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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第17章 商い革命
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商国での会談21

一方その頃、念話を終えたガラティアはというと、ある人物と対峙していた。


「どもども、こんな時間にこんな場所へどうしましたか?

もしかして散歩ですか、シルフィナさん?」


すぐにその人物、シルフィナは、ガラティアの問いに答える。


「違いますよ。

天使特有の念話を察知しましたので、様子を見に来ただけです。」


「こんな夜遅くにご苦労様です。

それにしても天使族の念話を察知できるなんて、やっぱりシルフィナさんは天使族じゃないんですか?」


ガラティアは軽口を叩いているものの、内心では必死にこの状況をどう乗り切るか、全力でそのことだけを考えている。


そんなガラティアの心情に気付いているのかいないのか、シルフィナはいつもと変わらぬ様子で、何を考えているのか表情からは全く読めない。


「それについては、真偽の天秤によって違うと証明されたはずですが?」


「そういえばそうでしたね。

でもそうなると、いったいどうやって秘匿されている天使族の念話を察知したのか、すごく気になりますね。」


「私からは、察知できたから、としか言えませんよ。」


「なるほど、そういったところも規格外というわけですか。」


「そこはお好きなように解釈してください。」


「ちなみにいつから聞いていましたか?」


「そうですねぇ・・・『もしもーし、聞こえますかーっ?』からですかね。」


「あははははっ・・・それって最初からじゃないですか!」


これにはガラティアも、さすがに突っ込まずにはいられなかったようだ。


それでもシルフィナが表情を崩すことは無い。


「そうとも言いますね。」


「じゃぁ、内容も誰と話していたかも筒抜け、ってことですよね!」


「内容はともかく、相手については、ガラティアさんが警戒して名前ではなく、上司、としか仰っていませんでしたからね。

ただ、ある程度予想はしています。」


ここでガラティアは、無理矢理心を落ち付かせてから、あらかじめ用意していた言い訳を出してきた。


「・・・いやー参ったなぁ・・・でもこれって雇用契約違反になりますか?」


「・・・いいえ。

今回の雇用契約のどこにも、外と連絡を取ってはいけない、とは書いていないですし、マコト様も制限はしていません。」


「じゃぁ、お咎め無し、ってことですよね?」


「そうなりますね。

ただ、マコト様には報告しようかと・・・」


「やっぱりそうなりますよね。」


さすがにそこまでは無理かとあきらめかけたガラティアだったが、シルフィナの口から意外な答えが返ってきた。


「・・・最初は思ったのですが、今回は報告するまでもない内容ですね。

ですから私からマコト様へ報告はしませんよ。」


あまりにも自分に都合が良すぎるため、ガラティアは何か裏があるのではないかと、シルフィナに疑いの目を向けた。


「えっ?・・・それって本気で言ってます?

こう言っては何ですが、こんなところでコソコソ隠れて外と念話しているなんて、私って相当怪しいですよ。」


そんなガラティアの視線を、シルフィナは全く意に介さないで答える。


「確かに今回のガラティアさんの行動は、最初から最後まで不審者そのものですね。

こっそり寝室を抜け出すと、周囲を警戒しながら事前に見つけておいた目立たない場所へ移動し、隠れて外と連絡を取っていたわけですからね。」


逆にシルフィナの話を聞いて、ガラティアの方が動揺を隠せずに、思わず強い口調で突っ込んでいた。


「それって話の内容を聞いていた以前じゃないですか!」


「まぁそうですね。」


「じゃぁシルフィナさんはマコト様の指示で、今夜私が動くのがわかっていて、最初から監視していたってことじゃないですか!」


「それは違います。

今回私は、マコト様から何も指示を受けていません。

今私がここにいるのは、全て私の独断です。」


「つまり今回のシルフィナさんの行動は、今のところマコト様にも報告していない、ということですか?」


「その通りです。」


シルフィナが肯定したので、当然ガラティアにはある疑問が浮かんだ。


「・・・いったいどういうつもりですか?」


「どう、とは?」


「シルフィナさんがマコト様に、私の行動を報告しない理由がわかりません。」


「それは先程も言いましたが、報告するまでもないから、ですよ。」


「それはつまり、私の行動を見逃す、ということですか?」


「見逃すも何も、別に何も違反しているわけではないから、というだけです。

先程ご自分でもそう仰っていたではありませんか。」


「確かに言いましたけど・・・」


「まぁそこはご自由に解釈してください。

それともこれも真偽の天秤で確認されますか?」


いつもと変わらない様子に、ガラティアはこれ以上つついてもシルフィナがボロを出すことは無いと判断し、この場はおとなしく引き下がることにした。


「・・・いいえ、その必要は無いでしょう。

わかりました、今回はそういうことにしておきます。

この件については、お互いのためにも、これ以上は詮索しない方がいいみたいですからね。

では私はこれで失礼します。」


ガラティアはシルフィナの気が変わらない内に、早々にその場から退散しようとした。


しかしすぐシルフィナに呼び止められてしまう。


「ああ、ガラティアさん、1つだけ注意してください。」


ガラティアは恐る恐る振り返って返事を返した。


「・・・何をですか?」


しかしそれはガラティアの杞憂に終わった。


「皆さん寝ているときも無意識に周囲を警戒するように訓練されていますから、戻るときはくれぐれも注意してくださいね。

完全に気配を消せれば問題ありませんが、今のガラティアさんにはお勧めできません。

中途半端に気配を消して戻ると、皆さん侵入者かと思って排除しようとしてしまいます。

ですから普通に静かに戻ってください。

それでしたら皆さん既にガラティアさんの気配を覚えていますから何も問題ありません。

ただ、余計なことを考えると、大変なことになりますよ。」


このシルフィナの言葉を、ガラティアはそのまま素直に受け止めた。


「・・・ご忠告ありがとうございます。」


「いえ、礼には及びませんよ。」


「それでは、お休みなさい。」


「ええ、お気をつけて。

お休みなさい。」


今度こそガラティアは、その場から足早に立ち去り、寝床へと戻って行った。


残されたシルフィナは、黙ってガラティアを見送り、姿が見えなくなって、更に気配が寝床に戻ったのを確認してから、ようやく口を開いた。


「・・・そもそも私が報告する必要なんて無いのですよ。

そうですよね、マコト様?」


シルフィナがそう言うと、突然その場にマコトが姿を現した。


「・・・気配は完全に消したつもりだったんだが、よく俺がいると気付いたな、シルフィナ。」


「いえ、私がガラティアさんの動きに気付いたのですから、間違いなくマコト様も気付かれただろうと確信していただけです。」


「そうか。」


「それでマコト様、今回のガラティアさんの行動、本当に見逃してもよろしかったのですか?」


「ああ、問題無い。

というか、そのためにガラティアには雇用条件を提示したんだからな。

今回俺の望んだ結果になったことで、今後更に動きやすくなった。」


このマコトの言葉の意味を、シルフィナは正確に理解した。


「つまり、あえて雇用条件に抜け道を用意しておくことで、ガラティアさんに念話をしてもらうことこそがマコト様の望んだことだった、というわけですか?」


「そうだ。」


「何の目的があってそう仕向けたのか、私がお聞きしてもよろしいですか?」


「ああ、もちろんだ。

今回ガラティアが念話をした相手、序列1位のルヴィスに気付かれないよう、マーキングをすることが目的だ。」


「なるほど、ガラティアさんの念話に割り込み、そのつながりを利用して密かに相手の情報を得ることが目的だった、ということですね?」


「そういうことだ。

これでルヴィスがどこにいるかなど、様々な情報を常に把握できる。

ルヴィスの相手は、俺かシルフィナがする必要があるからな。」


しかしこのマコトの言葉に、珍しくシルフィナが反対意見を口にした。


「マコト様が時期をいつ頃と定めているのかわかりません。

ですが、私はその頃であれば、何人かは単独で互角くらいにはなるのではないかと思いますよ。」


これにマコトが興味を示した。


「ほう、ちなみにそれは誰だ?」


「そうですねぇ・・・まず本命は、シーノさん、サーシャさん、トウカさん、この3人ですね。

対抗で、ケイさん、ノルンさん、ガラティアさんの3人。

そして大穴は、ティリアさん、イーリスさん、イクスさんの3人、といったとこでしょうか。」


マコトはシルフィナがあげた名前に、半数以上は納得しつつも、一部の人物たちに対しては疑問を呈した。


「なるほどな、確かに本命の3人なら、近い内にそれくらいの実力を身に付けるかもしれないな。

そして対抗のケイとノルンは、本命の3人に一歩及ばないものの、時期によっては間に合う可能性もある。

ガラティアについては、明日以降、といっても既に日が変わっているから今日だが、訓練内容が上手くはまれば間に合うかもしれないだろう。

しかし大穴の3人は、まだまだ不確定要素が多いし、焦って訓練を急ぐと、途中で躓いて停滞する可能性の方が高い。

大穴というのは、その辺りを考慮してのことなんだろうが、シルフィナがこの3人を大穴に選んだ根拠は何だ?」


このマコトの疑問に、シルフィナは自分の考えを伝える。


「まずティリアさんですが、あえて言うのでしたら、意外性、でしょうか。

ときどき私たちの想像を遥かに超える、画期的で斬新な新しいことを、ここぞというタイミングで思い付きますからね。

次にイーリスさんですが、上手くタイミングが合えば、継承者としての力の封印が解けます。

そうすれば5つの条件をクリアする可能性が高いので、皆さんの中で最初に頭一つ抜け出るかもしれません。

最後にイクスさんですが、最近は開き直って例の趣味を隠さず、むしろ積極的に他の皆さんへ協力を仰いでいます。

そのため、そろそろ実益に結び付きそうです。」


「ティリアとイーリスについては納得した。

しかしイクスの例の趣味というのは、やはりアレのことか?」


「はい、力を食べて吸収し、その際に味わう趣味のことです。」


「だが俺からは、まだその可能性について、イクスには何も伝えてないぞ。

もしかしてシルフィナが何か言ったのか?」


「いいえ、私からは何も。

きっかけはティリアさんです。」


ティリアの名前が出たとたん、マコトは少し呆れていた。


「またティリアか・・・それで、いったい何があったんだ?」


「マコト様とイクスさんは常にパスでつながっております。

そのためイクスさんは、そのパスを通じて流れ込んでくる力を、いつでもどこでも好きな時に食べることができるわけです。

最近ではイクスさんもそのことを隠していませんから、皆さんも当たり前になっています。

そんな時、ふとティリアさんがイクスさんへこのよう話をしたのです。」


シルフィナはその時のやり取りを、2人の口調を真似しながら一言一句違えずに再現した。


『そういえばイクスさんは、マコト様以外の力は食べられないんですか?』


『契約者のマコトが私の波長に合わせてくれた力しか美味しく食べられないのです。』


『それって、マコト様以外からの力も食べられるけど不味いから食べない、ってことですか?』


『そうです。

更に言えば、不味い力は吸収されづらく、効率が悪い上、場合によっては毒のように身体にも悪影響が出る場合があります。

それを簡単に補ってくれるのが契約なのです。

契約によって私自身の波長が契約者に合わせて変化しますから。

ただこれについては、マコトにはほとんど意味がありませんでした。

まぁ契約の本来の目的は、武器化した私を扱えるようになること、なのですが。』


『じゃぁ力の吸収に関しては、必ずしも相手が契約者であることや波長を合わせることが必要、ってわけじゃないんですね?』


『その通りです。』


『だったらイクスさんが力の波長を調整してから食べることもできるんじゃないですか?』


『どういうことです?』


『私はマコト様とのパスを通して、受け取った力を自分の力として使うことができます。

その際に力の波長だけは自分に合わせないといけないんですけど、それで何か問題があったことはありません。

だから契約者以外や、その辺に漂っている力なんかも、イクスさんが自分で波長を調整して合わせてあげれば吸収できるんじゃないかな、って思ったんです。』


『なるほど、今までは契約者の方が波長を合わせてくれていましたから、私が波長を変えるという発想は全くありませんでした。

以前の私ではそこまでの制御能力はありませんでしたが、今の私ならおそらく可能でしょう。』


『それともう1つ聞いてもいいですか?』


『何ですか?』


『普段イクスさんがパスを通してマコト様から吸収している力って、王力や神力も含まれてるんですか?』


『・・・そういえばこれまで私は、王力や神力を吸収したことはありませんね。

パスを通して流れ込んでくる力も、魔力などの元になる力だけですから。』


『だったら今私と試してみませんか?

私の覇力を使えば、力の譲渡も簡単ですし、波長も多少は調整できます。

イクスさんは残りの微調整をするだけですから、たぶんそれほど難しく無いと思いますよ。』


『ティリア、貴女は何を思いついて、私に何をさせるつもりですか?』


『えーっとぉ、まだ想像の段階なんですが、もしかしたらイクスさんて、力が吸収出来れば何の制御もせずに保持しておくことができるんじゃないかなぁ、と。

もしそれが可能なら、どんな王力や神力でも、魔力などの元の力と同じように扱えると思いませんか?』


『それは・・・とても面白そうで、興味が湧く話ですね。

王力や神力を何の苦労もせず利用できるのであれば、更に上の力に融合する苦労も格段に減るはずです。』


『ですよね!

それだけじゃありませんよ。

戦っている最中に相手の力を奪って吸収し、自分の力にすることができれば、ほとんど力を消費せずにすみます。

例え全ての力が奪えなくても、相手の力を弱体化させたり消耗させることが可能なはずです。』


『なるほど・・・しかしそれは難易度が高そうです。

相手から力を吸収するには、まずはその制御を奪う必要があります。

それと同時に波長を合わせるとなると、戦いの最中にそこまで行う余裕は、今の私には無理です。』


『そうでしょうか?

実は最近気付いたのですが、模擬戦の最中にときどきイクスさんが、力を吸収したときみたいに僅かに恍惚とした表情をしているときがあるんですよ。

あれって無意識に周囲や相手の攻撃から力を吸収してるんじゃないですか?』


『えっ!?わっ、私、そんな顔してましたか!』


『そこまでハッキリと変化しているわけではありませんが、ときどき口元が嬉しそうに緩んでますよ。』


『そっ、それは、失礼しました・・・』


『まぁその話は置いておいて・・・もし模擬戦の最中にパスを通してマコト様の力を吸収しているのではないとしたら、私の予想は当たってるんじゃないかと思うんです。』


『さっ、さすがに私も、模擬戦の最中にマコトの力を食べてはいません。

というより、模擬戦の最中はマコトが力を止めていますので、食べることはできません。』


『でしたら、かなりの確率で私の予想は当たってるかもしれませんね。』


『たっ、確かに。』


『というわけで、早速試してみませんか?』


『そうですね、試してみる価値はあると思います。』


『まずは魔王力で試してみましょう。

普段の訓練でイクスさんの波長はある程度把握していますから、残りの微調整だけお願いします。』


『わかりました。

いつでもどうぞ。』


ここでシルフィナは元の口調に戻って、その後の結果を簡潔に報告した。


「・・・この様な話をした後、イクスさんは見事魔王力を食べることに成功していました。

それはもうとても美味しそうにしながら。

これが、日が変わりましたので、2日前の話です。

おそらくマコト様にも、近い内にイクスさんからこのことについて相談されるのではないかと思います。」


シルフィナの話が終わると、マコトはため息をついてからいくつか確認を行った。


「はぁ・・・そこまで詳細を知っているということは、シルフィナもその場にいたんだな?」


「はい。

ティリアさんも私が傍にいたからこそ、この話をイクスさんにしたのでしょう。」


「で、シルフィナはその話を黙って聞いていただけで、何も口を挟まなかった、というわけだな?」


「はい。

これについては何も問題無いと判断しましたので。

さすがに魔神力や覇神力などを食べさせようとしましたら、注意くらいはしようと思いました。

ですが、あの事件以降、ティリアさんはとても慎重になりましたから。」


ここで言う、あの事件、というのは、ティリアが覇力に目覚めて無意識に使ったときのことだ。


今ではティリアも過去の失敗として笑って話せるようになっており、既に乗り越えている。


それでも当時のティリアの姿を思い出してしまうため、本人以外がわざわざ口にすることはほとんどない。


マコトと2人っきりだからこそ、シルフィナもあえて口にしたのだろう。


それがわかっているからこそ、マコトもシルフィナを注意せずに話を続けた。


「確かにな・・・今のところはそれがいい方向に動いている。

一応これからも注意して見てやってくれ。」


「かしこまりました、マコト様。」


「ただそうなると、イクスや他の皆が、その先の可能性に気付くのも時間の問題だな。」


「気付く程度でしたら問題無いのではありませんか?

今後知識として知っておくことは避けられないのですから。

問題なのは、分不相応な力を渇望したり、力に溺れて魅了されることです。

私は皆さんが、そのような愚かな考えを持つことは無いと信じております。」


このシルフィナの言葉に、マコトは昔を思い出しながら、あえて指摘した。


「なるほど、かつての自分とは違う、ということだな。」


するとシルフィナが珍しく、恥ずかしそうにしていた。


「うっ!?・・・マコト様、意地悪です・・・」


そんなシルフィナの表情に満足すると、マコトはすぐに真剣な表情になった。


「はははっ、すまない・・・だが、何が切っ掛けでいつそうなってしまうかは誰にもわからない。

そのために俺やシルフィナがいるんだ。」


シルフィナもその言葉の重みを理解し、真剣な表情で答える。


「はい、お任せください、マコト様。

誰一人として、決して道を外させはしません。」


「頼む。

さて、そろそろ戻るか。」


「そうですね。

明日もいろいろとやることが多いですから、私も休ませていただきます。

それでは私はこれで失礼します。

お休みなさいませ、マコト様。」


「ああ、お休み、シルフィナ。」


こうしてマコトとシルフィナは、それぞれ別の寝室へと戻って行ったのだった。

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