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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第17章 商い革命
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真竜の願い8

マコトとの話を終えると、そこにルフェが近づいてきて、強引にリュジュを少し離れた場所へ引っ張って行ってしまった。


「こっ、こらっ、何をする、ルフェ!?」


文句を言うリュジュを無視して、ルフェは耳元で内緒話をはじめた。


「ねーねー、リュジュが気にしているのって、どうすれば自分の気持ちがマコトに理解してもらえるか、でしょ?」


図星をつかれ、一瞬驚いたリュジュが大きな声を上げたが、すぐに小さな声で理由を尋ねた。


「なっ!?・・・ルフェ、何故わかった?」


そこへいつの間にか近くにきていたベルも加わった。


「見ていればわかる。

それは私たちも抱えている悩みなのだからな。」


「ベル、まさか其方たちも、そうなのか?」


「そうである。

私はマコトとそれなりに一緒に入るが、いまだに私の想いはマコトに届いておらぬ。」


「私はマコトと出逢ったのは数年前だけど、まだ一緒に行動するようになって数日だからか、正直苦戦してるんだよね。」


2人の状況を聞いたリュジュだったが、1つだけ矛盾に気づいた。


「ふむ・・・だがマコトの方から口説いてくるのであろう?

ならばそのまま受け入れればいいだけだと思うが、違うのか?」


これに対して2人は、難しそうな顔で答えた。


「確かにマコトは口説いてくる。

それこそ毎日、こちらが嫌な顔をしなければ、空き時間を利用して何回でもな。

だがいつも私たちの返事を、まだ駄目だ、と言って、何故か受け入れてくれぬのだ。」


「マコトの方から口説いてくるのにか?」


「マコトの方から口説いてくるのにだ。」


「何だそれは、訳がわからぬな。」


「そうなんだよ!

訳わかんないんだよ!」


「理由は教えてくれぬのか?」


「まだ違う、とだけだな。」


「いったい何が違うというのだ?」


「それが意味を聞いても、自分で考えて理解して自覚しなければ駄目だ、としか教えてくれないんだよ。

後は急がないでじっくり考えるように、ってくらいかな。」


「つまり・・・どういうことなのだ?」


「わからぬ。」


「正直お手上げ。」


2人の話を聞いて、リュジュは1つの結論に至った。


「ふむ・・・マコトと男女の仲になるのは、ある程度時間が必要ということか・・・」


しかしこれはルフェが否定した。


「それがそうとも言えないんだよね。

私はともかく、ベル姉より後に出逢った娘たちの中には、先にマコトの女になっちゃった娘もいるから。」


「そうなると余計にわからぬな。

何故マコトが其方たちの好意を受け入れぬのかが。」


「そうなのだ。

私も経験がないから何とも言えぬのだが、おそらく私たちには何かが足りぬのだ。

それが何なのかが謎なのだ。」


「手詰まり、か・・・」


万策尽きたベルとリュジュが、険しい顔で考え込むと、そこにルフェが提案してきた。


「うーん、こうなったらやっぱり、あの作戦を実行しちゃう?」


「あの作戦?」


さすがにリュジュは意味がわかっていないようだが、ベルにはそれだけで伝わったようだ。


「あれは止めておけ。

特にリュジュには勧められぬ。」


だが自分の名前が出てきたことで、リュジュが興味を持ったようだ。


「どういうことだ?」


これにはルフェが答えた。


「つまり、強引に迫って既成事実を作っちゃおう作戦、だよ。」


「名前そのままだな・・・だが一理ある。

他にいい方法が思いつかぬ今、やれることはやっておくべきだな。」


意外にもリュジュは乗り気なようで、ルフェも強気に自分の案を押してきた。


「でしょっ!

ほらぁ、リュジュもこう言っていることだし、まずは試してみようよ!

何事も行動あるのみ、だよ!

いいでしょ、ベル姉?」


リュジュを味方につけたルフェは、そのままの勢いで更に仲間を増やそうとしたのだが、冷静なベルはある問題点を指摘した。


「しかし私たちはともかく、リュジュがそのようなことを実行してしまっては、マコトがどう思うかは目に見えておる。

あきらかに先程の約束を違えることになってしまうからな。」


ベルの言葉でリュジュも、今後自分自身を対価にするのは止めろ、というマコトとの約束に違反する可能性があることに気づいたようだ。


「なっ!それは困る!」


「だったらどうするの?

このままじゃ何も変わらないよ。」


「そうは言ってもな・・・駄目だ、何も思い浮かばぬ。」


今度こそ完全に万策尽きたかと思われたが、不意にベルが何か思いついたようだ。


しかしその表情は不安そうだ。


「・・・あまり気は進まぬが、アスモに相談してみるか?」


「アスモかぁ・・・大丈夫かなぁ。」


ルフェも不安そうな顔をしているが、リュジュだけは違った。


2人が口にした名前を聞いて、驚きの声を上げたのだ。


「アスモ?・・・ちょっと待て、其方たちだけではないのか!

マコトの許には、あの色欲のアスモデウスまでおるというのか!」


別に隠すつもりは無かったのか、ベルはあっさり認めた。


「ああ、昨日合流したばかりだ。」


「かつての最高神が既に3人も集まっているとは・・・本当にマコトは何者なんだ?」


このリュジュの疑問に、ベルとルフェはすぐに同じ答えに至った。


「まぁ普通はそう思うよね。

でもマコトの答えは決まってるよ。」


「であるな。」


そんな2人の言葉で、リュジュも答えに辿りついた。


「・・・ああ、あれか。」


そして3人がほぼ同時に答えを口にした。


「マコトだ。(×3)」


同じ答えが出てくると、3人は思わず笑顔を浮かべてしまった。


しかし恥ずかしかったのか、リュジュだけは慌ててそっぽを向いてしまう。


そんなリュジュに気を使ってか、ベルが話を元に戻した。


「その話は置いておくとしよう。

さて話が逸れたが、色恋沙汰でアスモに協力を仰ぐのは、今の私たちにできる唯一の手だ。」


「でもアスモに相談するってことは、絶対にそっち方面の話になるよ。」


「確かに・・・だが話しだけでも聞いておく価値はある。

実行に移すかは、それからでも遅くは無いであろう?」


「うーん・・・まぁそれもそっかぁ。」


ベルとルフェの話がまとまると、そこへリュジュがマコトの文句を口にした。


「しかし何故我らがここまで苦労しなければならぬのだ?

元を辿れば全てマコトが原因だというのに。

我としてはマコトへ改善を求めたいところだ。」


「諦めろ、リュジュ。

私もそうは思うが、それでこそマコトなのだ。」


「そうそう。

それにマコトのそんなところが、私たちも気に入っちゃったんだしね。」


「まぁ・・・そこは否定できぬな。」


これに関しては誰からも反対意見が出なかった。


結局マコトへの要望は見送られることになったようだ。


最後にベルが今後のことをまとめた。


「ではこの話は、戻ってからアスモも交えて改めて、ということで構わぬな?」


「了解。」


「うむ。」


3人がとりあえず納得したことで、この話は先送りとなった。


内緒話を終えて3人が戻ってくると、マコトがリュジュに話しかけてきた。


「そろそろお開きにしたいんだが、もう他に質問は無いか、リュジュ?

今度こそ終わりにするぞ?」


「うむ。

何かあれば改めて質問させてもらう。」


「わかった。

この後俺たちは拠点に戻るが、リュジュもついてくるということでいいんだよな?」


「当然だ。

其方についていけば、我の目的も果たせそうなのだからな。

それに、いろいろと楽しめそうだ。」


最後に不敵な笑みを浮かべるリュジュだったが、話がぶり返すのを嫌って、とりあえずマコトは一言注意するだけに止めた。


「そうか・・・ただ1つだけ事前に忠告しておくが、あまり派手に暴れるなよ。」


「わかっておる・・・できる限り善処するつもりだ。」


だがリュジュは楽しそうにしており、あきらかに問題を起こす気満々に見える。


そのためマコトは、警告も付け加えておいた。


「目に余るようなら、強制的に鎮圧されるぞ。」


しかしこれは逆効果だったようだ。


「望むところだ。

我を止められる者がいるというのであれば、それはそれで楽しみが増えるだけだからな。」


何を言っても無駄だと判断したマコトは、一度どうなるか自分自身の身をもって思い知るのもいいのかもしれないと考えを切り替えたようだ。


そのためそれ以上リュジュを止めるようなことはなかった。


「・・・まぁ別に好きにして構わないが、そこは自己責任だということだけ覚えておいてくれ。」


「安心せい、我も其方に嫌われたくはないからな。

やりすぎないよう、できる限り注意はするぞ・・・たぶん・・・」


リュジュは確実にやらかすつもりのようだ。


さすがに面倒になったマコトは、リュジュのことを現場へ丸投げすることにし、自分の予定を優先させた。


「はぁ・・・先が思いやられるが、いつまでもここに留まっているわけにもいかない。

シーリン、俺たちは一度戻る・・・」


マコトが挨拶をしようとすると、間髪入れずにシーリンが同行を申し出ようとしてきた。


「では私もご一緒しま・・・」


しかし更にそこへ、フェイがシーリンに待ったをかけた。


「お待ちください、シーリン様。

シーリン様はまだ本日の、それも午前中の執務が数多く残っております。

シーリン様のご確認が必要なものや急ぎのものもございますので、まずはそちらを全てお片付けください。

拠点へ向かわれるのはその後です。」


これに対してシーリンは、いつも通り仕事をリーリスに任せようとした。


「でしたらそれは全てリーリスに・・・」


この要望を、リーリスは拒否した。


「母上、本日中の私の分の執務は全て終えております。

それに母上の分も、半分以上は私が処理しました。

後は母上の確認が必要なものだけです。

ですのでマコト様とは私がご一緒いたします。

よろしいでしょうか、マコト様?」


「他人に迷惑がかからないなら、俺は別に構わないぞ。」


「ありがとうございます、マコト様。

母上、今一度ご自分の立場を理解して、どうか執務に励んでください。」


リーリスの返事を聞いて、シーリンはすぐにフェイへと協力を求めようとした。


「でっ、でしたらフェイ、貴女は手伝って・・・」


だがすぐにフェイから断りの返事が返ってきた。


「・・・申し訳ございません。

ただ今の時刻を持ちまして、私はお休みに入らせていただきます。

事前にシーリン様にもお伝えしていたはずですが、まさかお忘れではございませんよね?」


「えっ!?あの話は今日でしたか!

日付を間違えていませんか!」


「合っております。

その証拠に、先日提出させていただきました休暇申請書にも、この様に今日の日付と今の時刻が書かれております。

当然シーリン様のサインもこの通り。」


そう言ってフェイが1枚の紙をシーリンに差し出した。


そこには確かにフェイが今日休暇を申請し、自分がサインして承認した証拠が残っていた。


「たっ、確かに・・・でっ、では、私はどうすれば・・・」


わざと困った表情で同情を引こうとしたシーリンだったが、フェイには通用しなかった。


「わざわざ言うまででもありませんが、全てお一人で片付けていただきます。

まさか朝から気分転換をされるほど余裕があるシーリン様が、この程度の執務をお一人でできないなどとは申しませんよね?」


「そっ、それは・・・」


シーリンが何も反論できずにいると、更にそこへリーリスが追撃してきた。


「フェイ、母上に失礼ですよ。

その様な言い方では、まるで母上が仕事をサボっていたように聞こえるではありませんか。

当然母上でしたら、今日中にお一人で処理できるはずです。

でなければ朝から仕事をしないで、誰にも行先を告げずに、勝手にどこかへ行かれるなどという愚行をわざわざ犯すことはしないでしょうから。

そうですよね、母上?」


2人はにこやかにシーリンへと尋ねているが、それは表情だけで、あきらかに目が笑っていなかった。


どうやら黙って執務を抜け出したシーリンのことを、2人は相当怒っているようだ。


今そのツケが回ってきたのは、完全にシーリンの自業自得であった。


そうなるとシーリンの返事は1つしかなかった。


「・・・はい・・・仕事を片付けます・・・」


シーリンの敗北宣言を受け、リーリスとフェイはそれ以上何も言わず、完全に意識を切り替えた。


「では母上が納得したところで、私たちも参りましょう、フェイ。」


「はい、リーリス様。」


事前に示し合わせていたのか、いつの間にかフェイも拠点へと向かうことになっていた。


当然マコトは何も言わない。


先程リーリスに伝えた通り、他人に迷惑がかからない範疇であれば、マコトが断る理由は何も無いのだ。


マコトが無言であること、それこそが許可なのである。


それに2人ともマコトのハーレムメンバーなのだから当然だ。


そんな2人を、シーリンは羨ましそうに見ながら、マコトたちを見送った。


「・・・行ってらっしゃいませ、マコト様・・・」


「ああ、行ってくる。

まぁその何だ、いつでも来られるんだから、また次の機会に、な。」


さすがに少し可哀想だと思ったのか、マコトは最後に少しだけ慰めの言葉をかけておいた。


「ううう・・・はい・・・」


ただそれ以上はシーリンの気が変わってしまう懸念もあるため、マコトはすぐにゲートを開いて、そのまま中へと入って行ってしまった。


その後を他の皆もついて行き、最後にメイアが入ると、ゲートはその場から静かに消えてしまった。


最後まで羨望の眼差しで見送っていたシーリンだったが、ゲートが閉じて現実へ引き戻された。


「はぁ・・・早く仕事を片付けてしまいましょうか・・・」


シーリンはトボトボと会議室を後にすると、自分の執務室へと重い足取りで向かったのだった。




マコトたちが陰の一族の拠点へと戻ると、すぐにシルフィナが出迎えてくれた。


「おかえりなさいませ、マコト様。」


「ただいま、シルフィナ。

カーラとアスモはどうしている?」


「カーラさんとアスモさんは、予定通りノワールさんとエリスさんへの指導を行っていただいています。

もう少しでお昼ですので、そろそろ戻ってくるはずです。」


「その様子ならシルフィナの方も問題無かったようだな。」


「はい、こちらは滞りなく。

マコト様の方も予定通り、いえ、予想を大きく超える収穫があったようですね。」


「そうだな、嬉しい誤算だった。

しかしそれを生かすも殺すも、2人の今後次第だ。」


「はい、お2人には、今後より一層の精進をしていただかなければいけませんね。

私も微力ながらお手伝いします。」


「頼む。

それと客を1人連れてきた。」


マコトに促されて、リュジュが簡単に挨拶をした。


「世話になる。

我は真竜、名をリュジュと言う。

よろしく頼む。」


「マコト様のメイドを務めます、シルフィナ、と申します。

よろしくお願いいたします、リュジュさん。」


「うむ。」


「では以降はシルフィナにリュジュの対応を任せるから、ある程度の要望は聞いてやってくれ。」


「かしこまりました、マコト様。

リュジュさん、何かありましたら、私にお伝えください。」


「うむ、頼む。」


リュジュの紹介を終え、マコトはこれからのことをシルフィナに指示した。


「この後の予定だが、俺はカーラが戻り次第、一緒に帝国で昼食会に参加してくる。

たぶん戻るのは夕方頃になる。

午後の訓練は予定通り行ってくれ。

内容は任せる。」


「では今回は、マリスさんとフォンさんの新しい力やパートナーたちの能力について、詳細を検証することを中心に行うのはいかがでしょう?

おそらく皆さんも気になっていると思いますので。」


「それで構わない。

基礎訓練前に2人を中心とした講義、後には模擬戦を組み込めばいいだろう。」


「ではそのように進めます。」


「それと、くれぐれもやり過ぎないように注意してやってくれ。

そこはシルフィナの采配に任せる。

多少手荒くなっても今回は目を瞑ろう。」


マコトは自分がいない訓練中に、問題児たちが何かやらかすことを確信していた。


そのためシルフィナにこのようなことを言ったのだ。


するとシルフィナは、少し驚いた表情で聞き返してきた。


「よろしいのですか?」


「まぁ・・・たまには、な。」


少しだけ迷ったマコトだったが、今後の予定を考えてか、結局はシルフィナに丸投げすることにした。


「ありがとうございます。」


最後は満面の笑みで嬉しそうに感謝の言葉を伝えてくるシルフィナに、マコトはいろいろな意味でドキドキさせられた。


マコトとシルフィナが物騒な話を終えると、ちょうどそこへカーラとアスモが、少しぐったりしたノワールとエリスを連れて戻ってきた。


「ただいま戻りました、マコト。

先に戻っていたのですね。

もしかして待たせてしまいましたか?」


「いや、ちょうどいいタイミングだ。

俺もついさっき戻ってきたところだ。」


「それはよかったです。

ではこのまま帝国で行われる会食へ向かいますか?」


「ああ、俺の方は大丈夫だが、カーラの準備はいいのか?」


「はい。

私も身支度は済ませています。

それに今回の会食は、畏まる必要はありませんから。」


「それもそうだな。

だったら少し寄り道をしたいから、そろそろ行くとしよう。」


「寄り道、ですか?」


「ああ、会食には間に合うから安心してくれ。」


「それはいいのですが、今回の商国の件と何か関係があるのですか?」


「まぁ後のお楽しみ、というやつだ。」


「マコトがそう言うのでしたら、今は聞かないでおきましょう。

ではマコト、参りましょう。」


そう言ってカーラは、マコトの腕に自分の胸をこれでもかと押し付けながら腕を絡めた。


「それじゃぁシルフィナ、行ってくる。」


「行ってまいります。」


「行ってらっしゃいませ、マコト様、カーラさん。」


2人はシルフィナに見送られて、マコトが開いたゲートに入ると、そのままどこかへと行ってしまった。


ゲートが閉じると、シルフィナが昼食の準備を指示した。


「それではまずは昼食にしましょう。

本日の当番の方は、準備をお願いしますね。」


シルフィナの指示で、何人かが厨房と食堂へ向かった。


そんな中、戻ってきたばかりのアスモが、懐かしい人物との再会を喜んでいた。


「あらぁん、リュジュちゃんじゃないのぉ。

これから貴女もぉ、ここに住むのかしらぁ?」


対して声をかけられたリュジュは、少し警戒しながら答えた。


「・・・やはり其方が色欲のアスモデウスか・・・本当にいるとはな。」


「先に2人から聞いていたのねぇ。

それにしてもぉ、私たち3人がいるのによく来たわねぇ。」


「いろいろとあってな。

結果としてマコトに協力を仰ぐことになったのだ。

そのためにはマコトの近くにいるのがいいのでな。」


「ふーん、そうなのねぇ。

まぁここでは過去のことを忘れてぇ、仲良くしましょうねぇ。

じゃないと追い出されることはないと思うけどぉ、折檻されちゃうわよぉ。」


「それは、其方たち3人がする、ということか?

それとも、マコトが、か?」


「ふふふふっ、マコトは女の子にとーっても優しいからぁ、そんなことしないわぁ。

それに私もベル姉様もぉ、そんなことしないわよぉ。

ただぁ、ルフェは血の気が多いからぁ、わからないけどねぇ。

でもぉ、ルフェは絶対にぃ、折檻されちゃう方よねぇ。」


楽しそうに曖昧なことを言っているアスモの態度に業を煮やし、リュジュは単刀直入に聞いてきた。


「ではいったい誰がそんなことをするというのだ?

マコトと其方たち3人以外に、初見で我を止められそうな者は・・・この場にはいないように見えるがな。」


リュジュは改めて周囲の人物たちを見回しながら軽く殺気を込めてみたが、変わらぬ穏やかな雰囲気だけしか感じ取れなかった。


どうやら反応を見て強者か判断しようとしたらしいが、何も反応が無かったことで強者がいないと思ったようだ。


実際には、皆普段からシルフィナの殺気を受けて慣れているため、少しくらいの殺気では全く動じないだけなのだが、それはまだリュジュは知らないことだ。


それもあって、誰もリュジュを咎めることは無かった。


そのためアスモも気にせずに質問に答えた。


「そうねぇ・・・マリスちゃんやフォンちゃんはぁ、さっきの戦いから回復していないからぁ、今回は除外するとしてぇ。

それでもぉ、数人がかりでならぁ、今のリュジュちゃんを止めることができる子たちがぁ、ここには何人もいるわよぉ。」


このアスモの話を聞いて、リュジュの雰囲気が変わった。


「ほぉ、それはつまり、マリスやフォンと同等の力を持つ者がいる、ということだな?」


「そうよぉ。

ただぁ、そのためにはぁ、それなりの被害を覚悟しなくちゃよねぇ。

皆いい子たちばかりだからぁ、それを気にしちゃってぇ、きっとリュジュちゃんの方が有利よねぇ。」


「犠牲を気にしているようでは、まだまだ甘いな。」


「そうかもねぇ。

だからぁ、その場合はシルフィナちゃんが動くわよぉ。」


はじめてアスモがハッキリと人物名を口にしたので、リュジュが興味を示した。


「確かシルフィナとは、あそこにいる先程マコトに我のことを任されていた者だな?」


リュジュが視線だけシルフィナに向けると、アスモもそれを認めた。


「そうよぉ。」


「しかしそんなに強いのか、シルフィナは?

我が見たところ・・・そのようには感じないのだがな。」


横目でシルフィナを見ながらリュジュがそう言うと、アスモは何か悪戯を思いついたようで、楽しそうにある提案をしてきた。


「それはぁ、実際に手合わせしてみればわかるわぁ。」


「其方は我に、シルフィナと仕合ってみろ、というのだな?」


リュジュが正確に言葉の意味を理解すると、アスモはますます楽しそうに笑った。


「うふふふっ、別に私はぁ、そんなこと言ってないわよぉ。

でもぉ、それは誰もが通る道よぉ。

一度現実を理解しておくのもぉ、とーっても勉強になるかもしれないわねぇ。」


この挑発とも取れるアスモの言葉に対して、当然リュジュが逃げるわけが無い。


「面白い。

いいだろう、そこまで言うのであれば、其方の思惑に乗ってやろう。」


「思惑だなんてぇ、私はそんなつもりなんてぇ、これっぽっちも無いわよぉ。

私はただぁ、リュジュちゃんにぃ、ここに早く慣れてほしいだけなんだからぁ。」


アスモは、あくまで自分は善意で助言しただけで何も強要していないと、リュジュの言質を取りたいようだ。


これは自身の保身を考えてのことである。


後で自分が巻き込まれるのは、アスモとしてはどうしても避けたいのだ。


そんなアスモの考えを知ってか知らずか、リュジュは文句も言わずに受け入れた。


「ふむ・・・其方は我をけしかけてはおらぬ、今回はそういうことにしておいてやろう。」


「ありがとねぇ。」


言質を取り安心したからか、アスモの口からは思わず感謝の言葉が出てきた。


だがこのときのリュジュには、その意味はまだわからず、本当の意味を知るのは少し後のことだ。


そんな2人が話を終えると、ちょうどそこへ昼食の準備ができたと呼ぶ声が聞こえてきた。


その声に従って、2人は食堂へと移動したのだった。

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