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戦闘開始

あ~でもない、こ~でもないと書いては消し、また書いてを繰り返してます。

おかげで運動不足(汗


運動不足解消にアクションワークショップでも参加しようかな?

 日が落ちて魔物の群れとの戦闘を終えた冒険者達が陣営に戻り、一息つこうとしていた矢先、いきなりの魔人の出現により騒然となる。


「魔人が出るなんて聞いてねぇぞ!」



「魔導師達は居るか!? 出来る限りの防御結界を張るんだ!」


「余力があれば前衛の者達に支援魔法も頼む!」



「研ぎ師達は武器に瘴気減退の付与を!」


「なんて威圧感だ………あんなのに勝てるのか!?」


「ブラウ子爵へ報告は行ってるのか!?」


「もう行かせてある! 騎士達が来るまで持ち堪えるんだ!」


「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ。」


 達哉とデイビスが様子を見に来ると動揺しながらも突如訪れた驚異に対抗するための準備をする冒険者達が慌ただしく動いていた。


 何かフラグを立てたヤツが居たような気もするが、異世界に自分の世界の“お約束”は無いだろうとスルーしながら陣の入り口から50メートル先に現れた異形に目を向ける。


 2メートル近い長身ながらその体躯は細く履いているサルエルパンツのようなズボンが魔人の痩身を殊更強調させる。


 上半身は何も着ておらず、紫色の肌で肩と肘から太く鋭利な刺が伸びているその姿を見れば人間ではないことが窺い知れる。

猫背で長い腕をダラリと下げ魔人の身長より長い薙鎌を両手で水平に持ち、何をするでも無く慌てふためき戦闘準備をする人間達を不気味に光る赤い双眸で面白いものでも見るようにニヤけながら眺めている。



「やはり現れたか、魔人!」


 動きが無いまま睨み合いをしていると、20人ほどの騎士を引き連れ自らも武装をしたブラウ子爵がやって来た。


「“やはり”とは、どういうことですか?ブラウ様。」


 戦闘準備をしていた際、冒険者達を取り纏めていた熟練の冒険者がブラウに話しかける。


「今回の魔物の襲来はどこか様子がおかしかった。最初に群れが現れたとき、被害者は数名居たが周囲の村は襲われる事無く避難することが出来た。」


「それは……………運が良かったから、という訳ではないのですね?」


 見ただけで熟練の者とわかる冒険者であっても魔人というのは恐れを抱かせる存在なのだろう。緊張の面持ちで魔人に視線を向けながらブラウに問う。


「偵察に出していた魔導鳥が墜とされた。墜とされる直前に一瞬、魔人の姿を捉えたのだ。 念のため騎士達に対魔人装備を持たせ派兵してもらったのだが……………………杞憂であればと思ったが、本当に出てくるとは。」


 苦々しげに魔人を睨むブラウと騎士達、そんな緊迫した雰囲気の中、先の会話で気になった事を達哉は隣に居るデイビスに尋ねる。


「なあ、“まどうちょう”って何だ?」


「は?こんな時に何を言ってるんだ?」


「この世界に来たばっかりの達哉にとっちゃ魔人より魔導鳥の方が気になるか?」


 呆れながら言うデイビスの後ろからラルゴがやって来て面白そうに聞いてくる。

その手には刃に何か文字のような彫刻が彫り込まれ装飾の施された大きなバトルアックスが握られていた。


「ラルゴ!それは!?」


そのバトルアックスを見てデイビスが目を見開く。


「ああ! 魔人が出るって聞いてたからな!とっておきの魔導武器を引っ張り出してきたぜ!」


本当に元貴族なのかと疑わしくなるような獰猛な笑みを浮かべ魔導武器のバトルアックスを突き出す。


「で、魔導鳥だよな? この世界には魔道具ってのがある。 千年前、邪神龍との戦いに呼び出された勇者達が自分達の世界の道具を広めようとしたんだ。 だがこっちの世界じゃその道具を作る素材が足りなかったり動かすための動力が無かった。 そこで魔術師や錬金術師達、魔導師が知恵を出し合って道具に魔力を吹き込む付与術が編み出され、そうして出来上がったのが魔道具ってワケだ!」


「毎回面倒臭がって他人に丸投げするくせに、魔道具に関しては饒舌になるな。」


呆れながら言うデイビス。

ラルゴとデイビスはそれなりに親しい間柄なのだろうが、いつもデイビスはラルゴに苦労させられてるんだろうなぁ、と達哉が思っていると気にした素振りも無くラルゴが話を続ける。


「魔導鳥ってのは鳥のように空を飛びその目で捉えたものを対になる魔導鏡に映すんだ。 複雑な能力を持つ魔道具は高価だが火を点けるとか冷やすとか照明のような単純な魔道具は一般にも広く出回ってるのさ。 魔道具に使われている効果を応用して造られたのが俺の持っているような魔導武器ってワケだ。」


 ラルゴから魔道具の説明を聞いていると魔人が薙鎌の石突きを地面に突き立て口を開く。


「待っているのもそろそろ飽きてきたのだがなぁ? 準備はもう出来たかぁ?人間共ぉ。」


大声を出しているワケでもないのに50メートル離れている全員にその声ははっきりと聞こえた。


人間を代表してブラウが前に出る。

ブラウを守るため大盾を持った騎士2人がブラウの左右に位置取る。


「わざわざ我々の準備が整うのを待っていてくれたのかい?感謝するよ。 ついでに大人しく倒されてくれてると有難いのだがな!」


「笑えん冗談だが、まぁいい。 俺様の用件は2つ。 1人であっさりとオークジェネラル2匹を殺した奴と今日やって来た漂流者だ。そいつらを大人しく差し出せば苦痛無く殺してやるよぉ!」


その言葉に冒険者達がザワつく。


「オークジェネラルをあっさりと!? それも2匹も倒しただって!?」


「もしかしてラルゴさんか!?」


「流石にラルゴでもオークジェネラル2匹じゃ苦戦するんじゃねぇか?」


 そんな冒険者の言葉にラルゴは少し不機嫌な表情をしながら達哉を見る。

達哉は魔人の目的が自分だと分かると特に臆した様子もなく歩き出る。


「え? おい、待て!」


慌ててデイビスが止めようとするが、達哉は振り返りもせずブラウの前に出た。


「それ、どっちも俺だわ。 で?俺に何か用か?」


魔人の目的の人物の登場に色めき立つ。


「誰だ?あいつ。」


「もしかしてあいつがオークジェネラルを2匹も倒したのか!?」


「ウソだろ!?俺より弱そうじゃねぇか!」


「格好つけようとしてんじゃねぇ!下がれ!」


等と聞こえてくる言葉に達哉が表情を引き攣らせているとブラウが声をかけてくる。


「達哉殿!なにも馬鹿正直に出てこなくてもいいんですよ!? あの魔人は騎士達で相手します!危険なので下がってください!」


 達哉を下がらせようとするブラウに向かいゴウッと音を立てながら空気の塊が襲い来る。

咄嗟に大盾を持った騎士達がブラウの前に出て防御するも、纏めて吹き飛ばされてしまう。


空気の塊が飛んできた方の見ると不機嫌な顔をした魔人が左手を前にかざしている。

その左手には得体の知れない穴が空いていた。


「せっかく俺様の要望に応えて出てきてんのに邪魔するんじゃねぇ! で、お前か?漂流者は。 やってきたばかりでいきなりオークジェネラルぶっ殺せるとかチートすぎじゃねぇかぁ?」


「あ~、やった本人が言うのもどうかと思うけど、俺もそう思ったわ。 ちゅ~か、やり過ぎじゃない?あれ。」


 達哉が視線を向けた先では騎士達に助けられブラウ達がよろめきながら立ち上がっていた。

つまらないモノを見るかのように一瞥し鼻を鳴らしながら魔人が答える。


「ふんっ。人間如きが俺様の邪魔をするからだ。 ところでお前、日本人だろぅ?俺様も元日本人だ。」


「人間如きて、元日本人ならお前も人間だろうに。」


「“元”だ! 今は邪神龍様のお力により人間等より上位の存在、魔人へと生まれ変わったんだ! でぇ?何故お前は人間のままなんだぁ? 愚かにも邪神龍様の寵愛を拒否したってぇことかぁぁぁぁ!」


興奮した様子で叫び魔人から肌を刺すような威圧感が放出される。

ランクの低い冒険者達は青醒め高ランク冒険者や騎士達も冷や汗をかく。

だが達哉は叫ばれて五月蝿いと思うも気にした素振りも無く口を開く。


「何でって言われても知らん。 街中歩いてて気がついたらこっちに居たんだよ。 むしろ俺が知りたいんだけどな。」


「なん、だと? 自分の意思で拒んだんじゃないのか?」


達哉の言葉に拍子抜けしたのか放っていた威圧感が収まり冒険者達は安堵する。


「やはりゴルド様が言う通り、何者かが介入しているということか。 まぁいい、それを知るにもお前を連れ戻れば解明出来るだろぅ。 同郷のよしみだ、脳から情報を引き出した後で邪神龍様の尖兵として調整してやるよぉ。」


醜く笑いながら言い放つ魔人に嫌悪感を丸出しにしながら


「やなこった、そんな気持ち悪い紫の肌した奴に同郷とか言われてもなぁ。 それに人体実験みたいなことされるとか御免被るわ。」


魔人の表情が消えるも気にせず続ける。


「だいたいお前がどんだけ強いんか知らんけど、この人数相手に1人で敵うのか? 同郷のよしみだ、見逃してやるからさっさと帰れ。」


しっし、と手を振る達哉の態度に魔人の額に青筋が浮かぶ。


「てめぇぇぇ! ナメてんじゃねぇぞぉぉぉ! もういい!生かして連れて来いって命令だったがもぉういいぃ! ぶっ殺してやる! そこに居る人間共も纏めて嬲り殺しだぁぁぁぁ!」


 そう叫び地面に突き立てていた薙鎌を取り円を描くように空を切る。

すると空間が円状に切れそこから異形の魔物が湧いて出る。

その間にも魔人はあちこち空を切り、切られた空間から次々に魔物が溢れ出る。


「ぎひゃははははは! 俺様の創り上げた合成魔獣200匹だぁ! さぁ魔獣共ぉ! 男は生きたまま喰らえ! 女は犯しながら殺せぇぇぇ!」


一斉に動き出す異形の魔獣に狼狽え後退る冒険者達。


「恐れるな! 数では俺達の方が勝っている! 上位冒険者や騎士だって居る! 魔物だか魔獣だか知らねぇが、落ち着いて対象すりゃ負けたりしねぇ! 喰い殺されたくなけりゃあ気合い入れろぉ!」


ラルゴがそう叫びながら前へ出る。

そこへブラウが言葉を続ける。


「我々がここで負けたら次は村や街が襲われる! 皆の大切な者、愛する者が蹂躙されるんだ! そうならないようにするため我らはここに集ったのだ! 恐怖を振り払え!勇気を振り絞れ! 守るべき者のため戦おう!」


 ラルゴとブラウの言葉を受け武器を構え直す冒険者達。その表情には先程までの恐れは無く守る者達のため戦う決意に満ちている。


「決して単独で戦うな! 連携を取れ! 魔導師達は援護を頼む! 行くぞぉ!」


『おぉ~!!!』


 200匹もの魔獣が湧き出てくるのを見て若干焦ったが、戦意漲る雄叫びを聞き安心していると達哉に向かって魔獣が襲いかかってきた。

ケンタウロスだが頭はワーム、腕は螳螂の鎌、馬体からは何本もの触手が蠢いている。


 あまりの気持ち悪さに一瞬鳥肌が立つも首を狩り取ろうと振るわれた鎌を姿勢を低くして躱し居合の要領で長剣を抜刀し魔物の胴を斬りつけ、返す刀で後ろ脚を切断する。


続けて棍棒を振りかぶる下半身が蛸の触手のようなオークを下から斬り上げると左回し蹴りで続けてやって来た魔獣に向けて蹴り飛ばす。

腕が四本あるリザードマンのワニ版のような魔獣は飛んできたオークの死骸を撥ね除けるも蹴り飛ばしたオークの死角に入り走ってきた達哉に袈裟斬りに両断され絶命する。


血振りをしながら、やはり元居た世界よりも身体能力が上がっているのか思い通りに反応し動く事に感動していると、魔人が表情を引き攣らせながら口を開く。


「なぁかなかやるじゃねぇかぁ! お前には特別な相手を出してやるぜぇ!」


 そう言い薙鎌を振るうと魔人の前方の空間が切れ、棺桶のような箱が落ちてきた。

その箱を蹴り壊すと中に入れられていた女が崩れるように座り込む。

露出の高いチャイナドレスのような服を着て手には3本の長い爪が伸びた手甲、脚には爪先にナイフの刃が付いた脚甲を装備していて中央に紫色の宝石のような物がはめ込まれた首輪を身につけている。

露出した白い肌には全身に紋様が浮かび上がっている。

赤いセミロングで猫のような瞳を忙しなく動かし辺りを見回すその表情には何故か怯えが見て取れる。

魔人が徐に女の髪をつかみ強引に立ち上がらせる。


「いつまで座り込んでんだぁ? おら!てめぇの相手はあの男だぁ! あいつをぶち殺せたら約束通り元の世界に帰してやるよ!」


そう言いながら女を押し出す。よろけながらもなんとか踏み止まり達哉を見た後、不安そうに魔人へ視線を送る。


「ほ、本当に元の世界に帰してもらえるんですか? あの人を…………こ、殺せば。」


視線を達哉に向けなおすも手脚は震えまともに戦えるとは思えない。


「や、やっぱりムリです! ひ、人殺しなんて…………私には出来ないです!」


そう言いながら後退る姿に魔人はイラつきながら怒鳴る。


「俺様の与えてやった能力も俺様のくれてやった装備も無駄にする気かぁ!? もういい!だったら人形になれぇ!」


魔人が右手を掲げ何かを放出すると首輪に填まった紫色の宝石から女の全身に紫色の電撃が走る。


「きゃぁぁぁぁ!」


 感電したかのように仰け反るが電撃が身体の紋様に吸い込まれると仰け反ったまま動きが止まる。

何が起きているのか解らないまま見ていると突然手甲の爪が迫り来る。

辛うじて剣で受け止めたが左の爪で斬り掛かってきた。

達哉は1歩前に入り込み左手首を掴むと力任せに女を投げるが身を翻して低い姿勢で着地する。

驚くことにその表情は先程と変わらぬ怯えたもので目には涙が浮かんでいるのだ。


「な、んで? わた、私の身体……勝手に動いているの!?」


「ひははははは! てめぇはもう俺様の操り人形なんだよぉ! おら!どうするよ?こいつを殺さねぇとてめぇが死ぬぞぉ!」


そう言うと女を操るように右手を振るう。

魔人の右手の動きに呼応するように繰り出される爪の斬撃を避け突きを払い蹴りを受ける。


「いやぁぁ! 殺したくない!死にたくない! ただ家に帰りたいだけなのに! どうして!?」


そう泣き叫びながら放つ攻撃を捌きながら、達哉はどうにか出来ないものかと考える。


「ひははははは! 帰れねぇよぉ! てめぇもそこの男もこっちに来た時点で元の世界から存在した事自体消えてんだからよぉ! 諦めて殺戮人形になってろよぉ! ぎひゃははははは!」


 魔人の放った衝撃の事実に女の怯えた表情が絶望に変わる。

達哉は帰れなきゃ帰れないで構わないと思っていたし、存在が消えてるなら騒ぎにもならないと安心していたが、とりあえず望まぬ戦いを強いられてるこの娘をどうにかしなきゃな、と一度距離を取り思案する。

(そういやあの首輪の宝石から紫色の電気が流れてから操られたよな?……………もしかして。)


そう考えていると女が距離を詰め再び攻撃を繰り出してくる。


「とりあえず操られてるこの状態を何とかしてみる! ちょっと痛いと思うけど勘弁な!」


「え!? どういう?」


女の返事を待たず首輪の宝石めがけ剣の柄尻を叩きつける。


「ぐほっ!」


衝撃が喉まで届いてしまったのか嘔吐くが首輪にはめ込まれた紫色の宝石は砕け散る。


「どうだ!?」


再び距離を取り様子を覗っていると女は咳き込みながらその場で蹲る。

思惑通り操られた状態から解放出来たようだ。


「な! 俺様の術を破りやがったのかぁ!?」


余程自身のあった術なのか、それが破られたことに動揺しているが、達哉はそんな魔人を冷めた目で見ながら

「あのなぁ、これ見よがしに首輪の宝石からなんかバリバリ出してたら怪しんで下さいって言ってるようなもんだろ? んで、宝石砕いたら案の定術が解けるって、お約束すぎだろ。」


呆れたように言うと戦っている間に近くまで来ていたラルゴを見つけ声をかける。


「丁度良いとこに居たな! ラルゴ! 陣営までこの娘を連れて行ってくれないか?」


毛むくじゃらの身体に蛇頭の魔獣を真っ向から両断に叩き切ったラルゴが辺りを警戒しながら達哉に近付いてくる。


「おう!達哉! まだ生きてたか! で?どうしたんだ?この娘は?」


「何というか、今回の被害者?みたいなもんだ。 とりあえず危険は無い………と思うけど、ここに放置してもおけないしな…………頼めるかな?」


言いながら襲ってくる魔獣を斬り伏せる。

ラルゴはワナワナと震えてる魔人を見やりながら

「確かにこの状況で放置してちゃマズいわな。 分かった! 誰か!手を貸してくれ! この娘を陣営まで連れて行く!」


「ありがとな。」


引き受けてくれたことに感謝を述べると魔人に向き直る。


「そっちの手伝いは要るか?」


 大きなバトルアックスを差し出しながらラルゴが尋ねてくるが、達哉はニヤリと笑いながら

「いや、大丈夫。 あいつは俺を指名したワケだし、気分悪いことしてくれた落とし前つけさせる。」


そう言いながら無意識に殺気を放つ。その様子に得体の知れないものを感じながらも心配ないと判断し

「そうか、まぁ一応気をつけろよ。魔人が相手だからな!」


 振り返りながら達哉にとりあえずの忠告をして、呆然としている女を担ぎ上げ数人の冒険者と陣営へと戻っていく。


「さぁて、いつまでそうしてるんだ? 次の手駒はもう無いのか? 無いならお前が戦うって事でいいんだよな?」


空を切る音をさせ剣を振り血払いをし切っ先を魔人へと向ける。

魔人は薙鎌を両手で持ち構えながら達哉を睨む。


「ふ、ふひひ、望み通り俺様自ら相手してやるよぉ! 八つ裂きにしてやらぁぁぁぁ!」


 そう叫ぶや否や薙鎌で斬り掛かってくる。

痩身ながら身長以上の長さの薙鎌を振り回す膂力は凄まじいが動きが単調でどこか素人くさい。他者を戦わせてばかりで自らが戦った経験が無いのだろう。


 薙鎌の斬撃を裁きながら左手でショートソードを抜き真っ向に振り下ろされる薙鎌を受けながら身体を躱し長剣とショートソードをクロスさせ薙鎌を地面に縫い止める。

根元まで地面に突き刺さった長剣とショートソードに縫い止められた薙鎌を引き抜こうとするが、剣を地面に突き刺すとあっさり武器を捨てた達哉は魔人の水月に拳を打ち込む。


 魔人は3メートルほど吹き飛ばされ慌てて立ち上がるが既に目の前に達哉が迫っていた。

立ち上がった魔人にロー、ミドル、ハイと3段蹴りを喰らわせ左のボディーブローを叩き込む。

くの字になった魔人の髪を掴み顔面に膝蹴りを入れると髪の毛がブチブチと千切れながら魔人の身体が伸び上がる。

飛び上がりながら身体を1回転させ魔人の首に落とし気味の後ろ回し蹴りを喰らわせ地面に叩きつける。


 異世界に来て身体能力が上がった達哉の、それも金属製の手甲や脚甲を付けた殴打や蹴りを受け、魔人は立ち上がる事も出来ない。


「も、もうやめでくれぇぇ。 お、俺の負げだぁぁ。 こで以上やられだら死んじまうぅ。」


先程までの威勢はどこへ行ったのか情けない声を上げる。だが、達哉は聞く気も無くもう1本のショートソードを抜き魔人の首に刃を当てる。


「い、いやだぁぁぁ! 死にだくないぃ! お、同じ日本人だろ? た、助けてくれよぉ!」


血と涙と鼻水で顔を汚しながら懇願するも達哉は目の笑ってない笑みを浮かべ

「“元”だろ? 人間より上位の魔人様なんだろ? 見逃してやるって言うてた時に逃げ帰ってりゃよかったのになぁ。 仕掛けてきたのは己だろが! 女の子を騙して操って俺を殺そうとしたのも己だろが! しかも趣味悪い格好させてなぁ!」


そう言いながら魔人の首に当てた刃に力を込める。


「ま、待っでぐれ! 俺を、助けでぐれだら、元の世界に帰れる方法を教えでやるがら!」


「帰れないって言うてたのは己だろ? 元の世界にはもう俺達の存在自体消えてるんだろ? 口から出任せ言うなや?」


「死にだくないぃぃ! 頼むがら助けてくれよぉぉぉ!」


「そうやって命乞いする人間を何人殺してきた?」


「え?…………そんなもの、いちいち覚え」


言い終わる前に魔人の首を斬り落とし、立ち上がると無言で陣へと歩き出す。


 途中、残っていたオークやゴブリンを改造したような魔物が襲ってきたがゴブリンもどきの頭部を斬り飛ばしす。直後にショートソードの刀身がボロッと崩れ剣先が飛んでいく。

倒れるゴブリンもどきの棍棒を奪い取り、オークもどきの振るい下ろしてくる棍棒をかち上げ頭部を何度も殴打する。

頭蓋骨が砕け原形も留めなくなったオークもどきの胸部に足刀を喰らわせ蹴り飛ばす。

それが残っていた最後の魔獣だったらしく辺りを見回せば200匹居た魔獣は全滅していた。

人間側にも数名犠牲者が出たようだが陣営には被害は無く脅威は乗り切れたようだ。





4話目にしてようやくバトルシーンです。


「小説の書き方」を検索して出てきたサイトを手当たり次第読んだりメディアミックスされている“売れてる”ラノベを読んで勉強してるけど、やっぱり難しい!


専門学校行く暇もお金も無いけど、ワークショップとかどっかでやってないかしら?

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