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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第17章 商い革命
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商国での会談12

現れたのは、双子と言われても違和感のない、顔が瓜二つの少女だ。


似ているのは顔だけではない。


執事のような服を着て男装をしているところも同じだ。


唯一違うのは髪型だ。


ノワールの前に立っている少女は、長い髪を後ろで短くまとめている。


一方エリスの前に立っている少女は、長い髪を後ろで三つ編みにして1本にまとめている。


その2人の少女は現れて早々に、ピッタリ息の合った動作で、まずは天使たちを蹴り飛ばした。


そして流れるような所作で、軽く頭を下げてから簡単な自己紹介を行った。


「初めまして、ノワール。

私は貴女のパートナー、名はブランシュです。

以後、よろしくお願いします。」


「初めまして、エリス。

私は貴女のパートナー、名はヒュネメスです。

以後、よろしくお願いします。」


突然の丁寧な挨拶に、ノワールもエリスも状況を把握しきれていないようだ。


それでも何とか返事だけは返すことができた。


「よっ、よろしくお願いしますわ。」


「うっ、うん、よろしく。」


挨拶もそこそこに、2人はすぐに本題へと入った。


「では手短に説明します。」


「貴女たち2人が協力する必要はありません。」


「足りない部分は、パートナーの私たちが補います。」


「2人は魔力の純度を50%にすることだけに集中してください。」


「武器化した私たちが、それを維持します。」


「しかしそれでも、今の私たちでは1分が限界です。」


「ですから後は貴女たち次第です。」


「説明は以上です。」


「何か質問はありますか?(×2)」


矢継ぎ早に説明する2人を、ノワールもエリスも唖然としながら見ていたが、話しの内容だけは聞いて覚えていたようだ。


そのため最後に質問を求められても、何も聞くことは無かった。


「だっ、大丈夫ですわ。」


「もっ、問題無い。」


「よろしい。(×2)」


それだけ言うと、2人は再び武器化してノワールとエリスの手元に戻ってしまった。


その武器としての姿は以前と大差ない。


だが大きく違っている特徴が1つだけある。


それは、魔石のようなものが埋め込まれていることだ。


ノワールの棍には、それぞれの先端に、赤と青の石が埋め込まれている。


エリスのメイスには、先端部分の側面の表と裏に、白と透明な石が埋め込まれている。


2人は武器を構えると、自然とその石の1つに魔力を集中させて純度を高めはじめた。


「はぁぁぁぁぁ・・・(×2)」


そしてあと少しで純度が50%に達するというところで、先程ブランシュとヒュネメスに蹴り飛ばされた天使たちが戻ってきた。


「どこ行ったんだぬん!」

「どこ行ったんだねん!」


いきなり現れた見知らぬ少女たちに蹴られたからか、どうやら天使たちの標的が一時的にブランシュとヒュネメスに変わったようだ。


しかし2人の姿が見つからないとなると、すぐに動きを止めているノワールとエリスへ標的を戻した。


「チャンスなんだぬん!」

「チャンスなんだねん!」


天使たちは何も気にせず、これまでと同じように無防備なまま突っ込んできた。


そのまま動けない2人に天使たちの攻撃が当たるかと思われたが、僅かな差でノワールとエリスの方が早かったようだ。


2人は天使たちの攻撃を避け、再び距離を取った。


「惜しかったんだぬん。」

「惜しかったんだねん。」


そう言って天使たちが悔しそうに次の手を考えていると、突然ノワールとエリスが何も無い場所に向かって武器を1度だけ振った。


よく見ると2人の持つ武器に付いている赤と白の石の周囲に集まっていた魔力が、その動作と共に霧散し、武器化していたブランシュとヒュネメスが人型に戻っている。


これを天使たちは、諦めたのだと勝手に解釈した。


「とうとう観念したんだぬん。」

「とうとう観念したんだねん。」


「今度こそバラバラに斬り刻んでやるんだぬん!」

「今度こそグチャグチャに潰してやるんだねん!」


そこへ調子に乗った天使たちが4人に向かっていこうとしたそのとき、突然ノワールとエリスが天使たちを指差した。


「何だぬん?」

「何だねん?」


全く意味がわからない天使たちだったが、次に続く2人の言葉で、その意味を理解することになる。


「その言葉、そっくりそのまま返しますわ。」


「というか、もう返した。」


「何を言ってるんだぬん?」

「何を言ってるんだねん?」


しかし天使たちはまだ意味がわからないようだ。


そんな天使たちを無視して2人が背を向けると、ノワールとエリスはエミルとミレーヌの方へ向かって歩いて行ってしまった。


「これで私たちの出番は終わりですわ。」


「後始末は任せる。」


そしてエミルとミレーヌも、ノワールとエリスの方へ向かって、既に歩いていた。


「おうっ、任せてくれ。」


「任せてください。」


そしてすれ違う時に、ノワールはエミルと、エリスはミレーヌと、それぞれ手にタッチして、選手交代を演出していた。


「ってわけで、ここからは俺たちが相手だ。」


「どうせすぐに終わりますがね。」


今度は自信満々な2人が天使たちと対峙したが、当然天使たちは納得できるわけが無い。


目の前の2人を無視して、ノワールとエリスに向かって文句を言ってきた。


「ふざけるんじゃないんだぬん!」


「逃げるんじゃないんだねん!」


「戻ってきてポクにバラバラに斬り刻まれるんだぬん!」

「戻ってきてポクにグチャグチャに潰されるんだぬん!」


だがノワールとエリスは天使たちの文句を完全に無視している。


その代わりに、エミルとミレーヌが答えた。


「おいおい、お前らまだ気づかねーのか?」


「鈍感ね。」


エミルとミレーヌが憐れむような目で馬鹿にしていると、天使たちの標的が2人に移った。


「お前たち何なんだぬん!」


「さっきから何を言ってるんだねん!」


ここでようやくエミルが、天使たちを指差しながら種明かしをした。


「お前ら、自分の腕をよく見てみろ。」


天使たちが言われるがままに自分の腕を見ると、そこでようやく自分の身に何が起こっていたのか理解した。


片方の天使の両腕は、肩の辺りから奇麗に切断されており、切断された両腕も、少し離れた場所でバラバラになっている。


もう片方の天使の両腕は、ところどころ本来曲がらない方向へ折れ曲がって、更に叩き潰されている。


それを目にした瞬間、天使たちを初めての感覚が襲った。


「・・・うぎゃーーーーーっ!(×2)」


天使たちは初めて、痛み、という感覚を感じ、耐えることができずに叫びながらその場でのたうち回った。


それを冷めた目で見ながら、ミレーヌはマコトの話を思い出していた。


「やはり仰られていた通り、どれだけ頑丈な天使であっても、それを上回る力であれば何も問題無いわね。

少し前の私たちでは無理だったけど、今なら脅威にすらならないわ。」


ミレーヌが冷静に分析している一方で、エミルは完全に戦闘モードに入っていた。


「なぁ、そんなことどうでもいいから、とっとと片付けちまおうぜ。

もうやっちまっていいんだろ?」


「そんなことって・・・はぁ、まあいいわ。」


「じゃぁ一発で終わらせてやるぜ!」


「待ちなさい、エミル。」


「何だよ、まだ何かあるのかよ。」


「さっき私が言ったことをもう忘れたの?」


「さっき?・・・何か言ってたか?」


「エミル貴女ねえ、さっきのやる気はどこに行ったのよ・・・はぁ、まあいいわ。

さっきノワールとエリスに何が起こったのかもう忘れたの?」


「ノワールとエリスさんに?・・・もしかしてパートナーが進化したことか?」


「そうよ。

さすがにそれは覚えていたようね。」


「まぁな。

で、それがどうしたんだ?」


「・・・このまま天使たちを、ただ消滅させるだけでは芸が無いわ。」


「だったらどうすんだ?」


「簡単よ。

私たちも同じことをすればいいのよ。」


「同じこと?」


「つまり、私たちのパートナーも、今ここで進化させるのよ。」


「そんなことできるのか?」


「おそらく可能よ。

これまで他の皆のパートナーはどうして進化したか覚えている?」


「確か・・・ピンチになって追い詰められたとき、だろ?」


「確かにそうね。

でも進化には、もう一つ条件があったのを覚えてる?」


「もう一つ?・・・そんな条件あったか?」


「・・・あるのよ。」


「そうだっけ?・・・で、それって何だったっけ?」


「・・・はぁ・・・まあいいわ。

答えは簡単よ。

この娘たちは、私たちの力に合わせて成長、進化するわ。

それは覚えてる?」


「おうっ、もちろんだぜ!」


「だから今のこの娘たちでは私たちの全力に耐えられない、ということを教えてあげればいいのよ。」


「それって・・・どういうことだ?」


「はぁ・・・エミルが得意なことをやればいいのよ。

つまり、今出せる全力で魔力純度を高めれば、たぶんこの娘たちは進化すると思うわ。」


「そうなのか!

だったら早くやろうぜ!」


「それはいいけど、とりあえず少し落ちつきなさい、エミル。

貴女は張り切りすぎると、いつも失敗するんだから。」


「うっ、それを言うなよ。

俺だって何度も失敗するつもりはねーんだからよ。」


「別に過去の失敗を責めるつもりは無いわ。

私はただ、同じような失敗を繰り返さないか、それだけを心配しているのよ。

だから今回は、それを踏まえた上で行動するように心がけなさい、いいわね?」


「わっ、わかったよ!」


「じゃぁすぐにはじめるわよ。」


「おうっ!」


2人は腕輪を武器化すると、気合を入れながら武器に魔力を集中して純度を高めた。


「はぁーーー・・・起きやがれ!」


「はぁーーー・・・目覚めなさい!」


そして今出せる最高の純度に魔力を高め、武器化したパートナーたちに活を入れた。


すると武器化したパートナーたちから、大きな鼓動が聞こえてきた。


『ドックンッ』


それを合図に、2人の武器が強烈な光を放つ。


すぐに光は消え、目の前には2人の目を閉じた少女が現れた。


「おっ、上手くいったぜ!」


「そのようね。

まずは名前を聞いてもいいかしら?」


ミレーヌが問いかけると、少女たちは目を開けてから口を開いた。


「・・・俺はエミルのパートナーのアルマだぜ!

よろしくな!」


「おうっ、よろしくな、アルマ!」


「・・・私はミレーヌのパートナー、名前はイーノです。

よろしくお願いいたします。」


「イーノ、ですか・・・こちらこそよろしくお願いします。

2人とも、今の状況は理解しているかしら?」


「もちろんだぜ!」


「はい、問題ありません。」


「ではあそこの羽虫2匹を、跡形も無く消滅させるわよ。」


「任せろ!」


「はい、お任せください。」


2人はそのまま武器化し、エミルとミレーヌは再び魔力を集中して構える。


「準備はいいか、アルマ?」


「おうっ、いつでもいいぜ、エミル!」


「一瞬で終わらせますよ、イーノ?」


「いつでもどうぞ。」


「じゃぁ、行くぜ!」

「では、行きます!」


2人は掛け声とともに、いまだに痛みにもがいている天使たちへと接近した。


エミルはノワールに両腕を切り落とされた天使を、一瞬の内に両手の爪で木っ端微塵に切り裂いた。


そのまま天使は、断末魔の叫びをあげる間もなく、蒸発するように消えてしまった。


一方ミレーヌは、エリスに両腕を潰された天使を、一度上空へと蹴り上げた。


そして最高点に到達したと同時に飛び上がり、空脚を使ってあらゆる方向から高速の蹴りを叩き込む。


天使はその場から動くことなく止まった状態で蹴られる度に呻き声を上げていた。


やがて耐えきれなくなったのか、内側から爆散して、最後は煙のように跡形も無く消えてしまった。


2人は天使たちの消滅を確認してから構えを解くと、戦闘態勢を解除した。


「よっしゃーっ、楽勝だぜ!」


「やったぜエミル!」


「まぁこれくらいでしょう。」


「お見事です、ミレーヌ。」


そこへノワールとエリスもやってきた。


「さすがはエミルですわ。

(ワタクシ)があれほど苦労した天使を、ああも簡単に消滅させてしまうとは。」


「まぁな!」


「ミレーヌもすごい。

私がいくら攻撃してもビクともしなかった天使を、たくさん蹴ったとはいえ、あっという間に倒した。」


「私は与えられた仕事をこなしただけです。

全てはこれまで訓練してくださった皆様のおかげで、これはその結果にすぎません。」


「それだけではありませんわ。

2人もパートナーが第三段階へ進化したではありませんか。」


「ノワールやエリスさんだって同じじゃねーか。」


「だけど私たちとは状況が違う。

私たちは力が足りなかったから、ヒュネメスが力を貸してくれた。」


(ワタクシ)もブランシュに助けられましたわ。」


「でもエミルとミレーヌは、自分の意思でパートナーを進化させた。

今回の事で、まだ進化していない他の皆のパートナーを進化させるのに、別の選択肢が生まれた。

これは新たな発見。」


「そうね。

私も確実にできるとは思っていなかったから、今後の進化にも役立つかもしれないわね。」


4人がそんなことを話していると、突然エミルの武器が変化してアルマが現れると、話に割り込んできた。


「ちょーっと待ったーっ!」


「どうしたんだ、アルマ?

何かあったか?」


「何かも何も大ありだぜ!」


「どういうことだ?」


「エミルもそうだけど、お前ら全員大事なことを忘れてるじゃねーか!」


このアルマに指摘に、4人は顔を見合わせて、その言葉の意味を考えた。


「・・・何か忘れてたか?」


「・・・(ワタクシ)にはわかりませんわ。」


「・・・私もわからない。」


「・・・私は何かが出かかっているけど・・・駄目だわ、思い出せない。」


しかし誰も答えがわからず、怒ったアルマがヒントを口にした。


「お前等揃いも揃って・・・深く反省しやがれ!

俺が第二段階へ進化したときのことをもう忘れちまったのか!」


ヒントを元に、4人は再び顔を見合わせた。


「アルマが第二段階に進化したとき?・・・何かあったか?」


「・・・確かに何かがありましたわ・・・」


「・・・私も何かあったような気はする・・・」


全く覚えがないエミル、何か思い出しそうなノワールとエリスだが、一向に答えは出ず、アルマの怒りが更に増すだけだった。


だがここでようやくミレーヌが思い出した。


「・・・あーっ!・・・わかったわ。」


「本当か、ミレーヌ!」


「何があったんですの!」


「早く教えて。」


3人が正解を求めると、ミレーヌもすぐに答えた。


「確かあのときエミルは、全力の獣神力を流し込んで、それに反応して第二段階に進化したのよ!

そのとき既に今回と同じようなことをしていたわ!

つまり、新たな発見ではなかった、そういうことね?」


「そうだぜ!

俺はてっきり、あのときのことがあったからこそ、今回も同じようにすることを試したんだと思ったんだぜ!

それがどうだ!

記念すべき俺の進化を、揃いも揃って忘れやがって!

いったいどういうつもりだ!」


怒るアルマに、ノワール、エリス、ミレーヌの3人は、すぐに謝罪した。


「申し訳ありませんでしたわ。」


「御免。」


「忘れてしまいすみません。」


そして最後にエミルも謝罪した。


「わりーわりー、だから今回は許してくれよ。

なっ、この通りだからよ。」


だがこの適当な謝罪には、アルマの怒りが増すだけだった。


「エーミールー・・・それが謝る態度か!

もう一度やり直せ!」


「何だよ、とりあえず謝ったんだから別にいいじゃねーか。」


「その、とりあえず、って態度が気に入らねーんだよ!」


「しつけーぞ、アルマ!」


「ちゃんと謝らねーエミルが悪い!

さっさとやり直せ!」


「やだね!」


「やり直せ!

じゃねーと、力づくで謝らせるぞ!」


「上等だ!

やれるもんならやってみやがれ!」


「やってやらー!」


こうしてエミルとアルマの幼稚な理由による喧嘩がはじまった。


それを少し離れた場所で様子を窺っていた他の皆が、呆れた顔で見学していた。


ただジェーン1人だけが2人の喧嘩の見て、そのあまりにも激しい内容に、自分が巻き込まれないか冷や冷やしていたのだった。

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