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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第17章 商い革命
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商国での会談10

しばらくしてエナンが視線を通常の高さに戻すと、一度目の辺りを拭ってから、マコトへと向き直った。


「・・・マコトはんのおかげで、ウチは真実を知ることができた。

ホンマありがとう。

この借りは、ウチのできる範囲で返させてもらうから、期待しててや。」


「別に気にしなくていい。

エナンが喜んでくれたなら、それが何よりの報酬だ。」


「そうか。

欲が無いな、マコトはんは。」


「今のところ別に困ってないしな。

今後商王としていい関係が築ければそれでいいさ。」


「それはウチのセリフや。

今後ともよろしゅー頼むで。」


「ああ。」


2人は笑顔でガッチリと握手を交わした。


そして2人の手が離れると、エナンがマコトの顔をジッと見つめてきた。


「・・・どうした、エナン?

何かあるのか?」


マコトが不思議に思って尋ねると、エナンの口から予想外の答えが返ってきた。


「・・・やっぱマコトはんは、ええ男やな。

なぁマコトはん、ウチのこと貰ってくれへんか?」


「ずいぶん突然だな。」


「何ゆーてんや。

この数日間、暇さえあればウチのこと口説いとったのはマコトはんの方やないか。」


「まぁそれは否定しない。」


「あれは嘘やったんか?」


「もちろん嘘じゃない。

いい女が居たら口説くのは当たり前だからな。

今回は事前にエナンの許可ももらってたから、一切遠慮せずに本気で口説かせてもらった。」


「確かに、しつこく何度も何度も口説かれたけど、別に嫌とは思わんかったからな。

正直諦めずに口説いてくるマコトはんの姿に、ウチの心も惹かれはじめとったわ。

そこへ今回の事や。

颯爽と現れて、ウチとオトンの真実を知る切っ掛けをさりげなく探し出してくる。

ホンマかっこよかったわ。

ここまでされたら、さすがのウチでも打算なんか一切忘れて、ただの一人の女として惚れてしまうわ。

だからマコトはん、ウチはマコトはんが好きや!

ウチをマコトはんの女にして欲しいんや!」


「いいのか、俺で?」


「しつこいでマコトはん。

ウチは、マコトはんがいいんや!

他の男なんかいらん!

それでどうなんや!

ウチのこと受け入れてくれるんか!くれないんか!

どっちにするのか、男ならはよ決め、んんっ!?」


エナンが答えを迫っている途中で、マコトは強引にエナンの唇を奪った。


突然のことにエナンは最初こそ驚いたものの、すぐに嬉しそうにマコトの首に手を回して抱きついていた。


少し長いキスの後、ようやく2人の唇が離れると、エナンは頬を赤く染めながら文句を口にした。


「・・・ん・・・マコトはん、不意打ちなんてひどいやないか。

ウチ初めてやったんやで。」


「そいつはすまなかった。

もしかして嫌だったか?」


「嫌なわけないやろ。

好きな男にキスされたんや、むしろ嬉しすぎて今すぐ抱かれたいくらいに発情してもうたで。」


「そいつは、とても魅力的なお誘いだな。」


「そうやろ。

でも今は我慢したる。

別の場所ではまだ、商国のために皆が戦ってくれてるんや。

ウチは次の商王として、それを見届けなあかん。

だからマコトはんに可愛がってもらうんは、それが全部片付いてからや。」


「なら早く片付けないとな。」


「それってウチのためか?」


「エナンのためでもあるが、俺のためという方が大きいな。

俺は早くエナンを抱きたい。」


「あははははっ、ホント欲望に正直やな。

でも、それでこそマコトはんや。

じゃぁお互いのためにってことで、マコトはん、頑張ってや。」


「任せておけ。

では新たな商王として、エナンに知っておいてほしい真実が1つあるがどうする?」


「当然、聞くに決まってるやろ。

それが商王としてのウチの覚悟やからな。」


「わかった。

実は今回調べていく中で、先代商王の兄たちが次々と殺害された事件の全容が判明した。」


「ホンマか!

それで、首謀者は誰だったんや?」


「順番に説明する。

まず実行犯は、バカ王子の実家だ。

理由は、自分たちの家系から商王を輩出し、商国を裏で支配するという昔からの思惑が、首謀者の思惑と一致したようだ。

目立たなかった5男が商王になれば、付け入る隙があるとでも考えたんだろう。

当初の予定では、娘の1人を嫁がせるつもりだったらしいが、先代商王が頑なに妻を娶ろうとしなかったことで攻め方を変えたらしい。

それが、息子を養子に入れることだった、というわけだ。」


「うーん・・・こうして聞くと、なんか回りくどい方法やな。

あまりこんなことは言いたくないけど、オトンも暗殺して、血縁であることを理由に無理矢理商王の座を奪う方が簡単やったと思うんやけど。

そもそもなんでオトンは、すんなり商王になれたんや?」


「単純な話だ。

自分たちが商国のトップに立つと、国として機能しなくなることがわかっていたからだ。」


このマコトの話に、エナンは心底呆れてしまった。


「・・・はぁ?

そんな連中が裏で商国を支配したいとか夢見てたんか!

ホンマにバカな連中やな。」


「ああ、エナンの言う通りだな。

表には出たくないが、裏で楽をしながら権力を振りかざして甘い汁だけを吸いたい、そんなことを考えている連中だ。

だからこそ、自分たちの家系の血が王家に入った、という肩書が欲しかったんだ。

バカ王子の実家は商王の血縁ではあるが、自分たちの家系から商王を輩出したことは1度も無かったからな。

だからこそそうなれば商国での自分たちの発言力が増すと、安易に考えたんだろう。」


「バカ義弟だけじゃなく、実家の方もバカばっかりだったんやな。」


「その通りだ。

だからこそ首謀者につけ込まれたわけだがな。」


「確かに。

ということは、やっぱり例の組織とやらが首謀者やったんか?」


「いいや、組織はバカ王子たちの思惑を利用しただけだ。

元々の首謀者は別にいる。」


「じゃぁいったい誰が・・・マコトはん、そろそろ首謀者の正体を教えてくれへんか?」


「そうだな。

首謀者は、行方不明になっていた4男だ。

そいつがバカ王子の実家をそそのかして、裏でいろいろと指示していたんだ。

ちなみに引きこもっているだけで、まだ生きているぞ。」


「オトンのニーちゃんが首謀者?

それホンマなんか!」


「ああ、本当のことだ。

4男は怠け者で有名だったが、頭だけはそこそこよかったからな。

そこで兄たちを排除し、自分も自作自演で行方不明となり、目立たなかった弟の5男を商王にして、都合がいい相手と結婚させようとした。

まぁ途中で計画が躓いたため、気長に自分の息子を養子に送り込んだというわけだ。」


「つまりバカ義弟はウチの従弟やった、ってわけやな?」


「そういうことだ。

それで、どうする?」


エナンは少し考えると、商王としての判決を口にした。


「そうやなぁ・・・オトンのニーちゃんとバカ義弟の実家は、地位剥奪と財産没収。

それと関係者を含めて全員、国家転覆を企んだ罪で、国所有の犯罪奴隷になって強制労働、ってとこでどうや?」


このエナンの判決を聞いて、マコトは自分が入手した証拠について付け加えた。


「今回の罪についての証拠は多数そろってるから、死刑も可能だぞ?」


しかしエナンの考えは変わらなかった。


「その必要はないやろ。」


「それは、血縁だから恩赦を与える、ということか?」


「それは違うで。

これは最も残酷な判決や。

正直ウチ個人の感情としては、はらわたが煮えくり返るほどに怒り狂っとる。

だってそうやろ。

オトンのニーちゃんとバカ義弟の実家の所為で、ウチとオカンは家族としてオトンと一緒に暮らせなかったんや。

それだけやない、オトンだってこんなところで命を落とすことはなく、もっと長生きして天寿を全うしたはずや。」


「そうだな。

だったらなおさら死刑にして、恨みを晴らしたいんじゃないか?」


「誰がそんな生温いことで許すか!

今回罪を犯した連中は、死んで楽になるなんて軽い罰ですますわけにはいかないんや!

商国のためにその身を捧げて、苦労して、苦労して、苦労して、死ぬまで自分の犯した罪の深さを噛みしめなあかんのや!

だから連中が死にたいって思っても、絶対に死なさんで!

生きてることを後悔するくらい反省させたるで!」


「そこまで考えているなら、俺が言うことは何も無いな。

エナンの好きにすればいいさ。」


「それに死刑ってことなら、既にバカ義弟が犠牲になっとるからな。

これは連中にとっていい脅しになるやろ。」


「確かにな。

俺の方で用意した証拠と合わせて、バカ王子が殺害されたときの映像を見せれば、連中を黙らせるのには十分だろう。」


「そうやろそうやろ。」


「まぁ仮に抵抗したとしても、そんなことはさせないがな。

ただ天使が関わっていることは、映像を加工して隠すぞ。

それは受け入れてもらう。」


「それでかまへん。

連中は、これから労働力としてこき使って、死ぬまで搾り取ってやるんや。

これこそがウチの復讐や。

どっぷりウチの私情を挟んどるけど、ちゃんと商国の利益につながっとるやろ?」


「ああ、いいんじゃないか。」


マコトの同意を得たエナンは、続けてホーネットに宣言した。


「どうやホーネットはん、これがウチの商王としての判断や!

何か文句あるか!」


自信満々なエナンの表情に迷いはない。


それを見たホーネットを含む各国の代表たちも、その表情に満足そうだ。


「いいや、上出来だよ。

だけどこれだけは助言しておくよ。

あんなんでもバカ王子、アンタの義弟は、商国を未来につなげるための礎になるんだ。

人の生死に慣れろとは言わないけど、忘れちまったら駄目だよ。

それが次の商王になる、アンタの責任さ。」


「わかっとる。

ただ傷にはせーへん。

記録として、情報だけ残したるわ。」


「それでいいんじゃないかい。

あんなのの死をアンタが重荷に感じる必要はないからねぇ。

商国の歴史に記しておいて、過去にそんなこともあったなって、記憶の片隅にでも残しておく程度でいいのさ。

そして未来に同じことが起こらないように、過去の教訓とすればいいのさ。」


「そうさせてもらうわ。」


エナンに商王としての貫禄が出てきた姿に満足したマコトは、その場でゲートを開いた。


「さて、そろそろ俺も最後の仕上げをしに行くとするか。」


「頼んだで、マコトはん。

それと・・・ちゃんと無事に帰ってきてや。

約束やで?」


「ああ、約束する。

じゃぁ行ってくる。」


そう言ってマコトがゲートに入ろうとしたのだが、何かを思い出したらしく、突然方向転換してある人物の傍へ近づいて行き、声をかけた。


「・・・そうだ、エステルに1つ報告があったんだ。」


突然目の前にやってきたマコトに話を振られたエステルは、少し動揺しながら返事を返した。


「なっ、何だ?」


そんな中、マコトの口から出たのは、今回事前に聞いていない話だった。


「ここに来る前なんだが、組織の連中が軍国に向けて魔物や魔獣を放っていたから片付けておいたぞ。

それと別動隊が軍王と軍姫の人形が置いてある部屋に忍び込もうとしていたから、そっちも排除しておいた。」


これにはエステルも驚くしかなかった。


「なっ!?大丈夫だったのか!」


「ああ、どっちも軍国に入る前に片付けたから、軍国内の被害は無かった。

それに事前に予想していたことだったから何も問題無い。

だから安心してくれ。」


マコトとしては余計な心配をかけないための事後報告だったのだが、エステルの言葉は違う意味だったようだ。


「そうじゃない!

私はマコトのことを心配しているんだ!

まさか怪我などしていないだろうな!」


あきらかにエステルの口調は怒っているのだが、その表情はとても心配そうだ。


そんなエステルを安心させようと、マコトは何も問題無いことをアピールするように、自分の身体が見えるように少し動かしながら答える。


「この通り、かすり傷一つ負ってないから安心してくれ。」


エステルはしばらくマコトの全身を食い入るように見ると、どこにも怪我が無かったことに安堵した。


「そうか・・・ならいい。

だがマコト、これだけは覚えておいてくれ。

マコトが強いことはわかっている。

だが万が一が無いとも言えない。

せめて事前にわかっていることなら教えてくれ。

それと・・・あまり心配させるな・・・はうっ!?」


エステルの心からの言葉に、マコトは自然と頭を撫でていた。


「心配かけてすまなかった。

先に言っておくと余計に心配すると思ってな。

これからは気を付けるよ。」


「わっ、わかればいいんだ、わかれば・・・ほっ、ほらっ、もう用は済んだんだから、早く行け!」


マコトに頭を撫でられて、そのまま陶酔しそうになったエステルだったが、すぐに状況を思い出したのと恥ずかしさからか、最後は突き放すような言い方になってしまったようだ。


しかしマコトに気にした様子は無く、そのエステルの言葉通り、ゲートへと向かった。


「そうだな。

では行ってくる。」


「ああ、気を付けてな。」


そのままマコトはゲートの中へと入り、すぐにゲートは消えてしまった。


エステルはそんなマコトの後姿を、ゲートが消えるまでジッと見つめて見送った。


そしてゲートが消え、マコトに集中していた意識が解放されると、周囲から向けられている生温かい視線に気付いた。


「・・・なっ、何だその眼は!」


視線と雰囲気に我慢できず、エステルが周囲に向けて強い口調で反発してきた。


「・・・(×皆)」


だが全員何も言わず、表情だけが楽しそうな笑顔になっていた。


当然エステルの居心地はますます悪くなる。


「言いたいことがあるならハッキリ言え!」


ここでようやく近くにいたエナンが、エステルの肩に手を置きながら確信を突いてきた。


「いやー、エステルはんもマコトはんのことが大好きなんやね。

ウチら仲間やね。」


「なっ!?」


エナンの言葉にエステルは驚きすぎて、口をパクパクと動かしているものの声が出てこない。


そこへエナンが先程の2人のやり取りを思い出しながら、更に追撃をかける。


「自分の国の心配より、真っ先にマコトはんのことを心配して気遣う・・・健気やわ。

エステルはんは普段の言動と違って、意外と乙女なんやな。」


ここでようやくエステルの声が戻った。


「おっ、乙女っ!?」


「皆はんもそう思うやろ?」


エナンが話を振ると、周囲の皆は納得したように同意していた。


「ほらっ、皆はんも同じやゆーてるで。」


咄嗟にエステルが口を開いた。


「ちっ、違う!

あっ、あれは・・・そっ、そう!

今の軍国はマコトがいるからこそ、周辺各国とのつながりを維持できているのだ!

もしマコトの身に何かあったら、それらが崩壊してしまうかもしれない、そう考えての言葉だ!」


否定して必死に言い訳をするエステルだったが、それが照れ隠しであることは誰の目にもあきらかだ。


気付いていないのはマコトくらいだろう。


そこへホーネットも参戦してきた。


「そいつは心外だねぇ。

確かに最初はマコトがつないだけど、アタシは結構アンタのこと気に入ってるんだよ。

最初は無理矢理押し付けられた軍国の代表かもしれないけど、ここまで軍国が持ちなおしてきたのは、アンタの手腕だからね。

もし軍国に今何かあったら、帝国は協力を惜しまないよ。

もちろんマコトに言われるまでもなくね。

皆もそうだろ?」


ホーネットの言葉に、全員が頷いていた。


「そっ、それは・・・感謝する。」


「だからこの際とっとと認めちまいなよ。」


「なっ、何を、だ?」


動揺していることから、エステルもホーネットの言っている意味は理解しているようだ。


だからこそホーネットは、ハッキリと言葉にした。


「決まってるだろ、マコトのことだよ。

本当はアンタもマコトのことが好きなんだろ?」


「だっ、だから、それは・・・」


「あーもうじれったいねぇ。

いつまでもウダウダ言うなら、この前新しく決まった帝国から軍国に輸出する貿易品の価格を倍にしちまうよ!」


突然話が国益にかかわる内容へと変わったため、さすがにエステルも黙ってはいられない。


「ちょっと待て!それは困るぞ!

その話はセレス殿との話し合いで決まった正式な取引だったはずだ!

そこへ何故ホーネット殿が口を出してくるんだ!」


「そんなの知らないねぇ。

ルールはアタシが決める。」


「横暴だ!

そもそも先程と言っていることが違うではないか!」


協力を惜しまないと言っていたホーネットが手の平を返したのだから、エステルが怒るのも無理は無い。


しかしホーネットは、あっさりとそれを無視した。


「あれはあれ、これはこれ。

だから知ったこっちゃないね。」


「ぐぬぬぬぬぅ・・・」


あまりの理不尽に睨みつけてくるエステルだったが、ホーネットはどこ吹く風だ。


問答無用で答えを迫ってくる。


「だから早く認めちまいな。

マコトのことが好きで好きでたまらない、ってね。

本当は口説かれて嬉しいんだろ?」


「そっ、それは・・・」


「それともそんなマコトの姿を見て悦にひたる趣味でもあるのかい?」


「なっ!?それは聞き捨てならないぞ!

私にはそんな悪趣味は無い!」


「だったらハッキリしな!

アンタはマコトのことが好きなのかい!嫌いなのかい!

これ以上誤魔化すなら、次は、むぐっ!?」


ホーネットが更なる次の手を口にしようとすると、それを止める人物が現れた。


「そこまでです、お母様。

それ以上はやり過ぎですよ。」


それはこれまで静観していたセレスだった。


さすがにこれ以上はホーネットが調子に乗って暴走しそうだと思ったらしく、強制的に止めに入ったようだ。


ホーネットは後ろから口を塞がれて声が出ず、身体もガッチリ拘束されて必死にもがいているが、セレスはビクともしなかった。


「お母様が申し訳ありませんでした、エステルさん。」


「いっ、いや、大丈夫だ。」


「ただこれだけはわかってあげてください。

お母様はエステルさんのことを想っているからこそ、あのようなことを言ったのだと。」


「・・・ああ、それはわかっている。

だから今回の事は、何も聞かなかったことにする。

それでいいか?」


「はい、ありがとうございます。」


「ただ方法としては許容できないがな。」


「それについては私の方からきつく言っておきます。」


「頼むぞ。」


「はい、お任せください。

ですが、これだけは言わせてください。」


「何だ?」


「エステルさん、素直になるのは恥ずかしいかもしれませんが、それは最初だけです。

こういうときは周りの雰囲気に身を任せて、勇気を出して一歩を踏み出すことも必要ですよ。

後で行動を起こしたときには、少なからず後悔が残ってしまいますから。」


「そっ、それくらいわかっている!

そのことについては放っておいてくれ!」


「そうですか・・・では言い方を変えましょう。

エステルさん、今軍国はマコト様に加えて各国からも支援を受けていますよね?」


「あっ、ああ、手厚い支援を受けているが、それが何かあるのか?」


「基本的にマコト様は女性に優しいですから、エステルさんが苦労しないようにいろいろと支援したり、裏で動いてくれていたりします。

しかし私たちから言わせれば、あの程度は支援とは呼べません。」


「それはどういうことだ?」


「既にご存知かと思いますが、ここにいる私を含めた各国の代表者の方たちは、全員マコト様のハーレムに入っています。」


「ああ、当然知っている。

先程新たな商王殿が加わったのを目の当たりにしたしな。

それがどうかしたのか?」


「もしエステルさんがマコト様のハーレムに入った場合、これまでの支援が一気に拡大します。

それはもう、やり過ぎだろう、と言うほどに。」


「何っ!」


「例えば帝国内では、多数のスラムが存在し、孤児も大勢いて、これまで十分な生活保障がされていませんでした。

これは貴族院が搾取をしてきた結果なのですが、それも数ヶ月前までの話です。

今では貴族院を廃止し、貴族たちを厳しく取り締まっています。

そしてスラムは国営の生活支援の場に生まれ変わりました。

孤児たちについても、孤児院を充実させ、十分な教育を受けられるようにし、希望すれば里親や養父母も積極的に探しています。

他にも国内の開発や整備、あらゆる支援や問題の解決に尽力してくださっています。

おかげでここ最近の帝国は、国民の生活水準が格段に上がりました。

それは他の国でも同様のはずです。」


このセレスの話に、各国の代表者たちは頷いて肯定していた。


「そっ、そんなに変わるのか・・・それで、私にどうしろというのだ?」


「別に強要するわけではありません。

私はただ、エステルさんが素直になることが、結果として軍国にとって利益をもたらす、という事実をお伝えしただけです。」


「しっ、しかしそれは、自分の感情を偽って国益を優先することになり、マコトの最も嫌う行為に当たるはずだ。」


「それは違います。

重要なのはエステルさんの気持ちです。

もしエステルさんがマコト様を本気で好きなのであれば、ハーレムに入ることは何も問題ありません。

つまり、素直になった結果、ついでに国も潤う、というわけです。

私の話はどこかおかしいですか?」


「・・・いや、話を聞く限りは何も問題無いと私も思う。」


「であれば、後はエステルさん次第です。

それでどうなのでしょうか。

エステルさんはマコト様のことが好きなのですよね?」


セレスに問われて、初めてエステルが心の内をあかした。


「それは・・・好き・・・なのだと思う。」


「ならば何も問題ありませんね。」


「正直なところ、私は女としての自分に自信が無いのだ。

ずっと男と偽って軍務に就いていたから、余計にそう思ってしまう。

見た目は女に見えるだろう。

だが果たしてこんな私を、マコトは女として受け入れてくれるのだろうか、とな。

だからもっと女らしくならなければと考えてはいるのだが・・・どうしても上手くいかない。」


「なるほど、そのようなことで悩んでいたのですね。」


「私にとっては大問題だ。」


「それは失礼しました。

ですが別に変わる必要は無いと思いますよ。

そもそもマコト様は、今のエステルさんを口説いているのですから。」


「そうなんだが・・・」


「しかし変わりたいと思うエステルさんの意志を否定するつもりもありません。

好きな男性のために変わろうとする気持ちは、同じ女性として共感できますから。

ただ慌てて変わる必要はありません。

ゆっくりと少しずつ変わっていけばいいのです。

それに好きな男性が傍にいる方が、その男性のために変わりたいと、より一層強く思いますから、変化も顕著に表れると思いますよ。」


「なるほど・・・効率を重視するのであれば、受け入れてしまってからでも問題無い、ということだな。

それに近くでお互いのことをよく知れば、マコトの好みも更に理解できるようになり、まさに一石二鳥というわけだ。」


「ふふふっ、そうですね。

それでどうされますか?

エステルさんさえよろしければ、ここにいる全員で告白をサポートしますよ。

ただ無理強いはしません。

私たちはエステルさんの意志を尊重します。」


セレスの言葉を聞いて考えていたエステルだったが、どうやら覚悟を決めたようだ。


「・・・わかった。

マコトが戻ってきたら、私は告白を受け入れて、ハーレムに入ることにする!」


「そうですか。

それを聞いて安心しました。

私たちも新たなハーレムメンバーとしてエステルさんを歓迎します。

ですからマコト様への告白、頑張ってくださいね。」


「ああ、任せておけ!

ただ初めてのことなので、事前にアドバイスをもらえると助かる。」


「お任せください。

ここにいる全員で、エステルさんがハーレムに入れるよう、全力でお手伝いします。」


「よろしく頼む。

では早速告白についてなのだが・・・」


それからエステルは、ハーレムメンバーたちと告白の段取りをしたり、普段の生活について聞いたりしている。


そんな中、手が空いたセレスの許にホーネットがやってくると、先程のエステルとのやり取りについて聞いてきた。


「セレス、上手くエステルを誘導して言いくるめたものだねぇ。

アンタ詐欺師の才能もあるんじゃないかい。」


「詐欺師などと失礼ですよ、お母様。

それに言いくるめたなどと人聞きの悪い。

私はただ事実を伝えて背中を押しただけで、最終的に判断したのはエステルさん本人です。」


「事実ねぇ・・・まぁアンタが言ってたことは間違っちゃいないけど、それが全てってわけでもない。

特にあっちの方のことについては、今回全く触れていないじゃないか。」


「それは否定しません。

ですがエステルさんに何も聞かれませんでしたので。

それにそこはマコト様にお任せするのが一番かと。」


「まぁそういうことにしておくよ。

それにしても抜群のタイミングで話に入ってきたねぇ。

もしかして狙ってたのかい?」


「飴と鞭、更には理路整然と誰も損をしないことを伝えて理解してもらうためです。

お母様の話は強引すぎます。

ですが今回はそれを鞭として利用させてもらいました。」


「そこでアンタが飴を与え、更に感情に訴えるのではなく、事実をありのまま伝え、正当性を理解させた、ってわけだね。」


「ええ、その通りです。

何か問題がありましたか?」


「いいや、何も問題無いよ。

まぁアタシとしては、娘が人心掌握できるほど成長した姿が見られて、感心してたのさ。

これで帝国の未来も安泰だ、ってね。」


「一応褒め言葉として受け取っておきます。」


「褒めたんだよ。

それにしても、ここもずいぶんと賑やかになったもんだ。」


「ええ、本当に。

そしてこれからも増え続けていくでしょう。」


「だねぇ。

さて、次は誰が入ってくるのか、楽しみだねぇ。」


「はい、私も新たな出逢いが楽しみです。」


ホーネットとセレスは、必死に告白の準備をするエステルの姿を見ながら、これから先どうなるのか、未来に思いを馳せていたのだった。

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