受け継がれてきたもの?
その瞬間、鎖の色が黒から銀へと変わった。
更にガッチリ固まっていたはずの鎖が、力を失ったかのように緩んでいた。
マコトが鎖の中に手を突っ込んですぐに出すと、その手には箱が1つ掴まれていた。
それは白い木箱で、特に鍵などは付いていないようだ。
「これで大丈夫だ。」
「ありがとうございます、マコト様。
さすがでございます。」
「まぁただの封印措置だけだったからな。
封印を解除すればいいだけだから、たいしたことじゃない。」
「ですがマコト様は、視ただけでどのような封印なのか、更には罠など危険なものが仕掛けられていないか、これらを瞬時に見破っていました。
あの一瞬でそこまでできる者など、マコト様以外にはおりません。」
そう確信しているアリアであったが、マコトはそのことについては何も答えずに話を進めた。
「どうだかな・・・とにかくもう安全だから、使用して問題無い。」
アリアも特に気にした様子はなく、そのまま話の流れに乗ってきた。
「はい。
ではこれは、シェイラ、貴女が持っていなさい。」
アリアは木箱の中身を確認せずに、そのままシェイラへと渡した。
「私が、ですか?」
「そうです。
これは貴女のためのものです。」
「私の、ですか?」
「とにかく、まずは箱を開けて中を確認しなさい。」
有無を言わせないアリアの雰囲気に、よくわかっていないシェイラは、仕方なく木箱の蓋を開けた。
「はい・・・これは・・・」
出てきたのは、黒い下着だった。
見たところ何の変哲もないようだが、シェイラは恐る恐る手に取ってみた。
「・・・特に変わったところは無い普通の・・・いえ、際どい下着のようですが、これはいったい何ですか?」
シェイラの言う通り、下着は布の面積がかなり少なかった。
だがアリアからは、期待した答えは返ってこなかった。
「私にも詳しいことはわかりません。
それは私たちの血筋に代々受け継がれてきたもののようで、私の祖母、つまりシェイラの曾祖母が封印したものです。
ただ何故封印されたのかはわかっていません。
以前マコト様に頼まれ、探していたものになります。
シェイラ、貴女に必要なものだから、と。」
「私に必要なもの・・・マコト様、これはいったい・・・」
「それが何なのかは、身に着けてみるのが一番だろうな。
というわけでシェイラ、まずはその下着を身に着けてみてくれ。」
「はい、わかりました。」
シェイラはすぐにその場で身に着けていた服や下着を脱いで全裸になり、木箱から出てきた黒い下着を身に着けはじめた。
マコトは何も言わずに、そのシェイラの着替えをじっくりと見ていた。
シェイラもマコトに見られているのが嬉しいのか、終始隠すことなく、むしろ見やすいように着替えている。
そして着替えを終えると、マコトに感想を聞いてきた。
「・・・いかがでしょうかマコト様、似合っていますか?」
「ああ、すごく似合っているし、今すぐこの場で押し倒したくなるくらい、とても魅力的だ。」
マコトの言葉通り、下着はシェイラの身体にピッタリで、その魅力を増していた。
マコトに褒められて、シェイラは嬉しそうに近づいてくると、身体を押し付けてアピールしてきた。
「本当ですか!
でしたら!」
しかしそれは叶わなかった。
「だが今は止めておこう。
まだ午後の訓練もあることだしな。」
「あっ・・・はい、そうですよね。
私としたことが、マコト様に褒めていただいたことが嬉しくて、ついはしゃいでしまいました。」
一瞬落ち込んだシェイラだったが、マコトの言葉には続きがあった。
「だから後でな。」
それを聞いて、シェイラはすぐに機嫌がよくなり、本題を思い出した。
「はっ、はいっ、楽しみにしています!
・・・ところでマコト様、この下着を身に着けてみましたが、特に何も変わったところは無いように思うのですが・・・」
「今のシェイラだったらそうだろうな。」
「今の私だったら、ですか?
それはどういうことなのでしょうか?」
「シェイラは最近鑑定を受けているか?」
「いいえ、マコト様から鑑定結果に固執しないようにと言われていましたので、以前皆と一緒に鑑定を受けたのが最後です。」
「となると2ヶ月以上も前か・・・もしかして皆もそうなのか?」
「おそらくはそうではないかと思います。
例のマコト様からの条件をクリアしたかどうかくらいしか、皆も知らないと思います。」
「じゃぁ久しぶりに今の状態を確認しておくか。
サラ、頼めるか?」
「はい、マコト様。
ところでマコト様、鑑定魔法で見るのは、継承者の皆だけでいいですか?」
「ああ、とりあえずそれで頼む。
だが他にも希望者がいるだろうから、後で見たら教えてくれ。」
「わかりました。
それじゃぁ最初はシェイラからはじめるわよ。」
「ええ、お願いします、サラ。」
サラはシェイラの了承を得てから、鑑定魔法を使った。
シェイラ
能力:鞭聖(覚醒者)、拳聖(極めし者)、幻神(覚醒者)、智略家(極めし者)、料理人(極めし者)、???(???)・・・
属性:火、???・・・
称号:長の娘、覚醒した継承者、幻の試練の資格保有者、マコトの女、奴隷(所有者マコト)、弟子(師匠マコト)、???・・・
その鑑定結果を、サラは紙に書いてマコトへと渡した。
「マコト様、こちらがシェイラの鑑定結果になります。」
マコトはそれを受け取って、一通り内容を確認した。
「ありがとう・・・予想通りだな。
サラ、ミザリィとナタリィの鑑定を先に頼めるか?」
「はい、わかりました。
いいわね、2人とも?」
「いいよ。」
「うん。」
2人が了承したので、サラはすぐに鑑定魔法を使った。
ミザリィ
能力:双剣聖(覚醒者)、拳聖(極めし者)、霊神(覚醒者)、付与士(極めし者)、???(???)・・・
属性:風、???・・・
称号:白黒の双姫、覚醒した継承者、霊の試練の資格保有者、マコトの女、奴隷(所有者マコト)、弟子(師匠マコト)、???・・・
ナタリィ
能力:弓聖(覚醒者)、拳聖(極めし者)、妖神(覚醒者)、付与士(極めし者)、???(???)・・・
属性:水、???・・・
称号:白黒の双姫、覚醒した継承者、妖の試練の資格保有者、マコトの女、奴隷(所有者マコト)、弟子(師匠マコト)、???・・・
その2人の鑑定結果を、サラは紙に書いてマコトへと渡した。
「マコト様、こちらがミザリィとナタリィの鑑定結果になります。」
マコトはそれを受け取って、一通り内容を確認してから、今度はシルフィナへと声をかけ、3人の鑑定結果を見せた。
「シルフィナ、ちょっと見てくれ。」
すぐにシルフィナが近づいてきて、マコトから紙を受け取り、内容を確認した。
「かしこまりました、マコト様。
・・・いい意味で予想通り以上ですね。
これでしたら何も問題無いと思います。」
「ああ、それについては俺も同じ意見だ。
だがタイミングがな。」
その言葉だけで、シルフィナはマコトが何を危惧しているのか理解した。
「確かにギリギリですね。
ですが私は、だからこそ今やるべきだと思います。
それに万が一のことも考えられますので、マコト様、今すぐご決断を。」
「そうだな・・・わかった。
シルフィナの意見を採用しよう。」
「ありがとうございます、マコト様。
ご心配かとは思いますが、こちらは私たちにお任せください。」
「頼んだぞ。
手が足りないようなら、アイたちも呼んで構わない。」
「アイたち、ということは、彼女も、ということですか?」
「ああ、本来は一番の適任だからな。
そこの判断はシルフィナに任せる。」
「かしこまりました、マコト様。」
何やらマコトとシルフィナの2人だけで話を進めて決めてしまったようだ。
しかしその意味を一部理解できたのは、元々知っていたミーナとネーナ、そして事前に話を聞いていたアリアだけであった。




