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そこそこ世界の危機らしい

防護柵が張り巡らせ魔法結界で創られた薄い膜のドームのようなもので覆われた前線基地。

入口には防衛のための兵士が居たが気を失いラルゴに担がれているミーシャを見るや止める事無く陣の中へと迎え入れる。


ラルゴはミーシャを休ませるため医療斑の居るテントへ向かい、デイビスと達哉は補給斑から水筒を受け取り冒険者達の待機所へと向かう。


魔物の群れとの激戦が繰り広げられている現在、待機所には予備人員が十数名残っている。


デイビスは予備人員達が居る場所から少し離れたテーブルを選び達哉に座るよう促す。


「さて、お前には色々聞きたい事があるんだが…………………そもそもなんでそんな無防備な格好であんな所に居た?」


と溜息交じりに聞いてくるのに対し。


「さぁ?それこそ俺が聞きたいわ。」

と達哉は不満げに応える。


「………………どういう事だ?」


「普通に街中歩いてたはずなんだよ。それがいきなり何も見えない真っ暗闇になったかと思ったらいきなりあの場所に居たんだよ?なんでそうなったかさっぱり分からん!」


あっけらかんと答えるその姿に自分の事だろうにと呆れるもデイビスは質問を続ける。


「ではどこから来た?その身なりからすると村人ではなくどこかの街の住人のようだが?」


「ん~、その前に聞きたい事が2つある。一つは“日本”って国を知っているか?もう一つはここは何てとこだ?」


「日本ってぇのはここではない別世界の地名だな。どうやらお前は漂流者のようだな。ここはキルシオン王国の西端、魔族領との国境の手前だ。」


答える声はデイビスではなく達哉の背後から聞こえてきた。


「ラルゴ、ミーシャの様子は?」


「気を失ってはいるが大した怪我も無ぇから問題無い。」

そう言いながらラルゴはデイビスの隣の椅子に座り達哉が見定めるような目を向ける。


「ところでラルゴ、日本という国が別世界とか漂流者とか言っていたが何か知っているのか?」


「詳しくは知らんがな。丁度1年前、東南のダンジョンに国家錬金術師達の素材採取の護衛をしていた時にダンジョンの入口でこいつと同じようにいきなり若い女が現れたって話覚えてるか?」

「ああ、東方の島国に住む民族と似たような着物を着た娘だったな。もしかして達哉があの場に居たのも同じような現象ということか!?」

「そうだ、あの娘や達哉だけじゃない。完全に把握はできてねぇが他にも何人か漂流してきた奴らが居るらしい。」


「あ~、当事者放置で話進めないで?現状把握一番したいの俺なんよ?」


「ん?あぁ、すまない。達哉が何故あの場所に居たのか、その原因は以前にも同じような出来事が起こっていた事なので理解した。」


「ま、当の本人が何も知らねぇんじゃ話は進まねぇわな。とりあえず、大まかにだがこの世界の事とお前の身に何が起きたか教えてやろう、デイビスがな!」


と、笑いながらデイビスの肩を叩く。

この大男、ラルゴは見識は広そうだが、それを他人に話したり説明するのは苦手らしくデイビスに丸投げしたようだ。

呆れながらも説明しようとするが達哉から待ったがかかる。


「説明してくれるのは有難いんだけど、いいのか?戦闘の真っ最中なんじゃないのか?」


デイビス達は戦闘の最中、消耗した武器を補充するため戦線を離脱した。

そこで達哉と遭遇しオークジェネラルとの戦闘を経てここに居るのだ。


だが、デイビスとラルゴは空を見上げ何かを確認したように頷く。


「もう夕刻だ。心配ない、今日の戦闘はもうじき終わる。」

「理由は解らねぇが魔物共は夜になる前に魔族領に帰っていくんだよ。」

「憶測だが、操っている邪神の影響があるんだと思う。」


「へぇ~そういうのっててっきり夜のほうが凶暴になって活発に暴れたりするイメージなんだけどなぁ。」

と、何冊も読んでいたラノベの内容を思い出す。


「普通の魔物ならそうなんだが、邪神が放った魔物は何故か日中しか襲ってこないんだ。その分、僕達人間は夜ゆっくりと休めるから助かるんだがな。」

とデイビスが苦笑いしながら答える。


「その分この世界の事やお前がこの世界に来た原因もゆっくり説明してやれるってワケだな!」

「説明するのは僕なのだがな。」

とデイビスが溜息を吐く。




デイビスの説明によると、この世界は1億年前“原初の四神龍”により創られた天空島と4つの大陸からなる世界だそうだ。

4つの大陸にはそれぞれ人間族、獣人族、妖精族、魔族が治め天空島にはそれぞれの種族から霊格の高い者が迎えられその中でも特に霊格の高い者が神子となり神龍の声を聴き4種族が無益な争いを行わないための抑止力を受け継いでいた。

以来長き時を神龍を崇め小さな諍いこそあったものの平和な世界であった。

だが1000年前、魔族領にそれは現れた。

禍々しい気を放ち山程の大きさのそれはやがて龍の姿となり邪神龍と名乗り全てを虚無に消し去るかのように禍々しい瘴気を大陸全土へ拡散させ魔物を凶暴に進化させ人々を襲い出した。

またその瘴気は人々の持つ“悪意”を拡大させ抗うことの出来なかった者は邪神龍の手駒となってしまった。


天空島の神子達はこの事態を重く受け止め邪神を祓うため四神龍に助力を請うも応えが無く最後の手段として与えられた力を合わせ異世界から邪神龍を打ち倒せる力を持つ者“勇者”を召喚した。

召喚された勇者は4人、彼らは皆この世界の戦士達より遥かに強く、どの魔導師より高い魔力を持っていた。

勇者達とこの世界の民達は力を合わせ邪神龍の軍勢と戦ったが完全に倒すまでに至らず最終的に次元の狭間へと封印したのだった。


だが、十数年前より次元の狭間から邪神龍の瘴気が漏れ出し瘴気に染められた者達によって魔族領の半分を奪われ今に至る。

それだけに止まらず勇者召喚の儀式を模倣し異世界の住人をこの世界に呼び寄せていると言うのだ。

瘴気に魅入られた者は邪神龍の手駒になり高い知能を持つ魔物へと変貌させられるが、幸いにも瘴気に取り込まれなかった者は正気を保ったまま何らかの能力を発現させ、この世界の何処かに流れつくのだそうな。


異世界から流れついた者を漂流者と呼び各国が保護しているとのことだ。

そして高い能力を持つ漂流者に戦いの協力を求めてはいるが、首を縦に振ってくれる者は少数だという。

全く知らない異世界に放り出され元の世界に還れる保証も無い現状で命懸けの戦いに協力しようなどと思う者はそうそう居ないだろう。


「で、だな。」


一通りデイビスが話し終わりラルゴが口を開く。

「穂先の折れた槍でオークジェネラルの頭を吹き飛ばしたり俺の持っていたグレートソードを軽々と振り回せる達哉の戦闘力は見事なもんだった。そこでだ!お前には是非とも戦いに協力してもらいたいんだが、どうだ?」


「どうだって言われてもなぁ……………正直、武器を持って、魔物とはいえ生き物を殺したの

あれが初めてなんよなぁ。何故か忌避感とかは無いけど、戦争なんてとうの昔に終わった平和ボケした世界の人なんよね、俺って。しかも40過ぎのおっさんだし、役に立つか?」


「「40過ぎ!?」」

2人揃って驚愕の声を上げる。


「俺より年上って………………ウソだろ!?」

「僕も正直信じられません。年上だとしても同じ20代だと思ってました。」


何故か40代だと信じてもらえない。

「いやいやいや、そんな社交辞令言うても心変わりしないよ?ってか男に言われても嬉しくないなぁ。」

「社交辞令なんかじゃねぇよ!」

「そうですよ!ここは戦場だから鏡はありませんが街に行ったら是非鏡を見てみてください、僕達が社交辞令なんか言ってないとわかるはずです。」


達哉は2人の勢いに黙って頷くしか出来なかった。


「ともかくは、だな。協力しなくても国が保護してそれなりの暮らしができるだろうが、つまんねぇぞ?なにもずっと戦いっぱなしってぇワケじゃねぇ。普段は冒険者として依頼をこなしてりゃいいんだよ。上手くやれば金はたんまり稼げるし、色んな所行って面白ぇもん見れるし、そんだけ強けりゃいい女だってよりどりみどりだぜ!」


そんなラルゴの言葉に暫し考え

「……………そうだな、元の世界に還れるかどうかわからないし、せっかくこんなファンタジーな世界に来たのにただ普通に生活するだけってのもつまらんよなぁ。」

と呟いた後、顔を上げ

「下手すりゃ死ぬかもしれないけど、死なないように精進すりゃいいか!オーケー!どこまで出来るかわからんけど、協力させてもらうわ。」

と告げると、新たな協力者に2人は満面の笑みを浮かべる。


この世界の説明になりました。

まだ完全に補足できてないし先に進むと追加される可能性、大!です(汗


誤字報告有難う御座います。まだ慣れてないうえ、物語を書くのはこれが初めてなので拙い所だらけですがどんな評価であれ、目を通して頂けるのは有難いです。


ほぼ毎日更新されてる方や何本か同時に執筆されてる方って凄いですねぇ。

次話以降からはもうちょっと構想固めてから書こうと思っているので申し訳ありませんが更新滞ります。


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