礼なこと言って…ごめんなさい!」

このおてんば娘で、茶髪の子はロコ、タスクと同じように出会いパーティーに加わった。

シーナは溜め息をつくと、

「あたしたちはダンジョンに行って、魔物討伐する話でここまで来たじゃないか…」

そうだった…

「じゃあ行くか!」

「おー!!!」

森を出て、ダンジョンに歩いて向かった。

ダンジョンの近くにつく頃には日没間近だった。

「うーん、夜にダンジョンに行くのは気がひけるよな…」

そう言うと、それにパーティー全員が賛同し村を寝床を探すことにした。

「あれは…近くに村がありますよ!」

タスクが日常魔法を使って遠くを見て、発見した。

「よし!今回の寝床は風呂もついてくるね!」

「何日ぶりですかね?ワクワクしてきました!」

シーナとロコは喜んでいたが、

なぜだろうあの村には近づいては行けないような気がする…

「なぁタスク、その村には魔物がいないか?ダンジョンの近くだからすこしいやな予感がするんだが…」

タスクは村を見渡すと、

「いえ、人間の村ですよ?魔物なんか1匹もいませんよ?」

「そうか…」

やはりいやな予感しかしない…

「なに躊躇してるんだい?あんたらしくないじゃないか…」

シーナが俺を心配すると、タスクも続けて言った。

「大丈夫ですバルガさん、僕の目はあなたのお墨付きを得られるくらい、良いものですから…」

そう言われるとすこし安心した。

「そうか…そうだよな!よし!寝床はそこにしよう!」


だが、村に近づく度不安は増していった。

村の門の前まで来た。

なぜか見覚えがある…

「待ってくれ!話を聞け!…」

なぜかおじいさんが見えた。どう言うことだ…?

すこしボーッとしていると、記憶が溢れ出した。

村の中心で火が燃えていて、そこに俺以外のパーティーのメンバーが吊し上げられていた。

そして、1人、また1人そして、最後にシーナが涙を流し消えていった。どういうことだ…?

だが、1つわかるのはこのむらには入っては行けない…

「駄目だ!その村には入るな!」

村に入ろうとしていた、3人は立ち止まりこちらを振り向いた。

「どうしましたバルガさん?」

ロコが口を開いた。

「そのむらには入るな!俺の直感がそう言っている…」

シーナはため息をつきながら、返答した。

「あんたの直感が今まで当たったことがあるかい?」

「確かに、ないですよね当たったこと…」

確かに…ない…だが、今日こそは…

「駄目だ!絶対に入るな…!」

俺が大きい声をだしたせいか、村の村長らしき男が出てきた。

「旅をしている者ですかな?どうぞこのむらにお泊まりください…」

シーナは俺に言った。

「な?、村長もこう言ってくれてるんだから、お言葉に甘えないと…」

必死に止めた。

「でも駄目だ!」

村長が、口を開いた。

「では、寝床に案内いたしますのでついてきてください。」

3人は村長についていった。

「おい!待て!」

誰も聞く耳をもたなかった。

心配で、3人のあとをついていった。

「つきました、ここが寝床です」

スゴくきれいな一軒家だった。

でも何かおかしい。他の家とは違う造りになっていたのだから。

「では、良いお時間をお過ごしください。」

そう言い、村長はいなくなった。

「うわぁ、スゴい所に案内状されちゃいましたね!」

ロコが喜ぶと、シーナも続けていった。

「ほらね!バルガの直感は外れたね!」


そのあと部屋に入ったあとも説得を続けたが、誰も聞く耳を持たず、終いには俺がキレて村の外に出ていった。

「ったく、あいつら聞く耳すら持たないとは…それにしても、あの記憶はなんだったんだ…」


(ぐううー)

腹もすいてきたな…そろそろ夕飯が出てるんじゃないかな…

…うん?この匂いは…火?もしかして宴でもやっているのか…?

俺抜きでみんなひどいなぁ…

戻るか…


また、村に入ると唖然した。

あの時に見えたまんまの事が起こっていた。

中心に火がありそこに人…そして魔物も集まって、手を合わせていた。

中心の火の上にタスクとロコとシーナがつるされていた。

「どういうことだよ…」

状況が判断できずに、立ち止まっていると村の奥から竜が出てきた。

そして、泣いているロコが喰われた。

「ロコ!?!」

シーナが叫んだ。

「うむ、やはり人は上手いなぁ。しかも、経験値がなかなかあるではないか…この小娘喰い応えがある」


ロコが喰われた…速くみんなを助けないと…でも体は動かない…しかも叫べない。

「すまんのぉ、ここで皆が喰われる様子を見てもらわないと…」

村長の魔法で、動けなくなっていた。

「お前にいいことをおしえたるわい、あの神聖な儀式を邪魔しなければお前だけ助けてやる、自分の命が惜しければここにいることじゃな」

村長が言った言葉に腸は煮えたぎった。

「速く解けくそじじぃ!さもないとお前をぶち殺す!」

村長は憐れんだ目で俺を見て言った。

「これだから、バカな冒険者は…

見てて飽きない!

お前らの他にもバカな奴らはこの村で、死んでいったわ!みんな、生きて帰る事はできないのに、お前を倒す!だとかほざいておったわ!

見てて飽きないわ!これまで生きてて、良かったわ!ほら、もうすぐ、言うぞ!」

竜がロコのしていた首飾りを吐き出すと、タスクは吠えた、

「必ずお前を殺す!」

そう言うと、竜は鼻をならし言った。

「まだ、この状況を見て、ほざけるとは大したものだ、先に喰ってやるわ!」

そして、タスクは竜の口に入った。だが、少しの時間暴れていたが、噛み砕かれ消えていった。

「素晴らしい!こいつも経験値が豊富だ!今日の奴らは豊作だ!」

「黙れ…」

シーナが言った。

「何と言った?」

「黙れと言っているんだよ!」

そう言うと、竜はニヤリと笑い、

「最後までほざくとは生きがいがいいな!」

竜の口がシーナに近づいた。

その瞬間自分のたまっていた何かがきれて溢れだした。

「それは!?もしかして…覚醒!?」


覚醒

禁術の一種で、自分の能力が上昇し、自分にかかっている魔法の効果をけすことができる、

そして、無敵になる。

これは1分間続く


「おおぉおぉ!」



そして、気づいた頃には村の奴らを全員一掃し、竜も殺し、そこにいたのは死ぬ間際のシーナだけだった。


「あんた…やっぱり強いね…」

シーナは最後の力を振り絞って言った。

「やっぱり、あたしが唯一みとめた男だよ」

そう言い、俺の顔に手を当てて笑顔で、

「これまでありがとね」

と、声には出来ていなかったが、口を動かした。

「シーナ!シーナ!」

そう呼び掛けても、反応はせずに消えていった。

そこに残ったのは、シーナが触れてくれた、手の暖かい温もりだけだった。


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