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面倒な人たちに囲まれて。  作者: 枯木榑葉
最終章 ~面倒な人たちに囲まれて。~
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「大っ嫌い」のその後

リック(天羽)視点です。

 今、フィアが全てを思い出している。やっと、やっとだよ。やっと、フィアは力を全部取り戻す。これで、オレたちがもといた場所に戻れる。

 でも、やっぱり、思い出してしまってよかったのかな。フィアにとって、彼女が消えてしまった後のアイザックの行動は、知らないほうが良かったのかもしれない。彼女が飛ばされた瞬間に意識が途切れるといいんだけど、彼女の持っている力が作用して彼女は思い出している。だから、たぶん無理だ。

 "管理者"として、あの世界に起こった出来事を知る義務がある。あんな大きなバグをアイザックは発生させたのだ、"管理者"としてもうあんな失態を起こさないためにも知らなければならない。

 フィアは、泣いてしまうかもしれない。彼女の涙を吹っ飛ばすためにも、元気に彼女を迎えよう。


 ちょうどそう決めた時、フィアが全てを思い出して、オレたちの前に現れた。やっぱり、フィアは泣いていた。この場の空気がどんどん沈んでいく。早く、彼女を元気付けないと。



「フィアッ!!」



 フィアに抱きついた。彼女の鼓動が早い。少しはオレのこと、意識してくれているのかな。そうだったら嬉しいんだけど。



「……リック」

「フィア! あぁ、フィアの匂いだ。懐かしいっ! フィアフィアフィア! やっとその口でオレの名前を呼んでくれたね! フィアが記憶を取り戻すのを待っていたんだ! さあ、もっとオレの名前を呼んで、ねぇ、もっともっとっ!!」



 フィアをぎゅうぎゅうに抱きしめながら言ったら、彼女の表情が強張った。あらら、やりすぎたかな? だけど、もうフィアの目から涙は流れていない。よかった。


 オレはフィアから離れると、フィアのお願いという名の質問に答えていった。うん、ちゃんと思い出したみたいだ。途中、夢魔とフィアが仲良さ気に会話してたから、ぶった切らせてもらったけど。

 フィアはすべて思い出しているのだから、オレは前々から彼女に言おうと思っていたことを伝える。



「ねえ、フィア。あんな大きいバグは初めてだ。やっぱりオレたちは外から見ていたほうがいいと思うんだ。"あの子"はフィアと同じだけど違うから。"あの子"が中でオレたちは外。それで今までやってきただろ。オレたちは外にいるべきなんだ。だから、元の場所に戻ろう」


 フィアの表情に陰りができた。いや、なのだろうか。だけど、その後徐々に顔に明るさが戻ってきて、今は思案顔。そして、穏やかな笑みを浮かべて、フィアは俺に告げたのだ。




「ねえ、リック。私、あなたのこと、――――大ッ嫌い」

「……え?」



 フィアは今、何て言った? 大っ嫌い? 誰が、誰を?

 フィアが、オレ、を……? きらい、キライ、嫌い? そんな、嫌だ。嫌、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だだ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。オレを嫌わないで。オレから、離れないで。オレが役立たずだから? だから嫌いなの? フィアに嫌われたオレなんて、――――いらない。




「なんて、切り捨てられる存在なら、私はここに残る決断をしたんだろうなぁ」

「フィ、ア……?」




 言われたことの意味が直ぐには消化されず、焦点が合わない視線を何とかフィアに向ける。にっこりと天使のように笑っているフィアと視線がぶつかった。


 フィアは、オレのことを嫌ってはいない?



「オレのこと、嫌いじゃないの?」

「うん。何でずっと私のために働いてきた人を嫌うことができるの。まぁ、それ以外の感情のほうが今は大きいけど」

「それ以外の感情?」



 うん、とまたもフィアは頷くと、開いてしまっている少しの距離を詰めて、そのままオレに抱きつく。突然のフィアの行動に驚きつつも、しっかりとフィアの背に腕を回すことは忘れない。ちゃっかりしてるねー、みたいな表情を夢魔から寄せられてるけど、見て見ぬふりだな、ここは。せっかくの雰囲気を壊すようなことをするつもりはないよ。



「リック、あの、ね。私……」



 フィアは顔を真っ赤にして恥ずかしそうにオレを見てくる。これはもしかして期待していいのだろうか。

 それにしても、真っ赤な顔で身長差のために上目遣いで見つめてくるフィア。かわいい。あぁ、もう、今すぐキスしたい。てか、食べちゃいたい。

 でも、フィアの話も聞かないと機嫌が悪くなっちゃいそうだし……。



「リックさえいてくれたら、何もいらないの。色んな人に出会って、接してきて分かったことなんだけどね。私、どんな人と関わってきてもリック以上に大事だと思えた人がいなかった。リックの存在がいつの間にか私の中で大きく占めていたから、他に入り込む隙間がないのかな」

「えっと、それって……」



 フィアがオレの服をぎゅっと掴む。緊張、しているのだろう。密着しているためにフィアの心臓が大きく跳ねているのが伝わってくる。でも、それに負けじとオレの心臓の脈も速い。フィアは一度大きく深呼吸をすると、ぷっくりとしたかわいらしい唇をぷるぷると震わせながら、ゆっくりと口を開いた。



「リックが、……好き。リックだけは、私とずっと一緒にいて――?」



彼方が空気ーー!!

これで本編は終了です。この後はリック(天羽)とフィア(主人公)の人物紹介で締める予定です。

なんだか無理やり終わらせてしまった感があるので、時間があるときに改稿したいと思います……。

投稿が滞ったことが多かったのに、ここまでお付き合い頂きありがとうございました!

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