前編
主人公が章の始めは毎回叫んでいる件について、私は何も言うまい。
深い理由は全くないんです! 浅い理由もないですが。何故か毎回叫んでいる……。おふぅ。
「いいいぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁあああああ!!」
ゴスッ!
「――ぐふッ!」
あああああああああ! 兄さえも! 兄さえも、敵でしたぁぁ! 私に味方はいないんですか!? 何か右手がじんじんして、痛いんですけど! 怒りのせいですかね? それにしても、1対多数は集団リンチじゃないですか! 5人戦隊ヒーローものと同じくらい卑怯ですよ! 敵1人に対して5人で攻撃とか卑怯ですよね! ヒーローのくせに何してんだ!って、思いますもの。あ、勿論これは私個人の意見ですので、気を害されたかたは、申し訳ありません。
くそっ! それにしても、私(の精神及び貞操)が無事に生きられる選択はないんですか? 毎度毎度、喰われなんて、納得がいきません!!
「……い、妹ちゃん……。いきなり人を殴っといて、何もなしかな……?」
声が聞こえて、そちらを見ると、頬を紅く染めたB先輩がいました。すみません。こういうと、照れていたり、怒っているのかと誤解されそうですね。あれは、殴られた跡です。片方だけ異様に紅いですから。
「……うん? あれ? B先輩、その頬どうしたんですか? 紅くなってますよ? テキトーに吹っ掛けた、女性にでも殴られました? 当然の扱いですね。それにしても、その頬、大部腫れてますよ。どれだけ、不満を持たれたんですか?」
「あれ? 自覚なし? 無自覚? 無自覚で、人殴ったの? ……無自覚で殴る程、俺とのキスが嫌だったんだ……」
「え? ……あ! もしかして、殴ったの私ですか!?」
だから、右手が痛かったんですね。納得です。怒りで右手だけ痛み出すとか、目とか腕を押さえて、"うぐっ、待て。まだ、まだダメだ。くっ、耐えろ! 耐えるんだ!!"みたいなことを言っている人みたいじゃないですか。"頭大丈夫?"って言われるところでしたね。良かった。ほんっとーに、良かった!
「……はは、気にしないで……」
「分かりました。気にしません。貴方が殴られるのは正常だということですね。まさか、本当に女性をたぶらかしていたなんて……。最低ですね」
「何か今日の妹ちゃん、俺に対して辛辣なんだけど!! 俺何かした!? ……て、あ、キスしたからか……」
私が辛辣? ああ、無害だと思っていた兄に裏切られたもので。完全に八つ当たりですね。気づいてますよ? ただ態度を改めないだけです。私のストレス発散に付き合ってもらっているんですよ。さすがに、こうも思い通りにならないと、イライラしますから。
それにしても、キス、ですか。また、私は夢(?)を見ていたんですね。これも、そうなのでしょうか……?
まあ、私にはどうでもいいですけどね。楽しむって決めましたし。
さて、それは今は置いておいて。今は現状を把握しましょう。部屋のカレンダーを見ると、私の誕生日の前日です。そしてキス、と言うことは、またもや前回からずっと目を覚ましている時と、同じくらいの時間帯ですかね。今はキスの後。B先輩に誘拐されそうになる時でしょうか。
私が現状把握に徹している間、B先輩は未だに私が不機嫌な訳を探ろうとしているようです。はっきり言って、ウザいですよ。
「うーん。キスがそんなに嫌だった? いつも、兄弟たちとやってるから特に抵抗はないのかと思ったんだけど」
「"兄弟たちと"って、あれは、違いますよ。唇を合わせているだけです。キスとは言いません。てか、断固認めません! あれは作業なんです!」
「おい! 何言ってるんだ! 作業じゃない! 俺との情事を作業なんて言うな」
「愚兄は黙っててください! 何が情事ですか、あんなの狼藉じゃないですか! 一方通行の愛は、愛とは言わない!! 裏切り者がっ!」
私が声を荒らげてそう叫ぶと、兄は雷に当たったかのような衝撃的な顔をして、ぶつぶつ呟き始めました。
「……ろ、狼藉……? 一方通行の愛……? 裏切り者……? 俺はあいつの願いを裏切ったのか? そんな……、バカな。俺が……? あいつの?」
「うわっ、壊れちゃったよ。妹ちゃん。本当に今日はどうしたの?」
「どうもしてないです」
「大丈夫って顔じゃないよ。そうだ! じゃあ、俺の部屋に行って気晴らしに楽しいことしようか!」
そう言って、B先輩は私を抱えあげました。勿論、前回同様お姫様抱っこです。は、速すぎて、抵抗できませんでした……。
B先輩の言葉に私は顔がひきつるのが、じぶんでも分かりました。楽しいこと? 何か卑猥に聞こえるんですけど。絶対に私にとっては、楽しくないですよね。だいたい内容は予想がつくのですが、外れてほしいと思いながらB先輩に問います。
「……何を、するんですか?」
「勿論ベットでヤりまく――」
「ぎゃあああああ! 予想通りじゃないですかああああ!! 放してくださいっ!! 変態い! 変態がいるううう!!」
「変態? 俺だけに言うなんて酷いな。男は皆変態なんだよ?」
「開き直らないでください!」
「皆、表と裏が同じとは限らないんだよ。そこで、怖い顔してる彼らだって、例えばC君は本当はストーカーかもしれないし、Aも監禁魔に目覚めるかもしれない。妹ちゃんの兄も粘着質で、かつ、束縛好きかもしれないんだよ」
「……え?」
B先輩の言葉に私は絶句しました。
どうして? どうして、知ってるの……?
「なん、で……?」
B先輩は顔に、意味ありげに含み笑いを浮かべています。
彼は、何かを知ってる……?
この物語も鍵を握る一人、B先輩による新章スタートです! この章では謎に少し触れます。ですが、解消はしません。
さて、彼はどうして知っているのでしょうか。
Aさん、B先輩、兄、を好きな人はいませんかぁぁぁ!! 作者、心の叫びでした。彼らの魅力を書けていない、作者が悪いのですが……。
読んでくださってありがとうございました!
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