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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第17章 商い革命
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商国での会談17

自分の聞き間違いかと思い、ガラティアはシルフィナへと確認してみることにした。


「あのぉ・・・今、面接が終わった、と言いましたか?」


「はい、言いました。」


「それと、条件は採用が決まってから、とも言いましたか?」


「はい、それも言いました。」


「えーっとぉ、つまり、私はまだ採用が決まってない、ということですか?」


「はい、そうです。」


既に採用が決まったと思い込んでいたガラティアは、当然抗議してくる。


「・・・ちょっと待ってくださいよ!

今の話の流れだと、採用決定でしたよね!」


「そんなこと、私は一言も言っていませんよ。」


「でもさっき、引き抜きの件、受けていただけるということでよろしいですか?って言ったじゃないですか!」


「はい、言いました。」


「それって普通は即採用ってことじゃないですか!」


「普通、というのは、ガラティアさんの考えであって、今回の採用の有無とは何も関係ありません、違いますか?」


シルフィナに正論を説かれ、ガラティアは返す言葉が無くなってしまったので、仕方なく今後の話に切り替えた。


「うぐっ・・・じゃっ、じゃぁ、どうすれば採用を決めてくれるのですか?」


「今お伝えしたように、面接が終わりましたので、続いて実技試験を行います。

ちなみに面接の結果は合格となります。」


「じゃぁその実技試験に合格すれば、今度こそ間違いなく採用が決まると考えていいのですよね?」


「はい、そうなります。」


「後になって、他にも試験がある、とか言わないでくださいよ。」


「はい、次の実技試験が最後です。」


「・・・わかりました。

それで、実技試験の内容は何ですか?」


「これからガラティアさんには、こちらが指定する方々と、1対1の模擬戦を行っていただきます。

あらかじめお伝えしておきますが、勝敗は結果に左右されませんので、何度負けても諦めないでください。」


「勝敗が結果に反映されないのでしたら、何を採点基準とするのですか?」


「採点方法については、ご自分でお考え下さい。

一応実技試験終了後に公開します。」


「つまり、それを考えるのも試験の内、ということですか。」


「私からは、それについてお答えできません。

ただ、もし万が一にも全勝することができれば即採用、とだけお伝えしておきます。」


「だったら話は早いですね。

全勝すればいいだけですから。

それで、誰が相手なのですか?」


「この場にいる全員になります。」


「1対1とはいえ、私1人に対してそちらは10人ですか・・・私の方がだいぶ不利ですね。」


「その点については安心してください。

公平を期すために、模擬戦の相手以外は別室で待機しますので、他の相手にガラティアさんの手の内がわからない状態にします。

また1戦終わる毎にガラティアさんの回復も行いますので、常に万全の状態で戦えます。

それと私は合否を判断するために、模擬戦の内容を見て確認する必要がありますので、試験官としてこの場に立ち会わせていただきます。」


「じゃぁ貴女とは模擬戦で戦わないということ?」


「はい、そうなります。」


「あの方の娘がどの程度の強さなのか興味はありましたが、それは次の機会に取っておきましょう。

それで、最初は誰が相手ですか?」


「まずは私がお相手します。」


そう言って進み出てきたのはフィーアだった。


フィーアの背中にある片翼を見て、ガラティアはすぐにどの種族なのかを理解したようだ。


「その羽根、天使ではないですよね。

となると翼人族ですか?」


「はい、フィーア、と申します。

以後お見知りおきを。」


聞いた名前と種族から、ガラティアはあることに気付いた。


「翼人族のフィーア?

その名前、どこかで・・・あっ、確か翼国で次代の翼神候補を育成する任務に就いている方ですよね?

以前資料を見た記憶があります。」


対してフィーアは、隠すことなく認めた。


「ご存じでしたか。」


「私の管轄ではないけど、情報だけは知っています。

しかし正直なところ驚きました。

確か貴女たちには、反抗抑止のために支配が施されていたと記憶していましたが?」


この質問に対し、フィーアは一度シルフィナの方を見た。


するとシルフィナが縦に頷いたので、フィーアは隠すことなくガラティアの質問に答えた。


「・・・既に私たちは支配から解放されています。

当然、組織には一切気付かれておりません。」


「そうなのですね。

しかも、私たちは、ということは、そちらにいる皆さんも同様に支配を受けていた方たちということなのでしょう。

そして貴女と同様に、既に全員支配からは解放されている、と・・・違いますか?」


このガラティアの予想を、フィーアは肯定した。


「はい、その通りです。

シルフィナさん以外は、全員組織に捕らわれて支配を受けていましたが、ここに来た時点で解放されました。」


フィーアの答えを聞いて、ガラティアはある人物を思い浮かべながら楽しそうな笑みを浮かべている。


「なるほど・・・このことを知ったら、ウルサは悔しがるでしょうね。」


「ウルサ、さん、ですか?」


「私と同じ序列第5位の特級天使です。

貴女たちへ施した支配、その全てを構築したのがウルサなのですよ。

絶対に自分以外が解放することは不可能、と豪語してましたからね。

それが他人によって解放されてしまったことを知ったら、珍しい光景が見られそうだなと思いましてね。」


「そうですか・・・ではいずれウルサさんには、私たち全員でご挨拶しなければいけませんね。」


フィーアは隠すことなく、ウルサに向けて殺気をむき出しにしている。


するとそれを見たガラティアは苦笑いを浮かべた。


「貴女たちの気持ちもわかりますよ。

でもこれだけは言わせてください。

確かにウルサの構築した支配によって、長い間貴女たちは自分の意思に反することを組織に強いられてきたかもしれません。

しかしその反面、支配は貴女たちを最悪の事態からだけは護ってもきたのですよ。」


初めて聞く支配についての内容に、フィーアは殺気を引っ込めて詳しい説明を求めてきた。


「支配が私たちを護っていた?

それはどういうことなのでしょうか?」


「おかしいとは思いませんでしたか?

貴女方のような見目麗しい女性が組織に対して抵抗できない状況だというのに、無理矢理最後の一線を超えるような行為やそれに準ずる行為を強要されなかったことに。

まぁそれ以外の性的な嫌がらせはあったかもしれませんが。」


「確かに、言われてみればおかしいですね。

組織の連中は飢えた獣ばかりでしたから嫌がらせ程度のことは多かったのは確かですが、不思議と無理矢理犯されるようなありませんでした。

ですがそれと支配がどう結びつくのでしょうか?」


「支配には、最後の一線を越える行為やそれに準ずる行為を行うには貴女たち本人の同意が必要、と支配の制約に定められていました。

ですから誘われたことは多かったはずです。

これまで貴女たちが純血を護ることができたのは、貴女たち自身の意志が決して折れなかった結果なのですよ。」


「そうだったのですか・・・しかし疑問があります。

あの支配にそこまで相手に強要できるだけの効果があったのですか?」


「強要する効果はありませんよ。

馬鹿が暴走すれば、貴女たちを襲うことは可能でした。

しかし組織はそれを徹底管理して、無理やり貴女たちを襲うことを固く禁じていました。」


「それは何故ですか?」


「組織は恐れていたのですよ。

もし貴女たちの同意無く一線を超えた場合、その相手に連なる者全てに天罰という名の災いが降りかかる、という罰則をね。

しかも人数が増えれば増えるほど、災いは強力になっていきます。」


「相手に連なる者全てとは、それはつまり、組織全体に大打撃を与えることになり、場合によっては組織が壊滅することもありえる、ということでしょうか?」


「そうですね、ほぼ間違いなくそうなるでしょう。

しかしそこはあまり重要ではありません。

組織にとっては、組織自体があまり重要ではありませんから。」


「組織自体が重要ではない?

では組織にとっては、いったい何が重要だというのですか?」


「それは・・・」


そのままの話の流れで、ガラティアが調子に乗ってフィーアの質問に答えようとしたのだが、それは途中で止められてしまった。


「ガラティアさん!」


シルフィナが強い口調で遮ったのだ。


それによってガラティアも、自分の口が滑りそうになっていたことに気付いたようだ。


「おっと、どうやら喋り過ぎてしまったようです。

舌が乗ってくると余計なことまで話してしまうのは私の悪い癖ですね。

どうやらここから先は、まだ貴女方が踏み込める部分ではないようです。

ですから、今私他話せるのはここまでですね。」


「そうですか・・・仕方ありません。」


「おや、ずいぶん簡単に引き下がりますね。

貴女は続きが気にならないのですか?」


「当然気にはなります。

しかし今の私たちが知ることではないというのであれば、おとなしく従うだけです。」


「どうやらメイドとしての躾が行き届いているようですね。

これなら今後も無理矢理問いただされる心配はないでしょうから、そこは大丈夫そうですね。」


「それについてはご安心ください。

私たちの主様は、常に私たちの意思や意見を尊重してくださいますので。」


「貴女たちにとっては、とても素敵な主様なのですね。」


「はい、公私共に、私たちをとても大切に可愛がってくださいます。」


このフィーアの言葉だけで、ガラティアはメイドたちと主の関係を正確に理解した。


「なるほど、公私共に、ですか・・・」


「何か問題でも?」


「いえいえ、貴女たちは自分の意思で主様を受け入れたのですから、私がとやかく言うことではありません。

しかし、どうやら主様は、とても好色漢な方のようですね。

ただ私が貴女たちと同じ選択をするかはわかりませんよ。

そこは私個人の意思を尊重してほしいと願うところですね。」


「主様がとても女性好きであることは、自他共に認める事実です。

しかし先程も申しましたが、主様は常に私たちの意思や意見を尊重してくださいます。

例えメイド相手とはいえ、立場を利用して無理矢理手籠めにするような方では断じてありません。

むしろ慎重すぎて、こちらの方がやきもきするくらいです。

まぁ互いの想いが通じ合ってからは、とても積極的になられますが。」


「それを聞いて安心しました。

雇う代わりに身体を差し出せ、などと言われたらどうしようかと思いましたからね。」


「それは主様にとっては最も忌むべき行為の1つです。」


「なるほどなるほど、主様は常識のある人格者のようですね。」


「はい、その通りです。

しかしガラティアさん、先程から、主様、と仰られておりますが、まだ気が早いと思うのですが?

ガラティアさんは、今試験中なのですから。」


「それは失礼しました。

しかしいまだに名前すら明かしてくださらないのですから、それくらいは大目に見てください。」


「・・・仕方ありません。

こちらの問題でもありますので、それについては目を瞑りましょう。」


「そう言ってもらえると助かります。」


「さて、長々と話していても先に進みませんので、そろそろガラティアさんの実技試験をはじめたいと思います。

準備はよろしいですか?」


「私の方はいつでもいいですよ。」


「そうですか・・・ではシルフィナさん、お願いします。」


フィーアがシルフィナに合図を送ると、いつの間にか他の皆はその場からいなくなっていた。


そして一呼吸置いてから、シルフィナが実技試験の開始を告げる。


「わかりました・・・それでは、実技試験第1戦目・・・はじめっ!」


このシルフィナの号令と同時に、2人は正面から互いに向かって突っ込んでいったのだった。




ガラティアの実技試験がはじまってから、既に1時間以上が経過していた。


その間に、フィーア、メイア、ミィ、トウカ、イシス、ノルン、ケイの7人が順番に模擬戦を終えており、今はサーシャが相手をしている。


最後のシーノ以外は模擬戦を終えた後もその場に残り、実技試験の様子を見学していた。


そしてサーシャとガラティアの戦いの様子はというと、一方的な展開になっている。


終始サーシャが攻め続け、ガラティアは防御に徹しているから余計にそう見えるのだろう。


だが実際にガラティアは、ほとんどダメージを受けていない状態だ。


これはガラティアが防御に優れているため、相手に攻撃させておいてその隙を突く戦法を得意としているからである。


それでも僅かにダメージは蓄積しており、しかも今のところは相手の隙を突けずに防戦一方であった。


これ以上待ってもガラティアの状況が変化しないと感じたのか、突然サーシャは攻撃の手を止めた。


「うーん・・・ここまでだね。

シルフィナちゃん、いいかな?」


「えっ?・・・まさか!」


すぐにサーシャの考えを察したガラティアだったが、止める間もなかった。


「そうですね。

では、そこまで!」


「はーい、ありがとうございました。

ガラティアちゃん、中々強かったよ。」


それだけ言い残して、サーシャはすぐに他の皆の許へと引っ込んでしまった。


ガラティアはそんなサーシャには何も言わず、何度繰り返したかわからない言葉をシルフィナに向かって発した。


「ちょっと待ってください、またですか!

何なんですか、さっきから!

これじゃ勝敗なんてわからないじゃないですか!

これで実技試験の結果なんて出せるんですか!」


このガラティアの言葉通り、これまでの模擬戦全てで、決着がつく前にシルフィナが止めてしまっていたのだ。


最初のフィーアと次のメイアのときは、自分が優勢だったためガラティアも特に気にしなかった。


しかし次のミィ以降は、全て相手の方が優勢だったにもかかわらず、途中で終了してしまうという、何とも中途半端な結果が続いていた。


そのため反撃の隙を窺っていたガラティアとしては、自分の見せ場が来る前に毎回模擬戦が終わってしまうのだ。


おかげでガラティアは鬱憤が溜まりに溜まって、我慢の限界が近いようだ。


だがそんなガラティアのことなど一切お構いなく、シルフィナは平然と答えた。


「最初に勝敗は関係ないとお伝えしたはずですが?」


「確かにそうですけど・・・でもどうして最後まで戦わせてくれないんですか!」


「無駄な時間を省くためです。」


「無駄って、それじゃぁ何のために実技試験をやってるんですか!

これで不合格になったら、私は納得なんて絶対にできませんよ!」


「失礼しました。

言い方が悪かったですね。

あのまま続けても結果は見えていましたので、余計な手間と時間を省くために、早々に判断させていただいただけです。

ですがそうですねぇ・・・もうここまでで十分でしょう。

ガラティアさんの実技試験は、合格、とさせていただきます。」


この合格の言葉に、ガラティアの機嫌は一気に回復した。


「えっ?合格?・・・なんだぁ、そうならそうと早く言ってくださいよ。

じゃぁこれで私のことを雇ってもらえるということですね?」


「はい、これからよろしくお願いします。」


「あっ、はい、こちらこそよろしくお願いします。」


「しかしそうなりますと、中途半端に終わってしまいましたね。

もしよければ、最後の1人とも模擬戦をされるというのはいかがでしょう。

どうやらガラティアさんは、消化不良のようですから。

どうされますか?」


「まぁ私は別に構いませんが・・・」


「では決まりですね。

ということですので、シーノさん、ガラティアさんのお相手をお願いします。」


シルフィナがそう言うと、いつの間にかシーノがガラティアと対峙するように立っていた。


「わかりました。

ところでシルフィナさん、これは実技試験ではなく、ただの模擬戦、ということでいいんですよね?」


「ええ、その通りです。

ですから先輩として、ガラティアさんに教えてあげてください。」


「はい、任せてください。

というわけですので、ガラティアさん、私の方は準備ができていますから早速はじめようと思いますが、準備はよろしいですか?」


「あっ、はい、私も大丈夫ですよ。

いつでもどうぞ。」


「ではシルフィナさん、お願いします。」


「わかりました。

ですがその前に、まずはガラティアさんの回復を・・・これで大丈夫ですね。

それでは・・・はじめっ!」


こうしてガラティアを回復してからシルフィナの開始の号令で模擬戦がはじまったのだが、何故かどちらもその場から一歩も動かなかった。


「おや?

今までの方たちは開始と同時に私の方へと接近してきたのですが、どうやら貴女は違うようですね。」


「一応これは実技試験ではなく、ただの模擬戦、ですから。

それにガラティアさんも、きちんと勝敗をつけたいと思っているはずです。」


「もしかしてこれまでの戦いを見ていたのですか?

それだと最初に言っていた話とは違うようですが・・・まぁ私は気にしませんけどね。」


「別にこれまでの試験内容を見ていたわけではありませんよ。

元々試験はガラティアさんの力を推し量るためであり、同時に今の私たちの力を推し量るためでもあったのです。

そして互いの様子を見る限り、ガラティアさんの服にはところどころ汚れが見られますが、他の皆の方にはほとんど汚れが見られません。

そこに私が知る皆の実力を加味すれば、自ずとガラティアさんの戦い方もわかってくるというわけです。

おそらくガラティアさんの戦法は、防御主体で相手の攻撃を完封してからのカウンター狙い、といったところでしょう。」


「なるほど、直接見ずとも周りの状況から私の戦い方を予想したというわけですか・・・お見事です。

しかし私の戦い方がわかったからといって、私を倒せるかといえば、それは無理な話です。

それはこれまでの皆さんが、私を倒しきれなかったことで証明されていますからね。

そして貴女が他の皆さんと同じように接近してこなかったのは、私と同じことをやろうと考えているからでしょう。

攻撃しなければ防御されることもありませんから、私からの攻撃を待って逆にカウンターで倒そうとしている、違いますか?」


「普通ならそう考えるでしょうね。

しかし3つほど訂正させていただきます。

まず1つ目は、今回は実技試験だったため、皆はガラティアさんを倒せなかったのではなく倒さなかった、ということ。」


「説得力がありませんね。

私には、負ける前に模擬戦を中断された、としか思えません。」


「2つ目は、私がすぐに攻撃しなかったのは、別にガラティアさんが攻撃してくるのを待っていたわけではない、ということ。」


「これも説得力がありませんね。

ならどうやって私を倒すのか、教えてほしいです。

まぁ本当にできるのならですがね。」


「そして3つ目は、これが先程までの実技試験ではなく、ただの模擬戦である、ということです。」


「ん?それはどういう意味ですか?」


これまでことごとくシーノが口にしてきた訂正を否定し続けてきたガラティアであったが、最後の最後で意味がわからず、思わず聞き返してきた。


その答えは、言葉ではなく行動で示された。


「こういうことですよ。」


そう口にした瞬間、ガラティアの視界からシーノの姿がこつ然と消えたのだ。


「えっ?」


「はい、まずは1発目ですね。」


次にシーノの声が聞こえてきたときには、背後から重心を置いていた左足の膝の裏を軽く蹴られ、ガラティアは一瞬バランスを崩してしまった。


「いつの間に!?」


だがすぐに体勢を立て直してから、慌てて声がした方を振り返ったが、既にそこには誰もおらず、いつの間にかシーノは先程と同じ場所、自分の正面に戻っていた。


そしてガラティアに事実を突きつけた。


「もし私が本気で蹴っていましたら、今ので左足は相当のダメージを受けていましたね。

つまり、ガラティアさんご自慢の防御が一切できなかった、というわけです。」


図星を指摘されたガラティアだったが、素直に受け入れることができず、思わず言い訳を口にしていた。


「くっ!いっ、今のはちょっと油断していただけです。

もう貴女から目を離しませんから、次はありませんよ!」


「そうですか・・・では、今度はしっかり見ていてくださいね。」


そう言ってシーノは、その場で無防備に立っていた。


ガラティアはそんなシーノの一挙手一投足から目を離さないように、全力で目を凝らしている。


しかしずっと目を開けていることができず、無意識に一瞬だけ瞬きをしてしまった。


その瞬間、再びシーノの姿がガラティアの視界から消えてしまったのだ。


「なっ!?」


今度も背後の死角からくると予想したガラティアは、すぐに振り返って後方を警戒する。


だがそこには誰もおらず、少し遅れて背中に両手が置かれた。


「はい、これで2発目ですね。」


「くっ!」


ガラティアは慌ててその場から前に飛び退いて距離を取ってから振り向いたが、既にシーノの姿はそこには無く、再び元の立ち位置に戻っていた。


「どうしましたか?

今回も私がその気でしたら、背中に相当のダメージを負っていたと思いますが。

それともまた油断されていたのですか?」


すると今度は言い訳をせずに、ガラティアは強気の態度で言い返してきた。


「そんな余裕を見せていられるのもここまでです!

もう貴女の戦法は見極めましたよ!」


「私の戦法を、ですか?」


「そうです!

確かに貴女の動きは相当速いのでしょう。

しかし動き出しを視認できないのは、私の視界が途絶える一瞬、つまり瞬きをしたときを狙って動き出しているからです!

これからは片眼ずつ瞬きするようにしますから、もう私の視界から貴女の姿が消えることは絶対にありません!

次こそは防いでみせます!」


「それは別に構いませんが、あまり長引かせても仕方ありませんので、そろそろ終わりにさせていただきます。

そこで先に宣言させていただきますが、これから私は、正面からガラティアさんに近づいて前蹴りを放ちます。」


「無駄です!

そのような虚言には惑わされませんよ!

私は絶対に貴女を視界から外しません!」


「お好きなようにどうぞ。

では、行きます・・・ふっ!」


シーノは宣言通り、ガラティアが瞬きする前に正面から近づくと、一瞬で間合いに入って前蹴りを放った。


しかしガラティアの目はシーノの姿を全く追えておらず、そのため反応できずに防御する間もなく、無防備にシーノの前蹴りを受けてしまう。


そして膝から下の力が抜けてしまい、そのまま崩れ落ちてしまった。


「がはっ!・・・そっ、そんな・・・いつの間に・・・」


「一応手加減はしてありますから、少しすれば動けるようになるはずですが、どうします、まだ続けますか?」


このシーノの問いかけに対して、既にガラティアの答えは決まっていた。


「・・・いいえ、参りました、私の負けです。」


「それまでっ!勝者、シーノさん!」


「今の私ではどう足掻いても貴女たちには勝てないということがわかりました。

ここは素直に負けを認めておきますよ。」


「そうですか、それは賢明な判断です。

もしまだ続けるというのでしたら、次はもう少し強く攻撃して実力差をハッキリさせておく必要があると思っていましたが、そうならずに安心しました。」


こうしてシーノとガラティアの模擬戦は、圧倒的な力の差を見せつけてシーノの勝利に終わったのだった。

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