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無双するご主人様のハーレム事情  作者: 不利位打夢
第17章 商い革命
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一緒にお祝い

日が変わり、まだ皆が寝静まっている早朝の陰の一族の拠点で、小さな影が2つ、周囲を警戒しながら静かにゆっくりと動いていた。


小さな2つの影は、拠点の中心で動きを止めると、小さな声で話をはじめた。


「・・・だれかいた?」


「・・・いないよぉ。」


「おかあさんたちは?」


「ねてるよぉ。」


「みんなは?」


「・・・まだねてるよぉ。」


「おとうさんは?」


「うーんとぉ・・・いないよぉ。」


「じゃぁせいこう?」


「うんっ、せいこう!」


「しーっ!」


「あっ!?・・・ごめんしゃい。」


「・・・だれもこないからだいじょうぶだよ。」


「よかったぁ。」


「じゃぁはじめよっか。」


「うん、はじめるぅ。」


実はこの小さな2つの影は、普段この時間は確実に寝ているはずの、フィマとエマだった。


顔を見合わせた2人は、互いにタイミングを合わせるために合図を送ってから、小さな身体に大きく息を吸い込んだ。


「せぇーのぉ、すぅーーーっ・・・」

「しぇーのぉ、すぅーーーっ・・・」


そしてフィマが魔法で自分たちの声を全方位へ拡声しながら、2人で一緒に朝の挨拶を行った。


「おーーーはーーーよーーーうーーーーーっ!(×2)」


その声量はとてつもない大きさで、拠点全体を震わせるほどの大声にまでなった。


2人は計画の第一段階が上手くいったことを共に喜び、次の段階へ計画を移行しようとした。


しかしここで思わぬ誤算が起こってしまった。


計画では大声に驚いた皆が起きて、2人の許に集まってくるはずであった。


だが周囲は相変わらず静まり返っており、誰も起きてくる気配がないのだ。


困った2人は、すぐに相談をはじめた。


「・・・だれもおきないね。」


「うん。」


「きこえなかったのかな?」


「かな?」


「・・・もっかいやる?」


「うん、もっかいやろ!」


「じゃぁもっとおっきくしよ。」


「うんっ、するぅ!」


「エマできる?」


「うんっ、できう!」


「いっくよーっ!」


「うんっ!」


2人は顔を見合わせてから再び互いにタイミングを合わせるために合図を送り、先程よりも大きく息を吸い込んだ。


「せぇーのぉ、すぅーーーーーっ・・・」

「しぇーのぉ、すぅーーーーーっ・・・」


そしてフィマが魔法で自分たちの声を全方位へ拡声し、更にエマが魔法で増幅しながら、もう一度朝の挨拶を行おうとした。


しかし2人の口から挨拶の言葉が発せられることは無かった。


それよりも先に、多数の別の声が2人の周囲から聞こえてきたからだ。


「エマちゃん、1歳のお誕生日おめでとう!(×皆)」


いつの間にか皆がフィマとエマを取り囲んで、一斉にお祝いの言葉を口にしていたのだ。


突然のお祝いの言葉に目を丸くしていたフィマもエマだったが、すぐに気を取り直して、強引に自分たちの計画を軌道修正した。


「・・・エマ、あれやろ!」


だがフィマからの急な計画変更にエマはアタフタしてしまい、上手く次の言葉を発せなかった。


「あっ!うんっ!

えーっとぉ、うーんとぉ・・・」


そんなエマを、フィマが応援した。


「エマ、がんばれっ!」


するとその応援で落ち着いたのか、エマが元気いっぱいに発表した。


「うんっ、がんばうっ!

・・・エマ・・・1しゃいになったおーっ!」


その姿を、フィマが手を叩いて喜んでいた。


「わーいっ!」


周りで聞いていた皆も、そんなフィマに倣って大きな拍手を送った。


「フィマといっしょ!」


「うんっ、エマといっしょ!」


「やったーっ!(×2)」


目的を達成できた2人は、手を取り合って喜んでいた。


そんな2人を、マコトが抱き上げた。


「あっ!おとうしゃん!」


「おとうしゃんだ!」


「誕生日おめでとう、エマ。

これで2人とも、同じ1歳だな。」


「うんっ!(×2)」


「フィマとおんなじ!」

「エマとおんなじ!」


「それじゃぁまずは、最初のプレゼントだ。

ティリア、例のアレを出してくれ。」


「はい、マコト様。」


マコトの指示でティリアは大きめのゲートを開くと、その中に両手を突っ込んで何かを引っ張り出した。


出てきたのは、巨大なケーキであった。


初めて見る大きさのケーキに、フィマもエマもただただ驚いていた。


「うわぁ・・・」


「おっきい・・・」


その巨大なケーキの天辺にエイリが蝋燭を1本立てて、そこに火をつけた。


「さあエマ、吹き消して。」


「うんっ!」


エイリに促されて、エマは元気いっぱいに答えた。


すぐにマコトが抱っこしたままエマの口を、蝋燭の火の近くに持って行ってやる。


そしてエマが大きく息を吸い込んだのだが、何故か勢いよく蝋燭に吹きかけずに、そのままゆっくりと吐き出してしまったのだ。


ある人物の顔をジッと見つめながら。


そのエマの視線の先には、羨ましそうにケーキを見つめているフィマがいた。


そんなフィマに、エマがある提案をしてきた。


「・・・フィマ、いっしょにやろ!」


ここでいつもなら喜んでエマの提案に乗ってくるフィマだが、何故か今回は躊躇している。


「えっ?・・・いいの?

でもエマのたんじょうびだよ・・・」


そんなフィマに対して、エマは一歩も引かない。


「エマ、フィマといっしょがいい!

だってフィマのたんじょうびは、いっしょにやったもん!

フィマ、だめぇ?」


どうやらフィマの誕生日のときは、一緒に蝋燭の火を吹き消したようで、今回も一緒に吹き消したいらしい。


するとそれまで躊躇していたフィマだったが、エマのお願いには勝てなかったようで、嬉しそうに返事をした。


「・・・フィマ、エマといっしょにやるーっ!」


「うんっ、フィマといっしょ!」


「うんっ、エマといっしょ!」


するとマコトが、2人の口が蝋燭の近くに来るように位置を変えてくれたのだ。


「じゃぁいくよぉ、フィマ!」


「うんっ!」


「しぇーのぉ、すぅーーーーーっ・・・」

「せぇーのぉ、すぅーーーーーっ・・・」


2人は互いに合図を送ってから大きく息を吸うと、そのまま勢いよく蝋燭の火に向けて吐き出した。


「ふーーーーーっ!(×2)」


見事蝋燭の火は消え、周りからは大きな拍手とお祝いの言葉が飛び交った。


2人も蝋燭の火が消えたことに喜んでいた。


「やったーっ!(×2)」


しばらくそんな状態が続いたが、その場がある程度落ち着くと、ティリアが一旦ケーキをゲートに入れてしまった。


そしてマコトは、エマをいつの間にか用意していた誕生日席に座らせ、その隣にフィマを座らせた。


するとそのエマの前に行列ができた。


どうやらエマへプレゼントを渡すため、順番に並んでいるらしい。


最初はマコト、エイリ、シルフィナ、アイが、それぞれエマにプレゼントとお祝いの言葉を贈った。


「おめでとう、エマ。」


「エマ、おめでとう。」


「エマ、おめでとうございます。」


「おめでとう、エマちゃん。」


エマは嬉しそうに感謝の言葉を返しながら、4人からのプレゼントを受け取った。


「ありがとう!」


そんなエマの姿を、隣に座っているフィマも嬉しそうに見ている。


次に並んでいたのは、ティリア、サラ、シェイラ、ミザリィ、ナタリィの5人だった。


「おめでとう、エマちゃん。(×5)」


「ありがとう!」


エマは5人からのプレゼントを嬉しそうに受け取っている。


しかしその姿を見て、何故か隣にいるフィマが寂しそうな顔になったのだ。


それは一瞬のことで、すぐに笑顔に戻っていたため、ほとんどの者が気づくことは無かった。


どうやら自分の誕生日にいなかった皆からのプレゼントを貰っているエマが羨ましかったのだろう。


だがすぐに自分の方がお姉ちゃんだからとでも考えたのか、その思いを奥底に無理矢理押し込めてしまったらしい。


そんな中、次の人物たちがエマの前に出てきたのだが、何故か先程エマにプレゼントを渡し終えた5人が、今度はフィマの前に立っている。


「あれ?どうしたの?」


フィマが不思議そうに5人を見ていると、答えの代わりに目の前にプレゼントが差し出されてきた。


「はいっ、こっちはフィマちゃんへのプレゼントだよ。」


突然ティリアにそう言われ、フィマは戸惑っている。


「えっ?どうして?フィマたんじょうびじゃないよ?」


そんなフィマに、サラとシェイラが理由を説明した。


「遅くなっちゃったけど、フィマちゃんの誕生日のときに私たちはいなかったから、皆で話してエマちゃんの誕生日に合わせて渡すことにしたの。

やっぱり2人は一緒がいいかなって思ってね。」


「ですから、今回だけ特別に、です。」


「いい、の?」


「もっちろんだよ!

あっ、ちゃんとマコト様、お父さんと、シルフィナさん、お母さんからも、いいよ、って許可をもらってるからね。」


「だから遠慮する必要は無い。」


ミザリィとナタリィの話を聞いて、フィマが満面の笑みで嬉しそうにプレゼントを受け取りながら感謝の言葉を口にした。


「・・・うんっ!ありがとう!」


それを隣で見ていたエマが、嬉しそうにフィマに話しかけてきた。


「またフィマといっしょだーっ!」


「うんっ、またエマといっしょ!」


「やったーっ!(×2)」


そんな喜ぶ2人の姿を、周りにいる皆は温かい目で見守っていた。


それからしばらく行列が絶えることは無く、2人の周りにはたくさんのプレゼントの山ができていた。


プレゼンの受け渡しが一段落すると、ほとんどの皆がそのまま早朝訓練へと向かい、残った数人はエマとフィマのプレゼントの開封作業を手伝った。


2人が全てのプレゼントを開け終えて食堂へ向かうと、ちょうど早朝訓練を終えて温泉で汗を流してきた皆も集まってきた。


更に食堂では早朝にいなかった者たちがエマとフィマを待ち構えており、朝食の前に再びお祝いの言葉とプレゼントが贈られた。


朝食を終えた2人は、お腹がいっぱいになったのと、朝が早かったこともあり、眠くなってそのまま昼前まで寝てしまった。


次に2人が目を覚ましたのは昼前で、ここでも新たな訪問者たちから、お祝いの言葉とプレゼントを贈られていた。


その後昼食を食べ終えると、2人はプレゼントを開け終えてから、今度は日課のお昼寝で夕方まで寝てしまった。


これは予定通りだったため、この間に皆は夕方からはじめるパーティーの準備を進めた。


2人が目を覚ました頃には、パーティーの準備も終わっており、陰の一族の拠点には大勢の人々が集まってきていた。


そして盛大な誕生日パーティーがはじまったのだ。


ここでも様々な人たちからお祝いの言葉とプレゼントを贈られ、エマとフィマはとても楽しい時間を過ごした。


しかしどんなに楽しい時間でも終わりはやってくる。


さすがに1日中はしゃいでいた所為か、2人とも眠くなってきたらしく、ウトウトしはじめていた。


「エマ、そろそろ寝ましょうか?」


「フィマも、もう寝ましょう、ね?」


それぞれエマとフィマを抱っこしていたエイリとシルフィナがそう言ったものの、まだまだ2人とも終わりにしたくないようだ。


眠い目を擦りながら、何とか眠気に抗おうとしている。


「・・・やーっ・・・」


「まだ・・・おきてるぅ・・・」


どうしたものかと考えていると、そこへマコトが策を講じた。


「そうか、2人はまだ寝ないのか。

それじゃぁ仕方ない。

お父さんはお母さんたちと一緒に、先に寝るとしよう。

2人は後で誰かに連れてきてもらうことになるけど、それで構わないか?」


するとそれを聞いたエマが、マコトの術中にはまった。


「・・・やーっ・・・エマも・・・いっしょに・・・ねるぅ・・・」


すぐにフィマもエマの真似をしてきた。


「・・・フィマも・・・いっしょに・・・ねるぅ・・・」


「じゃぁ2人とも、一緒に寝ようか?」


「・・・うん・・・(×2)」


意識が寝ることに傾いた所為か、2人ともほぼ寝ている。


マコトは2人を起こさないように、小さな声で皆に後のことを任せた。


「というわけだから、すまないが片付けは皆にお願いしてもいいか?」


皆も2人を起こさないように、小さな声で返事を返してくれた。


「はい。(×皆)」


「悪いが頼む。

シルフィナ、エイリ、行くぞ。」


「はい、かしこまりました、マコト様。(×2)」


シルフィナとエイリは、2人を抱っこしたままマコトの後に続いて寝室へと向かい、食堂を後にした。


5人を見送った後、残された皆は手分けして後片付けを行った。


そして2人の笑顔を思い出しながら、温かい気持ちで心地よい眠りについたのだった。

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