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黄昏のヴァイキャリアス  作者: イツロウ
 3 二重の鎖
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 01 -初夏の休日-

 01 -初夏の休日-


 ――私はVFが大嫌いだった。


 広島県、瀬戸内海に面する港町で私は生まれた。

 その港町は造船業やVF製造で有名な場所で、私の父と母はその中でも世界的に有名な『溜緒工房』でVF技師として働いていた。

 激務な上に共働きとあって両親はあまり私に構ってくれず、当時の私は家の中で一人で過ごすことが多かった。

 寂しかった。

 そして、一人になる度に不条理な怒りを感じていた。

 ……私がこんなに寂しいのは、両親を拘束している仕事のせいだ。

 ……VFのせいで両親は家に帰れないのだ。 

 私は当たり前のようにVFが嫌いになった。

 寂しさを紛らわせるため両親にわがままばかり言い、お世辞にも良い子とは言い難い幼少時代を送った。

 そんな時代も長くは続かない。

 あの事件が起きたのは私が6歳の時だった。

 大罪人、更木正志の命令により、ファスナ・フォースが世界各地の軍事施設を問答無用で破壊し始めたのだ。

 VF開発で有名だった溜緒工房もその標的の一つだった。

 防衛手段のない溜緒工房はあっという間に破壊され、10名以上の犠牲者を出した。

 その10名の中に私の両親も含まれていた。

 あの時の喪失感は今でも思い出せる。それほど唐突な死別だったのだ。

 ……私はVFを憎んだ。

 両親との時間を奪い、そして命まで奪ったVFを心底憎んだ。

 だが、孤独になったわけではなかった。

 私は両親の職場の上司、ネイドルフ・ゼスト・溜緒という技師長に引き取られ、家族として迎え入れられた。

 ネイドルフ技師長は勿論のこと、彼の娘の瑞月ミズキさんにもとてもお世話になった。

 10歳年上の彼女は、私を実の妹のように可愛がってくれた。

 不真面目で乱暴者な私を見捨てることなく、親身になって育ててくれた。

 そして、大嫌いだったVFを大好きにしてくれたのも彼女だった。

 VFを好きになったことで、私は初めて両親の気持ちを理解できた。そして、一生をVFに捧げる覚悟ができた。

 彼女には感謝してもしきれない。

 そんな彼女がVFエンジニアとして海上都市に派遣されたのが3年前。

 彼女を追いかけてスラセラート学園に入学したわけではないが、未だに連絡がこないのはちょっと寂しい。

 ミヅキさんは優秀なエンジニアで、優秀なランナーでもある。仕事が忙しすぎて連絡をする暇がないのだろう。

「……会いたいなあ」

 自然と言葉が漏れる。

 その声に応じるように言葉が返ってきた。

「……誰に?」

 その声は葉瑠の声だった。どうやら独り言を聞かれていたみたいだ。

 結賀は咄嗟に取り繕う。

「何でもねーよ。……そんなことより前進めよ」

「あ、うん……」

 結賀に指摘された葉瑠は前に一歩進み、後ろにいる結賀も前に進んだ。

 ――現在、結賀は葉瑠とともに長蛇の列に並んでいた。

 列の先にあるのはアイスクリーム店だ。

 ここ海上都市群は年中温暖な気候を保っているが、気象状況やフロートユニットの散水システムの故障などの諸条件により年に何度か暑くなる日がある。

 今日はまさにその日だった。朝から気温は上昇し続け、昼前の今の気温は摂氏27度。気温だけを見ればあまり暑くなさそうだが、これに直射日光が加わると結構な暑さになる。

 暑くなると言っても年平均に比べて3度から4度ほど高くなるだけで、日本の夏ほど暑くなることはない。海上は基本的に涼しいのだ。

 だが、この3度4度の差が結構大きい。

 いつも大繁盛のアイスクリーム店だが、特に今日は売れ行きがいいようだ。

「結賀はどれにする?」

 前方にいる葉瑠は軒先に掲げられたメニューを眺めていた。

 結賀はメニューを見ること無く即座に答える。

「レモンシャーベット」

「へー、意外だなあ」

 葉瑠は振り返る。

「何が意外なんだよ」

「結賀はチョコレートのイメージだったんだけどなあ」

「勝手にイメージ押し付けるなよ……葉瑠はどれを買うつもりだ?」

 葉瑠は再び軒先のメニューを眺め、口元を触りながら答える。

「私はバニラかな……」

 結賀は「意外だな」と前置きし、先ほどの葉瑠と同じようなセリフを吐く。

「葉瑠はストロベリーのイメージだったんだがなあ」

「ほんと? じゃあストロベリーにしようかな」

「おいおい……」

 葉瑠はこちらの皮肉を真面目に受け取ってしまった。一々言い返してくるリヴィオとは大違いである。

(リヴィオか……)

 結賀はふとリヴィオの顔を思い浮かべる。

 最近のリヴィオは大人しくなり、全く張り合いがない。ランキング戦も絶好調だし、何だか私達よりも先に行ってしまった感がある。

 実際、あの高周波拳ヴァイブロナックルを装備したリヴィオには勝てる気がしない。葉瑠も厄介なものを作ったものだ。

 列が進み、結賀と葉瑠はようやく店内に入ることができた。

 店内も人で溢れかえっており、外とはまた違った暑さを肌に感じた。

 忙しなく働く店員を眺めつつ、結賀は先程の話を続ける。

「因みに、リヴィオのイメージはどれなんだ?」

「リヴィオくんかあ……青が好きだし、ミント系じゃない?」

「そうだな」

 葉瑠の意見に結賀は概ね同意だった。

「リヴィオくんと言えば、最近本当にすごいよね」

 リヴィオの話題になったせいか、先ほどまで暑さでヘタれていたはずの葉瑠は意気揚々と喋り始める。

「学園ランキング13位……たった4ヶ月で13位だよ13位。これはもうすごいどころの話じゃないよね。私、リヴィオくんと知り合いになれて本当に良かった」

 葉瑠は無垢な笑顔をこちらに向ける。心からリヴィオの活躍を喜んでいるようだ。

 対抗心でいっぱいの私とは大違いだ。

 学園ランキングの話が出て、結賀は劣等感を感じずにはいられなかった。

「……42位のオレじゃ友達には相応しくないってか?」

「え……」

 葉瑠は驚いた後、すぐに首をブンブンと左右に振る。

「そういう意味で言ったんじゃない。結賀も50位の壁を突破してるし、十分すごいよ。そもそも、強さとか関係なく結賀が初めての友達で良かったって思ってる」

「取ってつけたように言われてもなあ」

「嘘じゃないよ……それに、結賀もそう思ってるんでしょ……?」

 葉瑠は上目遣いで潤んだ瞳をこちらに向け、不安げな表情を浮かべていた。

(う……)

 普段おとなしくて真面目なだけに、こういう時の破壊力はすさまじい。

 私が男なら思わず襲ってしまうところだ。

「ずるいぞ葉瑠……」

 結賀は葉瑠を軽くハグし、頭を撫でる。

「悪かった。オレの言い方が悪かった」

「うん……」

 頭一つ分背の低い葉瑠の頭を撫でつつ、結賀は再度リヴィオの事を考える。

 ……リヴィオは元々強かった。

 これまでは変な盾を使っていたせいで本来の実力を出せていなかったが、葉瑠の手助けで100%の力を発揮できるようになったのだ。

 私は最初から100%の実力を発揮しているつもりだ……が、それでもこの程度だ。

 先に進むためには何か足りない気がする。

「結賀、私達の番だよ」

「ん? ああ、レモンシャーベットでよろしく」

 葉瑠に促され、結賀は店員に注文する。

 店員は「かしこまりました」と返事をしながらカップ状の器具で黄色のシャーベットを掬う。

 シャーベットはそのまま三角錐上のコーンに載せられ、こちらに差し出された。

 結賀はそれを受け取り、カウンターから離れる。

 葉瑠がストロベリーを受け取るのを見ると、結賀は店の外に出た。

 店外には早速アイスに齧りついている客が大勢居て、近くのベンチはそんな人々で埋まっていた。

「帰りながら食べようよ」

 葉瑠は最初からここで食べるつもりは無いらしく、早々に店から離れていく。

 結賀はその後を追う。

「もう帰るのか? まだまだ時間あるぞ」

 今日は休日で、まだ時刻も昼過ぎだ。

 この商業エリアなら遊ぶ場所にも困らないはずだ。

 結賀の素朴な問いに、葉瑠は謝罪で応じた。

「……ごめん、実はモモエさんと会う約束してるの」

 葉瑠は申し訳なさげに告げ、舌をぺろりと出す。

 可愛い仕草だったが、それだけで許せるわけがなかった。

 結賀は葉瑠に軽くデコピンする。

「あたっ」

「葉瑠、今日は一日暇だって言ってたよな?」

「3日前まではそうだったんだけど、昨日モモエさんに頼まれちゃって……」

 葉瑠はデコピンの衝撃でずれた眼鏡を元の位置に戻し、気まずそうに笑う。

「また課題の手伝いかよ……他人手伝う暇あるなら操作練習したほうがいいぞ」

「私もそれは解ってるんだけれど、どうしても断れなくて……」

「お人好しも大概にしとけよ」

 これが葉瑠の良いところでもあり、悪いところでもある。

 結賀はレモンシャーベットをひと齧りし、前を向く。

「……ま、約束したんなら仕方ねーな」

「ごめんね結賀……」

 本気で反省してるみたいだし、今日のところは許してやろう。

 結賀は仰々しく告げる。

「ドタキャンを快く許してくれる心の広い友達を持って、お前は超幸せだな葉瑠」

「心が……広い?」

 葉瑠は口元に手を当て、わざとらしく驚いたふりをしていた。

 この状況で私を煽るなんて、いい度胸をしている。

「おい葉瑠……」

「ごめんごめん、ちゃんと埋め合わせするから……ね?」

「駄目だ。やっぱ許さん」

 結賀は素早く手を伸ばし、葉瑠の手からストロベリーを奪う。

 ストロベリーを追いかけるように葉瑠は手を伸ばす。

「ちょ、結賀、まだ一口も食べてないのに……」

「約束破った罰だ」

「えー……」

 そう言い合いつつも、二人は始終笑顔を保っていた。



 時を同じくして場所はスラセラート学園

 トレーニングルーム内では少女の大声が響いていた。

「リヴィオ!! ボクと勝負しろ!!」

 威勢よく言い放ったのは長いカーキの三つ編みが特徴の少女、スーニャだった。

「本当にしつこいなスーニャ……」

 疲れた様子で返事したのは銀の髪に碧い瞳を持つ少年、リヴィオだった。

 リヴィオは現在マット上でストレッチ運動をしており、仰向け状態で腰を捻っていた。

 リヴィオはスーニャを見上げ、言葉を続ける。

「昨日戦ったばかりだろ。勝負もお前の勝ちだったし、これ以上戦う必要ないだろ」

「完璧に対策してたんだからボクが勝って当然だ。……だから今度はリヴィオも完璧に対策するんだぞ。これで公平な勝負ができる」

「何回戦えば気が済むんだよ……」

 リヴィオはストレッチを止め、勢いをつけて立ち上がる。

 スーニャは視線を下から上に向け、しつこく続ける。

「10回でも20回でも、ボクが満足するまで何回でも戦ってもらうぞ」

 セリフは挑発的だったが、スーニャはニコニコしていた。対戦が楽しみらしい。

 この期待に満ちた表情を向けられては、さすがのリヴィオも断りにくかった。

(スーニャの奴……最近すげー絡んでくるな……)

 既にスーニャとは合計3回ほど対戦している。

 1戦目はボロ負けだったが、2戦目は高周波拳のおかげで勝利できた。

 しかし、3戦目は近接格闘攻撃を封じられ、惜しいところで負けてしまった。

 この3戦目で実力的にはスーニャのほうが上だと実感させられた。

 もっと技を磨いてまた今度挑戦しようと思っていたのだが、昨日の今日で4戦目を申し込まれたというわけである。

(戦っても勝負は見えてるからなあ……)

 別に負けるのが嫌だというわけではない。自分の機体が破壊され、エンジニアに負担を掛けることが嫌なのだ。

「実際に戦ったほうがいい練習になるし、戦おうよリヴィオ……」

 スーニャはこちらの腕を掴み、駄々をこねるように揺する。

 明らかにあちらが無理な要求を押し付けているのに、状況だけを見るとこちらが悪者に思えてくるから不思議だ。

 スーニャを前にして困り果てていると、スーニャの背後から好青年が現れた。

「やあリヴィオくん。モテモテだね」

 爽やかな声と笑顔と共に現れたのは宏人だった。

 彼は教官代理をつとめている3年生の先輩で、葉瑠の兄貴でもある。

 今日はオフなのか、制服ではなく無地の襟付きポロシャツにチノパンという堅めのコーディネートだった。それだけでも爽やかなのに、七三分けの髪型が更に彼を爽やかに演出していた。

 リヴィオは正面に立っているスーニャを横に押しやり、腰を折って挨拶した。

「川上教官、お疲れ様です」

 宏人はポケットから手を抜き、軽く振って応じる。

「宏人でいいよ。葉瑠ちゃんがいつもお世話になってるね。ありがとう」

「こちらこそお世話になってます。本当に」

 この前まで適当に挨拶を返していたが、いかに自分が無礼だったか今ではわかる。

 強者揃いの学園ランキングで3位で居続けている彼はとんでもなく強い。いつもニコニコしている優男くらいにしか思っていなかった自分が恥ずかしく思える。

 自分が強くなって初めて理解できる強さもあるということだ。

「スーニャちゃんもこんにちは」

 宏人はスーニャにも声を掛ける。

「汗かいてるけど暑いのかな? 熱中症にならないように水分補給はちゃんとするんだよ」

 そう告げたかと思うと、宏人はごく自然な動作でハンカチを取り出し、当たり前のようにスーニャの額の汗を拭う。

 スーニャもまんざらではないようで、黙ってそれを受け入れていた。

「あ、そうだ、ジュース買ってあげようか? オレンジでいいかな?」

「だから、いつも、子供扱いするなっていってるだろ!!」

 宏人の喋り方が気に触ったのか、スーニャはハンカチを強引に奪い取り、横に投げ捨てた。

 宏人は「ごめんごめん」と謝りつつ、床に落ちたハンカチを拾い上げる。

 ハンカチを折りたたみながら宏人は話を再開する。

「……今ランキング戦の話をしていたみたいだけれど、もしかして君たちまた戦うつもりなのかい?」

「いや、俺は断ってるんですけど、こいつがしつこくてしつこくて……」

 宏人は迷惑感たっぷりの視線をスーニャに向ける。

 スーニャは一瞬たじろぐも、負けじと言い返した。

「ボクは、リヴィオが試合に負けて悔しいだろうから、リベンジのチャンスをあげてるだけだ。感謝してほしいね」

 負けたのは悔しいが、だからと言って何も対策を立てないままリベンジするほど俺も考えなしじゃない。

「その親切心はありがたいが、どうせ試合するなら上位の連中と試合しろよ。俺と戦ったって何の得にもならねーぞ」

「得にならなくたって別にいいじゃないか……試合するくらい」

 スーニャは頬を膨らませ、ふてくされる。

 何故そこまでして試合がしたいのか、リヴィオには全く理解できなかった。

「何なら僕と戦うかい? スーニャちゃん」

 唐突に宏人が名乗りを上げた。

 宏人の予想外の提案にスーニャは目を丸くしていた。

 が、スーニャが返答する前に横槍が入ってきた。

「……私との対戦を目前にして他の下位ランナーに対戦を持ちかけるなんて、随分と自信があるのですね川上教官」

 冷たく淡々とした女性の声。宏人は振り返りながら応える。

「やあアビゲイル。その様子だと準備万端みたいだね。黒のランナースーツ、とっても似合ってるよ」

「当然です」

 リヴィオとスーニャは遅れながらも声がした方向、入口付近に目を向ける。

 そこにはランナースーツに身を包んだアビゲイルが立っていた。

 彼女は黒に包まれていた。

 黒い長髪に黒いランナースーツ。そんな黒ずくめの中で赤い瞳はとても目立っていた。

 宏人に赤い眼光を浴びせつつ、アビゲイルはゆっくりと歩み寄ってくる。

 無表情で佇まいも落ち着いていたが、底知れぬ闘志を感じる。

 宏人は特に何も感じていないらしい。いつも通り優しい口調で喋り続ける。

「君も随分と自信があるんだね。3位の僕に挑戦する前に5位の入江教官や4位のエネオラさんと戦わなくていいのかい?」

「私は勝ちます」

 アビゲイルは宏人の目前で止まり、キッと睨み上げる。

 挑発されても、宏人は笑顔を崩さない。ここまで笑顔だと逆に恐ろしく思える。

「最近骨のあるランナーと戦えていないからね。アビゲイルにはカンを取り戻す手伝いをしてもらおうかな」

 その言葉は、明らかに格下に向けられた言葉だった。

 冗談でも嘘でもなく、宏人は自分の勝利を確信しているのだろう。

「……1時間後、忘れないでくださいね」

 アビゲイルはあっさりと引き下がり、トレーニングルームから出て行ってしまった。

「あれ、今日アビゲイルと試合なんですか?」

「うん。今彼女が言った通り、1時間後に戦う予定だよ」

 全く知らなかった。今後は対戦情報をよくチェックしておこう。

「川上教官も早く準備したほうがいいんじゃないですか?」

「大丈夫大丈夫。アウターユニットも武器も準備万端でハンガーで待ってるよ……あ、そうだ」

 宏人は手のひらを叩き、リヴィオとスーニャを順に指さす。

「せっかくだし君たち試合見に来るかい?」

(川上教官の試合……)

 そう言えばこの学園に来てから彼の試合を一度も見ていない。

 VFBマニアのクローデル曰く、上位ランナーは代替戦争や他の仕事のせいで結構忙しく、ランキング戦には頻繁に出てこないらしい。

 ルーメ教官やアルフレッド教官はともかく、川上教官は学生でもあるわけだし、2人に比べて忙しいのは当然だ。

 そういう意味では貴重な試合になりそうだし、見ておいて損はないだろう。

 ぶっちゃけ中継映像を見れば済む話だが、リヴィオは誘いを断ることができなかった。

「はい、ぜひともお願いします」

 リヴィオの返事を聞いた後、宏人はスーニャに再度問う。

「スーニャちゃんはどうする?」

 スーニャはリヴィオをチラチラ見つつ、小さく頷いた。

「リヴィオが行くなら……ボクも行ってあげていい」

「ありがとう、心強いよ」

 宏人は2人の返答が嬉しかったようで、両名の肩をぽんぽんと叩いた。

 単に観戦するだけで応援をするわけではないが、リヴィオとスーニャの両名はこの笑顔を見て反論することなどできなかった。

 2人の同行が決まると、宏人は早速出口に向かって歩き始める。

「よし、それじゃあ早めに行こうか」

 これから試合だというのに、宏人の言い方は“昼食に行こう”くらいの軽いノリだった。

 リヴィオとスーニャは戸惑いつつも、宏人の後に続いた。

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