夢幻の森の試練1
先に自己紹介が行われてしまったが、続いてマコトは後回しになっていた話をすることにした。
「さて、3人の紹介が先になってしまったが、試練がどうなったのか、その説明をすることにしよう。
だがその前に、フィマとエマはどうする?
ちょっと難しくて長い話しになるが、ここで皆と一緒に話を聞くか?」
するとそれを聞いたフィマが少し考えてから答えた。
「おはなし?・・・じゃぁ、エマとあそんでるーっ!」
そこへフィマの意見にエマも賛同してきた。
「エマもフィマとあしょんでるーっ!」
「そうか、それじゃぁ、エイリ、アイ、2人のこと任せてもいいか?」
「かしこまりました、マコト様。(×2)」
「さぁエマ、お母さんたちと一緒に遊びましょう。」
エイリが近づいてくると、マコトはエマを受け渡した。
「うんっ!」
エマも嬉しそうにエイリに抱っこされていた。
そこへアイも近づいてきた。
「フィマちゃんはこっちにおいで。」
「うんっ!」
フィマもマコトからアイへ受け渡された。
「それじゃぁ何して遊ぶ?」
アイのこの問いかけに対して、フィマは目を輝かせながら答えた。
「うんとねぇ、うんとねぇ、おかあしゃんたちといもうとたちのとこにいくーっ!」
それを聞いて、エマもそれに飛びついてきた。
「あーっ、エマもいく―っ!」
2人の希望に対して、エイリが1点だけ注意点を伝えた。
「もし疲れて寝んねしていたら、おとなしく見てるだけって約束できる?」
「フィマやくそくできるーっ!」
「エマもーっ!」
2人が約束してくれたので、エイリとアイは早速その場を離れて各ベッドを見て回ることにした。
「2人ともちゃんと約束できて偉いわね。
それじゃぁ、お父さんに行ってきますの挨拶しましょうね。」
「うんっ!(×2)」
「おとうしゃん、いってきます!」
「おとうしゃん、いってきまう!」
「ああ、行ってらっしゃい。」
そしてフィマは、シルフィナにも挨拶をした。
「おかあしゃん、いってきます!」
「ええ、行ってらっしゃい、フィマ。
いい子にしているのよ。」
「うんっ!」
最後に元気に返事をしてから、アイとエイリに連れられて、フィマとエマはその場から離れて行ってしまった。
それを見送ってから、マコトが話をはじめた。
「・・・皆待たせてすまないな。
それでは今回ミザリィ、ナタリィ、シェイラ、この3人が受けた試練について、説明をはじめよう。
まずは実際の映像を見てもらう。
その後に何があったのか説明しよう。
というわけで、ノワール、この魔石の映像を皆に見えるように映してもらってもいいか?」
「はい、マコト兄様。」
ノワールはマコトから魔石を受け取ると、その中に保存されている映像を、魔法で皆が見える大きさにして空中に投影した。
話は3日前に遡る。
マコト、ミザリィ、ナタリィ、シェイラ、この4人がゲートを抜けた先に現れたのは、巨大な門とその奥に広がる広大な森だった。
4人が巨大な門の前に立つと、そこにはある言葉が書かれていた。
『これより先へは、資格を有する者のみが進める。
もし資格が無い者が門に触れれば・・・』
最後が意味深な終わり方である言葉だったため、3人は一斉にマコトのことを見た。
そんな3人に、マコトが説明をした。
「まぁこんなことが書いてあるが、3人とも資格を有する者だから、気にすることはない。
ただここから先は、それぞれ霊神力、妖神力、幻神力を常に全身発動し続けるんだ。
もし発動が一瞬でも止まると、その瞬間に無限の森から弾き出されてここに戻ってきてしまうから気をつけてくれ。」
「はいっ!(×3)」
3人は気合がこもった返事を返すと、すぐに霊神力、妖神力、幻神力を発動した。
それを確認してからマコトも力を発動し、そのまま閉ざされている門の扉へ向かって進み出した。
3人もその後に続いたのだが、何故かマコトは手を前に出して扉を押し開けようとせず、そのまま進み続けたのだ。
おかしいと思いながらも、3人はマコトの後についていった。
そしてマコトが無防備に扉へと突っ込んでいき、そのままぶつかる、と思われた。
だが結果としてそうはならずに、マコトはそのまま扉をすり抜けてしまった。
そんなマコトの姿を見た3人も、そのまま順番に扉へと突っ込んでいき、同じく扉をすり抜けることができたのだ。
扉を抜けた先は、光が差し込む隙間もないほど、鬱蒼と木や草花が生い茂る森の中なのだが、何故か辺り一面明るかった。
よく見ると、そこら中に生えている苔が光っていたり、所々に光の球が浮いているからだ。
そして正面には1本道があり、どうやらそこから先に進むことができるらしい。
「3人とも無事には入れたな。
このまま森の奥へ行くぞ。」
「はいっ!(×3)」
マコトたちはその道から森の奥へと向かった。
3人は周囲を警戒しながら進んでいたのだが、1時間ほど歩くと、再び門が現れた。
ただ森の入り口にあった門と比べるとかなり小さい。
それでも4人が一度に通ることができる位の大きさであった。
しかし今度は、何処にも言葉が書かれていなかった。
するとその門の前でマコトが立ち止まり、3人に向かって説明した。
「この門を抜ければ、いよいよ試練を終えるまで戻れなくなるが、3人とも準備はいいか?」
「はいっ!(×3)」
「よし、それじゃぁ行くぞ。
ただし、今度は1人ずつではなく、3人同時に門を通り抜けるんだ、いいな?」
「はいっ!(×3)」
3人の返事を聞いて、まずはマコトが、最初の門と同じように扉をすり抜けて入っていった。
その後に続いて3人は横一列に並び、同時に門の扉をすり抜けた。
するとその抜けた先は、それまで生い茂っていた木々や草花が一切ない、それどころか何も無い小さな部屋の中のようだ。
ただいつも訓練を行っている異空間とよく似ていたため、3人は特に驚くことは無かった。
しかしそこへ見知らぬ女性が1人、マコトの隣に立っていた。
その女性は長い銀髪の美人で、胸も大きくスタイル抜群なのだが、何処か底知れない雰囲気を身に纏っていた。
ただどこかで逢ったことがある人物にとても雰囲気が似ているような気がするのだが、3人ともその人物が誰なのか思い出せずにいた。
とりあえず3人は、すぐにマコトの知り合いなのだろうと頭を切り替えたが、警戒を怠るようなことは無かった。
そして3人がマコトの許へ向かおうとしたその瞬間、それまで離れた場所にいたはずの女性が、突然3人の目の前に現れたのだ。
油断していたわけでもないのに、3人は全く反応できずに動けなかった。
だが女性は何かするわけでもなく、ただジッと3人の全身を順番に見ているだけであった。
そして一通り見終わると、その場で振り向いてマコトへと話しかけてきた。
「・・・へーぇ、どうやら3人とも条件を大幅に超えているようね。
これなら試練の方だけでなく、私が出した条件の方も問題無いわ。
さすがね、マコト。」
「当然だ。
自分の女を危険な状態で試練に挑ませるわけがないだろ。」
「てことは3人ともマコトのハーレムに入ってるの?」
「そうだ。」
「ふーん・・・じゃぁ後はあの条件だけね。
そっちはどうなの?」
「問題無い。
既に見つけてある。」
「えっ!?・・・本当に?」
「嘘を言ってどうする。」
「こりゃぁ私も覚悟を決めなきゃだね。」
「まぁその話は後だ。
まずは試練が先だ。」
「それもそうだね。
じゃぁ私についてきて。
全員この先にいるはずだから。」
そう言って女性は、部屋の奥にあるドアへと向かって歩き出した。
「3人とも行くぞ。」
マコトはいまだに固まっていた3人に声をかけてから、女性の後について歩き出した。
3人もマコトの声で気づき、少し慌てながらマコトの後に続いたのだった。




