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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第16章 幻と夢の狭間
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エルフとダークエルフの出産2

アリアがいきみはじめてから数分、赤ちゃんの身体の一部が見えると、ノルンが慌ててシルフィナへと助けを求めてきた。


「・・・これはっ!

すみません、シルフィナさん、手を貸してください!」


呼ばれたシルフィナは、すぐにノルンの許へと向かい、アリアと赤ちゃんの様子を確認した。


「どうしましたか、ノルンさん?

・・・これは・・・逆子ですか・・・厄介ですね。」


見えていた赤ちゃんの一部は、頭ではなく足だった。


このまま出産しては、赤ちゃんが危険だ。


ノルンは内心慌てながらも、アリアを不安にさせないように、表情は平静を保ったまま、シルフィナに指示を仰いだ。


「どうしますか?」


「ノルンさん、イシスさん、逆子を取り上げた経験はありますか?」


「すみません、私は初めてです。」


「すまねぇ、俺も初めてだ。」


「そうですか・・・他に逆子を取り上げた経験がある方はいますか?」


シルフィナが他の皆に尋ねると、2人が名乗り出てきた。


シーノとトウカだ。


「私は何人か経験があります。」


「私は1人だけだが、経験がある。」


そこでシルフィナが選んだのは、経験人数が多いシーノではなく、トウカの方だった。


「ではトウカさん、お手伝いをお願いします。」


「わかった、任せてくれ。」


「シーノさんはミーナさんの状況がわかりませんので、私の代わりに待機していてください。」


「わかりました。」


どうやらトウカに逆子を取り上げる経験を積ませつつ、経験豊富なシーノがすぐ動けるように待機させたようだ。


シルフィナとしては、ある事情からミーナの出産を手伝うつもりだったのだが、現時点では自分がアリアの出産を手伝うのが間違いないと判断したようだ。


幸いミーナの方はまだ時間がかかりそうだったので、シルフィナとしてはその前にアリアの出産を終わらせるつもりらしい。


そしてシルフィナは、まずはアリアのお腹の中で逆子になってしまっている赤ちゃんの体勢を変えることからはじめた。


それから3時間ほどが過ぎた。


少しずつではあるが、アリアのお腹の中では、赤ちゃんの体勢が変わりつつあり、もう少しというところまできていた。


しかし長丁場になってしまったため、イーリスやミレーヌのおかげで負担は減っているものの、アリアの体力の消耗も激しい。


だがここで焦って母子ともに危険な状態にするわけにはいかず、シルフィナは慎重に少しずつ赤ちゃんの体勢を変え続けている。


そんな中、とうとうミーナも分娩台へと運ばれてきた。


シルフィナはアリアの出産を手伝っていて手が離せないため、その場はシーノに任せることにした。


更にサーシャ、ケイ、ミィもシーノを手伝い、雑用にはヒョウカ、キリエ、サクヤが待機している。


万全の体制でミーナがいきむのを開始しようとしたところへ、突然その場にいない人物の声が聞こえてきた。


「待ってください!」


すぐに声を聞いただけでそれが誰なのか、その場にいる全員が気づいた。


「どうしましたか、アイさん?」


シーノがその声の主、アイに問いかけると、思いもよらない内容が返ってきた。


「今ミーナさんのお腹の赤ちゃんを視たのですが、ちょっと、いえ、かなり拙い状況です。」


「どういうことですか、詳しく教えてください。」


「ミーナさんのお腹の赤ちゃんたちは、アリアさんと同様に逆子です。」


それならばと、シーノは自信をもって答えた。


「それでしたら私の方で対処できますから・・・」


だがアイの話には続きがあった。


「それだけではありません。

首にへその緒が巻きついています。

それも7回もです。

急がないと、このままでは赤ちゃんが窒息死してしまいます。」


それを聞いて、さすがのシーノも狼狽えていた。


「そっ、そんな・・・シルフィナさん、いったいどうすれば・・・」


これまで経験したことがないケースに、シーノも判断ができず、アリアの出産を手伝っているシルフィナへと助けを求めてきた。


シルフィナは手を止めることなく、少しだけ考えると、やがて何かを決心してから口を開いた。


「落ちついてください、シーノさん・・・緊急事態ですから、仕方ありませんね。

アイ、至急あの娘にこっちへ来るように伝えて。

マコト様の許可は取っているわ。」


そのシルフィナの指示に、アイも少し考えてから同意していた。


「・・・やはりそれしかありませんね。」


「その間は頼むわね。」


「できる限りのことはしてみます。

ただ正直なところ、五分五分といったところですね。」


「責任は全て私が取るわ。」


「そのときは私も同罪ですよ。」


2人が意味のわからない会話をしていると、そこへ突然ゲートが開いた。


すると中からメイド服を着た女性が1人出てきて、シルフィナとアイに話しかけた。


「お待たせしました。」


「来たわね。

待っていたわ、エイリ。」


「状況は事前に伝えた通りです。」


シルフィナにエイリと呼ばれたメイド服の女性は慌てた様子もなく、そのまますぐにミーナの許へと近づいて行った。


「状況が状況ですから仕方ありません。

たださっきの話ですが、そこは私を除け者にせず、3人揃って一蓮托生と言ってほしいところですね。」


「そうだったわね。」


「ですがその話は後です。

それについては終わってから考えるとしましょう。

今は目の前のことに集中しなければいけません。」


「ええ、わかっているわ。

そっちは任せても大丈夫かしら?」


エイリはミーナのお腹を少し視てから答えた。


「・・・初めてのケースですが、問題ありません。

ミーナさんの方は私に任せて、シルフィナはアリアさんに集中してください。」


「そうさせてもらうわ。」


シルフィナとの話が終わると、エイリはミーナの傍にいる者たちに指示を出した。


「ではこれよりミーナさんのお腹の赤ちゃんたちを取り上げます。

シーノさん、サーシャさん、ケイさんは、ミーナさんが動かないように、しっかりと抑えていてください。」


「はっ、はいっ!(×3)」


「ミィさんはお腹の中の赤ちゃんたちを視ていてください。

どんな細かい変化でも構いません、何かあれば私に教えてください。」


「わっ、わかったのよ!」


エイリの指示で、4人が配置についた。


そこへ、少し不安そうな表情のミーナがエイリに話しかけてきた。


「貴女はいったい・・・それにお腹の赤ちゃんは大丈夫なの?」


「私はエイリと申します。

マコト様のメイドであり、ハーレムメンバーの一員でもあります。

ある事情により、これまで皆さんの前に姿を現せませんでした。

ですが今は緊急事態です。

私が来たからには、ミーナさんもお腹の赤ちゃんたちも、心配する必要はありません。

少し乱暴な方法になってしまいますが、どうか今は私のことを信じてはいただけませんか?」


真剣な表情でそう言ったエイリの姿に、ミーナは表情を緩めて答えた。


「・・・信じるわ。

あのシルフィナが全部任せるんだもの。

それに同じハーレムメンバーなら何も心配する必要は無いわ。

だからお願い、私はどうなってもいいから、お腹の赤ちゃんだけは助けて。」


「任せてください。

お腹の赤ちゃんたちもミーナさんも、必ず助けます。

では、はじめます。」


そう言ってエイリはミーナのお腹に両手を置き、集中して目を向けたのだった。

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