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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第17章 商い革命
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商国での会談14

イーリスはその破壊された跡をジッと見つめていた。


それは大天使が確実に消滅したか警戒していると同時に、哀愁を感じているようにも見える。


そこへマリスが近づいてきて、イーリスの肩へと手を置いた。


「やったな、イーリス。

見事だったぞ。」


ここでようやくイーリスは引き金から指を外し、大天使がいた場所に向けていた銃口の照準を外した。


そしてマリスの方を見ながら、気が抜けたような声で話しはじめた。


「マリス・・・でもまだ終わりではないわ。

今はまだ無事なようだけど、できるだけ早くお母様を助けに行かないと。

こうしている今もお母様は、どのような責苦を受けているのかわからないのだから。

そのためにも(わたくし)は、今以上に強くならなければいけないわ。

他にもやらなければいけないことはたくさん・・・」


そんな放心状態で事務的に淡々と語るイーリスに対して、マリスは少し大きな声と強めの口調で活を入れた。


「ユーリさんは必ず助け出せる!

それに私だけではない、皆だって協力してくれる!

だから、今は焦るな。」


最後は優しい口調になると、イーリスの目に気力が戻ってきて、謝罪と感謝の言葉を口にした。


「・・・御免なさい。

そうよね、焦っても上手くいかないってわかっているのに、(わたくし)もまだまだね。

ありがとう、マリス。」


「気にするな。

幼馴染なんだから、遠慮することは無い。」


「それもそうね。」


「イーリス、お前なぁ・・・」


「ふふふっ、冗談よ。

でも、感謝しているのは本当よ。」


「どうだかな・・・まぁいい。

そんなことよりも、気になることが盛りだくさんだぞ。

そろそろ何をやったのか、洗いざらい教えてもらおうか。」


「わかってるわ。

中級天使を倒した後なら説明してもいいと言われているし。

でもその前に、そろそろ姿を見せてくれないかしら?」


イーリスが手に持つ銃に声をかけると、優しい光を放ってから姿が変化した。


現れたのは、雪のように真っ白な長い髪の少女だった。


しかしそんな少女が最初に口にしたのは、謝罪の言葉からだった。


「先程は出過ぎた真似をしてしまい、申し訳ございませんでした。

ですがパートナーとして同じ気持ちでいたいという想いからの行動であることを、どうかご理解いただければと思います。

申し遅れましたが、(わたくし)は、ホリィ、と申します。

以後よろしくお願いいたします。」


「ええ、よろしくね、ホリィ。

それと謝罪は不要よ。

貴女は(わたくし)の想いを代弁してくれたのだから、気にする必要は無いわ。」


「ありがとうございます、イーリス。」


「それにしてもホリィ、貴女・・・」


「何でございますか?」


イーリスは何か言おうとしたのだが、すぐに言葉を呑み込んでしまった。


「・・・いいえ、何でもないわ。

気にしないで。」


「かしこまりました。」


気持ちを切り替えたイーリスは、マリス方へと向き直った。


「さてと、それで、マリスは何が聞きたいのかしら?」


「そうだな、私が聞きたいのは・・・イーリス、さっきの中級天使との戦いで、いったい何をしたんだ?」


「シンプルなのに、要点を無意識についている質問内容ね。

だったら一通り説明した方が早いわ。

まず(わたくし)が使った力は2つよ。

1つは説明するまでもなく神力。

そしてもう1つが・・・」


ここでイーリスが答えを口にするよりも先に、マリスが自身が導き出した答えを口にする。


「もしかして継承者としての力か?

いつの間に封印を解除したんだ?」


しかしこのマリスの予想は違ったようだ。


「残念だけどハズレよ。

継承者としての力は今もまだ封印中で使えないわ。」


「どういうことだ?

だったらもう1つの力は魔力なのか?」


「いいえ、今回魔力は一切使っていないわ。

さっきも言ったけど、(わたくし)の制御能力では中級天使にダメージを与えられるだけの魔力純度にできないもの。」


「ならもう1つの力というのは何なんだ?」


結局マリスはわからなかったので、イーリスに答えを求めてきた。


そしてイーリスの口から、予想外の答えが出てきた。


「それは、発現者としての力、よ。

(わたくし)は継承者としての力が封印されていて、今はまだ解除することができないのは皆も知っている通りよ。

だから皆とは順番を逆にして、先に発現者としての力を覚醒させたのよ。」


「つまりその発現者としての力を使って、中級天使を倒したというわけだな。」


「そうよ。

正確に言えば、発現者としての力で、神力が中級天使に効かないという事実を変えたのよ。」


「そういえば戦っている最中にも、そんなことを言っていたな。

イーリスの発現者としての力は、いったいどういうものなんだ?」


(わたくし)の発現者としての力、その名は、理力。

(わたくし)の意思で、対象の(ことわり)に干渉して操作することができる力よ。

さっきは中級天使の、神力を無害化する、という効果を無効化するために、中級天使には神力を無害化できない、という(ことわり)を与えてから弾丸として放ったの。

つまり理力というのは、当たり前のことを当り前ではなくすることができる、この世の(ことわり)を変えることができる力、というわけよ。

だから中級天使に神力による攻撃が効いたのよ。」


しかしこのイーリスの答えを聞いたマリスは、最初は難しい顔をして考えていたものの、結局理解できずに更なる説明を求めてきた。


「・・・意味がわからない。

もう少し簡単に説明してくれ。」


「そうねぇ・・・例えば、氷は冷たいもの、火は熱いもの、これは常識よね?」


「当然だ。」


「でも理力を使って(ことわり)を変えれば、冷たくない氷や熱くない火に変えることもできるの。

もちろん、熱い氷や冷たい火に変えることも可能よ。」


これを聞いて、マリスは以前見た光景を思い出した。


「・・・それは以前エミルがやった、この世に存在しない鉱石を自分の属性で生みだすようなもの、なのか?」


「近いけど、根本的には全く違うわ。

エミルの場合は、鉱石の範疇から抜け出せないし、自分で生み出したものに限定されるでしょ。

でも(わたくし)の理力は、それが元々存在するものでも、誰かが生み出したものでも、何でもかんでも(ことわり)に干渉して変えることが可能なのよ。

それこそ、その辺に落ちている石ころを、宝石のように輝かせることも、魔石のように映像を記録できるようにすることもね。」


このイーリスの説明を聞いて、マリスはようやく理力の能力の恐ろしさを理解した。


「・・・それはかなり便利で使い勝手がいい能力だな。

ある意味反則級の能力だ。」


「ところがそう上手くはいかないのよ。

いろいろと制限もあるからね。

まず自分より強い力を持つ相手には、ほとんど効果が無いわ。

それに変えることができる(ことわり)は、現在は1つの対象に対して1つだけで、同時に3つまでなの。

4つ目以降は、古い順から自動的に元に戻ってしまうわ。

後は効果時間が短いのも問題ね。

今はまだ10秒ほどしか(ことわり)に干渉できないもの。

時間を過ぎると矯正力が働いて、元に戻ってしまうわ。

これらは今後制御能力が高まれば、増える可能性はあるみたいね。」


「だが戦闘面だけで見れば、今の状態でも十分強力な能力だと思うがな。」


「いいえ、全然駄目よ。

だって効果があるのは自分と同等か、それ以下の相手だけだもの。

格上相手には、制御能力を割くだけであまり意味がないからね。」


「だが理神力として発動すれば、神神力より遥かに強力な力になるんだろ?

そこに理力の能力を重ね合わせれば、効果が薄い格上相手でも通用すると思うがな。」


「無理よ。

理力は能力に重点を置きすぎてしまって、欠点があるのよ。

それが、理神力として発動しても神神力との差はせいぜい1.5倍くらいにしかならない、ということの。

多少の強化はされるけど、皆みたいに何倍にもならないわ。

例え魔神力を喰わせて増幅したとしても、皆との差が余計に広がるだけよ。

これは対天使に特化した弊害ね。

せめて封印されている力が解放されれば他にもやりようはあるんだけど、こればっかりは今言ってもしょうがないわね。

それに仮に封印が解かれたとしても、今の(わたくし)では、全てを同時に扱うだけの制御能力は無いわ。」


「なるほど。

結局は、訓練で自身の力を高めることが一番の近道、ということだな。」


「そういうことよ。」


「ところでイーリス、1つ気になることを言っていたが、今の話だと発現者としての力を自分で選んだかのように聞こえるんだが、どういうことなんだ?」


「相変わらず鈍いようで鋭いわね。

答えは、その通り、よ。

これも許可が出ているから教えるけど、発現者としての力というのは、自分が求めた形で発現するのよ。

発現者としての力は、増幅率、制御負荷、保持量、回復量、能力、成長率、他にも細かい項目はあるけど、基本的にはこの6つの項目にどれだけ割り振るかによって決まるの。

だからどんな力を欲しているのか、常にそれを強く思い描きながら、力を発現させる必要があるわ。

私の場合は、理力の制御負荷と能力に極振りしているから、他の項目が低いの。

たぶん近い内にマリスたちの訓練内容も、発現者としての力の発現、に移行すると思うから、今の内にどんな力にするのか考えておいた方がいわよ。

継承者としての力を阻害せず、相乗効果を生みだせるような力が理想ね。」


「私の場合は辰力との相性か・・・これはかなり難しいな。

自由度が高い分、相当悩みそうだ。」


「確かにそうね。

でもこれだけは言っておくけど、何でもできる万能な力は求めない方がいいわよ。

自由に力を決めることができるとは言っても限界はあるもの。

それに力を発現して終わりではなく、その後も成長するから、そこは忘れないようにしなさい。

そうしないと自分が思い描く力の最終形から大きく変わってしまうわよ。

まぁでもそこは的確なアドバイスが貰えるから、心配する必要は無いわ。」


「わかった。」


「他に聞きたいことはある?

とは言っても、今のが(わたくし)が知っていることのほとんどなのだけどね。」


「とりあえず、それだけ聞ければ問題無い。

一度整理して、何かあればまた質問させてもらう。」


「そう、なら話はこれくらいにして、そろそろ戻りましょう。

たぶん他の場所へ行っている皆も、そろそろ戻っているころよ。」


「そうだな。」


「ティリア、お願いできる?」


「うん、大丈夫だよ。

じゃぁ一度元の場所に戻ろっか。」


そう言ってティリアは、人一人が通れるくらいの大きさのゲートを開いた。


慣れているイーリスとマリスは、何も言われなくてもすぐにゲートの中へと入って行ってしまった。


しかしククリだけは慣れていないため最初は警戒していたのだが、すぐにランが問答無用でゲートの中へ手を引いて入って行った。


そして最後にティリアが中へ入ると、ゲートは静かに閉じ、その場から誰もいなくなったのだった。




ゲートを出た先は商国の王城、その謁見の間で、陰の一族の拠点に移動していた皆と、天使たちを相手にしていた皆は、既に戻ってきていた。


そこにティリア、イーリス、マリス、ラン、ククリが戻ってきて、再び全員揃ったのかというとそうではなかった。


その場にはまだ、メイドの皆が戻ってきていないのだ。


そしてマコトもまだ姿を現していなかった。


とりあえずそれぞれを代表して、サラ、イーリス、カーラの3人が、現状の確認を行っていた。


「イーリス、そちらの首尾は?」


(わたくし)たちの方は全て予定通り、いえ、予定以上の成果を上げたわ。

全員中級天使を相手にしても余裕だったし、(わたくし)の方では、この娘が第三段階に進化したわ。

ただ正直なところ中級天使には期待外れで、全員消化不良、といったところよ。

サラたちの方はどうだったの?」


「私たちの方も予定以上の成果よ。

天使、ゴーレムは問題無く倒せて課題もクリアしたし、ノワールとエリスさん、それとエミルとミレーヌもパートナーが第三段階に進化したわ。

そしてこちらも同じく天使もゴーレムも、たいした相手ではなかったわね。

全員が物足りなく思っているのは、そっちと同じよ。

カーラさんたちの方は何かありましたか?」


「こちらも報告がいくつかあります。

1つは、エナン様のことです。

ほとんどの内容が今この場で私の口から申し上げることではありませんので、後でエナン様から皆さんにお話ししていただきます。

この場でお伝えできる内容としましては、今回マコトのハーレムに正式に加わわった、ということくらいですね。」


このカーラの報告を聞いたサラとイーリスは、特に驚いた様子も無く、すぐに受け入れていた。


「まぁマコト様でしたら当然の結果ですね。」


「では新たなハーレムメンバーの歓迎会を開かなければいけませんね。

戻ったら皆で準備を行わないと。」


「それについてはホーネットさんが主導して、拠点の方で既に準備が進められていますので、問題ありません。」


「なら任せて問題ありませんね。」


「それでは他の報告をお願いします。」


「わかりました。

もう1つの報告は、軍王エステル様がセレスさんの説得に応じて重い腰を上げ、この後マコトに告白する予定です。」


「あー・・・ようやくですか。

意外にかかったわね。」


「仕方ないわ。

あそこまで腐敗して傾いていた軍国を立て直すのは、相当苦労するもの。

(わたくし)は、むしろその決断に至ったのは早い方だと思うわよ。

今は少し余裕が出てきたということじゃないかしら?」


「まぁなんにせよ、新たなハーレムメンバーが増えるのは喜ばしいことだわ。」


「ええ、そうね。

カーラさん、他に報告はありますか?」


「後は軍国に向けて例の組織から魔物や魔獣が放たれていたり別動隊が潜入しようとしていたのをマコトが阻止した、ということくらいですね。

私の方からの報告は以上になります。」


「マコト様が動いたのでしたら何も問題ありませんね。」


「そうなるとお互いの報告も終わって、後は何もやることが無くなってしまったわね。

マコト様が戻ってくるまでどうしようかしら・・・」


サラとイーリスがどうやって時間を潰そうかと悩んでいると、カーラからある話題が出てきた。


「それについて報告ではないのですが、1つ気になることがあります。」


「気になること、ですか?」


「それは何ですか?」


「シルフィナたちメイドの皆さんのことです。

それぞれ別々の場所に分かれる前には、既に姿が見えなかったようですが、お2人は何か聞いていますか?」


「いいえ、私は何も。

イーリスは何か聞いてる?」


(わたくし)も聞いていないわ。

自分の戦いに集中していたから気付かなかったけど、メイドの皆さんが全員いなくなっているのは気になるわね。」


「メイドの皆さんが全員で動く必要がある程の事態が起こっている、と考えるのが自然かしら。

でなければ私たちだけに天使たちを任せず、いつもなら何人かは付いてきてくれるはずよ。」


「サラの言う通りね。

となると、天使以上の相手が商国に潜んでいた可能性が高いわね。

メイドの皆さんはその対処に向かったのではないかしら?」


このイーリスの考えに、カーラが拠点で出た予想を口にした。


「私たちの考えでは、戦いの前に部屋を出ていったメイドが関係しているのではないか、という結論に至りました。

あのメイド、お2人はどう思いますか?」


しかしカーラにそう言われたものの、バカ王子のメイドについては、2人ともあまり印象に残っていないようだ。


「そういえばいましたね、バカ王子の傍にメイドが一人。

私は何も気付かなかったけど、イーリスはどう思う?」


「正直なところ、(わたくし)も全く印象に残っていないのよね。

でも逆に考えれば、(わたくし)たちの警戒網から逃れている可能性もあるわ。

もし(わたくし)たちの前で隠し通せる程の実力者だったとしたら、メイドの皆さんがそちらを優先したのも納得よ。」


「それか、実はそのメイドがマコト様の指示で潜入していたメイドさんの一人で、だからメイドの皆さんで迎えに行った、とは考えられないかしら?」


「確かにその可能性もあるわね。

ただ全員で迎えに行くかしら?」


「もしかしたらだけど、何か重要な案件を調査するために潜入していて、その解決のためにメイドの皆さんの力が必要だったから、とか?

それに今回2人、転生装置からの救出も必要だから、その場所での安全確保のため、とも考えられない?」


「それも考えられるわね。

だけどこれ以上は考え出したら切りが無いわ。

結局答えは、マコト様やシルフィナさん、そしてメイドの皆さんが戻ってこないことにはハッキリしない、ということなのだから。」


「そうですね。

しかし知らないということはもどかしいことです。

ですが誰にも伝えなかったのは、何か理由があるか、伝えるほどのことではなかった、ということではないでしょうか?

一応最後にマコトは、今回の後始末をする、と言っていましたので、今はその関連で動いているのではないかと思いますよ。」


「後始末ですか・・・そうなると例の長距離魔導砲も関係しているかもしれませんね。」


「後は前商王のご遺体のこともあるわね。」


「そう考えますと、いろいろやることが多いですね。

おそらくまだ戻ってこないのは、単純に時間がかかっているだけなのでしょう。」


このカーラの意見を、2人も肯定した。


「そうですね。」


「マコト様とシルフィナさんもいるのですから、危険な状況にはなっていないはずです。

もうしばらく待って、それでも何も連絡が無ければ、アイさんに状況を確認してもらいましょう。

おそらくアイさんなら情報を共有していると思いますから・・・」


そんなことを話していると、突然ゲートが開き、そこからマコトとシルフィナ、そしてメイドの皆が出てきたのだった。

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