ルフェの秘密7
これに対する3人の対応は、なんとも冷たいものであった。
「ああ、これは気にしないでくれ。」
「いつものことですから、そのまま放っておいてください。」
「うむ、その内元に戻るからのう。」
するとこの3人の対応に頭にきたのか、落ち込んでいたイクスが顔を上げて文句を言いはじめた。
「・・・どうせ私だけ、まだマコトと子作りできていませんよーだ。
3人はいいですよね、マコトとたくさん子作りができて。」
そんなイクスの話を聞いて、ルフェが3人に理由を聞いてきた。
「どういうことなの?」
特にマコトからは口止めされていないため、3人はその理由を説明しはじめた。
「私たち3人は既にマコトと子作りしているんだが、どうやらイクスはその前にやることがあるらしい。」
「やること?」
「そうです。
どうやらイクスは、私たちには無い秘めた力を秘めているようです。」
「じゃからその力を使えるようになるまでは、子作りはお預け、と言う訳なのじゃ。」
その説明で全ての状況を察したルフェは、呆れた視線をイクスに向けていた。
「なるほど、それで拗ねているというわけね。
ホント、そういうところは相変わらずお子様なのね、イクスは。」
これにはイクスも落ち込んでいる場合ではないと思ったのか、激しく反論してきた。
「別に拗ねてなどいませんし、もうお子様でもありません!」
「そうやってむきになるところが、お子様って言ってるのよ。」
「むむむむむぅ・・・ルフェはいつもそうです!
私だけ子供扱いして・・・私だってもう人生経験豊富な大人なんですから、対応の改善を要求します!」
更にむきになっているイクスの姿に、ルフェはやれやれと思いながらも、昔もこんなことがあったなぁと、懐かしく思っていた。
しかしこのままでは今の面倒くさい状態のイクスに、いつまでも付きまとわれるのは間違いないと、ルフェは過去の経験から確信していた。
そこで仕方なく、ある提案を持ちかけた。
「別にイクスだけに言っているわけじゃないわよ。
今のイクスの言動がお子様だから言ってるのよ。
でもそうねぇ・・・もし自力で私に一撃を入れられるようになったら、そのときは1人の女として対等に扱ってあげるわ。」
この提案に、イクスはすぐ飛びついた。
「いいでしょう!
その試練、すぐに超えてみせます!
そして絶対にお子様扱いを卒業してみせます!
首を洗って待っていなさい!」
こういったところがお子様なのだと言いたいのを我慢し、ルフェは自分の話を終わりにして、次のイクスに迫る問題を教えてやった。
「はいはい、いつでも挑戦待ってるわよ。
・・・ところでイクス、そっちへの言い訳はどうするつもりなの?」
そう言いながら、ルフェがイクスの後ろを指差した。
これに対してイクスは意味がわからず、とりあえず後ろを振り返ってみた。
「言い訳?
ルフェ、何を言って・・・」
そしてイクスが目にしたのは、笑顔を浮かべたシルフィナの姿であった。
自分の方をイクスが見たので、シルフィナがいつもの口調で口を開いた。
「ルフェさんとのお話は終わりましたか、イクスさん?」
そんなシルフィナの姿を見ながら声をかけられたイクスは、思わず叫びかけたのを何とか堪え、恐る恐る尋ねてみた。
「ひっ・・・なっ、何ですか・・・しっ、シルフィナ・・・」
緊張した面持ちで答えを待つイクスであったが、シルフィナの口から出たのは、思っていた内容とは違っていた。
「いえ、新たな目標ができたのは、とても喜ばしいことです。
困難な道ではありますが、私もイクスさんがルフェさんに認められるよう、微力ながらお手伝いしますね。」
このシルフィナの言葉に、イクスは安堵し、同時に強力な援軍を得たことを確信した。
だが更なる厳しい訓練が待っていることを悟り、喜ぶべきなのか悲しむべきなのか、このときのイクスはわからなくなってしまった。
そのため表情と言葉からは、感情が抜け落ちてしまったようになり、そんな状態で返事を返していた。
「あっ・・・はい・・・よろしくお願いします・・・」
しかしシルフィナの話には、まだ続きがあった。
「ただ・・・マコト様の話を聞き入れず、ご迷惑をおかけしたことは、見過ごすわけにはいきません。」
一気に地獄へと叩き落とされたため、イクスはすぐに状況を理解できなかった。
「・・・えっ?」
更にシルフィナの話は続く。
「そしてこれについては、ノーラさんとアーシアさんも同罪です。」
「・・・えっ?(×2)」
「更に3人の暴走を止められなかったホムラさんも、連帯責任ということで同罪とします。」
「・・・えっ?」
自分たちにも突然飛び火し、3人もすぐに状況を理解できずにいた。
そんな4人に構わず、シルフィナから判決が告げられようとしていた。
「というわけで、皆さんにはお仕置きを・・・」
シルフィナの雰囲気が変わったため、これから何が行われるのか理解した4人は、急速に実感が湧いてくると、恐怖のあまり小さな悲鳴を上げて後退った。
「ひぃっ!(×4)」
しかし変わったのは一瞬だけで、すぐにシルフィナの雰囲気が普段の穏やかなものに戻った。
「・・・と、いつもでしたら考えるところなのですが、今回は全員不問としましょう。
こうなることは予想されていましたし、事前にマコト様からも、大目に、と言われておりましたので。」
このシルフィナの言葉に、緊張して構えていた4人は一気に脱力した。
「よっ、よかったぁ・・・(×4)」
安堵する4人であったが、そこへ間髪入れずにシルフィナが釘を刺してきた。
「ですが・・・次はありませんよ。
そのことを肝に銘じて、今後はくれぐれも同じことを繰り返さないよう、気をつけてくださいね。」
これに対して、4人は反射的に姿勢を正しながら、慌てて返事を返していた。
「はっ、はいっ!以後、気をつけます!(×4)」
その姿に満足したのか、シルフィナもそれ以上は何も言わず、今後のことをマコトに尋ねた。
「よろしい。
ではここでいつまでも立ち話をしていても仕方ありません。
一度皆さんのところへ戻りましょう。
ルフェさんへの質問は、そこでということで。
それでよろしいでしょうか、マコト様?」
それまで黙って静観していたマコトは、余計なことを言って話をぶり返すようなことはせず、シルフィナの話に合わせて答えた。
「そうだな。
それじゃぁ戻るぞ、皆。」
「かしこまりました、マコト様。」
「そうね。」
「・・・はい・・・(×4)」
マコト、シルフィナ、ルフェは、来たときと変わらず普段通りであった。
だが武人族の4人は疲れ果てた表情で、ゲートへと入っていったのだった。




