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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第17章 商い革命
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商国での会談6

女性は周囲を見回し、すぐに目的の人物を見つけると、その人物を優しく抱きかかえながら怒鳴りつけた。


「この・・・馬鹿者が!

・・・心配かけおって・・・」


そう言って女性は、タマモの額に手を乗せながら、力を補充しはじめた。


「・・これで大丈夫だ、帰るぞ。」


すぐに補充が終わると、女性はタマモを抱きかかえて、再び空間の裂け目へと向かって行く。


その背中に向けて、ククリが叫んで引き止めた。


「待ってください!」


女性は振り返らず、声だけで答えた。


「・・・何用だ?」


あきらかに不機嫌な声なのだが、ククリは臆せず話を続ける。


「1つだけ、お願いがあります。」


女性は迷ったのか、少し間が空いてから返事を返した。


「・・・聞くだけ聞こうか。

叶えるかどうかは内容次第だ。」


「ありがとうございます。

ただ一言だけ伝言を。

・・・必ず迎えに行きます・・・どうかそれだけはタマモにお伝えください・・・お願いします。」


ここでようやく女性が振り返り、ククリの顔を正面から見据えた。


その表情はかなり険しい。


「・・・正直なところ、私は貴女を好ましく思っていない。

言うまでもないと思うが、ここはあえて言わせてもらおう。

それは、仮とはいえこの娘の契約者として今の貴女が相応しくない、そう思っているからだ。

この娘が自ら望んだこととはいえ、こうなるまで気付かずに放置した貴女に、この娘の契約者たる資格などない!」


わかっていたこととはいえ、実際に拒絶と叱責の言葉を突き付けられ、ククリは言葉を失ってしまった。


だが今女性と言葉を交わすことを止めてしまえば、そこで話が終わってしまうと感じ、すぐに現実を受け入れて肯定した。


「・・・仰る通りです。

全ての責は私にあります。」


この答えを聞き、女性はククリに向けていた威圧を少しだけ緩めながら話を続けた。


「しかし、いまだ契約者としての資格を持たぬ、ただの未熟な候補者ごときに、この娘がひた隠しにしていた自らの状態を窺い知ることが難しいのも事実。

ならば貴女にできることはただ1つ。

正しい手順を踏んでこの娘の契約者たる資格を示すことだけだ。

もし貴女が真にこの娘の契約者として相応しいことを示したのであれば、そのときは私も貴女を認めよう。」


これを自分への激励だとククリは受け止めた。


「はい、必ずやご期待に応えてみせます!」


しかし答えの内容を間違ったのか、女性は再びククリを叱責した。


「自惚れるな!

私は貴女に期待などしておらぬ!」


「しっ、失礼しました。」


慌てて謝罪するククリに、続けて女性は保留にしていた答えを口にした。


「それと先程の願いだが、私から貴女の伝言をこの娘に伝えるつもりは無い。」


「そう、ですか・・・」


女性に拒否され、ククリの表情は暗く沈み、あきらかに落ち込んでいた。


しかし女性の言葉には続きがあった。


「そもそも私から伝える必要は無い。」


「・・・えっ?」


「想いを伝えたいのであれば、互いに直接伝えることだ。

違うか、怪精姫?」


女性が声をかけると、抱きかかえられたままのタマモが、いつの間にか意識を取り戻していたのだ。


そしてククリに優しい笑顔を向けながら、絞り出すように声を発した。


「・・・待ってる、から・・・いつまでも・・・ずっと・・・」


初めて聞くタマモの声と、自分が一番欲しかった言葉に、自然と涙が流れたククリだったが、すぐに拭って返事を返す。


「・・・ありがとう、タマモ。

約束します、今度こそ貴女と並び立てるようになって、必ず迎えに行くと。」


「・・・うん・・・約束・・・」


ククリとタマモが互いの想いを伝え終えたのを確認してから、女性は背を向けて再び歩き出した。


「・・・ここまでだ。

行くぞ、怪精姫。」


「・・・はい・・・」


2人は今度こそ空間の裂け目へ入り、その場を後にした。


そして空間の裂け目が消えると、すぐにククリがランを問い詰めてきた。


「・・・ラン、私はこれからどうすれば、再びタマモに逢えるの!」


「それは組織を抜ける、ということですか?」


「それでタマモとの約束を果たせるのであれば。」


「いい答えです。

しかしその前に、私との約束は覚えていますか?」


「それは、貴女が真実を教えてくれる、と言っていたことかしら?」


「そうです。

まずは話の前に、証拠を用意します。」


「証拠を用意する?

どういうことなの?」


「あれです。」


ランが視線を向けた先には、先程吹き飛ばされた黒装束たちが、ゆっくりと起き上がっているところだった。


「あいつ等が証拠?」


「あれらは直接の証拠ではありませんが、証拠へとつながる物です。

ところでククリ、貴女は組織からアレが何だと言われてあずかったのですか?」


「私やジェーンの言うことを何でも聞く、最上級の魔物を超える魔物だと聞いていたわ。」


「まぁ組織でしたらそう言うでしょうね。

ですがその言葉の中には、間違いが2つあります。」


「どういうことなの?」


「まず1つは、ククリも実際に見たからわかるでしょうが、貴女やジェーンの言うことを何でも聞く、という部分です。」


「確かに、先程私の言葉に従わずに勝手に動いていたわ。

だけどどうして急に・・・これまで私たちの命令には絶対服従だったのに・・・」


「そいつはアタシも同感だねぇ。」


そこへジェーンとキリたちも合流し、話に加わった。


「ジェーン!

良かった、無事だったのね。」


「ああ、この通り身体の方はたいした怪我は無いよ。

だけどアタシの力は全然通じなかった。

せっかくククリが鍛えて、この場を用意してくれたっていうのに、醜態をさらしちまって悪いね。」


申し訳なさそうに気弱なことを言うジェーンを、ククリは全力で否定した。


「そんなこと無いわ!

ジェーンは強くなった。

それこそ先代の巨神を超えるほどに。

だけど今回力が及ばなかったのは、彼女たちの力がそれを大きく超えていた、ただそれだけよ。」


「確かにねぇ・・・悔しいけど、今のアタシたちじゃぁ手も足も出ないだけの差を実感させられたよ。」


「だからまた一緒に鍛えなおして、2人一緒に勝ちましょう。

そしてできることなら、今度は恨みや憎しみの矛先としてではなく・・・」


「・・・そうだねぇ、アタシも今はただ純粋に勝ちたい・・・少しだけそう思える自分がいるよ。

それに負けっぱなしってのは、アタシの性分じゃないからねぇ。」


「・・・うん、そうよね。」


2人がこれからの新たな目標の確認を終えると、ふとジェーンが呟いた。


「・・・それがアンタの本当の姿なんだねぇ。」


少し寂しそうな表情でジェーンがそう言うと、ククリは今の自分が本来の姿に戻っていることを思い出し、慌てて謝罪した。


「っ!?・・・御免なさい、今まで隠してきて・・・」


「別にそんなことは気にしちゃいないよ。

ただ長年前の姿で接してきたから、慣れるまで少し時間がかかっちまうかもしれないねぇ。」


ジェーンとしては気遣いから言った言葉だったが、ククリは黙ったまま何も答えることができないでいた。


「・・・」


そんなククリに、ジェーンは言葉を続ける。


「誰にでも秘密の1つ2つはあるもんだよ。

アンタにはアンタの事情があった、ただそれだけさ。

どんな姿でもククリはククリ、アタシたちの親友だよ。

それに最初その姿で出逢っちまったら、エルフ族のスパイじゃないかとか考えちまって、今のアタシたちの関係はなかっただろうからね。

だからアンタの判断は間違っちゃいないよ。」


今度の言葉は届いたようで、ククリは感謝の言葉を口にした。


「ジェーン・・・ありがとう。」


「気にしなさんなって。

だけどこれから少しでもいいから、アタシにもアンタの事情を教えてくれると嬉しい、かな。」


「うん、ジェーンに伝えたいことがいっぱいあるわ。

聞いてくれる?」


「もちろんだよ。」


ククリとジェーンが互いの絆を更に深めていると、そこへキリが割って入ってきた。


「いろいろと積もる話もあるだろうが、今は後回しだ。」


「キリ、貴女も本物なのね。」


「当然だ。」


「ラン、アンタも久しぶりだねぇ。」


「ええ。」


「だが再会を喜ぶのは、この場を片付けてからだ。

どうせならゆっくり落ち着いて話したいからな。」


「そうね。」


「だねぇ。」


「で、話は戻るけど、貴女たちはアレの正体を知っているの?」


ククリが黒装束たちに視線を向けながら、保留になっていた正体について聞いてきたので、キリとランが答えた。


「ああ、知っている。

事前に聞いていたからな。」


「先程の話の続きですが、それが2つ目の間違い、アレは魔物ではありません。」


「どういうことだい?」


「アレはゴーレムという、ただ命令通りに動く人形です。」


「ゴーレム?

確か土塊などを元にした傀儡人形のことだったと記憶しています。

命令通りに動くという点では、ゴーレムと言われて納得できますね。

ですがゴーレムにしては動きが滑らかで、生物特有の反射行動も見られました。

アレは本当にゴーレムなのですか?」


「半分正解です。

通常魔術や魔法で使役するゴーレムの身体は無機物を元に構成され、中に動力源となる核が埋め込まれています。

しかしアレは違います。

身体には、元は生命体だったものも含まれており、しかも核を持っていません。」


「つまり、遺体をゴーレム化することが可能、ということですか?」


「そうです。」


「しかしそれだと、どちらかと言えば死霊術によってアンデッド化している方が近いと思うのですが?」


「いいえ、死霊術とは違います。

死霊術で使役できるのは死体だけで、実際に身体を動かすのは、命令を受けたアンデッド化した元の身体の持ち主の魂です。

ですがあれらの遺体は魂が存在しないだけで、身体は生きています。

通常、魂が存在しない身体は、そのままではすぐに生命活動を停止してしまいます。

しかし遺体をゴーレム化することで、魂が存在しなくても生命活動が続いた状態の身体を維持することができるのです。」


「なるほど・・・では核となる動力源が無いのに、どうやってアレは動いているのですか?」


「簡単ですよ。

内部に無いのであれば、外部から動かせばいいのです。」


「外部から?・・・はっ!」


「さすがはククリ、気づいたようですね。」


「・・・この場には、他にもまだ姿を見せていない、あのゴーレムたちを操っている者がいる。

そしてその者は、私とジェーンのことも監視していた可能性が高い、そういうことですか?」


「正解です。

黒装束は10体いますから、まだ姿を現していない監視者があと2人いるはず・・・」


するとこのランの言葉を引き金に、それまで隠れていた者たちが、とうとう動き出した。


狙われたのは、エステル、クロエ、カーラ、エナンの4人だ。


おそらく戦えない4人を盾にでもしようと考えたのだろう。


理由はもう1つある。


4人を護衛しているのは、ランが抜けてしまったため、サラ、ガーネット、セーラの3人だけとなっていた。


そのため手薄なところを狙われたのだろう。


また何故か一緒にいたはずのシルフィナや、他のメイドたちが傍にいなかった、というのもあったのかもしれない。


そして飛翔する2つの光が、一直線に4人の背後から襲い掛かってきたのだ。


ガーネットとセーラは、その気配に気づくこともできず、唯一サラだけが気付いていた。


だが何故かサラは動こうとはせず、視線だけを2つの光に向けていた。


このまま2つの光が4人を害すると思われたが、そうはならなかった。


直前で2つの光は、それぞれ左右へと直角に不自然な軌道変更をしたのだ。


2つの光は、そのままの勢いで壁へと激突していた。


何故2つの光が軌道変更したのか、すぐに原因は判明した。


4人の背後を護るように、2人の女性が突然現れ、向かってくる光に立ち塞がっていたからだ。


1人は、左足で光を左側に蹴り飛ばしたミレーヌ。


もう1人は、右手の旋棍で光を右側に殴り飛ばしたリンであった。


「やはり狙ってきましたか。」


「ここから先は通行止めです。」


そんな2人の内、ジェーンとククリは片方の人物、リンへと視線を集中していた。


「あれは・・・っ!?そうです、リンです!」


「あっ!そうだよ、リンだよ!

何でアタシたちは、今の今までリンのこと忘れてたんだい!」


忘却の力で存在を忘れていた2人だったが、リンの姿を目にして思い出したようだ。


「お久しぶりです、ククリ、ジェーン。

ですがその話は後です。」


「まだ終わっていません。」


そう言ってリンとミレーヌが、自分たちが吹き飛ばした相手へと視線を向けた。


既に光は消えており、代わりに現れたのが、全体的に丸い体型で、茶色と灰色の腰みのだけを身に着けた男たちだった。


特徴はそれだけではない。


特にククリとジェーンは、相手の姿を見て驚愕の表情を浮かべていた。


「あれは・・・」


「まさか・・・」


その特徴というのが、背中に生えている純白の羽と長く先がとがった耳だ。


すぐにキリとランから答えが告げられた。


「そうだ、あれこそが翼人族を語り。」


「そしてエルフ族と同じ特徴を持つ種族。」


「・・・天使族の男だ。」

「・・・天使族の男です。」


「天使族、だってぇ?」


「たっ、確かに、首から上だけを見れば、エルフ族と同じようにも見えます。

でっ、ですが、私が見たエルフ族には、あのような羽など・・・」


「見てみろ。」


キリが指摘すると、2人の天使族の男が、大きく広げていた羽を器用に折りたたんでいるところだった。


「あれならククリがエルフ族と見間違ったとしても無理はありません。」


「じゃぁ私が今までエルフ族に対して向けていた怒りや憎しみは・・・」


「そうだ、本来は天使族の男に向けられるべきものだったんだ。」


「そっ、そんな・・・私は、何てことを・・・」


ククリが自分の間違いに気付かされている中、続いてジェーンにも確認が行われた。


「それとジェーン、天使族が羽を広げた姿、翼人族と似ていませんでしたか?」


「・・・確かに似てるねぇ。」


「そしてゴーレムを操っているのは奴らだ。

もし巨大なゴーレム、例えば巨人族の遺体を利用したゴーレムを操れば、いかにも巨人族が襲ったように見えないか?」


さすがにジェーンでも、ここまで聞けば全ての話が1本につながったようだ。


「なるほどねぇ。

つまり天使族の奴らが、アタシたち巨人族の仕業に見せかけて巨大なゴーレムで翼人族を襲い、その報復と偽って自分たちで巨人族を襲った、てことだったんだねぇ。

見事にアタシたちは、奴らの策略に踊らされちまったわけだ。」


「付け加えると、もうわかっていると思いますが、天使族の裏には組織が付いています。

更にそれを指揮しているのが・・・」


「・・・闇の聖母神、というわけですか・・・そして光の聖母神もおそらくつながっている、違いますか?」


このククリの予想を、キリが肯定した。


「そういうことだ。」


「じゃぁあの戦争は、アイツら2人が・・・」


「意図的に起こした戦争、ということです。」


「何という馬鹿なことを・・・」


「でもアイツらは何が目的なんだい?

あれだけのことをしでかしたんだ、何かしらの目的が必ずあるはずだよ!」


「私もそれは気になります。」


しかしキリもランも、その質問には答えられなかった。


「それについては私たちもまだ知らない。」


「ですがあの方ならおそらくは・・・」


「先程言っていた方のことですね。

その方なら真実を知っていると?」


「たぶんな。

だがまだ教えてもらえないだろうな。」


「今の段階で教えてもらえるのでしたら、ここに来る前に教えてもらえるはずですから。」


すると、それを聞いたジェーンが疑いの目を向けてきた。


「怪しいねぇ・・・そいつも組織とつながっているから知ってるとかじゃないのかい?」


これに対して、キリとランは同時に否定した。


「それはないな。」

「ありえません。」


「即答かい・・・理由は何なんだい?」


ジェーンの問いに、2人は胸を張って答えた。


「私の愛する男だからだ!」

「私の愛する男性だからです!」


この2人の答えに、ジェーンは一気に不安になったようだ。


「・・・ククリ、アタシは滅茶苦茶不安になってきたんだけど。」


しかしククリは違うようだ。


「・・・ぷっ、そうですか・・・愛、ですか・・・ぷっ・・・」


必死に笑いを堪えるククリの姿に、驚いたジェーンが理由を尋ねた。


「ちょっ、ちょっと、ククリ、アンタどうしちまったんだよ。

いったい何がそんなに可笑しかったんだい?」


「・・・愛、いいですね・・・怒りや憎しみなどの負の感情でつながっているよりよっぽどいいです!

私もその方に、俄然興味が出てきましたよ。」


「安心しろ、あいつもククリに興味を持っている。」


「ふふふっ、それは楽しみです。」


「もちろんあの方は、ジェーンにも興味を持っていますよ。」


「あっ、アタシもかい!?」


「まぁあいつは無類の女好きだからな。」


「その証拠に、ここにいる私たちを含めたほとんどの女性は、その方のハーレムに入っていますから。」


この話に、ククリは興味を強めたようだ。


「それはすごいですね。

ますます興味がわいてきました。」


一方ジェーンは、恥ずかしそうに顔を赤くしながら、2人の心配をしていた。


「はっはっはっハーレム!?

ちょっ、ちょっと、アンタたちはそれでいいのかい!」


これに対して、2人は少し困ったように答えた。


「独占したいという気持ちが無いとは言わないが・・・」


「私たち1人では身体が持ちませんからねぇ・・・」


「ましてや今の人数でも心もとないくらいだ。」


「もっと増えてもらわないと困る、というのが正直なところですね。」


「ふふふっ、そうなのですね。

その方はいろいろな意味で規格外なようです。」


「ゴクッ・・・そっ、それって・・・」


ジェーンが何やら想像して顔を真っ赤にしていたが、その場では詳しく語られなかった。


「それは追々わかることだ。

ああ、先に言っておくが、あいつはしつこいぞ。

それだけは覚悟しておくんだな。」


「ですね。

ですがそれも、あの方の魅力の1つです。」


「まぁな。

しかしそれだけではない。

2人にとってもいいことがあるぞ。」


「特にククリ、貴女の目的を果たすたためには、あの方の力は無くてはならないものです。」


「それはつまり、私がタマモと再会するためには、その方の協力が必要不可欠、ということですね?」


「そうだ。

それとジェーンも、このままフェウィンに手も足も出ないで負けたままでいいのか?」


「さすがにそいつは嫌だねぇ。

でもアンタたちについて行けば、今のアンタたちくらいは強くなれるってことかい?」


「その方の言葉を借りるなら・・・それは全て貴女たち次第です。」


今の力の差を見せつけるかのように、キリとランはククリとジェーンを一瞬だけ威圧してすぐに止めた。


しかしそれだけでククリとジェーンは、今のキリとランが自分たちとは次元の違う強さを身につけていることを理解させられたのだ。


「とまぁ、あいつの話はこれくらいにしておこう。」


「ええ、今はこの場を片付けるのが先です。」


話を一旦終わらせたキリとランに、ククリとジェーンも同意した。


そしてその表情には、恐怖だけでなく、それを大きく上回る期待に満ち溢れている。


「そうですね。」


「まずはアイツら天使をどうにかしないことには、アタシたちは何も先に進めない、ってことみたいだからねぇ。」


そんな2人の様子に満足して、キリが天使たちの方へと視線を向けた。


すると天使たちは、皆を無視して軽い足取りでスキップしながら、瓦礫で埋もれた玉座の方へと移動していた。


2人の天使が合流すると、何やら話し合いがはじまった。


「ポクたちに攻撃を当てる奴なんて久しぶりなんだぬん・・・全く効いてないけどぬん。」


「確かにポクたちが攻撃を受けるなんて久しぶりだねん・・・全く効いてないけどねん。」


天使たちの言う通り、怪我らしい怪我も無いようで平然としている。


「これからどうするぬん?」

「これからどうするねん?」


「あいつら全員ぶっ殺しちゃうんだぬん?」

「あいつら全員とっ捕まるんだねん?」


天使たちの意見がわかれると、互いに自分の意見を譲らずに言い合いがはじまった。


「玩具にするために殺して、壊しながら遊ぶのが面白いんだぬん!」


「生きたままペットにして、飼育や繁殖するのが楽しいんだねん!」


「玩具!」


「ペット!」


「玩具!」


「ペット!」


互いに主張を譲らず、延々と言い合いが続くかと思われたが、意外にも早く終わった。


「・・・面倒だぬん。」

「・・・飽きたねん。」


「だったら・・・」

「だったら・・・」


天使たちは顔を見合わせると、不敵な笑みを浮かべた。


「・・・大天使様に聞くのぬん!」

「・・・大天使様に聞くのねん!」


どうやら今度は互いの意見が一致したようで、最終的な決定を、大天使、とやらに丸投げすることにしたようだ。


「大天使様ーっ、起きてなのぬん!」

「大天使様ーっ、起きてなのねん!」


そう言って天使たちが、瓦礫で埋もれた玉座に向かって声をかけると、突然瓦礫が持ち上がり、そこからある人物が出てきたのだった。

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