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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第17章 商い革命
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真竜の願い9

昼食を終えて食休み後、拠点では日課の午後の訓練が行われた。


今回はいつもとは違い、最初は簡単な講義が行われた。


内容は、マリスとロンフォンの新しい力やパートナーたちについて、だ。


講義が終わると、その後はいつも通り基礎訓練を行おうとしたのだが、ここで早速リュジュが動いた。


「シルフィナとやら、我は其方との仕合を望む!

いざ尋常に勝負せよ!」


「では・・・」


真っ正面から勝負を挑んできたリュジュに、シルフィナが了承しようとしたのだが、ここで思わぬ割り込みが入ってきた、ルフェだ。


「ちょーっと待ったぁ!」


「邪魔だルフェ、其方とは後で相手をしてやるから、今はそこを退け。」


「やーだよ。

シルフィナと戦いたかったら、まずは私に勝ってみなよ!」


しつこく立ちはだかるルフェに、リュジュが殺気を向けて威嚇しながら警告を発した。


「・・・ルフェよ、何度も言わせるな。

もう一度だけ言うぞ、そこを退け。」


だがルフェは、そのリュジュの殺気を軽く受け流して一向に引く様子がない。


「リュジュの方こそ何度も言わせないでよ。

や、だ、よ。」


「・・・これが最後だ、そこを・・・」


最後通告をしようとしたリュジュだったが、ここでルフェは話の方向を変えて挑発してきた。


「なーんだ、結局逃げるんだね。

じゃぁこの勝負は私の不戦勝・・・」


このルフェの挑発に、リュジュはまんまと乗ってきた。


「我が逃げる、だと?・・・いいだろう、其方に今の我の力を思い知らせてやる!

勝負だ、ルフェ!」


「そうこなくっちゃ!

シルフィナ、いいよね?」


シルフィナは少し考えたものの、すぐにマコトから言われていたことを思い出して許可した。


「・・・まぁいいでしょう。

マコト様からも、ある程度の要望は聞くように言われていますので。

ただしルールと場所は私の方で決めさせてもらいます。」


「我は構わぬ。」


「シルフィナに任せるよ。」


「ではルールですが、リュジュさんは竜化の禁止、ルフェさんは権能の禁止、それ以外は何でもありでお願いします。

それとこれはあくまで模擬戦ですので、必ず開始の合図を聞いてからはじめるように。

勝敗は、相手が降参するか気絶するまでとします。

また相手の命を奪うことは禁止しますので、やり過ぎになる前に危ないと判断したら私が介入します。

この条件でよろしいですか?」


シルフィナが提示したルールに、2人はすぐ同意した。


「了承しよう。」


「うん、いいよ。」


2人の了解を得たので、シルフィナはその場にゲートを開いた。


「では、お2人とも、こちらへ。」


返事もせずに、そのまま2人は勢いよく中に飛び込んで行ってしまった。


すぐにシルフィナも後を追い、ゲートが閉じると、代わりに3人がいる場所の巨大な映像が映し出された。


既に2人は臨戦態勢に入っており、今にも相手に飛びかかりそうなのを必死に抑え込んでいるのが誰の目にもあきらかだ。


しかしシルフィナが決めたルール通り、開始の合図を今か今かと待ちわびている。


そこへ少し遅れて到着したシルフィナが、開始の合図を送った。


「では・・・はじめ!」


その瞬間、2人は正面からぶつかった。


最初はお互いに小手調べなのか、何の力も使わずに素の身体能力だけのようだ。


これはリュジュに軍配が上がった。


勢いよく互いの額をぶつけ合ったのだが、倒れはしなかったものの、力負けしたルフェが後方に10mほど押し込まれてしまったのだ。


「くぅっ!」


苦悶の表情を浮かべながら悔しがるルフェだったが、何故かリュジュの表情も優れない。


「ちぃっ!この程度しか押し込めぬとは、情けない!」


どうやら自分の予想よりもルフェとの力の差が少なかったことに不甲斐なさを感じているようだ。


それはルフェに勢いを殺されて追撃できていないことからもあきらかだ。


そこへ強引に体勢を立て直したルフェがリュジュの側面に回り込み、今度は頭部へ右回し蹴りを放った。


「てりゃーっ!」


その蹴りをリュジュは、簡単に左手で掴んで防いでみせた。


「ふんっ!」


しかしそれだけでは終わらず、掴んだルフェの足を身体毎振り回すと、低い軌道で正面に放り投げた。


そのまますぐに地面に落ちて勢いのまま転がるしかないと思われたルフェだったが、器用に空中で身体を回転させると、両足を地面につけて勢いを殺し、20mほど先で何とか止まることに成功した。


だがリュジュの攻撃はそれだけで終わらない。


すぐにルフェとの間合いを詰めると、正面から飛び蹴りを放ってきたのだ。


ルフェはまだ踏ん張った影響で体勢を崩しているため、リュジュの蹴りが当たると誰もが思ったが、そうはならなかった。


急にルフェの動きが加速したため、リュジュの蹴りが空を切ったのだ。


しかしリュジュにはその動きが目で追えていたようで、動きを止めてルフェの方を見ながら挑発してきた。


「どうした、もう様子見は終わりか?」


これに対してルフェは、意外にも落ちついている。


「まぁねぇ。

やっぱ元の身体だと、身体能力だけじゃ押し負けちゃうか。

まぁ神として創られた身体と人の身体じゃ、基本的な性能がぜんぜん違うからしょうがないよね。」


「何だ、負け惜しみか?」


「そんなんじゃないよ。

私は事実をそのまま受け入れただけなんだから。」


「では負けを認めるのか?」


「そんなわけないでしょ。

まだはじまったばかりだし、基本性能が劣っているからって負けると決まったわけじゃないしね。」


「そうこなくてはな。」


「それじゃぁ、ここからは本気で行くよ!」


「いいだろう、我も遊びは終わりだ。

真竜の力、その身に思い知らせてやろう!」


2人は言葉通り力を全力で発動すると、最初と同じように正面から突っ込んで行き、再び互いの額をぶつけ合った。


その結果、今度は逆にリュジュの方が後方へと派手に吹き飛ばされてしまったのだ。


これはルフェの方がリュジュよりも、発動した力が強いことを意味している。


先程とは立場が逆転してしまったリュジュであったが、吹き飛ばされながらも、その闘志は少しも衰えてはいない。


すぐに両手両足で地面を掴んで吹き飛ばされた勢いを殺すと、再びルフェに向かって行く。


だが正直に正面からではなく、途中で方向転換すると、側面から拳を突き出し殴ってきた。


しかしそれをルフェは片手で難なく受け止め、掴んだまま元来た方向へとリュジュを放り投げたのだ。


だがリュジュも難なく着地し、ここまで互いに受けたダメージは、正面からぶつかったときの額ぐらいだ。


するとリュジュは、今度はすぐに突っ込まず、相手の様子を窺いはじめた。


どうやら次にどうするか攻めあぐねているようだ。


そんなリュジュに、ルフェが余裕の表情で挑発してきた。


「あれあれあれぇ、さっきまでの威勢はどうしちゃったのかなぁ?

まさかもう怖気づいちゃった?」


「ふんっ、そんなわけなかろう。

その程度で調子に乗るな。」


「だよねぇ。

私はまだ半分くらいしか本気を出してないのに、こんな簡単に終わるわけないよね。

それにあれだけ威勢よく喧嘩を買っておいて、すぐに終わっちゃうなんて、真竜の名が泣いちゃうし。」


「相変わらず口だけは達者だな。」


「口だけ、じゃないよ。

力を解放した今の私は、神の身体だったときよりもあきらかに強くなっているからね。

これはまだ数日だけど、マコトの訓練を受けた成果だね。」


「たかが数日の訓練ごときで、我の何万年の研鑽を超えるなどありえん!」


「あー、その考えが古いんだよねぇ。

今は、どれだけ長い期間鍛えたか、じゃなくて、どれだけ効率よく訓練するか、なんだよ。

確かにリュジュも強くなってるよ。

私の感覚では、総合的な強さは以前と比べて、せいぜい倍くらいってところかな。

神の身体だったときの、当時の私たちと互角くらいなのは認めるよ。

よくもまぁ1人でそこまで鍛えたもんだと、正直感心するよ。

でもね、それでもリュジュは、まだまだ力の使い方がなってないんだよ。」


このルフェの言葉に、何故かリュジュが怒りだした。


「其方にだけは言われたくはないわ!

我は覚えておるぞ!

かつての其方は力の制御が一番下手で、我らがどれだけ非情で過剰な扱いを受けていたのかをな!

我はその恨み忘れておらぬぞ!」


どうやら過去の遺恨を思い出したようだ。


これにルフェは全く動じなかったものの、少しだけ申し訳なさそうにしながら言い訳を口にした。


「あははははっ・・・それは本当にゴメン。

でもしょうがないじゃん!

そもそもあのときの私たちは古代文明の研究者たちに支配されて操られてたんだから、自分で力を制御できなかったんだよ!

元を辿れば、あいつ等が私の力を上手く制御できなかったことが原因で、私にはどうしようもなかったんだからね!

というわけだから、もう過去のいざこざは水に流そうよ、ね?」


気楽に和解を申し出たルフェだったが、当然リュジュが受け入れるわけが無い。


「そんなこと、できるかーっ!

他の者たちはともかく、其方だけは絶対に許さぬ!」


「えーっ、何で?」


「忘れたとは言わさぬ!

我の管理担当だった其方に、我がどれだけ悲惨な仕打ちを受けたのか!」


「悲惨な仕打ち?・・・あー、もしかして、アレとかアレとか、アレなんかもあったなぁ。

まさか私がそれをネタにして何か企んでるとか思ってるの?」


「其方ならやりかねん!

そのためにも、今ここで其方を屈服させて黙らせる!

どんな手を使ってでもな!」


どうやら2人だけが知るリュジュの秘密があるようで、それが暴露されることを心配しているようだ。


「なるほどなるほど。

やけに私にだけ突っかかってくると思ってたけど、そういうことだったのかぁ。

私は別にそんなつもりは全く無いんだけど、今のリュジュには言っても信じてもらえそうにないよね。」


「当然だ!」


「はぁ・・・やっぱりそうなるよね。

じゃぁしょうがないかぁ・・・逆に屈服させて黙らせよう。」


ルフェの雰囲気がそれまでのおちゃらけたものから、今にも凍りつきそうなものに変わった。


これにはリュジュも反射的に警戒を強めながら、戦闘を再開しようとした。


「やれるものならやってみるがいい!

我は絶対に其方に屈服などせぬし、返り討ちにして、ぐはっ!?」


しかし次に気づいたときには、いつの間にかルフェがリュジュの懐に潜り込んで、鳩尾を殴っていたのだ。


「リュジュ、降参するなら早くしてよ。

じゃないと、しばらく寝たきり生活になるから。」


ルフェの警告を聞き流しながら、リュジュは警戒していたはずなのに、全く反応できなかったことを不思議に思っていたものの、すぐに間合いを取ろうとした。


「いっ、いつの間に・・・ぐぁ!?」


だがリュジュが動くよりも速く、ルフェが先に動いた。


今度はリュジュの後ろに回り込み、後頭部へ回し蹴りを叩き込んだのだ。


リュジュはそのままうつ伏せの状態で地面に倒されてしまった。


そんなリュジュを見下ろしながら、ルフェが再び警告してきた。


「リュジュ、私がその気なら、今ので最低でも2回は死んでるから。

それくらいリュジュならわかってるでしょ?

だからさっさと降参・・・」


その警告を最後まで聞かずに、リュジュはすぐに起き上がると、怒りの形相でルフェに殴り掛かった。


「なっ、舐めるな!」


するとルフェは、リュジュの拳を防御することも避けることもせず、そのまま顔で受けたのだ。


まともに攻撃が入ったことで、そのまま勢いに乗って畳み掛けようとしたが、ここでようやくリュジュは異変に気付く。


ルフェを殴ったはずの自分の腕が3ヶ所、あり得ない方向へ折れ曲がっていたのだ。


そこへルフェが申し訳なさそうな視線を向けながら、リュジュへの指摘を口にした。


「やっぱりこうなったのね。

力を正しく伝えないから、反発する自分の力の負荷に耐えられないのよ。

大丈夫、リュジュ?」


視覚でそれを認識し、ルフェに心配された瞬間、リュジュの腕に激痛が走った。


「ぐああああっ!?

なっ、何を・・・した・・・」


「私は何もしていないわ。」


「そんなことあるわけないだろ!」


「強いて言うなら、攻撃された箇所でリュジュの攻撃を受けただけよ。

ただリュジュの拳の攻撃力よりも、何もしない私の顔の防御力の方が上回っていて、その反動に腕が耐えられなかった、それがこの結果。」


「ふっ・・・ふざけるな!

鍛え上げた我の拳よりも、其方の無防備な顔の方が強いなどと認められるわけがなかろう!」


「でもそれが今の私とリュジュの差、これが現実よ。

だから悪いことは言わないわ、もう降参しなさい。」


「・・・気に入らん・・・」


「何が?」


「その上からものを言う其方の態度がだ!

我は・・・もう昔の我ではないのだ!」


リュジュはそう叫ぶと、ルフェに向けて口からブレスを放った。


「無駄よ。」


そのブレスを、ルフェは左手で勢いよく薙ぎ払った際の風圧だけで軌道を逸らした。


だが元々ブレスを当てることが目的ではなかったようだ。


この僅かな隙に、リュジュは竜力を極限まで高めて、一瞬で自身を変化させた。


それは3mほどの小型の翼竜の姿で、これが真竜としてのリュジュの真の姿なのだろう。


しかし感じる力強さや威圧感は、それまでの比ではない。


しかもリュジュは怒りのあまり我を忘れているようだ。


そんなリュジュの姿を、ルフェはあまり驚いてはいないようだ。


「やはりこうなってしまったのね。

仕方ないわ、悪いけど眠ってもらうわよ。」


そう言ってルフェは権能を発動するために、手の平を開いて右手をリュジュに向けた。


このまま神同士の壮絶な死闘がはじまってしまうのかと誰もが思ったそのとき、意外な形で模擬戦の決着がついたのだった。




2人の決着がついて1時間ほどが過ぎた頃、訓練の邪魔にならない場所で、ルフェは膝を曲げて座りながら、ボーッと訓練を眺めていた。


そしてその隣にはリュジュが眠っている。


そんな中、リュジュが目を覚ました。


「うっ・・・うん・・・ここは・・・」


「あーっ、やっと起きた。」


「・・・ルフェか?」


「そうだよ。」


「我はいったい・・・」


「リュジュはどこまで覚えてるの?」


「どこまで?・・・そうだ、我はルフェと戦い・・・確か怒りに我を忘れて竜化を・・・」


「竜化した後のことは?」


「・・・駄目だ思い出せぬ。

起きる前に何があったのかが全くわからぬ。

・・・そうなると・・・我は負けたのだな・・・」


「ぶっぶーっ、はっずれーっ。」


「それはどういうことだ?

我が意識を失っていたということは、先程の戦いは其方の勝ちではないのか?」


「とりあえず私の知っている範囲と、後でベル姉から聞いた話を教えてあげるよ。」


「うむ、頼む。」


「さっきの模擬戦で、リュジュが竜化したから、私も権能を使おうとしたんだよ。

ここまではいい?」


「・・・其方が竜化した我に何か力を使おうとしていたのは、薄っすらとだが覚えておる。

それで、その後どうなったのだ?

何故龍化した我と其方の権能がぶつかって、互いに五体満足なまま無事でおるのだ?」


「答えは簡単だよ。

だって私とリュジュがぶつかる前に、模擬戦は強制終了しちゃったんだもん。」


「はぁ?・・・待て待て待て、何がどうなったら我ら2人の勝負を強制終了させられるというのだ!」


「そんなの決まってんじゃん、シルフィナだよ、シ、ル、フィ、ナ。

途中でシルフィナが乱入してきたんだよ。」


「はぁ?・・・どう考えてもそのようなことはできぬであろう!」


「まぁそれが普通の反応だよねぇ。

でもここではそれが常識で通っちゃうんだよ。」


「・・・其方の話は要領を得ぬ。

いったいあのときあの場で何があったのだ?

もっとわかりやすく説明せい。」


「あー・・・ゴメンゴメン。

どうやら私もずいぶんここの皆に感化されてきちゃったみたいだね。

ここでの常識が他での非常識だってことを忘れてたよ。

じゃぁさっきの続きに戻るけど、シルフィナが私たち2人の間に乱入してきた、ここまではいい?」


「うむ。」


「で、まずはシルフィナがリュジュを殴って気絶させて・・・」


「ちょっと待て!」


「何、まだ話は終わってないよ。」


「シルフィナが我を殴って気絶させた、だと?」


「そうだよ。」


「竜化した我をか?」


「だからそう言ってんじゃん。」


「不意打ちとはいえ、我を気絶させただと・・・」


「何言ってんの、正面からに決まってんじゃん。」


「ならば当然我も反撃しており、シルフィナもただでは済まぬはずだぞ!」


「そんなのできるわけないじゃん。

いい、ちゃんと聞いてよ。

シルフィナは、堂々と正面から一発殴ってリュジュを気絶させたの。

そしてリュジュは反撃どころか、一切何もできなかったの。

わかった!」


「しょっ、正面から、しかも一発、だと・・・我の竜力の防御壁を貫くとは、いったいどれほどの力で攻撃したというのだ・・・」


「あっ、それも違うよ。

シルフィナは身体能力だけでリュジュを気絶させたんだよ。

私が見た限り、何も力は使ってなかったみたいだし。」


「いやいやいや、そんなことできるわけがなかろう!」


「だーかーらー、それができちゃうのがシルフィナなの。

ほらっ、あっちを見てよ。

今シルフィナが他の娘たちと模擬戦してるでしょ。

リュジュも簡単な感知くらいはできるはずなんだから、自分の目と感覚で確かめてみなよ。」


ルフェに言われ、リュジュは視線と意識をシルフィナに向けたのだが、すぐに驚きの表情へと変わった。


「ふむ、我は感知が苦手なのだがな・・・これはどういうことだ!

シルフィナからは何の力も感じぬ!

なのにあの動きや攻撃力はどういうことなのだ!」


「わかる、わかるよ、リュジュ。

私も最初はそうだったんだから。」


「・・・まさか、我らと同じ、神の1人なのか?」


「違う違う。

シルフィナはマコトの教えを一番長く受けているんだよ。

だからここではマコトに次ぐ実力者なんだ。

ただ底が全く見えないんだよねぇ。」


「つまりマコトの一番弟子というわけか。

だがそれにしてもあの強さは異常だ。

我や其方たちが協力して、互角の勝負ができるといったところか・・・」


「あっ、それ無理。

間違いなく何もできないで倒されるから。」


「何を言っておる、さすがに我や其方たちが揃えば、攻撃を当てることくらいはできるはずであろう。」


「だから無理だって。

これまで全員で挑戦して何度も試したけど、何もできずに一方的に倒されちゃうんだから。」


「そうは言われても、さすがに言葉だけではな・・・」


「だったらやってみる?

たぶん言えば、この後やらせてもらえると思うよ。」


「うむ。

既に意識もハッキリしているから問題無い。」


「じゃぁ決まりだね。

あっ、その前に話の続きをしちゃおっか。」


「そういえば途中であったな。

それで、結局は我が気絶した後どうなったのだ?」


「私は倒されたリュジュを見て、勝ったーっ、て思ったんだけど、そこからの記憶が無くって、気づいたらここで寝てたんだよ。」


「・・・はぁ?」


「で、起きた私にベル姉が説明してくれたんだけど、シルフィナはリュジュを殴った後、私のことも殴って気絶させたんだって。」


「何とも乱暴で理不尽な話だな。」


「それについてはリュジュが悪いんだからね。

ちゃんと最初にシルフィナが言ってた模擬戦のルール覚えてる?」


「確か・・・はっ!・・・我は竜化を禁止されていた・・・」


「そう。

そして私は権能を禁止されていた、ってわけ。

だからシルフィナが乱入してきて、2人とも強制退場させられたってわけ。

つまり勝負の結果は、両者反則による引き分け、だったんだよ。

それで私たちはさっきまでここで、2人一緒に仲良くおねんねしてたってわけ。

あーあ、リュジュがルールを忘れて竜化なんてするから、私も思わず権能を使おうとしてルールを破っちゃったんだからね。

あのままだったら私が勝ってたのにさぁ。」


「それは聞き捨てならんぞ、ルフェよ。

確かに竜化したのは我の落ち度だが、其方が権能を使おうとしたことに我は関係あるまい。

まったく、見当違いも甚だしいぞ。」


「でもよく考えたら、先に竜化したのはリュジュだし、起きたのは私が先だよね?

これって私の勝ちじゃない?」


「其方の勝ちではないし、我は勝ちを譲る気もない。」


「えーっ、何でさぁ。

どう考えても悪いのはリュジュじゃん。」


「我は悪くない。」


「悪い!」


「悪くない。」


「悪・・・はぁ・・・なんかもう面倒臭くなっちゃった。

今回は引き分けでいいや。

リュジュはどうする?」


「このような不毛な争いを続ける気はない。

今回は我も其方の意見に同意しよう。」


「決まりだね。

じゃぁ話がまとまったところで、シルフィナにさっきの話を頼んでみようか。」


「そうであるな。」


2人が立ち上がろうとしたそのき、背後から突然声をかけられた。


「それは模擬戦のことでしょうか?」


「うわぁ!?」


「うぉ!?」


2人は驚きながら声の方を振り向くと、そこにいたのはシルフィナだった。


「お2人とも、どうされましたか?」


不思議そうにしているシルフィナの姿に、2人は思ったことをそのまま口にしていた。


「びっ、ビックリしたぁ・・・」


「まっ、全く気づかなかった・・・」


「そうですか、それはすみませんでした。

それで、どうされますか?」


「どうって、何を?」


「模擬戦を、です。

見たところ、お2人ともまだまだ元気そうですので、身体を動かし足りないのではないかと思いまして。

どうされます、模擬戦に参加されますか?」


「うむ、望むところだ。

それで、どのように模擬戦を行うのだ?

シルフィナと1対1か?それとも何人かで組んで団体戦を行うのか?」


「そうですねぇ・・・」


「シルフィナ、あれやろうよ。

シルフィナ1人対、私たち全員。

今度こそシルフィナに一発入れるよ!」


「私は構いませんが、皆さんもそれでいいですか?

・・・どうやら反対意見は無いようですので、ルフェさんの意見を採用しましょう。

ハンデはどうされますか?」


「そんなものは必要・・・」


「だったら私たちは何でもありで、シルフィナは力の使用禁止。

勝敗は私たち全員が動けなくなったら私たちの負けで、誰かがシルフィナに1撃入れたら私たちの勝ちでどう?」


「別に構いませんよ。

イーリスさんはどうされます?」


「うーん・・・マコトがいないから回復役は終わった後に必要になるよね。

今回は外れてもらった方がいいかな?」


「それでしたら問題ありませんよ。

先程マコト様から連絡がありまして、模擬戦が終わる頃には戻ってこられるそうです。

ですから回復のことは気にしなくても大丈夫ですよ。」


「だったらイーリスも参加で大丈夫だね。

よしっ、これで戦闘中の回復役をゲットだよ!

じゃぁそれで決まり!

よーしっ、今日こそはシルフィナに勝つぞーっ!」


「頑張ってください。

先程ルフェさんは、わざと勝ちを逃したようですから、今度は全力で勝ちを拾いに来てくださいね。」


「何?」


「ちょっ、シルフィナ!?」


「おや、何か余計なことを言ってしまいましたか?」


「それはどういうことだ?」


「私はただ、リュジュさんがルール違反での反則負けになってしまうと、1人でお仕置きされてしまうのではないか。

そう考えて心配したルフェさんが一緒に泥をかぶったのではないか、と思っただけです。

ですから真実がどうなのかまではわかりませんよ。」


「ルフェ・・・其方・・・」


「なっ、何を言ってるのかな・・・私はそんなことこれっぽっちも考えてないよ。

・・・本当だよ!」


「そうですか。」


「そうなの!」


「ではお喋りはこれくらいにしまして、そろそろ模擬戦をはじめましょう。

皆さん準備はよろしいですか?

では・・・はじめ!」


こうしてシルフィナの意味深な言葉を引きずったまま、強制的に模擬戦が開始されることになったのだった。

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