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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第16章 幻と夢の狭間
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ルフェの秘密3

5人がやってきたのは、普段訓練で使われている訓練場であった。


先頭を歩くルフェは、4人とある程度離れた場所で立ち止まってから振り返った。


「・・・さてと、ハンデとしてこのままで相手をしてあげるわ。

貴女たちは殺す気でかかってきなさい。

全力を出さないで負けたら、言い訳されるのも面倒だからね。」


ルフェはこれからまるで散歩でもするかのような落ちついた雰囲気で、白衣のポケットに両手を突っ込んだままそう言った。


これに対して武人族の4人は、そのルフェのなめた態度に、もはや怒りが爆発寸前だった。


いくら恩人とはいえ、ここまで見くびられ馬鹿にされては、さすがに我慢の限界だからだ。


4人は無言で、それぞれ自分たちが武器化したときの姿、剣、ハンマー、槍、盾を構え、臨戦態勢を取っている。


イクスの剣は両手持ちの大剣で、全体が白い諸刃の直刀である。


ノーラのハンマーはヘッド部分が巨大で、全体が茶色だ。


アーシアの槍は全体が青く、薙刀の形状をしており、その刃は幅広で、まるで剣のようだ。


ホムラの盾は全身が隠れるほどの巨大な長方形の大盾で、全体が赤い。


それぞれの構える武器を見て、ルフェは満足そうにしている。


「うんうん、どうやら全員、本気の本気みたいだね。

マコト、開始の合図をしてもらってもいい?

これは殺し合いじゃなくて、ただの模擬戦だからね。」


皆と共に映像で様子を見ていたマコトは、何も言わずに了承して、すぐに合図を送った。


『わかった。

それでは・・・はじめっ!』


この合図と同時に、まずはホムラが盾を構えたまま、ルフェに向かって一直線に突進してきた。


それは攻防一体の突進で、通常は左右か上に避けるか、正面から同等以上の突進で防いだり返り討ちにする必要がある。


後方に引くという手もあるが、相手の突進よりも素早く下がらなければいけないため、普通は取らない手段だ。


ただそれは、相手と1対1の場合にしか使えない手である。


今回相手は4人。


ルフェの行動を予測して、あらかじめ左右からはイクスとノーラが挟み込むように接近してきている。


更にホムラの背後からは、僅かに遅れてアーシアがルフェに接近してきており、正面突破されたり上に避けた場合に対応している。


これで左右と上の逃げ道は塞がれてしまった。


こうなるとルフェには、ホムラとアーシアを同時に正面突破するか、後方に下がって避けるしか選択が無くなる。


本来は接近される前に、遠距離攻撃でホムラを近づけさせずに対処するのが最も簡単な対応方法だ。


だがルフェは何もしないまま最初の位置から全く動かず、簡単に4人の接近を許してしまう。


そんな状況でも、ルフェは相変わらず余裕の笑みを浮かべており、4人はそれを不気味に感じていた。


しかしそんなことで怖じ気づくような4人ではなく、予定通りにまずはホムラがルフェに突進した。


残りの3人は、ルフェがどう動いてもすぐに対処できるよう、見失わないように注意していた。


そしてホムラがルフェへと盾ごと突進した。


「吹っ飛ぶのじゃーっ!」


誰がどう見ても、ルフェが後方に吹っ飛ばされる、そう思ったが、ここでようやくルフェが動いた。


突進してきたホムラの盾と接触する瞬間に、合わせるように軽く右足を前に突き出したのだ。


当然ホムラは気にせず、そのままルフェへと突進した。


その結果ホムラは、ルフェの前蹴りによって盾を破壊され、逆に後方へと吹っ飛ばされてしまった。


そうなると、すぐ後ろにいたアーシアに向かってホムラが飛んでくることになる。


「えっ!?」


何が起こったのか、わけもわからずアーシアは混乱したが、抜群の反射神経で、奇跡的に飛んできたホムラの身体をかわすことに成功した。


共倒れを防げて安堵したアーシアであったが、意識がホムラへと向かってしまった一瞬の隙が命取りとなる。


気づいたときには一歩踏み出したルフェが目の前におり、アーシアに向かって左足で蹴りが放たれた。


これをアーシアは、またしても抜群の反射神経で、持っていた槍の柄の部分で蹴りを防いだ。


しかしルフェの蹴りは、いとも簡単に槍を蹴り砕き、そのままアーシアは左足の蹴りをまともに受けることになってしまった。


そのためホムラの後を追うように、同じ方向へと吹き飛ばされてしまったのだ。


一瞬で2人がやられたものの、イクスとノーラは冷静さを失わず、ルフェを攻撃することだけに集中していた。


アーシアに蹴りを放った瞬間の隙をつき、ルフェの左からイクスが、右からはノーラが、同時に攻撃を放つ。


「はっ!」


「つぶれろ!」


今度こそ避けられない、そう確信した2人だったが、ここでもルフェはそれを上回ってみせた。


アーシアに蹴りを放った左足を軸に、その勢いのまま回転して、右足で後ろ回し蹴りをノーラのハンマーに向かって放ったのだ。


互いに正面からぶつかった結果、ルフェの蹴りが勝り、アーシアのハンマーを破壊してしまった。


「馬鹿な!?」


その勢いは止まらず、ルフェはそのままハンマーを蹴り抜いて回転し続け、今度はイクスの振り下ろす剣に向かって蹴りを放った。


普通に考えれば、横から剣の腹を蹴り、曲げるなり折るなりするだろう。


だがルフェは、振り下ろされる剣の刃に向けて、正面から蹴りを放ったのだ。


そんなことをすれば、通常は生身の足の方が剣によって斬られてしまうはずだ。


その常識をルフェは、あっさりと覆してみせた。


蹴りでイクスの剣を、正面から粉砕してしまったのだ。


「なっ!?」


2人が驚く間もなく、ルフェは更に攻撃を続けた。


突然その場から姿が消え、武器を破壊された勢いで仰け反ったノーラの背後に、いつの間にか移動していた。


そして既に吹き飛ばされた2人と同じ方向へ向けて、ノーラを蹴り飛ばした。


またすぐにルフェの姿が消え、今度は同じく武器を破壊されて仰け反ったイクスの背後に移動していた。


こちらも先に吹き飛ばされた3人と同じ方向へ向けて、イクスを蹴り飛ばした。


結果として4人はかなり離れた場所まで吹き飛ばされ、同じ場所で順番に積み重なっていた。


それを見届け、マコトから決着が告げられた。


『・・・それまでっ!

勝者、ルフェ!』


ルフェはマコトから終了の合図を受け、蹴りの構えを解いた。


しかも開始から終わりまで、両手は白衣のポケットに突っこんだままでだ。


そして少し感心したように、4人が吹っ飛ばされた方へ向かって口を開いた。


「いやーっ、前言を撤回するよ。

皆なまくらじゃぁ無かったようね。

でも少しはまともになったみたいだけど、その程度の強度じゃ、まだまだ私には遠く及ばないわよ。

4人とも、もっと訓練を積んで出直してきなさい。

さぁ、ちゃっちゃと戻るわよ。」


それだけ言って、ルフェはゲートへと向かって歩き出した。


その様子を見て、イーリスが気づいた。


「・・・はっ、マコト様、早く武人族の皆さんを回復して差し上げないと!」


そう言ってイーリスがゲートへと入ろうとしたが、それをマコトが肩を掴んで止めた。


「マコト様?」


「大丈夫だ。

4人とも派手に吹き飛ばされはしたが、誰も怪我らしい怪我はしていない。」


マコトの言葉通り、映像に映る4人が、ゆっくりとではあったが、立ち上がる姿が見えた。


その姿を見て、イーリスを含め、その場の全員が何事も無かったことに安堵していたのだった。

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