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担ぎ上げられた!?

 出てきた名前はどう考えても日本人の名前だった。確かに顔立ちは日本人っぽかったが赤い髪の毛や猫のような目をした日本人………いや、人間は達哉の居た世界では見たことがない。

髪は染めれば赤くできるだろうが猫のように瞳孔が縦に動く目の人はまず居ない。


「その名前からすると多分俺の国の人間だとは思うけど、見た目が違うんだよなぁ。」


「彼女が私の領地に居た時は頭髪や目は君と同じような黒だったからね。体型も若干違っていたので気付かなかったのだが、彼女が私の事を覚えていてね、話を聞いて漸く彼女がやよいだと判ったんだ。」


「黒髪に黒目か…………ならやっぱり日本人か。 あ、でもブラウ子爵の領地に保護されていたんだよな? なら何で魔人が連れていたんだ?」


達哉の疑問にブラウは苦い表情を浮かべ答える。


「それなのだが、実は3ヶ月ほど前から、保護されていた漂流者が忽然と行方不明になる事件が起きていたのだ。 私の領地だけでなく各地で、だ。 魔人が関わっていたとなると………厄介な事になりそうだな。」


「あの娘とは俺も以前会ったことがあるが、見た目が変わっちまってて判らなかったぜ。 大方魔人に何かされてああなっちまったんだろうな。」


 腕を組み不満な表情でラルゴが言う。

その言葉に何か気付いたようにブラウが口を開く。


「そうか! 漂流者は元は邪神龍が呼び寄せた異世界人だ! 本来ならそのまま瘴気に取り込まれ邪神龍の配下になるはずだった。 だけど何らかの要因で取り込まれる事無くこの世界にやって来たのが漂流者だ!」


「なるほどな。 自分の手駒にするため呼び寄せたのに逃げられて、手駒にし損ねた連中を取り返そうとしてやがるのか。」


「ああ、そうやって攫った漂流者の身体を改変して配下にし直そうとしてるんじゃないかな? やよいのように。」


「漂流者の失踪が邪神龍の手の者による仕業だとして、だ。 奴らはどうやって漂流者を攫ったんだ? どの街でも怪しい奴を見たという報告は無かったんだろう。」


「確かに。 どうやって連れ去ったのか、その方法が分からなければ対処のしようがないですね。」


そう言うと2人とも難しい顔をして黙りこくってしまう。また会話に置いてけぼりにされてるなぁと思いながら「そういえば」と達哉が呟く。


「魔人の脳から直接情報を引き出したりはできないのか? あ~、でもあいつができても人間側にそういう方法ってあるんかな?」


「そうか! その手があったか!」


 達哉の何気ない呟きを聞いたブラウがいきなり大きな声を出す。それと同じくして外からブラウを呼ぶ声がする。


「ブラウ様、お知らせしたい件がございます。 よろしいでしょうか?」


「ああ、入りたまえ。」


ブラウの了承を受け、テントの入り口を開き騎士が入ってくる。


「魔獣の死体を集めている中で魔人の死体を発見いたしました。 魔獣と共に焼却しても良いものか判断できませんでしたのでご報告に上がりました。」


「そうか! よく知らせてくれた。 ではそこへ案内してくれ。」


 タイミングの良い報告に歓喜し騎士の案内で魔人の死体のある場所へと向かうブラウ。

その後を追いながら達哉はブラウに声をかける。


「なぁ、もしかして脳から直接情報を抜き出す方法があるのか?」


「ああ、そう簡単に使えるものではないのだけどね。」


ブラウは足を止める事無く達哉の質問に答える。


「そのような術があれば多かれ少なかれ争いの種となる。小さな火種は瞬く間に広がり戦争へと発展してしまう。 だから禁術として地上の者には伝えられていないのだけど、四神龍様よりあらゆる術を授けられた天空島に御座す神子様だけが唯一、その術を行使できるんだ。」


「へぇ、そうなんだ。 あ、でも死んだ奴の脳でも大丈夫なのか?」


「時間が経ってしまうと抜き出せる情報も限られてしまうだろうけど、、魔人が倒されてからまだそんなに時は経ってない。 魔法で状態保存すれば多くの情報を得られるだろうね。」


 そう話しをしているうちに魔人の死体の元へとたどり着く。


「皆、待たせてすまない。 空間魔法を使える魔導師は居るか? 魔人の頭部の状態を固定してくれ。 身体の方は焼却するが、魔獣とは比べ物にならない瘴気が出るだろう。 空間を隔離して燃やしてくれ。」


 ブラウの指示で皆が動き出す。

作業を開始しようとした矢先に、魔人の死体の上に1メートルほどの黒い球が出現した。次の瞬間、球の周囲に爆発したかのような勢いで衝撃波が吹き出す。

 魔人の死体の近くに居た騎士や魔導師達は10メートル以上吹き飛ばされ、離れた場所に居たブラウや冒険者達も衝撃波に煽られ転倒してしまう。

 唯一、耐えて立っていられたのは離れた場所に居た騎士とラルゴ、そして達哉だけであった。

 衝撃波を放った球が色を変えながら次第に人の形へと変貌する。青い肌に血のような紅いレザーコートを纏い、銀の長髪で側頭部から生えている角は半ばで折れ曲がり鋭い先が前へと伸びている。 その背中からは悪魔を思わせるような鉤爪のついた羽根が広がっている。

新たな魔人の出現にその場にいる全員が息を呑む。


「ふっ、そんなに警戒しなくともよい、人間よ。 今回は我が下僕を回収しにきただけなのだよ。」


 そう言うと魔人の死体に手を翳す。すると死体はぼうっと青い光に包まれ浮き上がる。


「ケータ、あれほど力に溺れてはいけないと忠告してやったというのに、愚かだねぇ。   さて、死体となったこの者も邪神龍様の大事な手駒なのでね、貴様らに渡すわけにはいかないので、回収させてもらうよ。」


 青い肌の魔人の放つプレッシャーに誰一人動けない中で達哉が口を開く。


「死体なんて何の役に立つんだ? 弔ってやるってワケでもないんだろ? 俺達が火葬しといてやるから帰ってくれてもいいぜ。」


「ふむ、貴様がケータを倒した漂流者か。 私の放つプレッシャーを受けながらも口をきけるとは大したものだ。 だが、それでもまだまだ足りんなぁ。 此方の世界に来たばかりなのだろう? ならもっともっと鍛えたまえ。 せめて私の放つプレッシャーで動きが阻害されない程度にはな。 ではさらばだ!」


そう言うと黒い球に包まれ一瞬の間に消えてしまった。


「ぶはぁ~! な、なんて威圧感だ………息をするのがやっとだったぜ。」


 青い肌の魔人が放つプレッシャーから解放され皆が一斉に安堵の息を洩らす。


「な、なんだよ、あいつ……………。」


「あんな奴、どう足掻いても勝てるわけがねぇ!」


「俺達じゃどうにもならねぇのか?」


 冒険者達が不安を吐く。不味い流れになりそうだ。その流れを変えようとブラウが口を開く。


「皆!今日は良く頑張ってくれた! 新たに現れた魔人は途方も無い強さだろう。 だが、案ずるな! 我らには頼もしい仲間が居る! ここに居る漂流者、達哉だ!」


 ブラウの言葉にその場に居た冒険者全員が視線を向ける。いきなり晒し者にされた達哉は集まる視線に引き攣った表情でたじろぎブラウを見やる。


「すまないね、達哉殿。 折れかけた者に希望をもたらすには英雄が必要なのだよ。」


 そう小声で達哉に言うとそのまま演説を続ける。


「この者は戦いの無い平和な異世界からやって来た! にも関わらず多数の魔獣を嗾けてきた魔人を単独で打ち倒したのだ! それも、何処にでもあるような武具で、だ! この者が相応の武器を持ち、鎧を纏えば先の魔人とて恐るることは無い!」


 暗かった冒険者達の表情が次第に明るくなってくる。


「戦ったことが無いのに魔人を倒したのか!?」


「何処にでもあるような武具でって、じゃあ俺の剣でも魔人を斬ることができるってことか!?」


「すげぇ! 漂流者が戦えば魔人に勝てるのか!」


 感心するかのようにざわめく。


「しかし! 我々の世界の安寧を異世界からの来訪者だけに任せて良いものか? 我々の世界を我々自らの手で守らずして子孫に誇ることが出来ようか! 我々もまた!強くならねばならない! 漂流者の後ろで守ってもらうのではなく、漂流者と肩を並べて戦えるように心身共に鍛え強くなろうではないか! 漂流者と共に我らの手でこの世界を守ったと誇れるように!」


 ブラウの演説に冒険者達から割れんばかりの歓声が上がる。それを見渡して満足そうに頷き

「魔獣の焼却は既に終えたようだな。 だが、魔物の群れはまだ残っている。 明日のため、今日はゆっくりと身体を休めてくれ。 尚、魔人の襲来を退けた皆には特別報酬が出されるだろう、期待していてくれ。」


 特別報酬と聞き冒険者達の歓声はさらに大きくなる。現金なものだけど、やっぱり大なり小なり、そういうモノが人のやる気を引き出す要因になるんだろう。

 陣営に戻る最中、達哉は次々に冒険者達から声をかけられる。中には妬み嫉みの視線を向けてくる者も居たのだが、気にはしない。

 何故なら何人もの女冒険者が頬を紅潮させ熱を帯びた視線で言い寄って来ているからだ!やっとモテ期来たか?俺の時代キターーってかぁ?………………………いや、妬み嫉みの視線はこの状況の所為もあるだろうし、調子こいてたらイタい目に遭うだけやから自重しよう。


 そう思い顔を向けた先にラルゴと話しながら歩いているブラウを見つける。そういえば、まだ話の途中だったなと思い出し、囲んでいる女性達に断りを入れてブラウの所へと駆け寄る。


「よう!達哉! モテモテじゃねぇか! 流石は英雄様だな!」


 近付いてくる達哉に気付いたラルゴがニヤニヤしながらからかう。 疲れたように溜息を吐きながら愚痴る。


「はぁ、モテるのは悪い気しないけど、いきなり晒し者にされて喜ぶ奴が居るか? なんか睨んでくる奴らもいるしさぁ。」


「ん? ああ、どうせ口説こうとしてた女がお前に言い寄っていたのが面白くねぇって奴だろ。」


 そう言いながら笑っているラルゴの脇腹を肘で小突きブラウが口を開く。


「すまなかったな、達哉殿。 だが、あのままでは明日以降も続く魔物の群れとの戦いに支障が出るだろうからね、利用させてもらったよ。 それに、達哉殿は冒険者になるのだろう? 達哉殿の力なら遅かれ早かれ、注目の的になっているだろうからね。」


 謝罪を口にしてはいるけど本心では悪いと思ってない口ぶりに、物腰柔らかい好青年のようだがやはり貴族か、強かである。

 不承不承ながらもこの状況を受け入れるしかないと諦めて、テント内での話の続きをすることにした。


「ところで、もう一つ聞きたいことがあるって言ってた…………ましたが、それはどのような内容ですか?」


 ブラウには無理に敬語を遣わなくても良いと言われていたが、多くの冒険者が居る状況でそれは不味いだろうと思い敬語で話す。


「ああ、その件か。 達哉殿は冒険者としてやっていくにも異世界から来た者だ。 住居も無ければこの世界の通貨も持っていないし、この世界の事も知らないのだろう? 私の領地で保護した漂流者を住まわせている屋敷がある。 達哉殿が望むならそこを拠点として使ってもらっても構わないのだが、どうかな?」


「それは有難いのですが……………その、今住んでいる漂流者は?」


「2人……いや、やよいを含めて3人だな。 3人とも女性だが心配することは無い。 新たにやって来た漂流者が居れば、男女問わず保護する事は了承済みだ。 そこまで大きな屋敷ではないが部屋はまだ空いているから達哉殿の自室もちゃんと用意させるよ。」


「無一文で野宿なんてキッツいしそれぞれ個室があるな問題ないか………………わかりました、それでお願いします。   いった!」


 ブラウの仲介で住み処が決まった達哉の背中をラルゴが豪快に笑いながら叩く。


「ようし! 拠点が決まって一安心だな! 冒険者としてやっていくんだ、俺が色々教えてやるぜ! 先ずはギルドで登録しねぇとな。 登録する時に適正職も調べられるけど、達哉の場合戦士だろうな! 装備も揃えなきゃいけねぇよなぁ。 おい!ブラウ!特別報酬は達哉も貰えるんだよな?」


「無論です。 何せ魔人を単身で倒したのですからね。 私からも報酬として達哉殿の装備一式をプレゼントしますよ。」


 なんだか話が都合良いように進んで行くなぁ…………上手い話には裏があるって言うけど、異世界でも気をつけた方がいいのかな?


 

そう話しているうちにブラウのテントの前に着くと1人の修道服の女性が待っていた。


6話です。まだまだ話の回し方が思ったように回せません。


気分転換にプラモ作ったり食玩改造したり変形ロボ玩具でガチャガチャ遊んだり…………………いや、続き書けよ!


コンスタントに更新できるようボチボチ書いてきます。

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