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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第17章 商い革命
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姉妹の未来のために2

そして次の瞬間、雷を纏ったフウロンがメイアの右側に現れ、左足でわき腹目掛けて蹴りを放っていた。


しかしその蹴りをメイアは自分の右足で防いだ。


間髪入れずにフウロンは反対の左側へ移動し、今度は右足でメイアの頭に蹴りを放った。


だがメイアはその蹴りも左手で防いだ。


更に数回、フウロンは様々な攻撃を放つが、その全てをメイアは余裕をもって防いでみせた。


このまま攻めきれないと考えたのか、フウロンは一度離れてメイアと距離を取った。


メイアはというと、今のフウロンの動きを見て、余裕の表情を浮かべながら落胆していた。


「・・・そういえば本来は雷装の方が得意だったわね。

そして相手の間隙を突く体捌きは、昔と比べて格段に上がっているわ。

でもそれだけ。

龍王雷装ではこの程度が限界ね。

正直期待外れだわ。」


一方フウロンはというと、特に焦った様子もなく、構えは解かずに、一度全身の力を抜いて脱力していた。


そして何かを確認するように、僅かに構えを変えた。


「・・・やはりこの程度では駄目ですか。

しかし久しぶりに自分の身体で動くので、感覚に僅かなズレを感じますね。」


「あら、今から負けたときの言い訳?」


更に突っかかってくるメイアだったが、フウロンはそれを無視した。


「ですが少し手間取りましたが、感覚の修正は終わりました。

準備運動はここまでです。」


メイアはフウロンの強がりだと思ったようで、余裕の表情を崩さなかった。


「負け惜しみを言って・・・」


だがメイアの言葉が終わるよりも先に、フウロンの雰囲気が変わって再び動き出した。


「では、死ね!」


すると先程と同様に、メイアの目の前からフウロンの姿が消えた。


最初は余裕の表情を崩さないメイアだったが、すぐに表情が一変した。


いつの間にか、下から突き上げるように放たれていたフウロンの左拳が、メイアの鳩尾へとめり込んでいたのだ。


「ぐふっ!?・・・なっ、なに、が・・・」


混乱するメイアに答えることなく、フウロンは続けて右回し蹴りを上段に放った。


今度は辛うじて目で追えたので、メイアは左手で蹴りを防いだ。


『バキゴキベキッ!』


しかし今度の蹴りは防御などお構いなく、メイアの左手を破壊しつつ、そのまま蹴り抜かれた方向へと吹き飛ばしてしまった。


「ぐぁっ!?」


10mほど飛ばされてから、更にしばらく地面を転がってようやく止まったメイアは、痛みを我慢しながら追撃を警戒して何とか起き上がった。


しかしそこに先程までの余裕は微塵もなかった。


最初とは全く次元の違う攻撃、それもたった2発、しかも1発は防御したはずなのに全く効果がなかったのだから当然の反応だろう。


対してその攻撃を放ったフウロンはというと、すぐに追撃せず、ゆっくりと距離を縮めてきて、メイアの間合いの手前で足を止めた。


そして先程とは逆に、落胆しながら申し訳なさそうにしていた。


「ある程度は予想はしていましたが、ここまで力の差があるとは誤算でした。

これでは完全に弱い者いじめになってしまいますね。」


見下して上から発言するフウロンだったが、メイアは現実を受け入れられないのかそれどころではないようだ。


「なっ、何をした!

私の魔神力の防御を軽く貫通してくるなど、何だそのバカげた力は!」


それを聞いて、フウロンが別の意味でわざと驚いてみせた。


「あれが魔神力?

まるでつい最近覚えたかのような、あの程度の幼稚な練度で魔神力を語るなど、おこがましいですよ。」


あきらかな挑発なのだが、今のメイアにはそれに気づく余裕は無いようだ。


「わっ、私の魔神力が・・・幼稚、だと・・・そんなことあるわけないだろ!」


完全に頭に血が上っているメイアとは対照的に、フウロンは冷静に冷たく言い放った。


「確かに昔の私では貴女に勝てなかったでしょう。

しかしマコト様の教えを受け、フォンフォンと共に力を磨いた今の私には、その程度の魔神力など児戯に等しいのです。

この私の、龍神風雷装、の前ではね。」


「風雷装、だと?

まさか・・・2つの属性を合わせて同時に使ったというの!」


「少し違います。

2つの属性を融合したのです。

これにより上位属性へと変化し、威力は何倍にも増幅されます。」


「そっ、そんなことが・・・」


フウロンが自分の予想を大きく超えた力を身に付けていたことに、メイアは絶望的な表情をしていた。


当然フウロンがそんなことで手を緩めるわけがない。


「お喋りは終わりです。

次で終わりにしてあげます。」


「くっ!」


メイアはフウロンの攻撃に備えて構えてみせたが、既に先程の攻撃で立っているのがやっとの状態だ。


そんなメイアに対して、フウロンは止めを刺すために動いた。


先程と同様に正面から近づくと、フウロンは右拳をメイアの顔に向けて全力で放ったのだ。


メイアにはフウロンの攻撃が全く見えていないようで、なすすべもなくただ呆然と立ち尽くしていた。


しかしあと少しというところで、何故かフウロンが驚いた表情をしながら攻撃を止めた。


「・・・まさか・・・そういうこと、だったのですか?」


何かに気づいた様子のフウロンであったが、何故かメイアは自分が助かったことを喜ばなかった。


そしてフウロンのことを怒鳴り散らしてきた。


「出来損ないの分際で、この私を侮辱するつもりか!

やるならさっさとやりなさい!」


だがフウロンからは先程までの殺気が消え、完全に戦闘態勢を解いてしまった。


「・・・いいえ、私はここまでです。」


「逃げるつもり!」


なおも必死に食い下がってくるメイアだったが、フウロンが戦闘継続の意思を示すことはなかった。


「そうではありません。

約束通り、フォンフォンに残しておいてあげるだけです。

それにその方が、貴女にとっても都合がいいのではありませんか?」


「っ!?・・・」


メイアが一瞬驚きの表情をしただけで何も答えなかったので、フウロンはそこで話を終わりにし、マコトへと頼みごとをしてきた。


「マコト様、お願いがございます。」


「何だ?」


「メイアの怪我を治して、万全の状態にしていただけないでしょうか?」


「いいのか?」


「はい。

その方がフォンフォンのためになりますので。」


「・・・わかった。」


マコトはメイアに近づくと、神法で怪我や体力の回復を行った。


その間メイアは、何故かおとなしく黙ってマコトの治療を受けていた。


それを見届けたフウロンはその場を離れ、ロンフォンの許へと戻った。


すると出迎えたロンフォンが、すごい剣幕で怒っていた。


「フウ姉ね!いったいどういうつもりですか!

何故途中で戦いを放棄して、しかもマコトに回復までさせたのですか!」


そんなロンフォンに対して、フウロンは慌てることなく普段の口調で答える。


「落ちつきなさい、フォンフォン。

私から言えるのは、冷静に相手をよく見て戦いなさい、ということだけです。」


「どういうことですか?」


「そうすれば違和感に気づくはずです。」


「意味がわかりません。」


「すぐにわかりますよ。

フォンフォンがこれまで受けてきた、マコト様たちからの教えを覚えていて、実践することができるのなら。」


「ますます意味がわかりません。」


「つまり要約すると、いつも通りのフォンフォンでいなさい、ということです。

後は直接自分で確かめてください。」


フウロンがここで話を打ち切ったので、ロンフォンもこれ以上は何も教えてもらえないと思ったらしく、それ以上は聞いてこなかった。


「?・・・よくわかりませんが、フウ姉ねがそう言うのでしたらわかりました。

相手が誰であろうと、此方はいつも通り戦います!」


そんないつも通りのロンフォンの姿に、フウロンは満足したようだ。


「そうしてください。

きっとフォンフォンなら大丈夫ですよ。

さぁフォンフォン、あちらも準備ができたようです。」


フウロンの言う通り、既にメイアの治療は終わっているようで、今は身体の動きを確認しているところのようだ。


それを見て、ロンフォンも気合を入れた。


「はいっ、フウ姉ね。

此方が全てに決着を付けてきます!」


そう言い残して、ロンフォンはメイアの方へ向けて歩き出していった。


だがその背中を、フウロンは少しだけ不安そうに見送っていた。


「・・・まぁフォンフォンなら大丈夫だと信じています・・・本当に大丈夫でしょうか?」


そんな少しの心配と動揺を見せはじめたフウロンに、それまで静観していたサクヤが励ましの言葉をかけてきた。


「大丈夫よフウ。

きっと全てを解決してくれるわ。

だから私たちは、フォンさんを信じて見守りましょう。」


「サクヤ・・・そうですね。

今ようやく私は、サクヤの気持ちを本当の意味で理解した気がします。

しかし自分の直感を信じた結果、今回このような形になりましたが、ああするのが正解だったのか、正直なところ今でも悩んでいます。

ただ問題の解決を全てフォンフォンに押し付けて、私個人としては先送りしてしまったのではないか、と。」


不安そうなフウロンの肩に手を置きながら、サクヤは今回の判断を肯定した。


「私はフウが今すぐ答えを出す必要は無いと思うわ。

だからフウの判断は間違っていない。

どうするのが一番いいのか、これからたくさん考えて悩んで、納得する答えを見つけましょう。

私も微力ながら協力するわ。」


サクヤの言葉に、フウロンは自分のことに対してだけは納得したものの、それ以外のことにはまだ迷いがあるようだ。


「ありがとう、サクヤ。

ただこれからがあるのか、それを全てフォンフォンに委ねてしまったわ。

この私の判断が、フォンフォンの未来に影を落としてしまわないか、それだけが不安なの。」


「フウ・・・」


迷いが晴れないフウロンだったが、そこへシーノが独り言のように意見を口にした。


「これは私の個人的な見解ですが、フォンさんは直感で行動するタイプです。

つまり表面上にとらわれず、本質を見抜くことができます。

おそらくマコト様も、それを見越して今回このような場を設けたのだと思います。

ただし懸念として、怒りで我を忘れてしまわないか、それだけが心配でしたが、おそらくそれも問題無いでしょう。

もし怒りに身を任せていれば、既にメイアは跡形も無く死に絶えているでしょうから。

今もメイアが生きていることこそ、フォンさんの成長の証であり、その先はきっと明るい未来へとつながっているはずです。

私はそう思います。」


このシーノの言葉で、フウロンの迷いは全て吹き飛んだようだ。


「・・・ありがとうございます、シーノさん。

そうですね、マコト様が信じてくださったのです、姉の私が妹を信じてやらなくてはいけませんよね。」


「あくまで私個人の見解を述べただけです。

感謝されるようなことは何も。」


「確かにそうかもしれませんが、おかげで私の心も決まりました。

これはその感謝の言葉です。」


「そうですか・・・そろそろはじまりそうですね。」


「はい。」


フウロンは瞬きするのも惜しんで、見逃さないように2人の行く末を見つめた。


そんな中、マコトが離れていくと同時に、ロンフォンとメイアが対峙していた。


「・・・今度は欠陥品のお出ましのようね。

貴女はどうするつもり。

そっちの出来損ないと同じく、途中でしっぽを巻いて逃げるのかしら?」


相変わらず挑発するように悪態をついてくるメイアに、フウロンは怒りの形相を浮かべている。


「黙れ・・・お前の所為で兄にと姉ねは・・・お前だけは絶対に許さない・・・覚悟しなさい!」


自分を睨んでくるロンフォンの姿に、何故かメイアは口元を僅かに緩ませた。


「どうやら今度は最後までやるつもりのようね。

それで、私のことを許せないなら、どうするつもりなのかしら?」


「それはわかりません。」


ロンフォンが雰囲気とは違う答えを返してきたので、メイアは拍子抜けしている。


「・・・はぁ?

この期に及んでいったい何を言っているのかしら。

まさか貴女まであまっちょろいことを言い出すつもりじゃないでしょうね。」


「そんなつもりはありません。

此方はただ全身でぶつかって語り合い、そこからどうするのか判断するだけです。」


「最初は頭がお花畑になってしまったかと思ったけど、どうやらただの脳筋になり果ててしまったようね。

だったら私が、貴女に現実を思い出させてあげるわ!」


メイアは強制的に話を打ち切ると、今度は先に攻撃を仕掛けてきた。


一気にロンフォンとの間合いを詰め、先程のフウロンのように下から突き上げるように左拳で鳩尾を殴ってきた。


完全に虚を突かれた形になってしまったロンフォンだったが、特に慌てることなく左手で軽く受け止めてみせた。


しかしメイアも最初から防がれると思っていたのか、そのまま止まることなくわき腹に目掛けて右膝を放ってきた。


だがロンフォンにはその動きも見えているようで、左手を左側に払って、掴んでいたメイアの左手を蹴りの方へ逸らした。


「ぐっ!?」


そのためメイアの左拳と右膝がタイミングよくぶつかり、攻撃は不発に終わってしまった。


メイアはぶつかる直前、僅かに支点をずらして上手く致命傷を避けたようで、体勢を立て直すために一度後方へ飛び退いてロンフォンから距離を取った。


それでもかなりのダメージを負ったようで、すぐには動けず防御を固めていた。


だがすぐに追撃は行われず、突然メイアをロンフォンが問いただしてきた。


「いったいどういうつもりですか!」


急な問いかけだったからか、メイアは少し考えてみたものの結局意味がわからず、逆に質問してきた。


「・・・どういうことかしら?」


「とぼけないでください!

この期に及んで何故此方を試すような戦い方をしているのです!」


メイアは一瞬動揺を見せたものの、すぐに冷淡な口調で答えた。


「っ!?・・・何のことかしら?

別に私は手を抜いているつもりは無いのだけど。

それとも貴女の方が私よりも強いと勘違いして、上から見下しているのかしら?」


「話をすり替えないでください!」


「だからそんなつもりは無いと言っているでしょう。

本当この失敗作は、どこまで自惚れれば気が済むのかしら。」


再びメイアが悪態をつくと、すかさずロンフォンが指摘してきた。


「それです!

またそうやって話を逸らそうとする・・・此方にはわざとそのような態度をとっているようにしか見えません。

それに最初は勘違いかとも思いましたが、実際に相対してみて確信しました。

さっきからずっと気になっていたのですが、貴女はいったい誰です?

フウ姉ねも此方も、貴女からそのような罵倒を受けるいわれはありません。

そもそも貴女の言葉はどれも本気ではなく、口にする度に自分を責めているように感じます。」


これに対してメイアは、表情変えずにロンフォンの言葉を否定した。


「何を言っているのかしら、私はメイアよ。

貴女たちの母体で、貴女たちを育て、貴女たちに戦い方を教え、貴女たちに数々の実験を行い、そして・・・」


淡々とした口調で自分自身を肯定するための理由を並び立てるメイアだったが、話を途中で遮ってロンフォンが割り込んできた。


「確かに貴女はメイアなのでしょう。

ですがそれは外側だけで、中身は此方たちの知らない別人です。

・・・いえ、少し違いますね。

今の貴女は此方に薬を飲ませる前までの、普通の子供と同じように育ててくれていたときのメイアの雰囲気にそっくりです。」


ロンフォンの言葉にメイアは表情を変えなかったものの、何も反論してこなかった。


「・・・」


構わずロンフォンは、対峙するメイアに感じていた自分の考えを伝えた。


「それだけではありません。

貴女はここで自らの死を望んでいるかのように、これまで執拗なまでに此方たちの憎悪を煽ってきていました。

その度に自身の心を傷つけながら、まるで懺悔するかのように。

以上のことから、貴女は此方たちが倒すべきメイアではないと、此方は考えました。」


メイアの表情には一切変化が無いものの、その雰囲気は全く違っているように感じた。


「・・・」


だがメイアが何も答えないでいると、そこへマコトが割って入ってきた。


「そこまでだ。

メイア、答えが出たな。

もう満足だろう?」


このマコトの問いかけで、メイアは構えを解いて姿勢を正すと、頭を下げて謝罪してきた。


今のメイアは心の底から申し訳なさそうな表情をしており、とても柔らかい物腰で先程までとは別人のように感じられる。


「・・・はい、マコト様。

私の我儘に付き合わせてしまい、申し訳ございませんでした。」


「いや、これは2人が先に進むために必要なことだったから問題無い。

だが俺が言った通り、メイアの願いは叶わなかったな。」


「はい、今回の勝負、マコト様の勝ちでございます。

お約束通り、今後はメイドとしてマコト様に誠心誠意お仕えさせていただきます。」


「ああ、これから頼むぞ、メイア。」


「かしこまりました、マコト様。」


2人だけで勝手に話を進めていると、そこへ先程までメイアと戦っていたロンフォン、それと観戦していたフウロン、サクヤ、シーノが合流した。


「マコト、これはいったいどういうことなのですか!」


「マコト様、私もこの状況について説明を求めます。」


「・・・」


「・・・」


ロンフォンとフウロンがマコトに説明を求めてきている一方で、サクヤとシーノは何も言わずに黙っていた。


このことから、2人は最初からメイアのことを聞かされていたのだろう。


それはマコトがロンフォンとフウロンの2人に向かって説明をはじめたことからもわかる。


「もちろんこれから説明するつもりだ。

だがロンフォンはともかく、フウロンはある程度の事情に気づいているんじゃないか?」


「はい、大まかには。

ですが内容を正しく把握したので、ぜひ詳しい説明をお願いします。」


「此方もフウ姉ねに同意します!

というか、全く状況がわかりません!」


ロンフォンは既に我慢の限界が近く、今にも掴みかかって来そうな勢いだ。


フウロンも平静を装ってはいるが、内心では自分の考えがどこまで正しいのかを早く知りたくて、必死に我慢しているのがわかる。


そんな2人の気持ちを察したマコトは、当事者に最終確認を行った。


「と言っているが、メイア、どうする?」


これに対してメイアは、素直に聞き入れると同時に、ある願いを申し出てきた。


「2人には真実を知る権利がありますので、この場で話しておくべきかと。

それにここまできましたら、私も覚悟をしておりますので、お気遣いは無用です。

ですがその前にマコト様、皆の立ち会いのもと、まずは私から直接2人に謝罪させてはいただけないでしょうか?」


「そうだな。

ただし条件がある。

メイアの口からこれまで何があったのか、その全てを正確に伝えること。

できるか、メイア?」


少し迷ったメイアだったが、すぐに観念してマコトの条件を受け入れた。


「・・・かしこまりました、マコト様。

私の知る全てを、嘘偽りなくこの場で話すことを誓います。」


それを確認して、マコトはメイアの要望を聞き入れたのだ。


「いいだろう。

皆、もう出てきていいぞ。」


マコトがそう言うと、それまでどこに隠れていたのか、サーシャ、ケイ、ノルン、イシス、トウカ、ミィ、フィーア、レティシア、ミレーヌが現れた。


「レティシア、ミレーヌ、今は訓練中なのにどうしてここにいるのですか!」


「サーシャさん、ケイさん、ノルンさん、イシスさん、トウカさん、ミィさん、フィーアさんも何故?

・・・まさか・・・」


突然現れた9人に驚くロンフォンだったが、フウロンはこのメンバーを見て何かに気づいたようで、最後の鍵となる人物、シーノへと視線を向けた。


その視線に気づいたシーノが、まずはマコトへと確認を行った。


「マコト様、この場でお2人に、私たちのことを説明しても構わないでしょうか?」


「ああ、問題無い。」


マコトの許可を得たので、シーノは自分たちのことについて説明をはじめた。


「ありがとうございます、マコト様。

そうです、フウさんの予想通りです。

ここにいる私、サーシャ、ケイ、ノルン、イシス、トウカさん、ミィ、フィーア、そしてメイア、この9人は、遥か昔に謎の組織に捕らわれました。」


「もしやそれは、例の光と闇の聖母神が関与する組織のことですか?」


「そうです。

ただ私たちはつい最近までその実態を知りませんでした。

それを知ったのは、こうしてマコト様に助けていただいた後のことです。

そしてその組織から私たちは、あることを条件に解放を約束されていました。」


「それが、継承者としての力を持った者を見つけること、だったのですね。」


「更にそこへ、全員が、と付け加えられますが、おおむねその通りです。」


「つまり、その組織がそれぞれに割り振った力の継承者を全員見つけるまで解放されることはない、ということですか。

だから貴女方は、執拗なまでに力を持つ者を求めたのですね。」


「そうです。

私は淫力、サーシャは覇力、ケイは霊力、ノルンは幻力、イシスは獣力、トウカさんは血力、ミィは妖力、フィーアは翼力、メイアは龍力を、それぞれ担当していました。

しかし一度見失ってしまった継承者を見つけ出すことは非常に困難でした。

長い年月をかけても継承者は一向に見つからず、ただ時間だけが無駄に過ぎていきました。」


「そんな中、長年の苦しみから早く逃れるために、私たちの一部で超えてはならない一線の先に足を踏み入れてしまった者たちが現れました。

それが、継承者の力の研究、だったのです。

最初は力を理解するためでした。

そうすることで継承者がどこに現れるのかを予測できると考えたのです。

ですが次第に目的は変わり、見つからないのであれば自分たちで作りだせばいいのではないか、そう考える者が出てきたのです。」


「その一部が、私たち、ということですか・・・では残るお2人、レティシアさんとミレーヌさんがこちらにいるのは何故なのですか?

皆さんと同じく、その組織に囚われていたのですか?」


「2人は私たちとは少し事情が異なります。

レティシアさんは、私たちが以前お仕えしていた方の奥様です。

私たちと同じく組織に捕まっていましたが、呪われているわけではなく、最近まで意識がない状態でした。

そしてミレーヌは、この場にはいない、そのとき私たちの同僚だった者の娘です。

ただ直接組織とは関係していません。」


それを聞いて、ここまでシーノの話を素直に受け入れていたフウロンだったが、この話には疑問を感じたようで質問してきた。


「それはおかしくありませんか?

以前聞いた話では、シーノさんはその組織にかけられた呪いによって成長を止められていたからこそ、この時代まで生き続けてきたと言っていました。

どうやってお2人は、今の時代まで生き続けることができたのですか?

やはり皆さんと同じく、呪いによって組織に縛られ、協力を強要されていたのではないのですか?」


「レティシアさんは、マコト様に助け出されるまで、転生装置に捕らわれていました。

そしてミレーヌは私たちを助けようとしたときに、その身を案じたトウカさんがかけた呪いによって、私たちと同じ時を生きることになってしまいました。」


このシーノの話を裏付けるために、フウロンは2人にも事実を確認した。


「今の話は本当なのですか、レティシアさん、ミレーヌさん?」


すぐに2人はシーノの話を肯定した。


「本当です。

遥か昔に皆さんは、メイドとして夫や私に仕えてくださっていました。

そして皆さんと同じく私も捕らえられ、長い間軍国の転生装置内で意識がない状態でした。」


「私は唯一逃げることができたメイドの母に、毎日子守唄代わりに皆さんを助けるように言われ続けながら育ちました。

そして母が亡くなったのを切っ掛けに皆さんを助けようとしたのですが、自分の力を過信した結果、返り討ちにあったのです。

そのときの相手が運良くトウカさんだったため、私は捕らわれずに逃げ延びたものの、呪いで組織に手が出せなくなってしまったため、最近まで隠れて引きこもっていました。」


「そうだったのですね。」


「これが私たちがこの場にいる理由です。

納得いただけたでしょうか?」


「はい、皆さんの関係は理解しました。

確かに皆さんは、この場に立ち会うべき方たちです。」


フウロンは、ここにいる全員が、今この場にいる資格を有することを理解し、それ以上は何も言わなかったのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] その視線に気づいたシーノが、まずはマコトへと確認を行った。 「マコト様、この場でお2人に、私たちのことを説明しても構わないでしょうか?」 「ああ、問題無い。」 マコトの許可を得たので、…
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