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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第17章 商い革命
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商国での会談2

一方その頃、馬車を降りた皆はというと、監視塔からの複数の視線に気付いていた。


だがあえて気付いていない振りをしながら、小さな声で視線に対してどう対応するか話していた。


「・・・見られてるね。」


「ええ、それも複数の視線を感じます。」


「だけどその内の1つ、これって・・・」


「不快。」


「気持ち悪いですわ。」


「でも今は我慢。」


「早く中に入って、視線の届かない場所へ移動するしかないな。」


「此方も限界ですから、それがいいです。」


「何だよ、逆に殺気を向けて黙らせればいいじゃねーか。」


「妾もその方が手っ取り早いと思うぞ。」


「馬鹿ね、そんなことしたら相手を警戒させてしまうだけじゃない。」


「だったら早く行こう、アタイも我慢の限界だよ。」


結果として12人は視線を無視して、何事もなかったかのように、足早に王城へと入って行ってしまった。


その後ろ姿を見ながら、たまたま近くにいた4人は、先に入って行った者たちが話していたことについて意見を交わしていた。


「注目されているだろうとは思っていたが、視線を送っている者の位置や込められた感情までわかるものなのか?

私には全くわからないな。」


「うちにもわかりまへんな。

まぁ皆はんマコトはんの弟子やからねぇ。

で、お2人はわかるんですか?」


「・・・視線は感じるけど、どこからとか、どういった意味かとかは、俺にはわかんねーな。」


「私、も、同じ、です、わ。」


「アイツ等、前に戦ったときとは、まるで別人かと思うくらい強くなってるぜ。

たぶん俺たちじゃもう手も足も出ねーだろうな。」


「そう、です、わ、ね。」


「お2人にそこまで言わせるとは、さすがはマコトはん、ということですかね。

とりあえず今は、うちらも中に入るとしますか。

見られているとわかると、気のいいもんやないですからね。」


「同感だ。」


「だな。」


「です、わ。」


4人はその場から移動することに同意し、先に入っていった者たちの後を追った。


それとは別に、護衛役の2人が周囲を警戒する振りをしながら、先程の視線の正体について考えていた。


「さっきの視線、気付いたか?」


「ええ、こちらを窺う視線が3つ。

1つ目は、下心丸出しの不快な視線。

2つ目は、こちらを値踏みするような視線。

3つ目は、こちらを冷静に観察するような視線。

何者かわかりませんが、1つ目はたいした相手ではありません。

そして2つ目と3つ目は、おそらくですが、あの2人でしょう。」


「やはりあの気配はそうか。」


「事前にマコトさんから聞いてはいましたが、久しぶりに懐かしい気配を感じましたね。」


「ああ、そうだな。

だがそうなると2人の狙いは・・・」


「まず間違いないでしょう。

2人にとっては消せない過去ですから。」


「なら私たちが2人の相手をすればいい。

2人も私たちが相手なら、話くらいは聞いてくれるはずだ。」


「それはどうなのでしょう。

私はあえてぶつけてみるのがいいと思います。」


「それだと間違いなく戦闘になるぞ。」


「それこそが狙いです。

最初に上下関係をハッキリさせておいた方がいいでしょうから。」


「なるほどな。

ならば私たちは間に入って立ち会うとしよう。」


「それでいいと思います。」


「であれば、まず私たちは与えられた役割と任務を完璧に遂行する、後はその時に考えるとしよう。」


「そうですね。」


「では私たちも行くぞ。」


「ええ。」


護衛の2人も、今は自分たちに与えられたやるべきことを優先し、護衛対象たちの後を追った。


最後に残ったのは、9人のメイドたちだ。


しかし誰も周囲に気を配る素振りすらなく、ただ粛々と一行の後について中へと入っていった。


それから一行は、会談を行う場所とは違う別室に案内された。


そのときに最終的な会談参加者たちの素性の確認が行われ、全員提示されていた条件を満たしていることが確認された。


確認が終わると侍女がやってきて、会談が行われる場所へと案内された。


そこは謁見の間で、玉座には1人の男性が我が物顔で座っており、その左右と後ろには女性が1人ずつ立っていた。


右に立っているのは、背が高く筋肉質で体格がいい女性で、何かを探すように参加者たちを見ている。


左に立っているのは、2本の尻尾が生えた獣人の女性で、注意深く参加者たちを見ている。


後ろに立っているのは、メイド服を着た侍女で、参加者たちには興味なさそうに、ただその場にいるだけのように見える。


そして玉座に座っているのは、背が低く小太りな男性で、舌なめずりをしながら、食い入るように参加者たちを見ている。


そんな様々な視線にさらされて、不快な思いをしながら参加者たちが声の届く位置まで進み出ると、獣人の女性が口を開いた。


「ようこそおいでくださいました、各国の代表者の方々。

まずは商王様に代わり、感謝いたします。

私は商王様の側近を務めさせていただいております、ククリ、と申します。

それでは早速ですが、お時間となりましたので、このまま会談をはじめさせていただきます。」


この獣人の女性、ククリの言葉に、会談の参加者たちからは不満の視線が向けられた。


それも当然の話だ。


まず会談と言いながら、どこにもテーブルや椅子が用意されていない。


誰がどう見ても、商国側に会談をするつもりがないことがわかる。


しかも玉座に踏ん反り返っている男性に対して、各国の会談参加者たちは頭こそ垂れていないものの、まるで拝謁しているかのような状態なのだ。


これでは会談に参加する国の中で、商国が一番上の立場であるようにしか見えないのである。


あきらかに参加者たちを下に見ており、馬鹿にしているとしか思えない。


だがそんな視線を浴びながらもククリは軽く受け流し、会談の進行をはじめようとしたのだが、そこへ直接文句を言う者が現れた。


「ちょー待ちいや。

あんた、これはいくらなんでも、うちらを馬鹿にしすぎや。」


このクロエの文句に対して、ククリは何を言っているのかわからないっといった感じでとぼけていた。


「何が、でしょうか?」


「確認するけど、これは、会談、のはずやな?」


「ええ、仰る通り、会談、です。」


「だったらそっちとこっちの扱いの差はなんなんや。

本来国同士の会談ちゅーんは、対等なはずや。

うちらのこと呼びつけといて、あんたらはまともに話す気なんて無いやろ。」


「ああ、そのことですか。

それでしたら・・・」


ククリが理由を説明しようとしたところへ、玉座に座っている男性が我慢できず話に割り込んできた。


「そんなこと決まってるんだなん。

ここにいるお前たちは全員、僕ちんのハーレムに入ることが決まってるんだなん。

つまり立場は僕ちんが上で、お前たちは下なんだなん。

お前たちだって、この会談に参加するということは、自分たちの身体を差し出すことだとわかっているはずなんだなん。

だから全員今すぐ着ている服を全部脱いで、全裸で僕ちんに媚びながら奉仕するんだなん。

じゃないとお前たちの国との取引を止めるんだなん。

そうなれば国が干からびて、大勢の国民がいろいろと大変なことになるんだなん。

それはそれで僕ちんにとっては好都合だけど、僕ちんは慈悲深いからこうしてお前たちに選択する機会を与えてやってるんだなん。」


これにはさすがに黙っていられなかったようで、全員が嫌悪感をあらわにしながら不満の声を上げた。


「はぁっ?(×皆)」


しかし玉座の男性には伝わらなかったようだ。


「ほれっ、早くするんだなん。

僕ちんは気が短いんだなん。

さあ僕ちんの機嫌を損ねない内に、早くお前たちの誠意を見せるんだなん。」


するとそこへククリがバカ王子に声をかけた。


「王子・・・」


「何だなん?」


「・・・さすがでございます!

相手に未来の選択肢を与えつつも、既に1つ以外は選択できないように他の選択肢を潰し、服従の道しかないことを突きつける。

まさに時代の商王として相応しいお姿です。」


そんなご機嫌を取りをはじめたククリの姿に、体格がいい女性が必死に笑いを堪えている。


逆に会談の参加者たちは、その馬鹿げたやり取りに呆れかえっていた。


しかしバカ王子は、周りがそんな目で見ていることに気付いていないようで、ますます調子に乗っていた。


「そうなんだなん。

僕ちんは賢くて偉いんだなん。

だからこの場で宣言するんだなん。

今から僕ちんが、この国の王、商王なんだなん。

僕ちんが決めたんだから、これは決定なんだなん。

誰にも文句は言わせないんだなん。」


「はい、当然です。

王子、いえ商王様。

この場で異議を唱える者など誰もおりはしません。」


さすがにこんな茶番には付き合ってられないと思ったのか、クロエが文句を言おうとしたのだが、それよりも先に声を上げる者が現れた。


「異議ありや!」


突然の大声に驚いたバカ王子だが、すぐに声の主を探しはじめた。


「ぷぴゅっ!?・・・だっ、誰なんだなん。

出てくるんだなん。」


すると会談の参加者たちを庇うように、突然3人の女性が現れた。


「このバカ義弟がーっ!」


そう叫んだのは、カーラ、シルフィナと共に現れたエナンであった。


その姿を見て、バカ王子が途端に取り乱しはじめた。


「ぷぴゅーっ!?

おっおっおっお前はエナンっ!」


このバカ王子の態度に、怒ったエナンが注意してきた。


「お前はいったい何様のつもりや!

義理とはいえ、姉に向かってその態度はなんや!

それにわざわざ来てくれた各国の皆さんに対して、さっきの無礼な発言はどういうつもりや!」


そんなエナンに対してバカ王子は取り乱しながらも、強気の態度で無理矢理自分主導の話に変えてきた。


「ぷぴゅーっ!?

どっどっどっどうやってここまで来たんだなん!

いっいっいっ今までどこに隠れていたんだなん!

なっなっなっ何しに来たんだなん!」


このバカ王子の追及を、エナンはバッサリ斬って捨てた。


「お前に教える義理は無いわ!」


「ぷぴゅーっ!?」


これ以降、バカ王子はエナンに対して完全に怯えてしまい、全く会話にならない状態だ。


それを見かねてか、エナンから庇うように、ククリがバカ王子の前に立ち、代わりに答えた。


「これはこれはエナン様。

それにそちらにおられるのはカーラ様ではありませんか。

お2人ともこの場にはご招待していなかったと記憶しておりますが、いったいどうのようなご用件でしょうか?」


「お前には聞いとらん!

これは王族同士の問題で、ウチはそこのバカ義弟に直接聞いとるんや!」


「それは失礼いたしました。

しかし私は王子の護衛ですので、突然現れた不審者に警戒するのは当然かと。

そもそも貴女が本物の王女かどうか怪しいと思っておりますので。」


「ウチが偽物だと言うんか?」


「いいえ、そこまでは疑っておりません。

しかし仮に本物だとしましても、嫌疑がかかっております王女が現れたのですから、王子を護るのは当然です。」


さすがに嫌疑と聞いて、エナンも聞き流せなかったようだ。


「ウチに嫌疑やと?」


「ええ、そうです。

王女、貴方には、先代商王様の殺人容疑、がかかっております。」


これにはさすがのエナンも驚きを隠せなかった。


「なっ、なんやて!

どういうことや!」


するとククリの口から、身に覚えのない話が語られたのだ。


「先代商王様がお亡くなりになった際、参考人として王女を召致いたしましたが、それを拒否されましたよね?

しかも穏便にお連れしようとして送った迎えの者に、あろうことか大怪我を負わせるという暴挙に出たのです。

あきらかに後ろめたいことがあるからとしか思えません。

もはや言い逃れできませんよ。」


実際には、やってきたのは迎えの者ではなく襲撃者たちであったため、エナンはカーラの手引きで逃げることになったのである。


その事実をねじ曲げられ、当然エナンが文句を言ってきた。


「何言っとるんや!

お前たちが寄こしたんは刺客で、ウチを殺そうとしたんやないか!

だからウチは逃げて、一時的に姿を隠しただけや!

それにオトンのことだって、お前たちがバカ義弟をそそのかしてやったんやないか!」


そんな怒りながら反論するエナンの姿を逆手に取り、ククリは無理矢理こじつけた。


「どうやら王女は御乱心しておられる様子。

それに王子を侮辱するような暴言を吐くなど、王女として相応しくないその態度こそが犯行を裏付けています。

最早会話にすらなりません。

仕方ありません、まずはおとなしくしていただくために捕らえましょう、ジェーン!」


ジェーンと呼ばれた体格のいい女性は、楽しそうにしながらククリの隣に進み出てきた。


「おっ、ようやくアタシの出番かい。

いい加減退屈してたところなんだ。」


「いいですか、殺しては駄目ですよ。

国民の前で裁いて、王女の罪を周知させる必要があるのですから。

当然そちらのカーラ様も王女の手助けをしたことで同罪ですから、一緒に捕らえてください。」


「あいよ。

まぁアタシは力加減が苦手だからねぇ。

ちょっとした怪我くらいは勘弁してもらうよ。」


「生きていれば、それくらいは目を瞑ります。

どうせ刑としては、良くて奴隷落ち、悪くて死刑、といったところでしょうから。

奴隷落ちの場合は、どこぞの奴隷商会でオークションにでもかけ、商王様の懐を潤していただくとしましょう。」


ククリが具体的な2人の行く末を口にすると、そこにバカ王子が割り込んでくるとある要求をしてきた。


「それは駄目なんだなん。

エナンとカーラは僕ちんの奴隷にして、一生奉仕させるんだなん。

だから五体満足で捕らえるんだなん。」


その要求を、ククリは従順な態度で受け入れた。


「かしこまりました、新たな商王様。

ですがご安心ください。

多少の怪我でしたら、元通りに治しますので。

ですからこの場では、多少の怪我は大目に見ていただけないでしょうか?」


「だったらいいんだなん。」


「ありがとうございます。

ではエナン様、カーラ様、お覚悟・・・」


ククリとジェーンが構えて、エナンとカーラを捕らえようとすると、そこへ割り込んでくる者がいた。


クロエだ。


「ちょー待ちいいや!」


クロエがエナンの隣に進み出てくると、不機嫌そうにククリが答えた。


「何でしょうか?

今は忙しいので後回しにしていただきたいのですが。」


だが続くクロエの話の内容を聞いて態度が変わった。


「ドンパチはじめる前に、まずはうちらの答えを聞いてもらってもええか?

待たされても、巻き込まれて何もいいことなさそうやからな。

早いところうちらの立場を明確にしておきたいんや。」


それを聞いてククリは構えを一時的に解くと、クロエの話に耳を傾けた。


「・・・それもそうですね。

賢明な判断です。

それで、皆様は商王様に服従する、ということでよろしいのですよね?」


他に選択肢は無いだろうと思い、クロエの答えを決め付けたククリであったが、その答えは全くの逆であった。


「・・・誰がバカ王子に服従なんかするかボケ!

頼まれてもバカ王子が商王になった商国とは取引なんかするか!

うちら全員、エナンが商王になった商国以外とは、今後一切取引せーへんからな!」


まさか交渉が決裂するとは思っていなかったのか、自分の予想を外されたククリは一瞬固まってしまったが、すぐに戻ってきてクロエへ確認を行った。


「・・・つまり商国と取引をしなくてもいいと?」


「そうや。」


この迷いのないクロエの答えが気になり、ククリはその理由を探るために手札を1枚切った。


「しかしそれでは北部の国々との流通が途絶えますよ?

それでもよろしいのですか?」


これに対してクロエは、待ってましたとばかりに余裕の表情で返した。


「それについては既に解決済みや。

これからは商国を通らなくても、北部と南部を行き来する方法が新たにできたからな。

しかも流通量も速度も、これまでの比やないで。」


全く予想しなかった答えに、さすがのククリも驚きの声を上げてしまった。


「なっ!?

それは絶対にありえません!

いったいどうやってそのようなできるというのですか!」


「そんなん教えるわけないやろ。」


相手の手の内がわからずに焦るククリだったが、ここでもう1枚手札を切った。


「くっ・・・ですがそれだけではありませんよ。

まだお伝えしておりませんでしたが、我々にはこの場から各国を蹂躙できる兵器があります。

貴女方がこちらの要求を受け入れないと仰るのでしたら、罪のない民たちが被害を被りますよ?」


さすがにこれは考えるだろうと思ったククリだったが、クロエは余裕の表情を崩さずに迷い無く返してきたのだ。


「脅しても無駄や。

そないな兵器、うちらは全然怖くないで!」


「そうですか・・・残念です。」


「そうそう、そういえばその大層な兵器、本当に発射できるか?

もう1度、よーく確かめた方がええやないか。」


「・・・それはどういう意味でしょうか?」


「さーて、どういう意味やろな。」


まだ何か手札を隠しているようなそぶりをしているクロエの態度が気になったククリだったが、それを考える前に強硬手段に出ることにした。


「・・・ならば交渉は決裂です。

貴女方全員を捕らえて、直接その身体に聞くとしましょう。

その後貴女たちには王女たちと同じ運命を辿ることになります。

そしてその報いを、何も知らない国民たちにも受けていただきます。」


あきらかに脅してきているククリだったが、クロエは屈しなかった。


「やれるもんならやってみーや!」


クロエはそれだけ言うと、護衛の2人と共に後ろに下がって行ってしまった。


これが決定的となり、完全に両者は決裂してしまう。


そしてククリからジェーンへ指示が送られた。


「ジェーン、手加減も周りを気にする必要もありません。

全員叩き伏せて捕らえます。」


「そうこなくっちゃ。」


「ただ、まだ何かを隠している可能性も否定できません。

警戒だけは怠らないようにしてください。」


「わかってるよ。

じゃぁアタシはまず、翼人族の連中から片付けようかねぇ。」


いきなり私情を持ち込んできたジェーンであったが、ククリはそれを許容した。


「・・・まぁいいでしょう。

ですがくれぐれも殺さないようにしてくださいね。

ほどほどに遊んだら全員生きたまま捕らえてくださいよ。」


ククリの許可も下りたので、ジェーンが相手を指名してきた。


「大丈夫だって、アタシに任せときな。

いるんだろ、卑怯者の羽付きども!

鼓翼国とやらの連中は、とっととアタシの前に出てきな!」


このジェーンの要求に対して、3人の女性が前に進み出てきたのだった。

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