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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第17章 商い革命
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商国での会談3

まずは代表して、フェウィンがジェーンの要件を聞いてきた。


「アタイたちに何の用?」


しかし3人の姿を見たジェーンは不満そうだ。


「アンタたちが鼓翼国の連中で翼人族?

そっちの1人は片羽、こっちの2人は羽すら見当たらないねぇ。

もしかしてハズレかい?」


このジェーンの言葉に、フェウィンが怒って間違いを指摘した。


「どこ見てんのさ。

アタイにはちゃんと羽があるだろ。」


そう言ってフェウィンが背中を向けると、そこには小さな羽が見えた。


それを見たジェーンは、ますます不満そうだ。


「なんだい、最近の翼人族は退化しちまったのかロクなのがいないねぇ。

これじゃぁただの弱い者いじめになっちまいそうだ。

で、そっちのアンタも出来損ないなのかい?」


ジェーンが残る羽無しの1人に声をかけると、その人物は気にした様子も無く冷静な口調で答えた。


「いいや、違う。

そもそも私は翼人族ではないからな。」


「じゃぁ余所の国から護衛として雇われた口かい?

そいつは不運だったねぇ。

悪いけど、翼人族に雇われたアンタも、アタシの鬱憤を晴らすのに付き合ってもらうよ。」


「鬱憤か・・・やはり相変わらずのようだな。

しかし残念だが、それは無理な話だ。」


「もしかして逃げようとか思ってるのかい?

それは無理ってもんだよ。

この部屋は誰でも入れるけど、許可が無いと誰も出られないからねぇ。

それに・・・」


ジェーンが右手を上げて合図を送ると、背後に10体の魔物が現れた。


その姿から、下級や中級ではなく、最上級と思われる魔物だ。


魔物たちは、今はジェーンの指示に従っているらしく、その場でおとなしく待機している。


「・・・って訳だから、アンタたちに逃げ道は無いよ。

アタシたちに倒されて出るか、アタシたちを倒して出るか、方法はこの2通りだけだ。」


だがその光景を見ても、女性が余裕の表情を崩すことは無かった。


「別に逃げるつもりはない。」


「だったらどういうつもりだい?」


「はぁ・・・多少は腕を上げたようだが、やはり今の私にとってはたいしたことはないな。

それに頭の方は相変わらずのようだ。

ある意味安心したが、ククリに頼ってばかりでは駄目だぞ、ジェーン。」


女性が昔から自分のことを知っているかのように話すので、ジェーンにとってはさすがに気分のいいものではなかったようだ。


「アンタ、初対面なのに、妙に馴れ馴れしいねぇ。

アタシにはアンタにそんなことを言われる覚えはないんだけどねぇ。」


「おっと、私としたことが、これはうっかりしていた。

ククリなら今の会話で気付いたんだろうが、ジェーンでは姿を変えている私の正体に気付くわけがなかったな。」


「アンタの正体、だって?

アンタ、いったい何者だい!」


「こういうことだ。」


そう言って女性、キリが左腕を上げると腕輪が光り、偽装が解除されて元の姿に戻った。


さすがにその姿を見て、ジェーンも正体に気付いたようだ。


「あっ、アンタは、キリじゃないか!」


「久しぶりだな、ジェーン。」


「なんだいなんだい、もしかして潜入任務でもやってるのかい?

それならそうと言ってくれれば・・・ちょっと待ちな。

おかしいねぇ・・・確かアンタは今、海底神殿攻略に行ってるはずじゃぁ・・・」


「確かに少し前に、海底神殿攻略の任務に就いていた。

だがそちらは既に終わっている。」


「だったらこんなとこにいる場合じゃないよ、キリ!

アンタの姉、軍国に潜入しているキラが音信不通になっちまった話は聞いてないのかい!」


「いいや、知っているし、その必要は無い。

既にキラ姉様は私と共にいるからな。」


「そうだったのかい、それなら一安心だね。

それで、今は組織から何の任務を与えられてここにいるんだい?

もしかしてアタシたちの手伝いできてくれたのかい?」


久しぶりに旧友に再会したからか、ここまでのキリに対するジェーンの態度はとても友好的だ。


だが次のキリの言葉で、それが一変する。


「違うぞ、ジェーン。

私は、私たちは、組織から離反したんだ。

そして今はここにいる皆と行動を共にしている。

お前の反応から、まだ私たちが離反したことは、組織にはバレていないようだがな。」


キリの言葉に、それまで友好的だったジェーンの表情から笑顔が消えた。


「・・・そいつは何とも穏やかじゃない話だねぇ。

それはつまり、アンタたちは組織を裏切った、ということかい?」


「どう取ってもらっても構わない。

一応言っておくが、先に裏切ったのは組織の方だぞ。

だから今の私にとって、組織は倒すべき敵だ。」


「じゃぁ今のアタシとアンタは敵同士、ってわけだね。」


「そうとも言えないぞ。

ジェーン、お前も組織を抜けてこちらに付かないか?

このまま組織に従っていては、いつかお前達も組織に裏切られるぞ。

間違いなくそうなると断言できる。」


「確かに、組織にはキナ臭い所があるからねぇ。

それはククリも同じ意見だよ。」


「だったら・・・」


説得がスムーズに進むと思ったキリだったが、そう簡単にはいかなかった。


「でもねぇ、アンタが言う、こちら、とやらは本当に信じられるのかい?

実は裏で組織とつながってて、結局今と変わらずに利用されるなんてのは御免だよ。」


このジェーンの懸念に、キリは迷い無く断言した。


「それは絶対にありえん。」


キリが即答で、しかもハッキリと言い切ったので、そこにジェーンが興味を持ったようだ。


「ずいぶんと自信満々だねぇ。

いったい何を根拠に、そこまで言い切れるんだい?」


「先程組織に裏切られたと言ったが、そのときに私たちは、ある男に助けてもらったんだ。

そいつとの出逢いは、私たちにとって、まさに運命だった。

きっとジェーンとククリにとっても、運命の出逢いとなるはずだ!」


しかしキリがあまりにも熱のこもった声で語ったため、ジェーンは警戒を強めてしまったようだ。


「怪しいねぇ・・・キリ、アンタ洗脳の類を受けてるか、そいつらに騙されてるんじゃないかい?」


「どうしてそうなるんだ。

私たちは洗脳などされていないし、騙されてもいない。

現に私たちは・・・」


キリが事情を説明しようとしたが、ジェーンはそれを遮って拒絶した。


「正直今のアンタの言葉は、アタシたちにはちっとも響かないよ。

それに忘れたのかい?

アタシたちの間で意見が食い違った場合は・・・」


「・・・力でねじ伏せた方の意見を採用する、だったな。」


「そういうことだよ。

ちゃんと覚えているじゃないか。

アタシたちに言うこと聞かせたきゃ、力で示しな。

ただ、アタシとククリは、アンタたちに負けたことは無いけどねぇ。」


「いったいいつの話をしているんだ。

それにククリはともかく、ジェーン、お前とは常に互角だったはずだが、まさか忘れたわけではないだろうな。

それとも長生きして、とうとう痴呆がはじまってしまったか?」


「言ってくれるねぇ。

確かにアタシとアンタたちとは互角だったさ。

だがそれは過去の話だよ。

今のアタシはククリとの訓練で、あの娘と同等の力を持つまで成長したんだ。

だからあれからアンタたちがどれだけ強くなろうと、今のアタシに勝つことはできないよ。」


「ククリと同等の力?そんなことは最初からわかっている。

だがその程度、今の私にとっては何の障害にもならないぞ。

ただ今回お前の相手をするのは私ではないけどな。」


「何だい、大口を叩くわりに逃げるのかい?」


「そうではない。

ただ私まで順番が回ってこない、それだけだ。

というわけで、フェウィン、ジェーンの相手は任せたぞ。」


「待ってました。」


「それとくれぐれも手加減を忘れるなよ。」


「わかってるって。」


「そこの半端者の出来損ないがアタシの相手だって言うのかい?

冗談はよしておくれ。

そいつじゃアタシの相手にはならないよ。」


「ジェーン、最初から全力で戦え。

後で、油断していて足元をすくわれた、などという言い訳は通用しないぞ。」


「こいつがそこまでの使い手には全然見えないけどねぇ・・・まぁいいさ。

アタシにとっては、嘘つきで卑怯者の翼人族だ。

まずはこいつで憂さ晴らしをさせてもらうよ。」


やる気になって構えるジェーンだったが、フェウィンはその言葉が気になってしまったようだ。


「・・・ねぇ、なんでアタイたち翼人族が、嘘つきで卑怯者なのさ。

意味がわかんないんだけど。」


「何だい、翼人族は事実を伝えてないのかい。

いいだろう、教えてやるよ。

過去に起こった大きな戦争のことは知っているかい?」


「うん、善神と邪神が先頭に立った戦争のことだよね?」


「そうだ。

そして戦争の発端が、ある村が滅ぼされたことで、まだ息があった住人が証言した言葉が、『巨人に襲われた』だ。

しかもそいつは翼人族だったのさ。

それからその報復で滅ぼされた村、そこには大勢の巨人族、それも戦闘能力が低い女と子供だけがいたんだ。

しかもそのとき村には偶然、戦闘能力が高い者が1人もいなかった。」


「つまり、最初の証言が嘘で、更に報復と偽って戦えない住人だけを狙ったと。

だから翼人族が、嘘つきで卑怯者ってこと?」


「へぇ、理解できるだけの頭はあるみたいだねぇ。

そうさ、アンタの先祖は、戦争を起こす切っ掛けを作った大罪人なのさ!」


「ふーん・・・で、アンタはその2つが原因で、翼人族を恨んでいるってわけなんだ。

でもさ、どっちの証言でも襲ってきたのが巨人族とも翼人族とも言ってないはずだよね?

あくまで、巨人と翼を持った亜人、だったはずだよ。

そのことがおかしいとは思わなかったの?」


「当然アタシたちは否定したさ!

だけど聞く耳を持たない多くの種族がいたから、対立して真っ二つに割れちまったんだ。

そこに駄目押しで翼人族が報復なんてしたから、戦争になっちまったんだよ!」


「当時の情勢がどうだったのかアタイにはわからないけど、仲が良かったり付き合いがあったり敵対してたりと、いろいろあったんだと思うよ。

他にも種族間でしがらみなんかがあっただろうから、互いの意見がぶつかっていけば、それがどんどん大きくなって押さえが効かなくなり、結局は戦争になったんだろうね。

でもさ、さっきから聞いてると、アンタは相手のことしか否定してないじゃん。

アンタは、身内が勘違いしていた、とは思わなかったの?」


このフェウィンの指摘に、ジェーンから激しい怒りと殺気が向けられた。


「・・・アンタ・・・あの証言が嘘だったって言うのかい・・・」


フェウィンは全く怯まず、平然と自分の意見を続けた。


「別にそこまで言ってないでしょ。

アタイはその証言が真実だったか、それを徹底的に検証したのかって言ってんの。

だって見間違いや勘違いは誰にだってあるし、もし見たことない種族だったら、近い種族を例に挙げるはずじゃん。

だから特定の種族だって断言しないで、曖昧な証言を残したかもしれないじゃないか。

その辺りのことを考えずに、ただ証言だけをそのまま信じるのはどうかと思うよ。」


ここで相手が冷静なままであれば、多少険悪な雰囲気になったとしても、互いの意見を言い合うだけで済んだだろう。


だが既にジェーンは怒りで今にも爆発しそうだった。


そのためフェウィンの言葉で、完全にキレてしまった。


「アンタは・・・アタシの弟が嘘つきだったり、間違ったことを言った、って言うのかい!」


「へっ?弟?」


全くの予想外に、さすがのフェウィンも驚いて言葉が途切れてしまった。


そんなフェウィンにお構いなく、ジェーンの怒りはますます上がり続ける。


「弟はまだ小さくて、しかも身体が弱かった。

それでも最後まで必死に生きて、アタシたちに情報を残してくれた!

あの子はアタイたち巨人族の誇りだ!」


「ちょっと待った、証言したのがアンタの弟だったなんて知らなかったんだって。」


さすがにまずい状況になってきたと思い、フェウィンはジェーンを一度落ち着かせようと試みたのだが、もう既に遅かった。


「それを・・・何も知らない翼人族のガキが否定するな!

お前はここで・・・死ねーっ!」


完全に怒りで我を忘れたジェーンは、全力で力を発動する。


その瞬間、元々大きかった身体が、更に巨大になったのだ。


謁見の間は天井がかなり高い作りのため、突き抜けるようなことは無かったが、それでもあと少しでジェーンの頭が届きそうなほどだ。


大きさにして元の身体の約10倍。


それは背の高さだけではなく、全身の体型がそのまま10倍になったという意味でだ。


つまり拳の大きさも10倍になっているということである。


そんな巨大な右拳が、無防備なフェウィンの真上に振り下ろされてきたのだ。


とてつもない威力だということは、質量と勢いから一目瞭然だ。


そして容赦なくフェウィンを床に叩き潰した。


その威力はすさまじく、床にはまるで隕石が落ちたかのように巨大なクレーターができ、大量の粉塵を巻き上げていた。


それを見て、ようやくジェーンの頭が少しだけ冷えた。


「・・・おっと、アタシとしたことが、ついカッとなってやっちまった。

せっかく逢えた翼人族だったから、しばらく遊んで憂さ晴らしするつもりだったのに、これじゃぁただの肉塊になっちまってるねぇ。

しかたない、もう1人の片羽の方で憂さ晴らしするかねぇ。」


ジェーンが周囲を見回していると、先にキリの姿が目に入った。


ジェーンの行動を見ても特に慌てた様子も無く、服についた埃を軽く払っている。


攻撃の余波で怪我を負ってもいないようだ。


「おや、今のでアンタが無傷だったとは意外だねぇ。

アンタのことだから、こいつを助けるかと思ったけど、見捨てて回避したのは正解だよ。

もしそんなことしてたら、アンタも同じ状態だったからねぇ。」


「なぜ私が助けに入らなければいけないんだ?」


このキリの返しに、ジェーンの表情が曇った。


「・・・やっぱり今のアンタ、普通の状態じゃないねぇ。

少なくとも昔のアンタなら仲間を助けようとしたはずだよ。

どうやらこいつは洗脳の線が濃いみたいだ。

さて、どうやって解いたもんかねぇ。」


「何を勘違いしているのか知らんが、助ける必要が無いのに、わざわざ助ける意味がどこにあるというのだ?」


「何だって?」


「フェウィン、遊んでないでそろそろ真面目にやれ。

そんな体たらくでは、後でお仕置きされてしまうぞ。」


「キリ、アンタ何を言って・・・」


ジェーンがキリの言葉の意味を理解できずにいると、突然床にめり込んでいた拳が上に持ち上がってきた。


同時に舞い上がっていた粉塵が、発生した突風によって吹き飛ばされている。


そのジェーンの拳の下には、両手を頭上に上げて拳を受け止めた体勢のフェウィンが、光り輝く半透明な翼を羽ばたかせながら、ゆっくりと浮かび上がってきた。


そして開口一番、言い訳を口にした。


「別にアタイは遊んでないからね。

だってしょうがないじゃん。

訓練だからって、相手の事前情報を何にも教えてくれなかったんだから。

急に大きくなったら、誰だってビックリするはずだよ。」


「例え事前情報が無くても、相手との会話の中にいくつもヒントがあったはずだ。

そもそも巨人族の身体の大きさが、あの程度なわけないだろう。」


「うぐっ!?・・・でっ、でも・・・」


痛い所を突かれ、フェウィンが更なる言い訳を口にしようとしたのだが、それをキリが先に潰した。


「でも、ではない。

挽回したいのであれば、ここからは真面目に戦え。」


さすがにこれ以上は自分の方が分が悪いと思ったらしく、フェウィンはおとなしくキリの言葉に従うことにしたらしい。


「わっ、わかってるよ。

ってわけだから、ここからが本番だよ!

・・・あれっ?どうしたの?」


だがやる気を出しているフェフィンとは逆に、ジェーンの様子がおかしいことに気付いたようだ。


そのジェーンはというと、信じられないといった表情をしている。


「なっ、何なんだいアンタ・・・何でアタシの全力の攻撃を受けて無傷なんだい!」


これに対して、フェウィンは真面目な内容で答えた。


「何でって言われても、ただ大きくなって質量が増えただけの攻撃じゃん。

これに巨大化した分の力がちゃんと込められてたら、多少はすごいって思うよ。

だけど今の攻撃には、巨大化で使った力がゴッソリ抜けてたから、見た目だけは迫力があったけど、威力はたいしたことなかったよね。

ハッキリ言ってまだまだ力の使い方がなっていないよ。」


「でっ、でもアンタは床にめり込んで・・・」


「あーあれね。

ちょーっと力の発動が間に合わなくてさ、咄嗟に拳を受け止めたのはいいけど、床が脆くて抜けちゃったんだよねぇ。

力が発動できていれば飛べたから、あのくらいの攻撃なら何事も無く簡単に防げるよ。

だからここからは、アンタの好きにはさせないからね。」


目の前の受け入れ難い現実を、ジェーンは激しく拒否した。


「うっ、嘘だ・・・嘘だ嘘だ嘘だ!

だっ、だったら、こいつでどうだい!」


そう言ってジェーンは、空いている左拳でフェウィンの全身に向けて、右横側面から殴った。


全く避ける気が無いフェウィンは、ジェーンの右拳を受け止めている右手を動かし、向かってくる左拳に向かって突き出した。


そのままジェーンの左拳がフェウィンの右手と激突した。


するとフェウィンはその場から微動だにせず、難なくジェーンの左拳を受け止めてみせたのだ。


当然周囲への被害どころか、余波も全くない。


「ほら、アタイの言った通りだろ?」


今度はハッキリと自分の見ている前で攻撃を防がれてしまい、ジェーンは現実逃避するために、待機していた魔物たちに指示を出した。


「そっ、そんな・・・だっ、だったら・・・アンタたち、やっちまいな!」


ジェーンの指示を受け、それまで待機していた10体の最上級の魔物たちが、一斉にフェウィンへと襲い掛かる。


だがその攻撃がフェウィンに届くことは無かった。


突然間に割り込んできた5人によって、魔物たちが元来た方向へと吹き飛ばされたからだ。


それは、マリス、エミル、ロンフォン、シャーリィ、キリの5人だった。


「無粋な横槍は止めてもらおうか。」


「出しゃばんじゃねーよ。」


「邪魔はさせません。」


「悪いがここは通すわけにはいかない。」


「私たちがいる限り、余計な真似はさせんぞ。」


しかしジェーンの指示はそれだけで終わらなかった。


「甘いよっ!今だ、やりな!」


今度は先程の魔物たちとは別の方向から、5つの影がフェウィンに向かって襲い掛かったのだ。


裏をかいたと思ったジェーンだったが、それはすぐに間違いだと思い知らされた。


まず5人よりも先に動いたのはフェウィンだ。


光り輝く半透明な翼を1度だけ大きく羽ばたかせると、そこから無数の羽根が5つの影たちに向かって行った。


その羽根を、5つの影たちは難なく叩き落してみせたが、それ以上進めず、足止めされていた。


そこへ僅かに遅れて5人が5つの影に向かって攻撃した。


だが先程の魔物たちのときとは違い、5つの影はその場から微動だにせず、5人の攻撃を防御してみせたのだ。


当然ダメージも受けていないようで、すぐに攻撃の構えを取っていた。


動きが止まったので影の正体を確認してみると、全身を黒装束に身を包んだ、人の形をしたものだった。


目の部分だけが怪しく光っている以外、全てが隠れてしまっているため、その正体は不明だ。


するとそれを見たジェーンに、少しだけ余裕が戻ってきた。


「そいつ等が何者かはアタシも知らないけど、さっきの魔物とは桁が違うよ!

悪いけど、アンタら全員そいつ等の餌食になってもらうよ!

さあ、やっちまいな!」


ジェーンの指示で5人の黒装束が動こうとしたのだが、そこで予期せぬことが起こった。


「・・・邪魔。」


フェウィンがそう言うと、突然黒装束たちの右側から何かがものすごい速度で飛んできて全員の頭に次々と直撃し、その場に倒してしまったのだ。


「・・・はっ?・・・何だい、何が起こったんだい!

ぐはっ!?」


再び何が起こったかわからずに混乱するジェーンの腕を捻って床に組み伏せると、それをやった張本人であるフェウィンが答えた。


「面倒だから眠ってもらっただけだよ。

ちょうどこの娘の運動も兼ねてね。」


するとフェウィンの周りに、円形状の盾が飛んできて、周囲を警戒するように漂っていた。


どうやらそれの面を使って、5人の黒装束たちを横殴りにしたようだ。


「なっ、何で、盾が?」


「ただの盾じゃないよ!

この娘はアタイへの攻撃を自動的に防いでくれたり、今みたいにアタイの意思にも従って攻撃もしてくれる、アタイの大事なパートナーさ!」


「盾がパートナーだって?

ふざけるんじゃないよ!

そんなただの防具を相手に、何を言ってるんだい!」


「それが違うんだなぁ。

この娘にはちゃんと意思があって、今は簡単な感情がわかる程度だけど、すぐに成長して近い将来アタイと会話ができるようになるんだよ!」


「防具と会話?馬鹿言うんじゃないよ!

アンタ頭がおかしいんじゃないかい!」


そこへ、ジェーンの言葉に異を唱える者が3人現れた。


その3人、アズール、パイ、ヘイは、ジェーンの目の前でマリスとロンフォンの腕輪から人の姿へと変化してみせたのだ。


「今の言葉は聞き捨てなりませんね。」


「だね。」


「です。」


それまでいなかった人物たちが突然現れ、ジェーンは驚いて慌てていた。


「あっ、アンタたち、何者だい!

いったいどこから現れたんだい!」


「私たちは武精族。

武器が意思を持った、新たな種族です。」


「そしてフェウィンのパートナーは、僕たちの妹だよ。」


「です。」


新たな種族と聞いたからか、それとも3人が普通に話すのを目の当たりにしたからか、ジェーンは少しだけ落ちついたようだ。


「ぶっ、武精族?・・・それって武人族のようなものかい?」


「まぁ似たようなものです。」


「そうかい・・・そいつは悪いことを言っちまった。

すまなかったね。」


「わかってくれればいいよ。」


「です。」


意外にもジェーンが素直に謝罪したので、武精族の3人もそれ以上は何も言わずに謝罪を受け入れたようだ。


そこへ忘れられてしまっていたフェウィンが、自分の存在を主張するかのように、これからどうするのか聞いてきた。


「ところでさぁ、これからどうするの?

まだ続ける?」


ジェーンは一度だけ周囲を見回してから、潔く白旗を上げた。


「・・・いや、アタシの負けだ。

手駒たちは全員倒されちまったし、アタシもこの様だ。

とりあえず最初に約束した通り、アタシはキリの意見に従うよ。」


「じゃぁさあ、とりあえず元の大きさに戻ってもらってもいい?

この空間にこの大きさは場所を取って邪魔だし。」


「わかったよ。」


フェウィンが捻っていた腕の拘束を解くと、ジェーンは抵抗することなく力の発動を止め、元の大きさに戻った。


しかしフェウィンたちは戦闘態勢のまま、更に警戒を強めていた。


「これでいいだろう、って、アンタたち、アタシは戦闘態勢解除したってのに、何殺気立ってるんだい?

まさか・・・」


ジェーンは無抵抗になった自分に、フェウィンたちが何かするつもりなのかと警戒しようとしたのだが、肩に置かれたキリの手でそうはならなかった。


「落ち着け、ジェーン。

これからお前に真実を見せてやる。」


「真実?・・・どういうことだい!

キリ、アンタは何を知ってるって言うんだい!」


「すぐにわかるさ。

・・・どうやら本性を現したようだな。」


「本性?いったい誰のことを言って・・・あれは・・・」


キリとジェーンの視線の先には、先程フェウィンのパートナーが倒したはずの黒装束たちが倒れていた。


だが突然不自然な動きで、通常ではありえない起き方をしたのだ。


何が不自然な動きなのかというと、倒れていた状態のまま背中で何かが動いたかと思ったら、そのまま身体が浮き上がって立った状態になったのだ。


そして黒装束たちからは、何とも不気味で気持ちの悪い視線が向けられていたのだった。

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