始まりと交わり。
人は生きていくうえでとてもたくさんの人と出逢う。
でも、同じ時間を生きていく人の数と比べたらそんなのごくわずかでしかない。
そう、人間は生まれたときから交わる人間の数は決まっている。
けど、偶然や間違いによってその数は増えもするし、減りもする。
人に決められている運命なんて、そんなもん。
決まっているとは言うけれど、確実じゃない。
何事も、決まった通りになんて進まない。
しかし、その運命を意図的に変えられるとしたならば…
人生は何倍も楽になるし楽しくなる。
失敗も消せる。いや、起こさなくなる。
勿論、そんなこと人間にはできない。
それを可能にするのが…遥か上の存在、天使。
そして、それと相反する存在悪魔…。
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――貴女は運命を信じる?って聞かれたときに、私は信じないって答える。
なぜって?運命なんてモノが存在するのなら、私の人生、こんなに失敗だらけじゃないもの。
彼女の名は来宮有沙。16歳の高校一年生で、二年前、交通事故に遭って半年ほど前に完治したところだ。
鳥のさえずりを聞きながら目を覚ました彼女はいつものように一人で朝食をとり、セーラー服に着替え、学校へと行くために電車に乗る。
彼女はよく事故を目撃し、事件を目撃する。
彼女自身、二年前の事故は今まで偶然寸前で被害が及ばなかった事故が、自分と交わっただけ。そう考えていた。
その日は彼女にとっては珍しい、何事も順調な日であった。
そんな彼女を見つめる一人のスーツの男。。。