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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第16章 幻と夢の狭間
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ルフェの秘密9

マコトは僅かに間を開けてから、その内容についての詳しい説明をはじめた。


「・・・宗教というのは、簡単に言えば神を崇拝する集団だ。

信者たちにとって神を崇拝する理由は様々だが、その神の教えに救いを求めてというのがほとんどだろう。

当時支配国内では宗教の自由が許されており、多くの宗教が乱立していた。

そのため宗教ごとに様々な神の定義が存在していたんだ。」


「ある者は、神とは、絶対的な力を持ち、ありとあらゆるものを破壊することができる存在である、と。

別の者は、神とは、ありとあらゆるものを創造することができる存在である、と。

また別の者は、神とは、何ものにも侵されることのない、不変な存在である、と。

他にも、この世の全てを知る神、不老不死の神、中には人外の姿をした神など、多種多様な神の定義が確立していった。」


「ここで注目してほしいのは、どうしてここまで数多くの宗教が生まれたのか、という点だ。

宗教の違いというのは、大きく分けて2つある。

1つは信仰する神の違い、もう1つは教義の違いだ。」


「前者は信仰する神が複数存在するために起こる。

特に神同士が対立していたりする場合は、信者同士も険悪になる。

だが逆に言えば、神同士が友好的な関係の場合は、信者同士の対立も少なく、むしろ良好な関係を築いて協力的になることの方が多い。」


「そして後者は、互いに信仰する神の教義に少しでも相反する部分がある場合は、非常に険悪な関係となってしまう。

最悪なのは同じ神を信仰している場合だ。

これは宗教のトップである教祖や指導者などのトップたちによる教義の解釈の違いによって起こるんだが、実際のところはただの主導権争いだ。

そのため互いの宗教を根絶するために、ほぼ確実に武力衝突へ発展する。」


「支配国内でも宗教の自由が人々の枷を解き放ち、当然それは起こった。

最初の内は表立って対立するようなことはなかった。

だが各属国から上がってくる技術が集まってくると、次第に対立が表に出はじめたんだ。」


「何故かというと、各宗教が自分たちの崇拝する理想の神を、属国の技術を利用して偶像の代わりに創りあげたからだ。

当然象徴としてだけのただの動く偶像ではなく、それなりの力と意思を持った神のごとき存在をだ。

これによって、それまでは作り物の偶像を崇拝するだけだったのが、実際に意思を持つ偶像に変わったことで、信仰は狂気を孕むほどに加速していく。」


「そんな宗教団体が複数存在すれば、必然的に物理的な衝突が発生することになる。

最初は数人の信者同士による小競り合いからはじまり、次第に規模が大きくなると、とうとう宗教全体を巻き込むほどにまで拡大する。

これが信者同士の衝突で終わっていれば、事態の収拾も可能だったかもしれない。

だが実際には神として創られた偶像が参戦したことで、予想を大きく超えて被害が拡大することになる。」


「創られた神とはいえ、その力は強力すぎるものだったため、このままでは支配国だけでなく、世界そのものが滅んでしまう。

そう考えた支配国の上層部は、事態の収束を図るために、ある計画を立ち上げたんだ。

それが、神を管理するための神を創る、というものだった。」


「そのために、7人の少女たちが選ばれたんだ。

何故その少女たちが集められたのかというと、いくつかの条件に合致するからだ。

その条件というのが、孤児であり、互いに親しい関係であり、そして強い力と高い潜在能力を持つことだった。

普通に考えれば、全員が全ての条件を満たすことは非常に難しい。

まずはその経緯を話していこう。」


「支配国では神の創造が計画される以前から、世界中から様々な天才、鬼才、奇才など、あらゆる可能性を秘めた孤児たちが集められていた。

そして一緒に生活させながら、多種多様な分野において、かなり際どい研究が行われていたんだ。」


「何故そんな研究が行われていたのかというと、支配国としての地位を確固たるものとするためだ。

支配国としては、従属国に対して常に自分たちが上位の存在であることを見せつける必要がある。

そうすることで事前に従属国から反乱の芽を刈り取り、自分たちの支配が永遠に続くようにしたんだ。」


「だがどうして研究のために集められたのが、多くの幼い子供たちだったのかという疑問が残る。

これには3つの理由がある。

1つ目は、余計な固定観念に囚われていない、子供の自由な発想と想像力を期待して。

2つ目は、子供の吸収率と成長率の高さから。

3つ目は、これが一番の理由なんだが、子供が自分たちの都合がいいように御しやすいから、だ。」


「子供というのは、表面上でも優しく接してくれる大人には、心を許してしまう場合が多い。

中には大人の裏の顔をを見抜いてしまう子供もいるが、それは少数のため、他の子供たちの手前、表に出せなくなってしまうことが多い。

研究者たちはそれを利用して、子供たちから信頼される大人を演じて上手く立ち回ったんだ。」


「また子供同士というのは好き嫌いが激しい半面、意外と仲の良い集まりを作るのが早い。

研究対象として1か所に集められ、過酷な実験が行われれば、その辛さを乗り越えるために、それは顕著に表れると考えたんだ。」


「そこで研究者たちがどうしたのかというと、まず最初に1ヶ月ほど全ての子供たちを一か所に集めて生活させた。

すると10人前後の仲の良い集団が複数できたんだ。

そのまま子供たちは仲の良い集団ごとに班分けされ、それぞれ共同生活をしながら研究が行われることになった。

その後、研究者たちの予想は見事に的中し、まるで血を分けた兄弟姉妹のように、班の子供たちは深い絆で結ばれるまでに、その親密性を増していった。」


「そんな中、ある9人の女性だけで構成されている班から、1人の少女が最初の神となるための被験者となったんだ。

選ばれたのは最年長の少女で、優しくて面倒みがよく、少女たちの中で姉としてとても慕われていた。

この時点では、様々な研究による実験は過酷でも、少女たちと研究者たちの間では、良好な関係を築くことができていた。

そのため姉が神となるための最初の被験者に選ばれたとき、少女たち全員がその誉れ高き栄誉に、喜びの声を上げていた。」


「だが少女たちは、すぐにそれが間違いであったと、嫌でも目の当りにすることとなる。

その後実験は見事に成功し、姉は神として新たな存在へと生まれ変わった。

当然少女たちも、姉が無事に神となったことを喜んでいた。」


「しかし姉がその神としての力を最初に使ったとき、予想外の事態が起こった。

それは、神として想定していた能力を遥かに下回っているどころではなく、完全に使い物にならないと、失敗の烙印を押されてしまったからだ。

何故なら神となる前の姉の能力の方が高かったため、研究者たちは激しく落胆した。

そのため研究者たちは、神となった姉をどう処分するか、すぐに検討をはじめてしまったんだ。」


「これまで様々な実験の被験者となってきた少女たちだったが、実験が失敗に終わっても処分されることは一切無かった。

むしろ実験後に少女たちは、成功すれば褒めてもらえ、失敗しても自分たちの身を案じて心配し、ときには励ましてもくれた。

それは他の班も同様で、理由として、実験が成功しても失敗しても、少女たちが支配国の脅威になることは無かったためである。

更にそれまでは危険な領域に踏み込んだ研究が行われていなかったため、子供たちが危険にさらされることも少なかった。」


「だが今回の実験は違う。

研究者たちは、これまでの集大成とも言える、神の創造という壮大な研究が成功したと、最初は大いに喜んだ。

成功するか失敗するかは、まさに神のみぞ知るという実験だったのだから、その喜びようは相当なものだ。」


「だがそう思った矢先に、それが全く使えない結果に終わったため、その落胆は相当なものだった。

そのため被験者は失敗者となり、更には廃棄処分するという結論へすぐに至ってしまうことになる。

実際には自分たちの失敗を無かったことにし、全ての責任を被害者でもある被験者の少女に押し付けたんだ。

これは研究者たちの小さなプライドが招いた、卑怯で残酷な結果だ。」


「そんな研究者たちの真の姿を今回の実験で見てしまった少女たちは、自分たちの置かれている立場というものを理解した。

いや、現実を目の当たりにして、無理矢理理解させられてしまった。

それまで優しい大人に見えていた研究員たちが、大好きな姉をまるでゴミでも見るように蔑む目で見ていたのだから無理もない。

そして研究者たちは、自分たちの失敗を無かったことにするために、姉の廃棄処分をはじめようとしたんだ。」


淡々と冷静な口調で話を進めるマコトであったが、その表情からは悲しみと怒りが滲み出ている。


そんなマコトの姿を、話を聞いている皆は心配そうに見つめながらも、黙って話の続きに耳を傾けていたのだった。

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