捕まえたのはNA・KA・MA
ーーーリューカ視点ーーー
その夜、俺は村へ忍び込んだ。
今日は誰もいないよう──
──いや、いた。
白髪の野郎。
その顔が月光に照らされる。
ーゴクリッ
美しい...。
お、俺のタイプじゃあないか...。
ーボトンッ
あ...。
よそ見してて、落とし穴はまった。
「あ、魔物がかかった。チーター、見てきてくれる?」
「プニョガウ」
何かこっちに来た。
「プニョガウン!」
「魔物じゃない? 匂いで分かるの?」
「ガウガウ」
「一応、カメレオンも来て」
こっちに近づいてきた。
──こ、殺される...。
「本当だ。人間だね。毛皮被ってるから、村の人達は魔物だと思ったのかな?」
「う、あぁ」
「怖がらないで。危害は加えないから。人の言葉分かる?」
「あ...は、はい」
「あ、良かった。随分ボロボロの格好してるけど、着るものない?」
「あ、うん」
「私が作ってあげる」
「え...」
「村の人達には、何か魔物倒してきて、適当にごまかそうか」
めっちゃ良い奴や。
完全に...惚れた。
〇〇〇
ーーーシュラムア視点ーーー
「おお、女神様! 悪しき魔物に神罰を与えて下さったのですな」
「「「ですな」」」
「あ、はい。あはは...」
「ありがたや~」
「「「ありがたや~」」」
「あ、ありがとうございます」
ちょっとこの人達、狂ってきた。
「では、これで」
「皆のもの! 女神様が天界へ帰られるそうだ。さぁ、女神様に平伏すのだぁ!」
「「「ははぁ~! 女神様!」」」
「で、では~...」
貢ぎ物無いんかい!
少しは期待してた訳ですよ。
俺、改め、私は、村の外に隠れさせていた野菜泥棒さんのところに行った。
「ごめん、待たせた?」
「い、いや」
「あ、服作る約束だったね」
「い、良いのか?」
「任せて」
「生成、シールドスライム、服型、シルクタイプ!」
「ま、魔法?」
「そ、そんなところかな」
「凄いな」
「はい、服!」
「あ、ありがとう。...何だこの触り心地は!」
「あ、それシルクだよ」
「シ、シルクだと!?」
「うん」
「シルクは、Bランクモンスターの、カイコールを特殊な方法で育成し、その糸で作られる超高級品! お目にかかれる日が来ようとは...。ありがとう、え~と──」
「シュラムア、それが私の名前。あなたの名前は?」
「俺はリューカ。シュラムアって呼んでも良いかな?」
「じゃあ私もリューカって呼ぶね」
「ああ、シュラムア」
「私、冒険者やってるの。リューカは、どうして野菜泥棒なんてしてたの?」
「あれについては悪かったと思っている。...俺は、捨て子だったんだ。俺は────」
リューカは、これまであった事を話してくれた。
「それは、大変だったんだね」
「だから、俺はもっと強くならないといけないんだ。あの人に顔向け出来ないからさ...」
「...リューカは、これからどうするの?」
「俺は、き、君と一緒にいさせてくれないか、シュラムア?」
急に距離を縮めて来ましたなぁ。
「え、えと、まあいいよ?」
「良いのか? き、決めた! 俺も冒険者になる」
「宜しくね、リューカ」
「これから宜しく、シュラムア」
こうして、後に伝説となるパーティが結成されたのだった。
嘘です。
これからも宜しくお願いします。