夢幻の森の試練13
一方その頃、新たな精霊神たちに案内され、3人は湖の方へと向かっていた。
そして湖畔へとやってくると、新たな精霊神たちが立ち止まり、3人へと最初の指示を出した。
「それではこれより契約を行うための準備をはじめます。
ミザリィ、ナタリィ、シェイラ、まずは3人とも服を全て脱いでください。」
これに対して3人は、素直にその指示に従った。
「うん。」
「わかった。」
「はい。」
3人がその場で服を脱ぎ、足元に服を畳んで置いたのを確認してから、新たな精霊神たちも準備をはじめた。
「では、私たちも。」
「うん。」
「わかったのである。」
3人がそう言うと、それまで着ていた服がどこかへと消え、その場にいる全員が全裸になった。
特に恥ずかしがることもなく、新たな精霊神は次の指示を出した。
「ではミザリィ、ナタリィ、シェイラ、そのまま湖の中に入り、腰の辺りまで水に浸かってください。」
これに対しても3人は何も言わず、素直に指示に従った。
3人が指示通り湖の水に浸かると、その後に新たな精霊神たちも続いた。
そしてミザリィを新たな精霊神が、ナタリィを新たな妖精神が、シェイラを新たな幻精神が、それぞれ背後から抱き締めたのだ。
突然のことに驚いた3人であったが、すぐに緊張を解き、新たな精霊神たちに身を委ねた。
「それではこれからしばらくの間、この体勢のまま時が満ちるのを待ちます。
その間に貴女たち3人には、私たちからお願いしたいことがあります。」
「お願い?」
「何を?」
「私たちにできることでしたら何でも言ってください。」
「そう難しいことではありません。
私たち3人に契約する貴女たちが、それぞれ名前を付けてほしいのです。」
「名前?」
「どういうこと?」
「もしかして、それが契約と関係あるのですか?」
「そうです。
私たち精界に住む者は、契約者に名前を与えられてそれを受け入れることで、はじめて契約が完了するのです。」
「そうなんだね。
じゃぁいい名前を考えなくっちゃ。」
「お願いしますね。」
「頑張る。」
「期待してるよ。」
「精一杯考えます。」
「うむ、頼むのである。」
「でも名前かぁ・・・」
「責任重大。」
「お互いに気に入った名前にしたいですね。」
悩む3人であったが、そこへ新たな精霊神たちから簡単なアドバイスと要望が伝えられた。
「そう気負う必要はありませんよ。」
「そうそう、気楽に行こうよ。」
「それぞれ私たちに相応しいと思う名前を付けてくれればいいのである。」
「ただ私たちが一生使う名前ですから、できることなら素敵なものをお願いします。」
「とりあえず考える時間はしばらくあるから、それまでいろいろな話をしよ!」
「まずはお互いを理解するのである。」
「うん。」
「わかった。」
「はい。」
こうして湖に浸かりながら名前を考えはじめたのだが、ふとミザリィがある疑問に気づく。
「・・・そういえば、精霊、妖精、幻精って、1人としか契約できないの?」
すぐに新たな精霊神が答えた。
「基本的にはそうですね。」
「基本的には?つまり例外がある?」
このナタリィの質問に対して、新たな妖精神が答えた。
「そうだよ。
私たちと契約した場合、同じ種族だったら契約していなくても、その力を行使することができるようになるんだよ。」
それを聞いて、シェイラが自分なりの解釈を口にした。
「つまりミザリィなら全ての精霊、ナタリィなら全ての妖精、私なら全ての幻精、それぞれその種族の力を借りることで、その恩恵が受けられるということですね?」
「その通りである。
ただし正確には、これから契約する私たち精界を統べる者たちを介して、という制限が付くのである。
そのため私たち以外には、他に1人分の力しか同時に使うことができないのである。
いくら私たちでも、自分以外の力を複数同時に扱うのは困難である。」
すると新たな幻精神の言葉に対して、3人の腕輪から声が聞こえてきた。
「そこで私たちの出番。」
「私たちには、それを補助することができるんだよ!」
「しかし今の私たちでは、更に1人追加して、合計2人分の力を同時制御するのが限界です。
ただ今後の成長によって、その数は増えていくはずです。」
この3人の武精族に対して新たな精霊神たちは、先程の試練で気になっていたことを尋ねてきた。
「ですが貴女たちの力はそれだけではありませんね?
先程の試練でミザリィが最後に使った力、あれはただの風属性ではありませんでした。
おそらくですが、リスット、貴女は精霊の力を持っているのではありませんか?」
「ナタリィが使った植物の力も、ただの属性じゃなくって妖精の力を感じたよ。
たぶんリーフェは、妖精の力を持ってるよね?」
「シェイラが起こした地震も、地属性ではなかったのである。
ファム、貴女は幻精の力を持っているのであるな?」
これに対して3人の武精族からは、思いもよらない答えが返ってきた。
「・・・たぶん違う。
私の力は精霊と同じじゃない。」
「うーん、私も最初はそうかなって思ったんだけど・・・妖精とはちょっと違うみたいなんだよね。」
「私も2人と同じ意見です。
私の力も幻精とは違うと感じています。」
「どういうことですか?」
「説明が難しいけど、精霊と霊力が合わさったような感覚。」
「あっ、それ私も思った!
なんか妖精と妖力の両方の力っぽいんだよね。」
「確かに、そう言われると、私も幻精と幻力、2つの力を感じます。
おそらくは精霊の欠片から生まれた私たちに、パートナーであるシェイラ、ミザリィ、ナタリィの継承者としての力の影響を受けて進化したのではないでしょうか?」
3人の話を聞いて、新たな精霊神たちは納得しつつ、ある仮説を立てた。
「なるほど、確かに貴女たち3人は、私たちと同じく精霊の欠片から生まれました。
しかし武精族という新たな種族へと進化したことで、その性質も進化しているのかもしれません。
おそらくパートナーとなることで、互いの性質を発現することができたのでしょう。」
「つまり契約者と精界の住人、両方の性質を持ってるってことだね。」
「しかもまだまだ成長途中なのである。
いやはや、将来が楽しみなのである。」
「それにこれは、今後私たちの身に起こりうるかもしれない可能性をも秘めています。」
「それって妖精神になった私が進化するかもしれないってこと?
もしかして自力で物質世界に顕現できるようになっちゃうとか?」
「うむ、ありえない話ではないのである。
それはいったいどのような存在なのか、とても楽しみなのである。」
新たな精霊神たちは、精界の住人の新たな可能性を目の当たりにし、未来の姿を想像したのだった。




