ルフェの秘密20
ミザリィとの話が一段落突いたので、続いてルフェはナタリィの質問に答えはじめた。
「じゃぁ次に第三世代についてだけど、分類的には神というよりも、魔獣よりの人型、という表現が正しいかな。
特徴として、人型の身体に獣の頭を持っている、ってことだね。」
ルフェの説明を聞いて、ナタリィはある存在を思い浮かべた。
「・・・何かどこかで見たことがある気がする。」
「あれっ、そうなの?
ちなみにそいつらって、自分たちのことをなんて言ってた?」
「確か、最上級の魔物、って言ってた。」
「ああ・・・それが第三世代で間違いないよ。
あいつら自分たちのことを神だって思ってなかったからね。
だから代わりに自分たちのことをそう言ってるんだよ。
そして逆に自分たちを創った連中が神だと崇拝してる、なんとも不気味な奴らなんだよね。」
「うん、狂信者だった。
やたらと創造主のことを口にしてた。」
「相変わらずだねぇ。
でもそうなるとおかしいことがあるよ。」
「何が?」
「神を創った支配国の研究者たちは、第六世代の神になった末の妹が全員跡形も無く消滅させちゃったはずなんだよ。
だけど連中は、いまだに自分たちが妄信する神、つまりは創造主である古代文明の研究者のために行動してるってことになるよね。」
「もしかして生き残りがいた?」
「うーん・・・当時の状況から考えて、研究者たちの生き残りはいないと思う。
その証拠に、全ての神の支配が解けちゃったからね。
それは第三世代たちも例外じゃないよ。
基本的に古代文明の研究者たちは、護衛のために最低でも1柱は神を支配下に置いていたはずだからね。
そして全ての神は、支配国の誰かしらの支配下にあったんだ。
それが全て解けちゃった時点で、研究者たちが全滅したことは間違いないはずだよ。
唯一の例外は、最後の神である第六世代の末の妹だけだからね。」
「じゃぁ神を支配下に置いていなかった研究者が生き残っていた?」
「そんな奴いたかなぁ・・・私が知る限りだと、1人もいないんだけどなぁ。」
「例えば地位の低い研究者、助手、見習い、とかは?」
「その可能性も無いとは言えないけど、そうなると別の問題が発生するんだよ。」
「別の問題?」
「地位の低い研究者を、第三世代の連中が崇拝するとは思えないんだよねぇ。
だってどう考えても第三世代の創造に関わってないから、崇拝の対象にならないでしょ?」
「確かに。
なら神を支配する方法を知ってた?」
「それは無いと思うよ。
神の支配は最重要機密だったから、かなり地位が高い研究者じゃないと知らなかったはずだからね。
それに神を支配するには、特殊な施設が必要になるんだよ。
ちなみにその施設は真っ先に末の妹が研究者たちと共に消滅させたから、もう神を支配することはできないだろうね。」
「じゃぁ探し当てた?」
「それって、新たに神を支配する方法を見つけたんじゃないか、ってこと?」
「うん。」
「うーん・・・可能性としてはあるかもしれないけど、やっぱりそれも違う気がするね。
第三世代の連中は、覇力による支配だって防ぐことができるんだよ。
今の時代に古代文明ほどの技術力を持つ奴なんて、まずいないと思う。」
「でもマコト様ならできそう。」
「あー・・・確かにできそうだけど、マコトがやると思う?」
「・・・絶対にやらない。」
「だよねぇ。」
「ただ相手が女性なら、支配じゃなくて口説くかも。
それなら言う事を聞くかもしれない。」
「あはははっ、確かに。
でも第三世代に女性はいないから、その可能性はないってことだね。」
「謎が残った。」
「そうだね。
でも近い内にわかるんじゃない?
だから今は深く考えてもしょうがないと思うよ。」
「時間の無駄?」
「そういうこと。」
「わかった。」
ナタリィとの話を終え、ルフェは次の質問の受け付けに移った。
「他に聞きたいことはあるかな?」
そう言ってルフェは周りを見回してみたが、これまでの内容だけでも新たな情報が多かったためか、皆それぞれ考えこんでいた。
おそらく許容範囲を超えそうなのだろう。
そのためここまでにしておくことにした。
「・・・まぁ初めての情報が多かったみたいだから、皆まだ整理しきれないみたいだね。
とりあえず今回はここまでにしておこっか。
続きは次の機会にってことで。」
情報整理で余裕が無いためか、このルフェの提案を皆もあっさり受け入れた。
それを受けて、ルフェは後のことをマコトに任せた。
「じゃぁ今回の私の話はこれでお終い。
マコト、後はよろしく。」
「ああ。
さて、今日はもう遅いから、皆このまま神魔樹で休むとしよう。
シーノ、夕食はどうなっている?」
「私とケイ、それとフィーアで、事前に仕込みを終えております。
後は少し調理するだけで、すぐにご用意できる状態です。」
「なら調理の方は、ティリアとシェイラに任せてもいいか?」
「はいっ、わかりました。(×2)」
「サーシャ、皆の寝床はどうなっている?」
「はい、事前に神魔樹の部屋をいくつかお借りして、既に準備ができてます。
ただ赤ちゃんたちやその母親の皆さんのこともありますから、何かあったときのために何人かはこちらへ寝床を準備したほうがいいと思います。
そのために必要な物を運んでくる必要があると思いますが、どうしますか?」
「そうだな・・・ではすぐに持ってくるとしよう。
シーノ、サーシャ、ケイ、ノルン、イシス、トウカ、ミィ、フィーア、すまないが8人は準備を手伝ってくれ。」
「かしこまりました、マコト様。(×8)」
「シルフィナも手伝ってくれ。」
「かしこまりました、マコト様。」
「それと、エイリ!」
マコトに呼ばれて、エイリはエマを抱っこしたまま近づいてきた。
「いかがなさいましたか、マコト様?」
「今日は神魔樹に泊まるから、フィマとエマの着替えなんかを用意する必要がある。
準備のために一緒についてきてくれ。」
「かしこまりました、マコト様。」
そこへ少し遅れて、アイもフィマを抱っこしたまま近づいてきた。
そのアイに向かって、マコトは指示を出した。
「その間、フィマとエマのことは、アイに任せる。
頼んだぞ、アイ。」
「おまかせください、マコト様。」
「フィマ、エマ、アイの言う事を聞いて、おとなしく待ってられるか?」
だがこのマコトの言葉に対して、2人がおとなしく言う事を聞くわけがなかった。
「えーっ、おとうしゃんたちどこかいっちゃうの?
フィマもいっしょにいくーっ!」
「エマもいっしょーっ!」
「じゃぁ皆と一緒にお泊りしなくてもいいのか?」
「やだーっ、おとまりするーっ!(×2)」
「だったら、少しの間待ってられるな?」
「・・・おとうしゃん、すぐにもどってくる?」
「くる?」
「ああ。
フィマとエマが眠くなる前には必ず戻ってくるよ。」
「じゃぁまってるーっ!」
「エマもーっ!」
「偉いぞ、2人とも。」
マコトは2人を褒めながら、頭を優しく撫でてやった。
それだけでフィマもエマもご機嫌になったようで、可愛らしい笑顔を浮かべていた。
「えへへへへぇ。(×2)」
「・・・ところで、フィマ、エマ、妹たちはどうだった?」
「すーーーっごく、かわいいのーっ!」
「いもうとが、たーーーっくさんなのーっ!」
それから2人は、さっきまで見てまわってきた妹たちについて、その可愛さや新たな妹たちができたことに対する嬉しさを、懸命にマコトへ伝えていた。
すると話が一段落したところで、フィマとエマがあることをマコトへと伝えてきた。
「それとねそれとね、あのことあのこ、それとあのこも。」
そう言ってフィマが、ミーナの娘の双子と、ネーナの娘がいる方へ向かって、順番に手を伸ばした。
「あとあのこもなのーっ!」
更にエマが、アリアの娘がいる方に向かって手を伸ばした。
そして2人は両手を上げて喜んでいた。
「フィマといっしょーっ!」
「エマといっしょーっ!」
「うんっ、みんないっしょーっ!」
「わーいっ、いっしょがいっぱーい!」
2人にそう言われて、マコトは自分でも順番に視線を向けてみた。
「・・・そうか、4人か・・・」
マコトが少し複雑そうな表情をしていると、そこへ2人が元気いっぱいに答えた。
「おとうしゃん、だいじょうぶだよ!」
「うんっ、だいじょうぶ!」
「フィマがいるもん!」
「エマもいるよーっ!」
「だっておねえちゃんだもん!(×2)」
2人は小さな胸を張って、自信満々にそう言い切った。
そんな2人の姿が、マコトにはとても頼もしく見えた。
「・・・そうだったな。
2人ともお姉ちゃんになったんだな。
これから妹たちと仲良くして、2人も妹たちを守ってやるんだぞ。」
「うんっ!(×2)」
「いい返事だ、2人とも。」
そう言いながらマコトは、右手でフィマの、左手でエマの頭を、少し荒っぽく撫でてやった。
「えへへへへぇ。(×2)」
そんなマコトの行為を、2人は満面の笑みを浮かべながら、嬉しそうにしている。
「・・・さて、そろそろ準備をはじめないと遅くなってしまうな。
そうだ、お父さんたちが戻ってくるまで、皆と一緒にお風呂に入って、その後に遊んでもらったらどうだ?」
「いいの!(×2)」
「もちろんだ。
ただし、ちゃんと皆の言う事を聞くんだぞ?
約束できるか?」
「フィマやくそくできるーっ!」
「エマもーっ!」
「じゃぁちょっとだけ出かけてくるから、その間いい子にお留守番してるんだぞ。」
「うんっ、おとうしゃん、いってらっしゃーいっ!」
「いってらっしゃーいっ!」
「ではこっちは頼んだぞ、アイ。」
「はい、お任せください。
行ってらっしゃいませ、マコト様。」
「ああ、行ってくる。」
マコトはアイにこの場を任せると、ゲートを開いて中へと入って行った。
それに続いて、メイドの皆もゲートへと入り、何処かへと行ってしまったのだった。




