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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第16章 幻と夢の狭間
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武人族についての考査2

そんな中、マコトが発した言葉は、衝撃の内容であった。


「俺は、武人族というのは精霊から派生した種族、だと考えている。

ただしかなり変異的な派生だ。

おそらく精霊としての自我を得る前に、何かの手違いで精界からこの世界へと来てしまったじゃないかと思う。

だがそのままではすぐに消滅してしまうと本能的に悟り、たまたま近くにあった武具と融合したのではないだろうか。

そのため実体を持ってしまったんだろう。」


だがそのマコトの考えに、イクスとノーラが疑問を口にした。


「ちょっと待ってください。

それでは何故私たちの普段の姿が、武具ではなく人型なのですか?

武具に宿ったのであれば、そのまま武具の姿でいることが自然なはず。

それこそノンやステラと同じ存在になっていたはずです。」


「だがそうはならなかった。

それには別の要因もあったんじゃないのか?」


マコトは2人の疑問に対する答えをあらかじめ用意していたようで、すぐに答えが返ってきた。


「あくまで俺の予想だが、おそらくその宿った武具に使用者の強い想いが残っていたのではないかと思う。

そのため基本の姿が武具ではなく人型なんだと思う。

ノンやステラの場合は未使用の武器だったから、基本の姿も武器となったんだろう。

それに自我もパートナーと共に成長しながら形成されていったから、ということも関係しているんだろうな。」


ここまでマコトの話を聞いて、アーシアとホムラは、その考えに概ね納得していた。


「なるほど・・・今のマコトさんの考え聞く限り、納得させられる部分の方が多かったですね。

ホムラはどう思います?」


「ふむ・・・儂もマコトの考えには納得させられておる。

しかしマコトよ、儂らの記憶と記録を視たお主なら、儂らが生まれた瞬間がどうだったのかを知っておったのではないのか?

だがこれまでのお主の話は、その大半が予想に基づくものじゃった。

これはいったいどういうことなんじゃ?」


別の疑問がホムラから浮上したが、それについてもマコトが説明を付け加えた。


「まぁホムラが疑問に思うのも当然だな。

確かに4人が生まれた瞬間は記録として視ることができた。

だがその手前、生まれるまでの過程については、視ることができなかったんだ。」


「どういうことですか?」


「普通、人が生まれる場合は、母親の胎内で成長し、幼いながらもある程度の自我が形成される。

この場合は、母親の胎内での記録もある程度は視ることができる。」


「だが武人族の皆の場合は、それが突然起こったんだ。

つまり自我が形成された瞬間に、人型の赤ん坊の姿に変化した、というわけだ。

この変化が起こった瞬間に、おそらくは別の存在、武人族として生まれ変わったんだろう。」


「俺が視たのは、あくまで武人族としての4人の記憶と記録だからな。

だからその瞬間以降の記憶と記録しか視れなかったんだ。

そのことから、それ以前は別の存在であったんだと思う。」


「ただし、もし生まれ変わる前の武具を特定できれば、その前のことも視ることができるかもしれない。

しかし時代や場所が特定できない限り、それは難しいだろう。」


「そして5人が生まれ変わった場所、それは5人を育てた女性の家のベッドの上だ。

おそらく精霊が宿った武具を事前に回収し、新たに誕生するのを待っていたんだと思う。

それはつまり・・・」


さすがにここまで話を聞けば、ノーラにもわかったようだ。


「私たちを育ててくれた女性は、最初から私たちのことを知っていた、ということだな。」


「そうだ。」


「では私たちを育ててくれた女性の記憶と記録を視ることができれば、少なくとも人型の赤ん坊になる前がどうだったのかがわかるということですね?」


「そうなんだが、実は俺はその女性に心当たりがある。」


「儂らの記憶から顔を見ておるわけじゃからな。

それで、どこで逢ったことがあるんじゃ?

そういうことなんじゃろ?」


「いや、俺は皆を育てた女性に逢ったことは無い。」


「ですが心当たりがあるのですよね?」


「ああ。

正確には、中の人物に、だがな。」


「中の人物?

どういうことなんだ、マコト?」


「おそらくあの身体は、作り物か借り物だろう。

そこに魂だけ宿っていたんじゃないかと思う。

そもそも何万年も前の話だ。

普通に考えれば生きていられるわけがない。

だが俺は数年前に、同じ魂の持ち主に逢ったことがある。」


「その方が私たちを育ててくれた女性かもしれない、ということですね?」


「そういうことだ。

それに精霊に関することだったら、直接精霊神たちに聞いてみればいいしな。

どうせだから両方から話を聞いてくれば、おそらく武人族の出生の秘密もわかるんじゃないかと思う。

ちなみに近々逢うことになると思うから、必要であればついでに話を聞いてくるが、どうする?」


マコトに聞かれ、まずはホムラが答えた。


「儂らとしては、真実を知れるものなら知りたい、というのが本音じゃ。

マコトの負担にならぬのであれば、ぜひ頼みたいのう。

イクス、ノーラ、アーシア、お主らはどうする?」


ホムラに話を振られ、3人も自分たちの意見を口にした。


「私も真実が知りたいです。」


「私も謎のままにはしておきたくないな。」


「私も2人と同じ意見です。」


「決まりじゃな。

というわけでマコトよ、すまぬがその精霊神と女性に確認してもらっても構わぬか?」


「わかった、引き受けよう。」


「頼みます。」


「頼む。」


「お願いします。」


「うむ、頼むぞ。」


マコトが了承すると、4人は満足そうな顔をして、結果を待つことにしたのだ。


すると話が終わったのを見計らって、サラが先程の続きを聞いてきた。


「・・・あのぉ、マコト様、先程の話の続きをしても構いませんか?」


「ああ、構わないぞ。

確か神人の受精から出産までの期間だったな?」


「はいっ、覚えていてくれたんですね!」


「もちろんだ。

それで期間だが、神人は、通常15ヶ月だな。」


「随分長い期間なんですね。」


「それには理由があってな。

神人の胎児は出産可能なほど成長しても、更に5ヶ月ほど母親の胎内で成長してから生まれる。

しかも期間が長ければ長いほど、神人としての格が高くなるんだ。

確か今までの最高記録が、36ヶ月だったはずだ。

そのときは、母親のお腹はかなり大きくなっていて、相当な難産だったらしい。

そして生まれてきた子供は、僅か数分で歩けるようになったそうだ。

まぁ3歳児と同じくらいまで成長していたのだから、それも当然だな。」


「マコト様のときはどうだったのですか?」


「俺のときは、10ヶ月だ。」


「さすがはマコト様、最高記録には及びませんが、普通の神人よりも長かったのですね。」


「いいや、そうじゃない。

俺が生まれるまでにかかった期間が10ヶ月だ。

つまり出産可能になった時点で、すぐに生まれたというわけだ。

それもあって、俺は神人の中では出来損ないと言われていたんだ。」


聞いてはいけないことを聞いてしまったと、サラは焦ってしまった。


「もっ、申し訳ありません!

私・・・はぅっ!?」


サラは気まずそうに謝罪を口にしたが、マコトに頭を優しく撫でられて、途中で言葉が止まってしまった。


「別に気にすることは無い。

俺や両親、他の親戚連中も、一部を除いてそんなことは気にしていないからな。

それに元々半分しか神人の血を引いていないし、第3の目が無い時点で、そう言われるのは仕方ないことだ。」


「でっ、ですが!」


「俺を嫌いな奴らや、よく知らない連中に馬鹿にされたとしても、そんなのは気にするだけ損だ。

俺は皆が俺を理解して、好きでいてくれるならそれでいい。

だからサラもそんな連中のことは気にしなくていい。

貴重な時間を無駄にするだけだ。」


「・・・はい・・・マコト様。」


完全には納得できないようだが、サラはマコトの言葉に渋々頷いた。


さすがにそんな顔のままでは話を終わりにできないと思ったマコトは、そこへ一言付け加えた。


「だが俺たちに対して明確な敵意を持ってくるというなら話は別だ。

そのときは二度と刃向かえないように、徹底的に叩きのめせばいい。」


そのマコトの言葉を聞いて、サラは笑顔で頷いていた。


「はいっ、わかりました、マコト様!

そのときは容赦なく叩き潰しますね!」


ようやく笑顔を見せてくれたので、マコトは我慢できずに順番をすっ飛ばしてサラを抱きしめ、そのまま可愛がってしまったのだった。

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