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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第16章 幻と夢の狭間
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夢幻の森の試練9

そして精霊神は、少し離れた場所で同じく打つ手がない妖精神と幻精神を一度だけ見た。


2人が精霊神の視線の意味に気づいて無言で頷くと、3人は手に持っていた武器をゆっくりと地面に置き、両手を上げて緊張を解いた。


「・・・参りました。」


「降参だよ。」


「私たち3人の負けである。」


しかしそんな3人に対して、ミザリィ、ナタリィ、シェイラは、突きつけたままの武器を下ろすことも、警戒を解く気配もなかった。


ただその視線は精霊神たちではなく、何故か地面に置かれた武器へと向けられている。


そんな3人の姿に、これ以上は無駄な足掻きだと理解した精霊神たちは、その武器たちに向かって声をかけた。


「・・・どうやらここまでのようですね。

戻りなさい、精霊姫。」


「もういいよ、妖精姫。」


「幻精姫もそこまでである。」


この呼びかけに対して、精霊姫、妖精姫、幻精姫の3人は、武器の姿から最初の姿へと戻った。


そして両手を上げて、こちらも緊張を解いた。


「・・・私も参りました。」


「私も降参だよ。」


「私たち3人も負けを認めるのである。」


それでもまだすぐには警戒を解かない3人であったが、今度こそ問題無いと思ったところへ、突然1人の女性がやってきた。


今までマコトの隣で試練を見守っていた謎の女性だ。


「はいはーいっ、これで試練クリアだよ!

おめでとうっ、おめでとうっ、おめでとうっ!」


そう言って謎の女性は、ミザリィ、ナタリィ、シェイラの間合いへと無造作に入ってきた。


しかしまだ警戒を解いていなかったにもかかわらず、3人はその謎の女性の接近を簡単に許してしまったのだ。


あまりにも自然な動作だったため、3人は全く動くことができず、呆気にとられて一瞬固まってしまった。


だがすぐに相手が敵だったらという考えに至り、背中に冷や汗をかいていた。


実際には祝福しただけで、謎の女性はすぐに3人から離れて、今度は精霊神たちへと言葉をかけていた。


「皆も試練お疲れ様ーっ!

いやーっ私の予想だと、もう半日くらいは大丈夫かなーって思ってたんだけど・・・」


この謎の女性の言葉に対して、精霊神たちが文句を返してきた。


「・・・それは最後に呆気なく倒された、私たちへの皮肉ですか?」


「それって私たちに対しての嫌みにしか聞こえないよ!」


「甚だ心外である。」


そんな怒っている精霊神たちに、謎の女性は慌てて言葉を続けた。


「違う違う、そうじゃないって。

最後のアレを見せられちゃったら、この結果も納得だね、ってこと。

進化した後の彼女たちの戦いは、完全に私の予想を遥かに超えてたからね。

あれじゃぁすぐに終わっちゃうのもしょうがないよ。

むしろ皆は期待以上の動きだったよ。」


謎の女性の補足を聞いて、自分たちの勘違いだと理解した精霊神たちは、すぐに怒りの矛先を収めた。


「理解しているのであればいいのです。」


「うんうん、わかってるじゃん!」


「うむ、それならば構わぬのである。」


精霊神たちが落ちついたのを見計らって、ミザリィ、ナタリィ、シェイラが、すぐに本題に入った。


「あのぉー・・・私たち3人とも、試練をクリアしたということでいいんだよね?」


このミザリィの質問に対して、すぐに精霊神が答えた。


「ええ、全員無事に試練をクリアしました。」


するとそれを聞いたナタリィとシェイラが急かしてきた。


「だったら早く契約して。」


「私たちは少しでも時間が惜しいのです!」


慌てる3人だったが、妖精神と幻精神がすぐに諌めた。


「ダメダメ、慌てると逆に間に合わなくなっちゃうよ。」


「そうである。

それに契約を結ぶ前に、私たちにはやることが残っているのである。」


契約よりも先にやることがあると言われ、3人はそれが何なのか気になった。


「どういうこと?」


「やること?」


「それは何なのですか?」


だが精霊神たちはその問いには答えず、実際にやってみせるようだ。


「こういうことです。

妖精神、幻精神、はじめますよ?」


「うん。」


「うむ。」


精霊神が妖精神と幻精神に向けて合図を送ると、3人は突然、自分で自分のお腹に右手を突っ込んだのだ。


完全に身体の中に右手が入っているのだが、特に傷ついたり血を流すことはなかった。


3人は少し辛そうな表情をしているものの、それを我慢してお腹からゆっくりと右手を引き抜いた。


すると3人の右手には、淡い光を放つ拳大の宝石が握られていた。


その宝石を、精霊神は精霊姫へ、妖精神は妖精姫へ、幻精神は幻精姫へ、それぞれ目の前に掲げたのだ。


「覚悟はいいですか、精霊姫?」


「・・・はい。」


「準備はいい、妖精姫?」


「・・・うん。」


「幻精姫、後は任せたのである。」


「・・・うむ。」


優しい笑顔を浮かべている精霊神たちに対して、精霊姫たちはどこか悲しそうな表情をしながら返事を返していた。


嫌な予感がしたので、ミザリィはこれから何をはじめようとしているのか確認するために、一度精霊神たちを止めようとした。


「ちょっ、ちょっと待っ・・・」


しかしそれは謎の女性によって止められてしまった。


「止めちゃ駄目だよ。」


謎の女性の言葉の意味がわからず、ナタリィが質問してきた。


「どうして?」


「もしこれから起こることを止めるつもりなら、君たち3人が目的を果たせなくなるからだよ。」


それを聞いて、シェイラはすぐにその答えに辿りついた。


「私たちの目的?それは契約ができなくなるということですか?」


「そう、これは契約をするために、どうしても必要なことなんだよ。

だからお願い、最後まで見届けてあげて。」


謎の女性の雰囲気から察するに、どうやらこれから精霊神、妖精神、幻精神に、良くないことが起こるのだろう。


だが納得できないミザリィ、ナタリィ、シェイラは、助けを求めるかのようにマコトへと視線を向けた。


するとそこには精霊神たちの方を一切見ずに、いつの間にか開いていた小さなゲートに上半身を突っ込んでいるマコトの姿があったのだ。


謎の女性もそんなマコトの姿を一緒になって見ていたのだが、何をやっているのか全くわからず、気になって声をかけた。


「・・・ねぇ、マコト、皆が重大なことをしてるってときに、いったい何してるの?」


「・・・」


これに対してマコトからは何も答えが返ってこず、何やら忙しなくしている様子だけがうかがえる。


このマコトの態度に、謎の女性は呆気に取られていたが、すぐに状況を思い出すとマコトに怒鳴っていた。


「この大変なときに、いったい何してるの!

ちょっとそこから出てきなさい!」


そしてマコトをゲートから引っ張り出そうとした。


しかしそれは叶わなかった。


ミザリィ、ナタリィ、シェイラの3人が、それぞれ謎の女性の右腕、左腕、腰に抱きついてきたからだ。


「なっ!ちょっ、何するの!?」


突然のことに慌てて3人を振りほどこうとした謎の女性だったが、3人から強い口調で引き止められた。


「駄目ーっ!」


「おとなしくしていて。」


「マコト様の邪魔はさせません。」


その言葉に、謎の女性は少しだけ冷静になり、3人に話を聞く余裕が生まれた。


「・・・もしかしてマコトが何をしているのか知ってるの?」


そう言って謎の女性は抵抗するのを一旦止めて、3人の答えを待ったのだった。

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