ただいま、ラー油は使えません
「おい、店主! ラー油が使えねぇって、どういうこった!?」
「すいませんお客さん、ただいま、ラー油は使えねえんでさ。 諦めてくだせぇ」
「ラーメンなのに、ラー油を入れられねぇ? それじゃただの『メン』じゃねぇか! バカにしてんのか!?」
「お言葉ですがお客さん、ラーメンの『ラー』と、ラー油の『ラー』は、別物でい!
ラーメンにラー油なんて入れたらそれはもう、ラーメンじゃねぇ。
『ラーラーメン』だ!」
「ラーラーメン・・・だとぉ? バカにすんのもいい加減にしろ!
大体それなら、油はどこいったんでい!? それとも店主はこれが、太陽神にでも見えんのかい?」
「・・・・・。 ラー・ラーメン・アブラ! これで満足かい?」
「ああ、満足だね。 大いに満足だ。 だがな店主、俺はまさしくその、「太陽神ラーメン油」を食いに、この店に来たんだ。
悪いが俺は、ラー油を使わせてもらうぜ!」
「そこまで言うなら仕方ねぇ。 だが、覚悟しろよ?
うちのラー・ラーメン・アブラは、一筋縄ではいかねぇぜ?」
「それではいざ、尋常に・・・おい待て! なんてこった!
店主よ、こいつはラーメンじゃねぇ、つけ麺だ!
これじゃラー油をかけたところで『ラーつけ麺油』になっちまうじゃねぇか!!!」