記念日の追加
料理の準備が整い、ニナの誕生日と、おっちゃんとおばちゃんの娘になった記念日を祝う席がはじまった。
途中、皆からはニナに誕生日のプレゼントが渡されたり、おっちゃんが気合を入れて作った料理に舌鼓を打ったりと、楽しい時間があっという間に過ぎていった。
そんな中、そろそろお開きの時間が近づいてきたところで、不意にマコトからニナにあることが告げられた。
「ニナ、実は今日大事な話があるんだ。」
「何ですか、マコトさん?」
「本当は迷ったんだが、今のニナなら大丈夫だと思ってな。」
「もうっ、もったいぶらずに早く教えてくださいよぅ。
・・・はっ!もしかして、何か悲しいお知らせですか!
例えば、しばらく忙しくてお店に来られない、とか・・・」
不安そうな顔をするニナだったが、それは杞憂に終わった。
「いや、そうじゃない。
俺としては待ち望んだことなんだが、話を聞いてニナがどう思うか少し心配でな。」
しかしこの答えだけでは不安が解消されなかったようで、ニナが更に念を押してきた。
「悲しいお知らせではないんですよね?」
「ああ、そういう話じゃない。」
迷いのないマコトの答えに、ようやくニナも話を聞く覚悟が決まったようだ。
「じゃぁ大丈夫です。
さぁマコトさん、ドーンと話しちゃってください!」
するとマコトも覚悟を決めて、真剣な表情でまずはニナの名前を呼んだ。
「わかった・・・ニナ・・・」
ニナも緊張した面持ちで返事を返した。
「はい。」
「今日はもう1つ記念日を増やしてほしいんだ。」
マコトの言葉の意味がわからず、ニナが聞き返してきた。
「もう1つ記念日を増やす、ですか?」
そして意を決したマコトは、ニナに自分の想いを伝えた。
「そうだ・・・ニナ、愛している。
どうか俺の女になってくれ。」
「えっ!?」
突然のマコトの告白に驚いたニナは、すぐに言葉が出てこなかった。
そんなニナに、マコトは言葉を続けた。
「以前あんな事件があって、ニナが男に対して恐怖を感じるようになってしまったことは理解している。
だがこれまで俺とは普通に接してくれていることから、少なくとも嫌われてはいないと自惚れている。」
「・・・あっ、あの・・・わっ、私・・・」
ニナはマコトに何か返事をしようとしているが、どうしても上手く言葉が出てこなかった。
それをマコトは、ニナが迷っていると勝手に判断し、逃げ道を用意した。
「もし聞けるなら、すぐにでも返事を聞いておきたいが、急ぐつもりは無い。
落ちついてゆっくりと考えてくれればいい。
まずは俺の気持ちを知っておいてくれ。」
「わっ、私は・・・」
中々答えを口にできないでいると、そんなニナの両肩に、おっちゃんとおばちゃんが優しく手を置いて、背中を押してくれた。
「ほれっ、しっかりしろ、ニナ。」
「ニナちゃん、頑張って。」
するとニナの肩から力が抜け、一度深呼吸をしてから気合いを入れて、ゆっくりと口を開いた。
「・・・すぅーーーっ・・・はぁーーーっ・・・よしっ!
マコトさん!わっ、私・・・私もマコトさんのことが好きです!
助けてもらったあの日から、ずっとずっと大好きでした!
もちろん友だちとしてではありません!
私は異性として、1人の男性として、マコトさんを心から愛しています!
どうか私をマコトさんの女にしてください!」
「いいのか、ニナ?
俺から告白しておいてなんだが、俺の女になるってことは・・・」
真剣な表情で答えてくれたニナに、マコトは自分の状況を説明しようとした。
だがすぐにニナが、自分から知っていることを答えた。
「もちろんティリアやシェイラから聞いて全部知っています。
マコトさんはハーレムを持っていて、そこには他にもたくさんの女性がいるんですよね?
それに既に女の子の子供もいることも知っています。
それでも私の気持ちは変わりません!
だから私のこともそのハーレムに加えてください!」
マコトはこれ以上説明することはないことを理解し、ニナを自分のハーレムに迎え入れることを決意した。
「わかった。
おっちゃん、おばちゃん、そういうわけだから、今この瞬間、ニナは俺の女になった。
どうか俺たちの関係を認めてくれ、頼む。」
そう言ってマコトは頭を下げたのだが、2人はあっさりと認めてくれた。
「認めるも何も、にーちゃんなら大歓迎だぜ!
むしろにーちゃん以外の奴にニナはやらん!
そうだろ、かーちゃん!」
「当然だよ、とーちゃん!
あたしもマコトちゃんになら、安心してニナちゃんを任せられるよ。
マコトちゃん、どうか私たちの大切な娘を、これから末永くよろしくお願いします。」
「俺からも、ニナのことよろしく頼むぜ、にーちゃん。」
マコトは快く認めてくれた2人へ感謝するとともに、自分なりの覚悟を伝えた。
「ありがとう、2人とも。
責任をもって、必ずニナを幸せにすると約束するよ。」
「おうっ!」
「お願いね、マコトちゃん。」
2人が満足そうにしているのを確認して、マコトは改めてニナと向き合った。
「ニナ、これからよろしく頼む。」
「うんっ、マコトさん!んっ・・・」
返事を聞き終えたと同時に、マコトはニナを抱き寄せると、自分の唇でニナの唇を塞いだ。
最初は驚いたものの、すぐにニナもマコトを受け入れ、幸せそうに抱き合いながら、少し長いキスをしていた。
時間にして数秒、周りを一切無視して2人だけの世界に入っていたマコトとニナだったが、名残惜しそうにしながら離れると、これからのことが話し合われた。
「・・・ふぁ・・・マコトさん・・・」
「ニナ、早速だが、今晩は一緒にいてくれ。」
このマコトの誘いの意味を、ニナは正確に理解したものの、最初ということもあって一応意味を確認した。
「・・・そっ、それって・・・その・・・そういうこと、ですよね?」
当然マコトは、隠すことも迷うことも無く答えた。
「ああ、そうだ。
俺は今晩ニナが欲しい、駄目か?」
ニナの答えは決まっていた。
「もっ、もちろん駄目じゃありません!
よっ、よろしくお願いします、マコトさん!」
本人の了承を得たので、続いてマコトは保護者の2人にも許可を求めた。
「決まりだな。
そういうわけだから、おっちゃん、おばちゃん、今晩はニナを預かるぞ。」
これに対する2人の反応はというと、むしろニナよりも乗り気だ。
「おうっ、ニナのこと頼んだぜ、にーちゃん!」
「ニナちゃんをお願いね、マコトちゃん。
ニナちゃん、今晩はマコトちゃんにいっぱい甘えてきなさいね。」
「うっ、うん・・って、もうっ、お義母さんたら、何言ってんのよ!
でも・・・ありがとう、お義母さん、それにお義父さんも。」
ニナは恥ずかしそうにしながらも、2人に感謝の言葉を伝えた。
そんなニナがだんだんといつもの調子を取り戻してくると、おっちゃんはふと昨日のことを思い出した。
「それにしても、驚いたぜ。
まさかここまで、昨日かーちゃんが予想した通りになるなんてな。」
「うん、私もここまでとは思わなかった。」
「しかもにーちゃんを相手にだからな。」
「お義母さんって本当にすごいよね、お義父さん。
でもおかげで事前に心の準備ができたから良かったよ。」
「確かにな。
もしいきなりだったら、お前のことだ、もっとガッチガチに緊張しちまって、何にも答えらんないどころか、声すら出せなかったろ?」
「そうかもしれないね。
本当に、ありがとうね、お義母さん。」
「大事な娘のためだからね。
これくらいはどうってことないよ。」
3人がわきあいあいと家族の会話を楽しんでいると、その内容に興味を持ったマコトも話に加わってきた。
「いったいどういうことだ?
おばちゃんは何を予想してたんだ?」
「実は昨日お義母さんが、もしかしたら今日マコトさんが告白してくれるかもしれない、って教えてくれたんです。」
「それは本当か、おばちゃん?
俺ってそんなにわかりやすかったか?」
「そんなんじゃないよ。
まぁ、女の勘、ってやつだね。
マコトちゃんなら、今日に合わせてくるんじゃないかって予感がしたんだよ。」
「敵わないな、おばちゃんには。
おっと、これからはお義母さん、と呼んだ方がいいかな?
だがそうなるとおっちゃんのことも、お義父さんと呼ばなきゃか・・・」
おばちゃんのことはともかく、おっちゃんのことについては、マコトが少し複雑そうな顔をした。
そんなマコトの心情を察した2人は、笑って呼び方について提案をしてきた。
「あははははっ、今はまだいつも通り、おばちゃん、でいいよ。」
「俺も今は、おっちゃん、のままでいいぜ。
にーちゃんに、お義父さん、とか呼ばれると、何かこそばゆいしな。」
「そうそう、とーちゃんの言う通りだよ。
でもそうだねぇ・・・孫でも生まれたら考えようかねぇ。」
「おっ、そりゃいい。
さすがだぜ、かーちゃん。」
一気に2人の話が飛躍したので、ニナは顔を真っ赤にしながら照れ隠しをしていた。
「まっ、孫!?・・・もっ、もうっ、お義父さんもお義母さんも、気が早すぎるよ!」
恥ずかしそうにするニナだったが、おばちゃんは真剣な表情で言葉を続けた。
「ニナちゃん、子供を産むなら早い内がいいよ。
あたしはね、ニナちゃんには後悔してほしくないんだよ。」
「どういうことなの、お義母さん?」
「これはここにいる中ではとーちゃんしか知らないことなんだけど、あたしたちは子供を作らなかったんじゃなくってできなかったんだよ。
とーちゃんと結婚して店の仕事を手伝うようになったあたしは、そんな新しい生活が楽しくって子供を後回しにしちまったんだ。
しばらくして少し落ちついた頃に子作りをはじめたときにはもう遅かったんだね。
全然子供ができなくって、いろんな医者にも相談したけど、全部原因不明って匙を投げられちまったんだよ。」
「お義母さん・・・」
ニナは初めて聞く話と少し寂しそうにしているおばちゃんの顔を見て、なんて声をかけていいものか、複雑な想いだった。
そんなニナへ、おばちゃんはいつもの笑顔に戻って話を続けた。
「そんな顔をしないで、ニナちゃん。
もちろんあたしは諦めたわけじゃないからね。
あたしもとーちゃんもまだまだ若いんだから、今でも子作りは続けているよ。
頑張ってニナちゃんに弟か妹ができるようにね。」
「えっ!?そっ、そう、なんだ・・・」
突然両親の性生活について初めて聞き、ニナが複雑そうな顔をしていると、おばちゃんは優しい笑顔を浮かべながら、心からの想いを伝えた。
「だけどそんなあたしたちの娘にニナちゃんがなってくれて、同じ日にいい人までできたんだ。
次は孫の顔を見たくなっちまうのは、親としては当然の願いだよ。
まぁこればっかりはしょうがないってもんさ。」
「うん、そうだね・・・よーしっ、私頑張るよ、お義母さん!」
まだ恥ずかしさは抜けきらないものの、やる気を見せるニナの姿に、おばちゃんも満足げだ。
「あははははっ、その意気だよ、ニナちゃん。」
「うんっ、任せて!」
そんな感じでニナとおばちゃんが盛り上がっている中、マコトとおっちゃんはというと、皆から離れた場所へ行き、小さな声で何かを話していた。
すぐに戻ってくると、今度はマコトがシルフィナに何かを耳打ちしていた。
シルフィナは何度か頷くと、すぐにおばちゃんの許へと行った。
「小母様、いくつかお聞きしたいことがあるのですが、少しあちらでお話をよろしでしょうか?」
「どうしたんだい、シルフィナちゃん。
そんなに畏まっちゃって。
皆の前じゃ聞きづらいことなのかい?」
「はい。
駄目でしょうか?」
「そんなことないよ。
じゃぁあっちで話そうかね。」
「はい、ありがとうございます。」
「別に構わないよ。」
そう言っておばちゃんはシルフィナと共に、少し離れた場所へと移動していったのだった。




