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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第17章 商い革命
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商国での会談11

場所は変わり、天使とゴーレムを相手にしている皆の方はどうなっているかというと、既にゴーレムは跡形も無く消滅していた。


残るは2体の天使だけとなっており、ゴーレムを担当していた全員が、その戦いを離れた場所から見学している。


ちなみに巨大ゴーレムは、1体はキリが、もう1体はリンとフェウィンが、それぞれ倒した。


他の28体のゴーレムは、残る6人が4、5体ずつ倒していた。


ジェーンはというと、その光景をあまりの実力差に、唖然とした表情で見ていることしかできなかった。


そして2体の天使との戦いは、今はノワールとエリスだけが戦っている。


エミルとミレーヌは待機しており、手を出す気は全くないようだ。


実の姉妹である2人の息はピッタリで、武器化したパートナーを手に、見事な連携で天使たちを翻弄している。


ノワールは、棍で流麗に円を描いて、縦横無尽に天使を攻撃している。


エリスの方はというと、直線的な動きでメイスを振るって、天使を攻撃している。


円と直線、2つの異なる動きが上手く絡み合い、天使たちは為す術がない。


だが天使たちに慌てた様子は無かった。


一方的に攻撃され続けているものの、ダメージを全く受けていないからだ。


しかし天使たちも反撃しようとしてはいるが、ノワールとエリスに、その全てを余裕で躱されてしまっていた。


そのため慌ててはいないが、かなりイライラしていて、ストレスが溜まってきている。


そしてとうとう我慢の限界を超えた。


「ぐぬぬぬぬぬぅ・・・鬱陶しいんだぬん!」


「ぐぬぬぬぬぬぅ・・・避けるんじゃないんだねん!」


どこにも怒りをぶつけられず、結局は文句を言うことしかできないようだ。


そんな天使たちを無視して、ノワールとエリスは戦いながら話をし、冷静に状況を分析している。


「今のままではジリ貧ですわね。

エリスお姉様の方はいかがですか?」


「私も同じ。

この状況を打破するためには、やっぱりアレをやるしかない。」


「最初からわかっていたことですが、それしか手はありませんわね。」


「制限がなければ、今の私たちの力なら簡単なのに。

これじゃ何のために、性なる魅技(みわざ)を会得したのかわからない。」


(ワタクシ)も同感ですわ。

ですが仕方ありませんわ。

それが今回私たちに課せられた課題なのですから。」


「それはわかってる。

ノワールは淫力、私は夢力を使わず、それぞれ下級天使たちを傷つけること。

それが私たちに与えられた課題、それは私も理解している。

そのためここに来る前に、マコトが私たちの力を一時的に封印したんだから。」


エリスは自分の左手の甲に刻まれた紋章を見て、マコトに力を封印されたときのことを思い出していた。


同じくノワールも、自分の左手の甲に刻まれた紋章を見ながら、今の状況を確認していた。


「この封印はマコト兄様でないと解けませんわ。

ですが逆に言えば、今の状態の(ワタクシ)たちでも天使たちを傷つけることは可能、ということですわ。

マコト兄様は、(ワタクシ)たちにできないことはやらせませんもの。」


「うん。

そしてその方法もわかってる。

それが、魔力の純度を50%以上にすること。」


「そうですわ。

ですがそれが異常なまでに難しいのですわ。

純度を上げることに集中すれば一瞬だけできますが、攻撃や防御を行いながらでは集中が切れてしまいます。

今の(ワタクシ)には、両方同時に行うのは無理ですわ。」


「私も同じ。

仮に私たちの内どちらか1人が相手を引き付けて、残りの1人が純度を高めることに集中しても、結局は攻撃しようとした時点で純度が格段に下がっちゃう。

だから今は、無駄だとわかっている攻撃を続けながら打開策を探しているけど・・・今のところ私は何も思い浮かばない。

ノワールはどう?」


(ワタクシ)もですわ。

一向にいい手が浮かびませんわ。」


「うん。

さて、どうしたものか・・・」


エリスが何かいい方法は無いもんかと考えを巡らせていると、ふとノワールが何かを思いついたようだ。


「・・・(ワタクシ)とエリスお姉様の魔力を合わせて、純度を高めることはできないでしょうか?」


しかしこれにはエリスが駄目出しした。


「それだと駄目。

量は増えるけど、魔力をいくら合わせても、結局純度は平均化される。」


そしてそれはノワールもわかっているようだ。


「ですわね。

なら1人が魔力の純度を高め、もう1人がその人物を抱えて攻撃と防御に徹する、というのはいかがでしょうか?」


どうやらノワールの狙いは少し違うようだ。


とにかく互いに意見を出し合って、どうにか突破子を見つけようという算段らしい。


そのため突拍子もない意見がノワールの口から出てきた。


「それって、魔力の純度を高める役の方を武器として使う、ということ?」


「それですわ。」


これにはエリスも少し困った顔をしている。


「さすがに大切な妹を武器代わりに振るうのはちょっと・・・」


このエリスの言葉に、今度はノワールが驚いていた。


「えっ!?(ワタクシ)が武器役で決定ですの!」


「だって身体能力は私の方が上。

逆に魔力の扱いはノワールの方が上。

なら必然的に役割は決まってくる。」


エリスの説明を聞いて、これにはノワールも納得するしかなかった。


「確かに、その通りですわね。」


「だからその案は却下。」


「わかりましたわ。

しかしそうなりますと、他にいい案がありませんわね。」


手詰まりとなってしまい、ノワールがどうしたものかと悩んでいる一方で、エリスは今の自分たちの実力を改めて分析していた。


「何も邪魔が無ければ、魔力の純度を50%にすることは2人ともできる。

後は維持するための方法があればいい。

・・・これって純度を上げるのと維持で、それぞれ役割分担できない?

例えば、ノワールが純度50%まで高めた魔力を私が維持する、とか。」


その中で新たな方法を思いついたエリスは、ノワールに意見を求めた。


ノワールは少し考えると、どうやら悪くない案であると思ったようだ。


「そうですわね・・・できる可能性は高いと思います。」


「じゃぁ・・・」


早速実行に移そうとしたエリスだったが、その前にノワールからいくつかの指摘が上がってきた。


「ですが、問題点が2つほどありますわ。」


「何?」


「まず、(ワタクシ)の魔力をエリスお姉様が制御できるか、ということですわ。」


このノワールの指摘に、エリスは自分の考えが甘かったことを思い知る。


「あっ・・・無理。

姉妹で近い魔力波長でも、私にはそこまでの魔力制御能力は無い。

またふりだしに戻った。」


諦めようとしたエリスだったが、ノワールは違うようだ。


「ふふふっ、問題ありませんわ。」


「どういうこと?」


「それは(ワタクシ)が担当しますわ。

魔力制御は(ワタクシ)の方が上ですから、エリスお姉様の魔力でも何とか制御できますわ。

エリスお姉様が魔力純度を高め、(ワタクシ)がそれを維持する、これならいかがでしょう?」


ノワールの案を聞いて、興奮したエリスが褒めちぎった。


「・・・おおっ!ノワール天才!さすが私の妹!」


「そんなことは、ありますわ!」


ノワールもエリスに褒められてまんざらではないようだ。


しかし、これで全て解決、というわけではない。


エリスは残りの指摘をノワールに確認した。


「じゃぁ1つ目の問題はクリア。

それで、もう1つの問題は?」


「2つ目は、純度を高めた魔力を安定して維持するまで2人とも無防備になってしまうこと、ですわ。

更に言えば、安定した後も維持を続けるためには、お互い常に近くに居続けなければいけないことも、ですわ。

さすがに(ワタクシ)でも、エリスお姉様の身体から離れすぎてしまった魔力を制御することはできませんわ。

せいぜい半径1m以内が限界ですわね。」


これを聞いたエリスは、先程までとは一変して渋い顔をしている。


「うーん・・・それって、まずはあいつらの攻撃を無防備な状態で受け続ける。

そして純度を上げた魔力の精製と維持に成功した後は、2人一緒に窮屈な体勢で攻撃を当てなくちゃいけない。

そういうことでしょ?」


「その通りですわ。」


2つ目の問題点を聞いたエリスが出した答えは、ある意味当然の結果だった。


「無理。」


だがノワールは引き下がらなかった。


「そんなことありませんわ!

(ワタクシ)とエリスお姉様の超仲良し姉妹なら、不可能ではありませんわ!」


「私とノワールが超仲良し姉妹なのは認める。

でもそれでノワールが危険な状態になるのは、姉として黙っていられない。」


「ですが・・・」


「可愛い妹に傷なんて付いたら、私はとても悲しい。

だから絶対に駄目。」


「エリスお姉様・・・」


「それに私も、わざわざ痛い思いをしたくない。

それともノワールは、私が傷付いてもいいと思っている?」


「そんなことありませんわ!

(ワタクシ)だって、大切なエリスお姉様が傷付く姿など見たくありませんわ!」


「じゃぁこの方法は却下。

別の方法を考える。

そもそもマコトが、私たちが傷付くような結果を望んでいるとは思わない。

絶対に他の方法がある。」


さすがにマコトの名前を出されては、ノワールもおとなしく引き下がるしかなかった。


「・・・仕方ありませんわね。

しかしそうなりますと、他の方法を考えなければいけませんわ。

エリスお姉様、どういたしましょうか?」


「うーん・・・たぶんノワールの考え方は、ある程度間違っていないと思う。

だから惜しいところまで行っているけど、私たちが何かを見落としているのだと思う。

そもそも今回の課題は、私たちがそれぞれ下級天使に傷を付けなければいけない。

でもさっきの方法だと逆の役割はできないから、課題をクリアしたことにはならないと思う。」


「確かに、エリスお姉様の言う通りですわ。

後はそうですわね・・・例えば、実戦での成長を見越して、というのはいかがでしょう?

実戦でしたら訓練とはまた違った緊張感があります。

そういった環境に置かれることで、急激な成長を促す効果を期待した、そうは考えられませんか?」


「うーん・・・ノワールの言うことも一理ある。

よしっ、とりあえずこのまま攻撃を続けてみよう。

もしかしたらノワールの言う通り、成長して1人で全部できるようになる可能性もある。

それに他にいい方法を考えつくかもしれない。」


「わかりましたわ、エリスお姉様。」


今後の方針を決めたノワールとエリスは、それまでと変わらず、天使たちとの戦いを続けることにしたのだった。




そんな2人の戦いを、エミルとミレーヌは少し離れた場所から見学していた。


だがエミルは、緊張感が欠けているようだ。


「・・・あーあ、すげー退屈だぜ。」


「不謹慎よ、エミル。

今は戦いの最中で、次は私たちが戦うのよ。

少しは緊張感を持ちなさい。」


すぐにミレーヌが気を引き締めようと厳しい口調で注意したが、エミルは聞く耳を持たなかった。


「だってよぉ、ノワールとエリスさんが課題クリアするまで、俺たちは何もやることが無いんだぜ。

早く俺も課題を終わらせて帰りてーよ。」


「エミル、忘れたの?

確かに私たち4人は同じ課題を与えられているけど、今戦っている2人と私たちとでは目的が違うのよ。」


「わかってるって、ちゃんと覚えてるよ。

ノワールとエリスさんは訓練で、俺とミレーヌは掃除、だろ?」


「その通りよ。

でもそれだけではないわ。

2人が課題をクリアしたら、私たち2人は速やかに天使たちを消滅させなければいけないのよ。

それも継承者としての力を使わずにね。

ノワールとエリスは力を封印されているけど、私たち2人はそこまでされていない、この意味がわかっているの?」


「だからわかってるって。

獣神力を使わないで、魔神力だけで戦えばいいんだろ?

それくらい楽勝楽勝。」


今回は余裕だと言い張るエミルに、ミレーヌの不安は一層膨らんだ。


「はぁ・・・本当に頼むわよ。

もしどちらかが少しでも継承者としての力を使ってしまったら、連帯責任になってしまうのよ。

私はとばっちりでシルフィナお姉様のお仕置きを受けたくないわよ。」


するとこのミレーヌの言葉の裏に隠された意味に気付いたエミルが、文句を言いはじめた。


「ちょっと待て!

それって俺だけが失敗する可能性があるってことか!

ミレーヌだって失敗するかもしれねーじゃねーか!」


「私が失敗するなんてありえないわね。」


「だったら俺だってありえねーよ!」


「本当にそう言い切れるのかしら?

エミルはこれまで何度かやらかした前科があったことをもう忘れたのかしら?」


過去の失敗を挙げられ、痛い所を突かれたエミルだったが、すぐに根拠の無い反論をした。


「うっ!?・・・だっ、大丈夫だよ!

もうあの頃の俺じゃねーんだからな!」


これに対してミレーヌは、深くは追及しなかった。


「そうだといいけど・・・まぁいいわ。

ところで話は変わるのだけど、エミルは今回何か違和感を感じていない?」


突然話を変えたミレーヌだったが、エミルは特に疑問に思わず、その話に乗ってきた。


「違和感、って、何がだよ?」


「天使は厄介だけど、訓練とするほどの脅威には思えないわ。

だって元々の能力の高さに胡坐をかいて、全く技を磨いていないのよ。

あれではただの人形と大差ないわ。」


「まぁ確かにな。

現にノワールとエリスさんの攻撃は一発も外れないけど、逆に天使たちの攻撃は一発も当たってねーし。

あれじゃ戦闘技術なんて関係ねーよ。

そうなると厄介なのは、神力と純度が50%未満の魔力が全く効かない、ってところだな。」


「ええ、でもそれは下級天使の場合よ。

中級天使の場合は、純度70%未満の魔力が全く効かない、に変わるわ。」


この話を聞いて、突然エミルが別のことを思い出した。


「そう、それがわかんねーんだよ!

何でマコトは、イーリスに中級天使の掃除を任せたんだ?

神神力は効かねーし、魔力の方はパスを通してマコトから借りられるけど、まだまだ純度50%には程遠かったはずだ。

それにあっちは力の使用制限はねーけど、継承者としての力だって、確かまだ封印を解除できねーから使えねーって聞いてるぜ。

そんなイーリスに掃除を任せるなんて、いったいマコトとシルフィナねーちゃんは何を考えてんだ?」


ミレーヌは突然話が変わったことには何も言わず、エミルの疑問に答える。


「それは私にもわからないけど、イーリスは自信満々だったわよ。

たぶんだけど、イーリスには私たちに隠している力があるのではないかしら。」


「そうなのか?」


「確証は無いわ。

でもそれ以外考えられないのよ。

そうでなければマコト様やシルフィナお姉様が任せるわけが無いもの。

それにマコト様は事前に知っていたのではないかしら。

あの中級天使が、イーリスのお母様を攫ったことを。

だからこそイーリスが選ばれたのよ。」


「なるほどな。

それならイーリスが選ばれたのもわかるぜ。」


エミルが納得したので、ミレーヌは話を戻した。


「話が逸れたから戻すけど、私が感じている違和感、それは、聞いていた課題と目的以外に、隠された狙いがあるのではないか、そう思えてならないのよ。」


「狙い、って、他にも俺たちに言ってないことをやらせようとしてるってことか?

でもいったい何のためにだ?

いつもだったら俺たちが聞かなくても教えてくれるのによ。」


「考えられるのは1つ。

マコト様も予想はできるけど確証は持てないのではないかしら?」


「マコトが確証を持てないって、そんなことあるのか?」


「私が知る限り、1つだけあるわ。

それは・・・」


「それは?」


「・・・ちゃんと見学していればすぐにわかるわ。

だから見逃さないように、真面目に見学しなさい。」


「何だよ、もったいぶらずに教えろよ!」


「何でもかんでも教えたら、エミルのためにならないでしょ?

だからまずは自分で考えなさい。

そう難しくはないから。」


「ちぇーっ、わかったよ。

真面目に見学すりゃいいんだろ。

こうなったら、ぜってー当ててやるぜ!」


「ふふふっ、その意気よ、エミル。

おそらくだけど、そろそろ何か動きが起こるころよ。」


こうしてエミルとミレーヌは、いまだ天使との戦いが膠着状態のままのノワールとエリスへ視線を戻したのだった。




ミレーヌの予想とは逆に、ノワールとエリスは行き詰っていた。


攻撃は簡単に当たるものの、何をやっても相変わらず天使たちにはダメージが一切無いのだから仕方ない話だ。


だからと言って2人の体力が無くなってきそうだとか、天使たちが形勢逆転しそうだとかいう気配は全く無い。


それでも無駄なことを続けて時間稼ぎをしているだけということは理解しているので、少しずつではあるが精神的な疲れが見えはじめていた。


「・・・エリスお姉様、このままでは何も進展しないと(ワタクシ)は思うのですが、どういたしましょうか?」


「・・・私もノワールと同じ意見。

でも打開策が見当たらない。

困った・・・」


「やはりここは先程の作戦を実行に移すしか・・・」


「それは駄目、と言いたいけど、私ももうそれしか思いつかない。」


「でしたら一か八かに賭けるのもありではないでしょうか?」


「でもそれでノワールに何かあったら・・・」


「エリスお姉様!」


「ノワール・・・わかった。

現状を打破するためにも、まずはやれることをやってみよう。」


「そうこなくては、ですわ!

ではエリスお姉様が魔力純度を上げて、(ワタクシ)が維持しますわ。

それでよろしいですわね?」


「わかった。

じゃぁすぐにはじめる。」


エリスが天使を警戒しながら、右手に純度を高めた魔力を精製しようとすると、そこへ割り込んでくる者が現れた。


『そんな無謀は見過ごせませんね。』


『ここはもう1つの選択肢を追加すべきです。』


突然頭の中に聞こえてきた声に、ノワールとエリスは周囲を見回したのだが、すぐにその正体に思い至り、自分たちが手に持つ武器へと視線を移した。


「まさか・・・」


「もしかして・・・」


すると武器が眩しい光を放ち、その姿を変えたのだった。

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